48 / 82
48.ニックの奮闘記【ニック視点】
しおりを挟む
愛梨沙と恋人になってから神殿から護衛任務が来ることは無くなった。
愛梨沙は、ほぼ結界に居るのだから当然だ。
やはり、透明化を覚えて正解だったな。オレは暇さえあれば透明化で愛梨沙の結界に入り込んだ。
ただ、愛梨沙や、神様と相談して透明化をオレが自由に使える事は言ってない。でも、愛梨沙と会わないのも不審がるだろうし、仲間達はオレ達の事を応援してくれるから全てを隠したくはない。
そこで、愛梨沙が魔道具を作れる事は騎士団に言う事にした。愛梨沙が作る透明化の魔道具は、持続時間は1時間、邪な事には使えないように制限をかけて貰い、いくつか量産して騎士団に持って行った。愛梨沙は悪い事には使えないし、好きに使って良いよなどと軽く言うが、だいぶヤバいシロモンだから、団長預かりにしてある。たまに捜査に使わせて貰っている程度だ。
んで、オレがそれを定期的に貰ってるって事にしたって訳だ。オレが持つ分は、愛梨沙んところ行って帰る分しかないって言えば、誰も他の事に使うとは思わねぇらしく、今では女性が喜ぶアイテムをやたら教えて貰えるようになった。
片っ端から愛梨沙にやっていたら、多すぎて使いきれないと言われてしまった。化粧水などは作る事もできるから大丈夫だと。
何か失敗したかと思い、ダリスに相談したらマリアから叱られた。オレは、プレゼントのセンスが無いそうだ……。
「大量にコスメ貰っても困るわよ! 店の商品を全部買うなんて馬鹿じゃないの?! コスメは好みもあるんだから全商品なんて貰っても使いにくくてしょうがないわ!」
「ま、まぁまぁマリア、落ち着け」
「せっかく好きな女の子出来たのに、こんな体たらくじゃ愛想尽かされるわよ! ニックは壊滅的にセンスがないわ! 今まであげたもので喜んだのは何?!」
「……食べ物、だろうか?」
「はあ?! 何そのアバウトな答え!!! 食べ物にも種類あるでしょうよ!」
「しかし、全て美味しそうに食べてくれたぞ?」
「ニック、まさかと思うけど、以前私に聞いてきたオススメの店の食べ物、全部一気にあげたんじゃないわよねぇ……?」
「……ままま、マリア、落ち着こうか。ほら、ニックのお相手はなかなか会えないんだよ。だから会えた時に色々プレゼントしたくなるんだ」
「好きな人に貰うものは特別なんだから、大量にあげてもありがたみが薄れるわよ! 自分も同じくらい返さなきゃいけなくなるし、そんなのお相手は負担になるに決まってるじゃない! そもそもダリス、あなた一緒に選びに行ったわよね?! なんで止めないのおバカ!」
「す、すまん! ニックが必死だったからつい……」
「ついじゃない! 親友ならフォローしろ!」
「ごめん、悪かったよ。だから落ち着こうか。ね、お腹の子にも触るし」
「……そうね。ごめんなさい。とにかくニック、今後は会う時渡す程度のプレゼントは相手が負担にならない金額のものにするのよ。それこそ、ふたりで食べるくらいの量のお菓子なんて最適ね。で、誕生日とか記念日とかにアクセサリーをひとつあげるといいわ。コスメは好みが分かるまでは、やめなさい。いいわね、プレゼントは必ずひとつよ! 貴族ならまだしも、庶民で大量のプレゼントはまともな子なら引くわ! ……まさか、貴族の方と禁断の恋とかじゃないわよね?」
「大丈夫、ニックのお相手は貴族じゃないよ。ある意味、貴族の方が楽だろうけど……」
ダリス、マリアにも聞こえなくくらいの小さな呟きは刺さる。だが、オレは愛梨沙しか愛せない。絶対、愛梨沙を手に入れてやる。
マリアのアドバイスを愛梨沙に話したら、ものすごく笑われた。たしかにひとつの方が大事に出来て嬉しいとも、ニックが来るだけで嬉しいから、ものは別に要らないとも言われた。やはり多すぎても良くないらしい。だが、愛梨沙はプレゼントはとても嬉しかったし、使えるからと全てを組み合わせて、全部使い切ってくれた。結界の中でしか化粧しないから色々試すのが楽しかったと言うが、確かにマリアの言う通りコスメはプレゼントのハードルが高いな。化粧をした愛梨沙は、大人びていて美しかったから、良いものを見れたし良しとしよう。
愛梨沙が無条件で喜ぶのはやはり食べ物だ。他のものは魔法でも作り出せるらしいが、食物は無理らしく、食べ物はとても喜んで貰える。
だから、毎回少量の菓子を持っていく事にした。真っ赤な顔の愛梨沙に食べさせるのはとても楽しい。
愛梨沙は、ほぼ結界に居るのだから当然だ。
やはり、透明化を覚えて正解だったな。オレは暇さえあれば透明化で愛梨沙の結界に入り込んだ。
ただ、愛梨沙や、神様と相談して透明化をオレが自由に使える事は言ってない。でも、愛梨沙と会わないのも不審がるだろうし、仲間達はオレ達の事を応援してくれるから全てを隠したくはない。
そこで、愛梨沙が魔道具を作れる事は騎士団に言う事にした。愛梨沙が作る透明化の魔道具は、持続時間は1時間、邪な事には使えないように制限をかけて貰い、いくつか量産して騎士団に持って行った。愛梨沙は悪い事には使えないし、好きに使って良いよなどと軽く言うが、だいぶヤバいシロモンだから、団長預かりにしてある。たまに捜査に使わせて貰っている程度だ。
んで、オレがそれを定期的に貰ってるって事にしたって訳だ。オレが持つ分は、愛梨沙んところ行って帰る分しかないって言えば、誰も他の事に使うとは思わねぇらしく、今では女性が喜ぶアイテムをやたら教えて貰えるようになった。
片っ端から愛梨沙にやっていたら、多すぎて使いきれないと言われてしまった。化粧水などは作る事もできるから大丈夫だと。
何か失敗したかと思い、ダリスに相談したらマリアから叱られた。オレは、プレゼントのセンスが無いそうだ……。
「大量にコスメ貰っても困るわよ! 店の商品を全部買うなんて馬鹿じゃないの?! コスメは好みもあるんだから全商品なんて貰っても使いにくくてしょうがないわ!」
「ま、まぁまぁマリア、落ち着け」
「せっかく好きな女の子出来たのに、こんな体たらくじゃ愛想尽かされるわよ! ニックは壊滅的にセンスがないわ! 今まであげたもので喜んだのは何?!」
「……食べ物、だろうか?」
「はあ?! 何そのアバウトな答え!!! 食べ物にも種類あるでしょうよ!」
「しかし、全て美味しそうに食べてくれたぞ?」
「ニック、まさかと思うけど、以前私に聞いてきたオススメの店の食べ物、全部一気にあげたんじゃないわよねぇ……?」
「……ままま、マリア、落ち着こうか。ほら、ニックのお相手はなかなか会えないんだよ。だから会えた時に色々プレゼントしたくなるんだ」
「好きな人に貰うものは特別なんだから、大量にあげてもありがたみが薄れるわよ! 自分も同じくらい返さなきゃいけなくなるし、そんなのお相手は負担になるに決まってるじゃない! そもそもダリス、あなた一緒に選びに行ったわよね?! なんで止めないのおバカ!」
「す、すまん! ニックが必死だったからつい……」
「ついじゃない! 親友ならフォローしろ!」
「ごめん、悪かったよ。だから落ち着こうか。ね、お腹の子にも触るし」
「……そうね。ごめんなさい。とにかくニック、今後は会う時渡す程度のプレゼントは相手が負担にならない金額のものにするのよ。それこそ、ふたりで食べるくらいの量のお菓子なんて最適ね。で、誕生日とか記念日とかにアクセサリーをひとつあげるといいわ。コスメは好みが分かるまでは、やめなさい。いいわね、プレゼントは必ずひとつよ! 貴族ならまだしも、庶民で大量のプレゼントはまともな子なら引くわ! ……まさか、貴族の方と禁断の恋とかじゃないわよね?」
「大丈夫、ニックのお相手は貴族じゃないよ。ある意味、貴族の方が楽だろうけど……」
ダリス、マリアにも聞こえなくくらいの小さな呟きは刺さる。だが、オレは愛梨沙しか愛せない。絶対、愛梨沙を手に入れてやる。
マリアのアドバイスを愛梨沙に話したら、ものすごく笑われた。たしかにひとつの方が大事に出来て嬉しいとも、ニックが来るだけで嬉しいから、ものは別に要らないとも言われた。やはり多すぎても良くないらしい。だが、愛梨沙はプレゼントはとても嬉しかったし、使えるからと全てを組み合わせて、全部使い切ってくれた。結界の中でしか化粧しないから色々試すのが楽しかったと言うが、確かにマリアの言う通りコスメはプレゼントのハードルが高いな。化粧をした愛梨沙は、大人びていて美しかったから、良いものを見れたし良しとしよう。
愛梨沙が無条件で喜ぶのはやはり食べ物だ。他のものは魔法でも作り出せるらしいが、食物は無理らしく、食べ物はとても喜んで貰える。
だから、毎回少量の菓子を持っていく事にした。真っ赤な顔の愛梨沙に食べさせるのはとても楽しい。
0
お気に入りに追加
339
あなたにおすすめの小説

わたしは婚約者の不倫の隠れ蓑
岡暁舟
恋愛
第一王子スミスと婚約した公爵令嬢のマリア。ところが、スミスが魅力された女は他にいた。同じく公爵令嬢のエリーゼ。マリアはスミスとエリーゼの密会に気が付いて……。
もう終わりにするしかない。そう確信したマリアだった。
本編終了しました。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

二度目の召喚なんて、聞いてません!
みん
恋愛
私─神咲志乃は4年前の夏、たまたま学校の図書室に居た3人と共に異世界へと召喚されてしまった。
その異世界で淡い恋をした。それでも、志乃は義務を果たすと居残ると言う他の3人とは別れ、1人日本へと還った。
それから4年が経ったある日。何故かまた、異世界へと召喚されてしまう。「何で!?」
❋相変わらずのゆるふわ設定と、メンタルは豆腐並みなので、軽い気持ちで読んでいただけると助かります。
❋気を付けてはいますが、誤字が多いかもしれません。
❋他視点の話があります。
稀代の悪女として処刑されたはずの私は、なぜか幼女になって公爵様に溺愛されています
水谷繭
ファンタジー
グレースは皆に悪女と罵られながら処刑された。しかし、確かに死んだはずが目を覚ますと森の中だった。その上、なぜか元の姿とは似ても似つかない幼女の姿になっている。
森を彷徨っていたグレースは、公爵様に見つかりお屋敷に引き取られることに。初めは戸惑っていたグレースだが、都合がいいので、かわい子ぶって公爵家の力を利用することに決める。
公爵様にシャーリーと名付けられ、溺愛されながら過ごすグレース。そんなある日、前世で自分を陥れたシスターと出くわす。公爵様に好意を持っているそのシスターは、シャーリーを世話するという口実で公爵に近づこうとする。シスターの目的を察したグレースは、彼女に復讐することを思いつき……。
◇画像はGirly Drop様からお借りしました
◆エール送ってくれた方ありがとうございます!
【完結】聖女になり損なった刺繍令嬢は逃亡先で幸福を知る。
みやこ嬢
恋愛
「ルーナ嬢、神聖なる聖女選定の場で不正を働くとは何事だ!」
魔法国アルケイミアでは魔力の多い貴族令嬢の中から聖女を選出し、王子の妃とするという古くからの習わしがある。
ところが、最終試験まで残ったクレモント侯爵家令嬢ルーナは不正を疑われて聖女候補から外されてしまう。聖女になり損なった失意のルーナは義兄から襲われたり高齢宰相の後妻に差し出されそうになるが、身を守るために侍女ティカと共に逃げ出した。
あてのない旅に出たルーナは、身を寄せた隣国シュベルトの街で運命的な出会いをする。
【2024年3月16日完結、全58話】
死んでるはずの私が溺愛され、いつの間にか救国して、聖女をざまぁしてました。
みゅー
恋愛
異世界へ転生していると気づいたアザレアは、このままだと自分が死んでしまう運命だと知った。
同時にチート能力に目覚めたアザレアは、自身の死を回避するために奮闘していた。するとなぜか自分に興味なさそうだった王太子殿下に溺愛され、聖女をざまぁし、チート能力で世界を救うことになり、国民に愛される存在となっていた。
そんなお話です。
以前書いたものを大幅改稿したものです。
フランツファンだった方、フランツフラグはへし折られています。申し訳ありません。
六十話程度あるので改稿しつつできれば一日二話ずつ投稿しようと思います。
また、他シリーズのサイデューム王国とは別次元のお話です。
丹家栞奈は『モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します』に出てくる人物と同一人物です。
写真の花はリアトリスです。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる