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番外編
6.プロポーズですか?
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「そこの貴方、わたくし個人の自由を保証すると言えて?」
ひとり、言い出した人を指名して聞く。こっそり嘘発見魔法を使う。
「もちろんです! 愛梨沙様の自由は保証します」
「じゃあわたくし、魔道具も作らないし誰も癒さないわ。それでもわたくしが必要?」
「もちろんです!」
光った。周りはざわついているが、光を抑えているので本人は気が付いていない。
「わたくし、貴方の国に行っても何もしないわ。何もしないわたくしの自由を保証して下さるの? わたくしに魔法を使わせるために拷問したりしないと誓える? なぁんにもしない、元聖女。要らないでしょ?」
「いえ! だからこそ我が国でゆっくり過ごして頂きたいのです!」
「飢饉が起きても、何もしないわよ」
「それでも構いません!」
光る。
「そんな事言って、いざとなれば拷問でもすれば言う事聞くって思ってるんでしょ?」
「そんなことはしません!」
眩く、光った。ようやく光に気がついたようだ。
「なっ……」
「嘘つきは嫌いよ、次の方」
自信満々な、王子様のような人が来た。
「我が国は、愛梨沙様を大事にします。僕と結婚して下さい」
この人にもこっそり魔法を使う。3人と言っていたのに4人目にかけられた事で周りが騒つくが、この人はプロポーズした事へのざわめきと思っているようだ。
「ふっ……ざわついていますね。しかし愛梨沙様には私のような高貴な者が相応しい」
「嫌よ。わたくしナルシストは嫌いよ」
「なっ……」
「夫がいる人にプロポーズする常識外れのいる国なんて、行きたくないわ」
実は、この人だけじゃない。似たような事を言ってきた人は結構いた。ニックを宥めるのが大変だったんだから、今日限りにして貰うわ。
「しかし!」
「だいたい貴方が要るのは聖女としてのわたくしでしょう? 貴方は王子様? 妃にでもすれば、働かざるを得ないと思ってるんでしょ? わたくしを愛してるわけじゃない」
「そんなことはありません!」
はぁ、やっぱり光るわよね。光はまた抑えてるし分かってないみたいだけど。
「じゃあニックを愛していて、貴方を愛することは永遠にないわたくしにプロポーズするメリットはなぁに?」
「私と結婚して頂ければ、英雄殿より愛梨沙様を愛すると誓いますよ」
自信満々ね。光らないって事は、本気か。
「わたくしの世界では、一夫一妻なの。一夫多妻な貴族や王族は嫌なのよ」
「なら、私も貴方だけを妻としましょう!」
会場全体に光が広がった。王子は驚いている。ああもう、キレそうなニックをそろそろ抑えないと。こっそり、念話をする。
「なっ……、3回しか使えない筈では?!」
「ああ、言い忘れてたわ。まだまだ使えるの。同時に3人だけなのか、時間で決まってるのか、全部内緒よ。でも、この場限りで2度と使いたくないわね。嘘がわかるなんて、面倒だもの。でも、貴方みたいなのを炙り出すのには使えるわね」
「オレの妻にプロポーズですか。名を名乗らなければダメでも誤魔化せると思っていたようですが、ザクセン公国のナルゼ王子に正式に抗議します。書面は、明日にでも公国に届くように手配いたしますね。ああ、それから先程愛梨沙を国に誘おうとした他の方々も全員顔もお名前も存じています。全て、後日正式に抗議します。愛梨沙に手ェ出すなって言っただろ」
そう言ってニックは、ひとりずつ名前や所属を言っていく。皆が青褪め、中には気絶した者もいるが構わずニックは話を続けていく。わざわざ気絶した人起こすなんて、容赦なさすぎでしょ。
ひとり、言い出した人を指名して聞く。こっそり嘘発見魔法を使う。
「もちろんです! 愛梨沙様の自由は保証します」
「じゃあわたくし、魔道具も作らないし誰も癒さないわ。それでもわたくしが必要?」
「もちろんです!」
光った。周りはざわついているが、光を抑えているので本人は気が付いていない。
「わたくし、貴方の国に行っても何もしないわ。何もしないわたくしの自由を保証して下さるの? わたくしに魔法を使わせるために拷問したりしないと誓える? なぁんにもしない、元聖女。要らないでしょ?」
「いえ! だからこそ我が国でゆっくり過ごして頂きたいのです!」
「飢饉が起きても、何もしないわよ」
「それでも構いません!」
光る。
「そんな事言って、いざとなれば拷問でもすれば言う事聞くって思ってるんでしょ?」
「そんなことはしません!」
眩く、光った。ようやく光に気がついたようだ。
「なっ……」
「嘘つきは嫌いよ、次の方」
自信満々な、王子様のような人が来た。
「我が国は、愛梨沙様を大事にします。僕と結婚して下さい」
この人にもこっそり魔法を使う。3人と言っていたのに4人目にかけられた事で周りが騒つくが、この人はプロポーズした事へのざわめきと思っているようだ。
「ふっ……ざわついていますね。しかし愛梨沙様には私のような高貴な者が相応しい」
「嫌よ。わたくしナルシストは嫌いよ」
「なっ……」
「夫がいる人にプロポーズする常識外れのいる国なんて、行きたくないわ」
実は、この人だけじゃない。似たような事を言ってきた人は結構いた。ニックを宥めるのが大変だったんだから、今日限りにして貰うわ。
「しかし!」
「だいたい貴方が要るのは聖女としてのわたくしでしょう? 貴方は王子様? 妃にでもすれば、働かざるを得ないと思ってるんでしょ? わたくしを愛してるわけじゃない」
「そんなことはありません!」
はぁ、やっぱり光るわよね。光はまた抑えてるし分かってないみたいだけど。
「じゃあニックを愛していて、貴方を愛することは永遠にないわたくしにプロポーズするメリットはなぁに?」
「私と結婚して頂ければ、英雄殿より愛梨沙様を愛すると誓いますよ」
自信満々ね。光らないって事は、本気か。
「わたくしの世界では、一夫一妻なの。一夫多妻な貴族や王族は嫌なのよ」
「なら、私も貴方だけを妻としましょう!」
会場全体に光が広がった。王子は驚いている。ああもう、キレそうなニックをそろそろ抑えないと。こっそり、念話をする。
「なっ……、3回しか使えない筈では?!」
「ああ、言い忘れてたわ。まだまだ使えるの。同時に3人だけなのか、時間で決まってるのか、全部内緒よ。でも、この場限りで2度と使いたくないわね。嘘がわかるなんて、面倒だもの。でも、貴方みたいなのを炙り出すのには使えるわね」
「オレの妻にプロポーズですか。名を名乗らなければダメでも誤魔化せると思っていたようですが、ザクセン公国のナルゼ王子に正式に抗議します。書面は、明日にでも公国に届くように手配いたしますね。ああ、それから先程愛梨沙を国に誘おうとした他の方々も全員顔もお名前も存じています。全て、後日正式に抗議します。愛梨沙に手ェ出すなって言っただろ」
そう言ってニックは、ひとりずつ名前や所属を言っていく。皆が青褪め、中には気絶した者もいるが構わずニックは話を続けていく。わざわざ気絶した人起こすなんて、容赦なさすぎでしょ。
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