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57.聖女様
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何日か野営をして、森の奥に進む。少しずつ魔物が出始めていたけど、私の浄化で全部消滅させる。
「浄化って汚れとるだけじゃないのね」
「オレの浄化じゃ消滅なんて無理だけどな、愛梨沙の魔力は規格外だよな」
「聖女の魔力は無限って前言われた。もう聖女じゃないから無限じゃなくなったのかな? 今のところ疲れたとかはないけど……」
「無理はすんなよ? 魔力切れになると気絶するからな? 大抵は気持ち悪いとかの不快感が最初にくるはずだから、覚えのない不快感がきたら魔法やめるようにしてくれ」
「オッケー、気をつける」
「この辺まではオレも来たことねぇな。魔物が居るから発生源の聖女様は、こっちであってるだろうけど……」
「に、ニック! 魔物大量に居るんだけど?!」
「愛梨沙! 浄化できるか?!」
「いけるよ! 浄化!!!」
「っよっし! さすがだ!」
だけど、すぐ魔物が蠢き出す。
「またでた!」
「おそらくこのあたりが発生源だな。愛梨沙、神様呼べるか?」
「いけるよ! 神様カモーン!」
「……呼んだかの、ずいぶん放っておかれておったから、仲良く交尾でもしとるかと思ったぞ」
「……なっ……」
「してねぇよ!」
「其方らは奥手じゃのぉ」
「揶揄ってる場合じゃねぇんだよ! これ、もうすぐ聖女様いるんじゃねぇのか?」
「……ふむ、たしかに気配が近いのぉ」
「よし、なら全力で浄化! かける無量大数!」
周りが、真っ白な光に包まれながら、聞こえてきたのは
「愛梨沙! やりすぎだ!!!」
怒鳴るニックの叫び声だった。
……そして、今わたしの目の前には、真っ黒な巨大な卵がある。
「あの、コレは何ですか?」
「おそらくこの中に聖女がおると、思うのじゃが……」
「なんでそんな自信なさそうなんですか」
「愛梨沙の浄化が凄まじすぎて、存在が消えかかっとる」
「え! わたしのせい?! さすがに無量大数はまずかった?! どうしよう、ニック! 聖女様がわたしのせいで消えちゃう!!!」
「落ち着け、まだ居るんだら大丈夫だ。前に言ってた不安取り除けるやつを全力でかけてみてくれ。おそらく聖女様は不安と闘ってる筈だ」
「わ、分かった! 安心魔法かける無量大数! 安心魔法かける無量大数っ!」
必死で何度も安心魔法をかけていると、急に頭がガンガンしだした。
「……ニック、気持ち悪い……」
「そりゃ魔力切れだ! 愛梨沙、魔法やめろ!」
魔法を止めようとしたら、黒い卵がだんだん白くなってきた。
「もうちょっとでいけるから、もう少しだけ! 安心魔法かける無量大数っ!」
「おい! 無茶すんな!」
安心魔法を何度かかけると、卵の色はどんどん透明になり、中から泣いている女性が見えてきた。
「痛い、つらい、お腹すいた、うちに帰りたい、助けて……樹さん……」
「……おい、この聖女様の顔……」
「愛梨沙に、そっくりじゃの」
「……まさか」
わたしにそっくりな聖女様に、樹って確か……。
「この人、わたしの、行方不明になったおばあちゃんだ……」
「浄化って汚れとるだけじゃないのね」
「オレの浄化じゃ消滅なんて無理だけどな、愛梨沙の魔力は規格外だよな」
「聖女の魔力は無限って前言われた。もう聖女じゃないから無限じゃなくなったのかな? 今のところ疲れたとかはないけど……」
「無理はすんなよ? 魔力切れになると気絶するからな? 大抵は気持ち悪いとかの不快感が最初にくるはずだから、覚えのない不快感がきたら魔法やめるようにしてくれ」
「オッケー、気をつける」
「この辺まではオレも来たことねぇな。魔物が居るから発生源の聖女様は、こっちであってるだろうけど……」
「に、ニック! 魔物大量に居るんだけど?!」
「愛梨沙! 浄化できるか?!」
「いけるよ! 浄化!!!」
「っよっし! さすがだ!」
だけど、すぐ魔物が蠢き出す。
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「……なっ……」
「してねぇよ!」
「其方らは奥手じゃのぉ」
「揶揄ってる場合じゃねぇんだよ! これ、もうすぐ聖女様いるんじゃねぇのか?」
「……ふむ、たしかに気配が近いのぉ」
「よし、なら全力で浄化! かける無量大数!」
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「愛梨沙! やりすぎだ!!!」
怒鳴るニックの叫び声だった。
……そして、今わたしの目の前には、真っ黒な巨大な卵がある。
「あの、コレは何ですか?」
「おそらくこの中に聖女がおると、思うのじゃが……」
「なんでそんな自信なさそうなんですか」
「愛梨沙の浄化が凄まじすぎて、存在が消えかかっとる」
「え! わたしのせい?! さすがに無量大数はまずかった?! どうしよう、ニック! 聖女様がわたしのせいで消えちゃう!!!」
「落ち着け、まだ居るんだら大丈夫だ。前に言ってた不安取り除けるやつを全力でかけてみてくれ。おそらく聖女様は不安と闘ってる筈だ」
「わ、分かった! 安心魔法かける無量大数! 安心魔法かける無量大数っ!」
必死で何度も安心魔法をかけていると、急に頭がガンガンしだした。
「……ニック、気持ち悪い……」
「そりゃ魔力切れだ! 愛梨沙、魔法やめろ!」
魔法を止めようとしたら、黒い卵がだんだん白くなってきた。
「もうちょっとでいけるから、もう少しだけ! 安心魔法かける無量大数っ!」
「おい! 無茶すんな!」
安心魔法を何度かかけると、卵の色はどんどん透明になり、中から泣いている女性が見えてきた。
「痛い、つらい、お腹すいた、うちに帰りたい、助けて……樹さん……」
「……おい、この聖女様の顔……」
「愛梨沙に、そっくりじゃの」
「……まさか」
わたしにそっくりな聖女様に、樹って確か……。
「この人、わたしの、行方不明になったおばあちゃんだ……」
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