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63.処刑よりも【ニック視点】
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「団長、遅くなり申し訳ございません」
「うちの娘がすまんかったな。アリサは聖女様を信仰しているようなものだからな……」
「急に式をしたいなどと言ってご迷惑をかけたのは私ですから。騎士団にも頼んでしまい、申し訳ありません」
「いや、すぐ結婚する方が良いだろう。ニックのおかげで、だいぶ居なくなってるが貴族が狙っているのは間違いないからな」
「その、私のおかげとは……」
「もう隠さなくて大丈夫だ。なにせ、ニックは英雄だからな。透明化などの規格外な力が使えてもおかしくないし、それを悪い事に使うとは誰も思わん」
バレていたか。確かに最近はイライラしていて派手に動き過ぎていたかもしれん。
「隠していて申し訳ありませんでした」
「隠す理由は分かるから大丈夫だ。ダリス達も察しているから、今度ちゃんと伝えてやれ」
「はい、ちゃんと伝えます」
「良い顔をするようになったな、さすが、英雄様だ」
「オレはこれからも団長の部下ですよ」
「そうか、騎士を辞めても一生食っていけるくらいの報酬は、国王陛下から出るだろうがな」
「無職じゃカッコ悪いですし。騎士の方が困った奴等を見つけやすいです。それに……」
「それに?」
「騎士服は、カッコいいそうです」
「ははっ、英雄も奥方には勝てないか」
「そのようです」
「そうか、国王陛下からなんとかニックが退職するのを引き留められないかと相談されていたが、杞憂だったようだな」
「叙勲をお断りしてしまいましたから、国を離れたりしないか心配されたのでしょう。愛梨沙に危害が及ばなければ、今まで通り騎士として働きたいです」
「なるほど、国王陛下には英雄の手綱は奥方が握っているとお伝えしておこう」
「なんだかカッコ悪いですが、事実ですし団長にお任せします」
「よし、では本題に入る」
本題、神殿の奴等の事だな。既に取調べは済んでいる。罪状が多すぎて、間違いなく公開処刑だ。反対する者もいないだろう。オレの優しい、妻を除いては。
「ニック達の式の前に処刑した方がいいと言う意見が大半だったが、急に式をする事になったから、しばらく期間を空けた方が良いとの意見とすぐ処刑した方が良いとの2つの意見で揉めている。だから俺がニック達の希望を確認する事になった。ニックとしては、やはりすぐ処刑したいか?」
「その事ですが、処刑しない事は可能ですか?」
「……何を言ってるんだ? わざわざ追い詰めてまで破滅させたがっていただろう? 公開処刑は、我が国で一番重い罪だ、これ以上の罪状はないぞ?」
「ええ、もちろん分かっています。オレとしては処刑を望んでいますが、妻は嫌だそうです」
「愛梨沙様は、最大の被害者だろう」
「優しいですよね、私の妻は。愛梨沙の願いなら、処刑の取りやめは可能ではありませんか?」
「……可能だな。だが、ニックは納得するのか?」
「ええ、優しい妻の願いですから。ですが無罪放免とはいかないでしょう?」
「それはもちろんそうだな」
「愛梨沙とは二度と会わないで欲しいのです。それは愛梨沙も望んでいます。ですから、こちらの魔道具を使いましょう」
「なんだそれは」
「愛梨沙に作ってもらいました。犯罪被害者は、二度と加害者に会いたくないと思う人が多い。加害者への罰にもなり、被害者が心穏やかに過ごす方法はないかと相談したところ作って貰えました。こちらの魔道具を使うと、半径300メートル以内にお互いが近寄る事はできず、被害者側はなんの問題もありませんが、加害者側は、所定の距離より近寄ると被害者の苦しみを味わいます」
「……なるほど、近寄ると頭が痛くなるなどの魔道具はあったが、それを改良したのか」
「ええ、ついでに被害者の気持ちが分かるようにしたいと願いましたら、被害者の苦しみを味わえるようにして貰えました。これと、居場所を特定出来る魔道具、2度と犯罪を犯せない魔道具を生涯外せないようにしてから神殿のクズどもは開放しましょう」
「本気か?」
「本気です。妻は自分のせいで人が死ぬのは嫌だそうです。ならば願いは叶えたいと思います。ところで団長、聖女召喚をした者の罪状はどうなりますか?」
「証拠が揃い、罪状が確定したら即日処刑となった。王族でも例外はない。明日発布される」
「では、明後日には魔道具をつけて神殿関係者を開放しましょう。魔道具は、今日用意しておきます。言い忘れておりましたが、聖女召喚の魔法陣は破壊して、もしまた使おうとしたら国中に聖女召喚の様子が公開された上に失敗します。まさかそのような愚行を犯す者は居ないでしょうが、万が一の時は犯罪者は一網打尽にできます」
「……それは、奴等に最後の慈悲を与えるのか、希望を与えてトドメを刺したいのかどっちだ」
「どちらとも言えますね。愛梨沙は、この国の法は守るべきと考えていますから、法律に則って処罰する分には多少心は痛むでしょうが納得してくれるでしょう。処刑の罪状が愛梨沙と無関係なら良いのです。だから、慈悲を与えるのは一度だけ。反省すればそれで良いですし、しなければ今度こそ処刑です。聖女召喚はわかりやすいエサではありますが、それに食いつくほど愚者なのか、それともおとなしく過ごすのか……居場所は分かりますから、監視はしますよ。愛梨沙と散歩に行くのも良いですね」
「愛梨沙様に近寄れば、加害者が与えた愛梨沙様の苦しみを味わうから、定期的に苦しみを与えるつもりか」
「ええ、苦しみや辛さ、恐怖だけを味わいます。シスターコリンナ以外は直接何かをしたわけではありませんが、召喚された直後の愛梨沙が鞭打ちされているのに放置したそうですから、同じ苦しみを味わって頂きましょう」
「なかなかにえげつない魔道具だな。愛梨沙様が考えたのか?」
「オレの相談に乗ってくれただけですよ」
「なんと相談した?」
「性犯罪者を例に出しましたところ、憤慨しましたので被害者の苦しみが分かれば反省すると思うから苦しみを味わう事は可能かと相談しました。ずっと苦しむのは愛梨沙は好まないので、あくまで警告として苦しみを味わうならどうかと言いましたところ、魔道具を改良してくれました。ちなみに、自分が自分を襲ってるように見えるそうですよ。今回はシスターコリンナが嬉しそうに鞭打ちをする姿が見えます。つけたら見えなくなり、外せません。万が一別の者についてしまっても、犯罪を犯してなければ無害です」
「なるほど、愛梨沙様は宮廷魔術師にもになれそうだな。距離は変えられるのか?」
「距離は基本的に300メートルですが、変更する権限をオレと団長につけてもらいました。これは、半径5000キロメートルのものです。シスターコリンナにつけてください」
「この街がすっぽり収まるな。街から追い出すつもりか」
「愛梨沙の苦しみから逃げたいなら、街から出るしかありませんが、愛梨沙の苦しみを味わいながら、街から出れるかはオレは知りません」
「やはりニックは許す気はないんだな。処刑より苦しむ事を望んだか。まぁいい、一度は慈悲が与えられるんだから、それを裏切ればもっと重い罪になるのは当然だな」
「つけるときはオレを呼んでください。神殿長が苦しむ娘を見捨てるのか、助けようとするのか、見ものですね」
オレは、助けないと思うがな。聖女召喚をしたら処刑、しなくても愛梨沙とは会わないし、近くに行けば愛梨沙の苦しみを味わう。
……開放され、また地獄に落ちる奴は何人居るかな。
「うちの娘がすまんかったな。アリサは聖女様を信仰しているようなものだからな……」
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「いや、すぐ結婚する方が良いだろう。ニックのおかげで、だいぶ居なくなってるが貴族が狙っているのは間違いないからな」
「その、私のおかげとは……」
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バレていたか。確かに最近はイライラしていて派手に動き過ぎていたかもしれん。
「隠していて申し訳ありませんでした」
「隠す理由は分かるから大丈夫だ。ダリス達も察しているから、今度ちゃんと伝えてやれ」
「はい、ちゃんと伝えます」
「良い顔をするようになったな、さすが、英雄様だ」
「オレはこれからも団長の部下ですよ」
「そうか、騎士を辞めても一生食っていけるくらいの報酬は、国王陛下から出るだろうがな」
「無職じゃカッコ悪いですし。騎士の方が困った奴等を見つけやすいです。それに……」
「それに?」
「騎士服は、カッコいいそうです」
「ははっ、英雄も奥方には勝てないか」
「そのようです」
「そうか、国王陛下からなんとかニックが退職するのを引き留められないかと相談されていたが、杞憂だったようだな」
「叙勲をお断りしてしまいましたから、国を離れたりしないか心配されたのでしょう。愛梨沙に危害が及ばなければ、今まで通り騎士として働きたいです」
「なるほど、国王陛下には英雄の手綱は奥方が握っているとお伝えしておこう」
「なんだかカッコ悪いですが、事実ですし団長にお任せします」
「よし、では本題に入る」
本題、神殿の奴等の事だな。既に取調べは済んでいる。罪状が多すぎて、間違いなく公開処刑だ。反対する者もいないだろう。オレの優しい、妻を除いては。
「ニック達の式の前に処刑した方がいいと言う意見が大半だったが、急に式をする事になったから、しばらく期間を空けた方が良いとの意見とすぐ処刑した方が良いとの2つの意見で揉めている。だから俺がニック達の希望を確認する事になった。ニックとしては、やはりすぐ処刑したいか?」
「その事ですが、処刑しない事は可能ですか?」
「……何を言ってるんだ? わざわざ追い詰めてまで破滅させたがっていただろう? 公開処刑は、我が国で一番重い罪だ、これ以上の罪状はないぞ?」
「ええ、もちろん分かっています。オレとしては処刑を望んでいますが、妻は嫌だそうです」
「愛梨沙様は、最大の被害者だろう」
「優しいですよね、私の妻は。愛梨沙の願いなら、処刑の取りやめは可能ではありませんか?」
「……可能だな。だが、ニックは納得するのか?」
「ええ、優しい妻の願いですから。ですが無罪放免とはいかないでしょう?」
「それはもちろんそうだな」
「愛梨沙とは二度と会わないで欲しいのです。それは愛梨沙も望んでいます。ですから、こちらの魔道具を使いましょう」
「なんだそれは」
「愛梨沙に作ってもらいました。犯罪被害者は、二度と加害者に会いたくないと思う人が多い。加害者への罰にもなり、被害者が心穏やかに過ごす方法はないかと相談したところ作って貰えました。こちらの魔道具を使うと、半径300メートル以内にお互いが近寄る事はできず、被害者側はなんの問題もありませんが、加害者側は、所定の距離より近寄ると被害者の苦しみを味わいます」
「……なるほど、近寄ると頭が痛くなるなどの魔道具はあったが、それを改良したのか」
「ええ、ついでに被害者の気持ちが分かるようにしたいと願いましたら、被害者の苦しみを味わえるようにして貰えました。これと、居場所を特定出来る魔道具、2度と犯罪を犯せない魔道具を生涯外せないようにしてから神殿のクズどもは開放しましょう」
「本気か?」
「本気です。妻は自分のせいで人が死ぬのは嫌だそうです。ならば願いは叶えたいと思います。ところで団長、聖女召喚をした者の罪状はどうなりますか?」
「証拠が揃い、罪状が確定したら即日処刑となった。王族でも例外はない。明日発布される」
「では、明後日には魔道具をつけて神殿関係者を開放しましょう。魔道具は、今日用意しておきます。言い忘れておりましたが、聖女召喚の魔法陣は破壊して、もしまた使おうとしたら国中に聖女召喚の様子が公開された上に失敗します。まさかそのような愚行を犯す者は居ないでしょうが、万が一の時は犯罪者は一網打尽にできます」
「……それは、奴等に最後の慈悲を与えるのか、希望を与えてトドメを刺したいのかどっちだ」
「どちらとも言えますね。愛梨沙は、この国の法は守るべきと考えていますから、法律に則って処罰する分には多少心は痛むでしょうが納得してくれるでしょう。処刑の罪状が愛梨沙と無関係なら良いのです。だから、慈悲を与えるのは一度だけ。反省すればそれで良いですし、しなければ今度こそ処刑です。聖女召喚はわかりやすいエサではありますが、それに食いつくほど愚者なのか、それともおとなしく過ごすのか……居場所は分かりますから、監視はしますよ。愛梨沙と散歩に行くのも良いですね」
「愛梨沙様に近寄れば、加害者が与えた愛梨沙様の苦しみを味わうから、定期的に苦しみを与えるつもりか」
「ええ、苦しみや辛さ、恐怖だけを味わいます。シスターコリンナ以外は直接何かをしたわけではありませんが、召喚された直後の愛梨沙が鞭打ちされているのに放置したそうですから、同じ苦しみを味わって頂きましょう」
「なかなかにえげつない魔道具だな。愛梨沙様が考えたのか?」
「オレの相談に乗ってくれただけですよ」
「なんと相談した?」
「性犯罪者を例に出しましたところ、憤慨しましたので被害者の苦しみが分かれば反省すると思うから苦しみを味わう事は可能かと相談しました。ずっと苦しむのは愛梨沙は好まないので、あくまで警告として苦しみを味わうならどうかと言いましたところ、魔道具を改良してくれました。ちなみに、自分が自分を襲ってるように見えるそうですよ。今回はシスターコリンナが嬉しそうに鞭打ちをする姿が見えます。つけたら見えなくなり、外せません。万が一別の者についてしまっても、犯罪を犯してなければ無害です」
「なるほど、愛梨沙様は宮廷魔術師にもになれそうだな。距離は変えられるのか?」
「距離は基本的に300メートルですが、変更する権限をオレと団長につけてもらいました。これは、半径5000キロメートルのものです。シスターコリンナにつけてください」
「この街がすっぽり収まるな。街から追い出すつもりか」
「愛梨沙の苦しみから逃げたいなら、街から出るしかありませんが、愛梨沙の苦しみを味わいながら、街から出れるかはオレは知りません」
「やはりニックは許す気はないんだな。処刑より苦しむ事を望んだか。まぁいい、一度は慈悲が与えられるんだから、それを裏切ればもっと重い罪になるのは当然だな」
「つけるときはオレを呼んでください。神殿長が苦しむ娘を見捨てるのか、助けようとするのか、見ものですね」
オレは、助けないと思うがな。聖女召喚をしたら処刑、しなくても愛梨沙とは会わないし、近くに行けば愛梨沙の苦しみを味わう。
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