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67.続く者達と、終わる者達【最終話】
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「愛梨沙! 新婚旅行行こうぜ!」
「え?! この世界そんな風習ないじゃなかった?!」
「しちゃいけねぇ理由はないだろ。最近仕事忙しかったし、2週間の休みもらえたからさ。最近開発した瞬間移動だっけ? あれ使えば遠くに行けるぜ。オレが行ったことある国全部連れて行ってやるよ! 夜が不安なら寝る時はここに戻っても良いし、もちろん良い宿もいっぱいあるから泊まっても良いし。どうだ?」
「仕事問題ないなら行きたい!」
「よし、ならすぐ出かける事を連絡してくるぜ!」
「行動はやっ!!!」
「愛梨沙は、荷物まとめといてくれ!」
「了解!」
………………
「痛みが……消えた?」
「神殿長様! シスターコリンナが戻られました!」
「お父様!」
「おお、よく戻った! 無理矢理引き離されて辛かったぞ!」
「お父様! 神殿は……?」
「もうダメじゃな。寄付など集まらぬ。残った蓄えを使い、細々と生きるしかない」
「そんな!」
「聖女様さえ、いれば良いのだが……聖女召喚は即日死刑だそうじゃ」
「……お父様、聖女様さえまた現れれば、そんな事言えませんわ。今度こそわたくしが教育します! あれより強い痛みを与えれば、逆らうなどありえません! 護衛騎士など付けず、わたくしひとりで教育しますわ!!!」
「しかし、聖女召喚をしたら即日死刑です!」
「そうです! 今度こそ我々は破滅です!」
「バレなければいいのよ! 恐れるものは今すぐ神殿から出ていきなさい!」
「……わかった、確かにまた聖女様が現れれば神殿の地位は上がるし、聖女召喚を我々がした証拠は残らん。資料は、全部処分されたが、やり方は頭に入っている。幸い、魔法陣は壊されておらんから、明日聖女召喚を行う。参加したい者だけ部屋に来い。来ないものは、神殿から出ていけ」
「さすがお父様ですわ!」
………………
「ニック、今日はうちに帰る?」
「……いや、良い宿あるんだ。泊まらねえか?」
「うん!」
………………
「ニックの予想通りになったな」
「予想通り過ぎて怖いのぉ。法を犯せない魔道具は、聖女召喚禁止の法が制定される前のものじゃから、聖女召喚はできる。じゃが、愛梨沙とニックの仕掛けで聖女召喚は失敗し、証拠は全国民に通知。法律通り、すぐ処刑か。これで、愛梨沙の望みも叶えつつ、奴らは処刑。ここまでスムーズじゃと、他に聖女召喚を企む者がおっても、恐ろしすぎてやろうとは誰も思わんのぉ。これを全て、愛梨沙を連れ出している間に全部終わらせるとは、ニックだけは敵にしたくないわい。愛梨沙にさえ手を出さなければ問題ないのが幸いじゃのぉ」
「これでニック達が国に残るなら、安い手助けです。遠回りでしたが、反省しない者が大半となれば、慈悲はないでしょう」
「結局、召喚に立ち会わなかったのは数人か。その全員が、詰所に密告に来たぞ」
「その数人が助かっただけでも、遠回りの意味はあったかもしれんの」
「そうですね。明日には処刑しますので、ニックに明後日までは戻らないように連絡して頂けますか? イツキ様」
「国王陛下とあろう者が、我に敬語は要らぬのではないか?」
「いえ、敬語でもおかしくありませんよ。宮廷魔術師様ですから。ぜひ愛梨沙様も、勧誘して頂きたいですね。通信の魔道具が作れるなど、素晴らしいですから」
「ニックを騎士団に在籍させるだけで充分ではないのかの? 魔道具くらいなら、我が言えばおそらく作ってくれるぞ?」
「鎖は多い方がいいでしょう?」
「ニックだけでなく、国王陛下も怖い国じゃのぉ」
「全ては、民の為ですよ。アリサを育てたマーシャルも充分脅威ですし、貴族や王族は、優しいだけでは務まりませんので」
「アリサは、良い子ですぞ! ただちょっと、愛梨沙様への信仰心が強いだけです!」
「……人とは、面白いのぉ」
……………………
「ニック、ここすっごく綺麗!」
「だろ? 前に来た時、遠征帰りなのに思わずみんな足を止めちまった場所なんだ。もうすぐ夕日が見えるから、少し座って待ってようぜ」
「うん!」
「愛梨沙、これからもオレと一緒に居てくれ」
「もちろん、わたしもニックとずっと一緒に居たい! どうしたの? 今日なんか様子おかしいよ?」
「オレは、愛梨沙みたいに優しい人間じゃねぇんだ、多分これからも愛梨沙に手を出す奴は持てる手を全部使って排除するし、他の男と会わせたくもない。本当は愛梨沙をずっと閉じ込めておきたいくらいなんだ。でも、外で生き生きしてる愛梨沙の方が好きだから、我慢してる。こんな醜いヤツ、いつか嫌われるんじゃねぇかって、たまに不安になるんだ」
「わたしも、ニックがかわいい人と話してるの見ると嫉妬するよ。アリサちゃんと喧嘩みたいなやりとりしてるのも羨ましいし、マリアさんと話してるの初めて見た時もわたしの知らないニックを知ってるってちょっとだけモヤっとしたよ」
「嘘だろ、そんなの分かんなかったぜ」
「わたしだってニックに醜いとこ見せたくないもん。一緒だよ。それにさ、ニックはわたしが優しいって言うけど、それは生きてきた世界がちがうからだよ。わたしが生きてきた世界は、死が身近じやない。でも、ニックは違うよね? 魔物もいたし、国の仕組みも違うし、考え方も違う。だからわたしの、甘い言動が優しく見えるだけ。この世界で生きていくって決めたならわたしが変わらなきゃいけないんだよ」
「愛梨沙はそのままでいい。オレも譲れない事はちゃんと言うし、今でも愛梨沙の願いは全部叶えたいけど、これからはもっと無理なもんは言うし、こっちのルールや考え方も伝える。けど、愛梨沙が全部合わせるのは無しだ。オレ達だって変わらなきゃいけないんだから、愛梨沙の気持ちも教えてくれ」
「わかった、なら言う。ニック、なんか隠してるよね?」
「……悪い、イツキから連絡がきて、神殿の奴らが聖女召喚しようとしたらしい。証拠も揃っていたから、法律通り全員処刑されたそうだ。神殿長も、シスターコリンナも」
「そう……。わたしのお願いのせいで、みんなに余計な手間取らせちゃったね」
「聖女召喚を密告してきた数人はお咎めなしだ。無駄じゃねぇよ」
「そっか。ニックは、それをわたしに隠そうとしてくれたんだね」
「愛梨沙が悲しむと思ってよ」
「悲しいって言うか、虚しいかな。ニックが言うわたしの優しさって、この世界じゃ場違いじゃないかなって」
「愛梨沙の優しさに、救われた奴はいっぱいいるぜ。オレも、おふくろも、アリサ様も、イツキも」
「神様も?」
「イツキだって、桔梗さんに何もできずもどかしかった筈だ。愛梨沙が居なきゃ桔梗さんは樹さんと再び会う事は出来なかった。愛梨沙にとっては、不本意なのは分かってるが、オレは愛梨沙に会えて良かった」
「わたしも、ニックと会えて良かった。痛かったし、辛かったけど、ニックだけがわたしの光だった」
「今はどうだ?」
「いっぱい、光があるかな。でもやっぱりいちばんはニックだよ」
「そうか、ならオレも愛梨沙がいっぱい光り輝くのを見守るよ。けど、オレがいちばんで頼むぜ」
「わたしも、ニックのいちばんで居させてね。あ、わたし、一個だけどーしても嫌なことある!」
「なんだ?! 嫌なことは絶対しねぇぞ!」
「わたしだけを愛して。浮気は嫌」
「当然だろ? オレは愛梨沙以外愛せねぇよ」
ニックとわたしの影が重なり、夕日と共に溶けていった。
「え?! この世界そんな風習ないじゃなかった?!」
「しちゃいけねぇ理由はないだろ。最近仕事忙しかったし、2週間の休みもらえたからさ。最近開発した瞬間移動だっけ? あれ使えば遠くに行けるぜ。オレが行ったことある国全部連れて行ってやるよ! 夜が不安なら寝る時はここに戻っても良いし、もちろん良い宿もいっぱいあるから泊まっても良いし。どうだ?」
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「お父様! 神殿は……?」
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「そんな!」
「聖女様さえ、いれば良いのだが……聖女召喚は即日死刑だそうじゃ」
「……お父様、聖女様さえまた現れれば、そんな事言えませんわ。今度こそわたくしが教育します! あれより強い痛みを与えれば、逆らうなどありえません! 護衛騎士など付けず、わたくしひとりで教育しますわ!!!」
「しかし、聖女召喚をしたら即日死刑です!」
「そうです! 今度こそ我々は破滅です!」
「バレなければいいのよ! 恐れるものは今すぐ神殿から出ていきなさい!」
「……わかった、確かにまた聖女様が現れれば神殿の地位は上がるし、聖女召喚を我々がした証拠は残らん。資料は、全部処分されたが、やり方は頭に入っている。幸い、魔法陣は壊されておらんから、明日聖女召喚を行う。参加したい者だけ部屋に来い。来ないものは、神殿から出ていけ」
「さすがお父様ですわ!」
………………
「ニック、今日はうちに帰る?」
「……いや、良い宿あるんだ。泊まらねえか?」
「うん!」
………………
「ニックの予想通りになったな」
「予想通り過ぎて怖いのぉ。法を犯せない魔道具は、聖女召喚禁止の法が制定される前のものじゃから、聖女召喚はできる。じゃが、愛梨沙とニックの仕掛けで聖女召喚は失敗し、証拠は全国民に通知。法律通り、すぐ処刑か。これで、愛梨沙の望みも叶えつつ、奴らは処刑。ここまでスムーズじゃと、他に聖女召喚を企む者がおっても、恐ろしすぎてやろうとは誰も思わんのぉ。これを全て、愛梨沙を連れ出している間に全部終わらせるとは、ニックだけは敵にしたくないわい。愛梨沙にさえ手を出さなければ問題ないのが幸いじゃのぉ」
「これでニック達が国に残るなら、安い手助けです。遠回りでしたが、反省しない者が大半となれば、慈悲はないでしょう」
「結局、召喚に立ち会わなかったのは数人か。その全員が、詰所に密告に来たぞ」
「その数人が助かっただけでも、遠回りの意味はあったかもしれんの」
「そうですね。明日には処刑しますので、ニックに明後日までは戻らないように連絡して頂けますか? イツキ様」
「国王陛下とあろう者が、我に敬語は要らぬのではないか?」
「いえ、敬語でもおかしくありませんよ。宮廷魔術師様ですから。ぜひ愛梨沙様も、勧誘して頂きたいですね。通信の魔道具が作れるなど、素晴らしいですから」
「ニックを騎士団に在籍させるだけで充分ではないのかの? 魔道具くらいなら、我が言えばおそらく作ってくれるぞ?」
「鎖は多い方がいいでしょう?」
「ニックだけでなく、国王陛下も怖い国じゃのぉ」
「全ては、民の為ですよ。アリサを育てたマーシャルも充分脅威ですし、貴族や王族は、優しいだけでは務まりませんので」
「アリサは、良い子ですぞ! ただちょっと、愛梨沙様への信仰心が強いだけです!」
「……人とは、面白いのぉ」
……………………
「ニック、ここすっごく綺麗!」
「だろ? 前に来た時、遠征帰りなのに思わずみんな足を止めちまった場所なんだ。もうすぐ夕日が見えるから、少し座って待ってようぜ」
「うん!」
「愛梨沙、これからもオレと一緒に居てくれ」
「もちろん、わたしもニックとずっと一緒に居たい! どうしたの? 今日なんか様子おかしいよ?」
「オレは、愛梨沙みたいに優しい人間じゃねぇんだ、多分これからも愛梨沙に手を出す奴は持てる手を全部使って排除するし、他の男と会わせたくもない。本当は愛梨沙をずっと閉じ込めておきたいくらいなんだ。でも、外で生き生きしてる愛梨沙の方が好きだから、我慢してる。こんな醜いヤツ、いつか嫌われるんじゃねぇかって、たまに不安になるんだ」
「わたしも、ニックがかわいい人と話してるの見ると嫉妬するよ。アリサちゃんと喧嘩みたいなやりとりしてるのも羨ましいし、マリアさんと話してるの初めて見た時もわたしの知らないニックを知ってるってちょっとだけモヤっとしたよ」
「嘘だろ、そんなの分かんなかったぜ」
「わたしだってニックに醜いとこ見せたくないもん。一緒だよ。それにさ、ニックはわたしが優しいって言うけど、それは生きてきた世界がちがうからだよ。わたしが生きてきた世界は、死が身近じやない。でも、ニックは違うよね? 魔物もいたし、国の仕組みも違うし、考え方も違う。だからわたしの、甘い言動が優しく見えるだけ。この世界で生きていくって決めたならわたしが変わらなきゃいけないんだよ」
「愛梨沙はそのままでいい。オレも譲れない事はちゃんと言うし、今でも愛梨沙の願いは全部叶えたいけど、これからはもっと無理なもんは言うし、こっちのルールや考え方も伝える。けど、愛梨沙が全部合わせるのは無しだ。オレ達だって変わらなきゃいけないんだから、愛梨沙の気持ちも教えてくれ」
「わかった、なら言う。ニック、なんか隠してるよね?」
「……悪い、イツキから連絡がきて、神殿の奴らが聖女召喚しようとしたらしい。証拠も揃っていたから、法律通り全員処刑されたそうだ。神殿長も、シスターコリンナも」
「そう……。わたしのお願いのせいで、みんなに余計な手間取らせちゃったね」
「聖女召喚を密告してきた数人はお咎めなしだ。無駄じゃねぇよ」
「そっか。ニックは、それをわたしに隠そうとしてくれたんだね」
「愛梨沙が悲しむと思ってよ」
「悲しいって言うか、虚しいかな。ニックが言うわたしの優しさって、この世界じゃ場違いじゃないかなって」
「愛梨沙の優しさに、救われた奴はいっぱいいるぜ。オレも、おふくろも、アリサ様も、イツキも」
「神様も?」
「イツキだって、桔梗さんに何もできずもどかしかった筈だ。愛梨沙が居なきゃ桔梗さんは樹さんと再び会う事は出来なかった。愛梨沙にとっては、不本意なのは分かってるが、オレは愛梨沙に会えて良かった」
「わたしも、ニックと会えて良かった。痛かったし、辛かったけど、ニックだけがわたしの光だった」
「今はどうだ?」
「いっぱい、光があるかな。でもやっぱりいちばんはニックだよ」
「そうか、ならオレも愛梨沙がいっぱい光り輝くのを見守るよ。けど、オレがいちばんで頼むぜ」
「わたしも、ニックのいちばんで居させてね。あ、わたし、一個だけどーしても嫌なことある!」
「なんだ?! 嫌なことは絶対しねぇぞ!」
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