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46.平穏な日々
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あれから、わたしの地位は上がった。あの時、神殿長を呼び捨てにしたわたしに、シスターコリンナがブチ切れた。だけど、何も言わずに黙って結界の中に入り、大聖堂の祈りの時間も出てくる事はしなかったら、魔物が溢れたらしい。さすがにみんなに迷惑かけたくないし、魔物減らそうと、祈ろうとしたらニックからストップがかかったのだ。街にも人にも被害はないから、もう少し待てと。
神殿には、抗議の人が溢れたらしい。
まだ残ってたホログラムの機械で、わたしたちのやりとりは国中に流された。
そう、わたしを懲罰しようとしたシスターコリンナの姿も映されたのだ。そして魔物が増えた事で、神殿は何をやっているんだと抗議が殺到した。一応、魔物の被害がないように、人々を守るよう祈ってはおいたし、それはみんなも感じていた。ただ、被害はなくても増えていく魔物は不安を煽るから、神殿が聖女様を蔑ろにしたからじゃないかと騎士団の皆さんがさりげなく噂を流してくれたらしい。
これを、トップである神殿長は無視できない。自分の地位すら危ぶまれているんだから、娘を庇うなんて出来ない。
「神殿は、聖女様を蔑ろにするのか?!」
「神殿と聖女様! 偉いのはどっちよ!?」
こんな声が溢れた神殿長は、
「……我々神殿は、聖女様を大切にしています。神の声を聞ける聖女様の方が、偉いのは当然です。聖女様、お願いします。大聖堂での祈りだけは出てきてください」
「分かりましたわ。大聖堂の祈りの時以外は、結界で神に祈りますわ。もう聖女教育も充分でしょう?」
「もちろんでごさいます。聖女様のお心のままに」
………………
「聖女様、お祈りの時間です」
シスターコリンナの声がしたら、結界を解除して、大聖堂で祈りを捧げる。
それが済んだら、すぐ結界の中で祈ると言ってひとりで結界に入る。
「わたくしも聖女様と結界で祈ります!」
最初そう宣言したシスターコリンナには、
「神は静かな祈りを好まれます」
「何故ですか?! わたくしは静かに祈りますわ! 聖女様はわたくしの言う事をお聞きなさい!」
「……そう、では神に聞きましょう?」
神様のホログラム出して、答えてもらう。
「シスターコリンナは、我に祈りたいのかの?」
「もちろんですわ!」
「では、シスターコリンナも結界ができるであろう? 自分で結界を出して、ひとりで祈れ」
神様を消して、
「……神のお言葉ですわ。わたくしに結界を教えたのはシスターコリンナですもの。きっと素晴らしい祈りになりますわね」
それだけ言って、結界を出した。
最初のうちは、それでも結界に入れろと騒いでいたので、大聖堂で祈る時に
「わたくしが神に祈る時に結界に近づく事は許しませんわ。祈りの妨げになります。大聖堂での祈りの時間を知らせる時以外結界に触れるのはお辞めなさい。結界に触れられると集中が切れます。神が最近の祈りの質が悪いとお怒りですわ」
それだけ言って、神殿長の顔をじっと見た。
神殿長は、
「聖女様の祈りを妨げる者は、何人たりとも許さん。祈りの時間を知らせる時以外で、聖女様が結界で祈られている時に結界に近づいた者は、神殿から追放する」
そう、宣言された。と言うか、させた。大聖堂の祈りを、例のホログラムでリアルタイム配信する事にしたのだ。機械は週一でニックに交換して貰う。これなら神殿が余計な事できないからね。
「そう、では神殿長、祈りの時間を知らせる時以外で結界に触れた者がいれば、次回からこの場で申し上げますわ」
神殿長は、とてもとても苦い顔をしていた。ニックから聞いたけど、シスターコリンナって神殿長の娘なんだってね。娘を追放はしたくないわよね。頑張って監督してちょうだいな。
「聖女様のお心のままに」
こうして、わたしはほぼ結界に居られるようになった。でもそうなると護衛は要らなくなっちゃうから、ニックに会えないと思ってたんだけど……。
「明日は非番だから、会いにいく」
ニックは、お休みの日には大聖堂に皆が集まる間に透明化を駆使してわたしの部屋に潜んでくれるようになった。結界さえ出せば、ゆっくりふたりで話せる。しあわせ過ぎて、ニックが来ると魔物の減りが良いらしい。
「ニック!」
「よぉ、元気か?」
「うん! 抱っこ」
しばらく会えないと寂しいから、すぐ抱きついてしまうけど、ニックはいつも嬉しそうに抱きしめてくれる。しあわせだ。最近は甘えるのも普通になってきたし、こんなのも……
「今日は、新作のマドレーヌだってよ」
ニックが甘いものを買ってくるようになった。そしてそれを必ず食べさせようとするのだ。だいぶ慣れたけど、まだ恥ずかしい。
「……まだ、照れんのかよ」
「ニックも顔真っ赤じゃないのよ!」
まだまだ初々しい感じのカップルだけど、ニックってモテそうなんだよねー……。ちょっと気になるけど、過去の恋愛聞くなんて無粋だからやらない。
今はわたしと恋人なんだから良いのだ!
こうして、平穏な日々はしばらく続いていった。
神殿には、抗議の人が溢れたらしい。
まだ残ってたホログラムの機械で、わたしたちのやりとりは国中に流された。
そう、わたしを懲罰しようとしたシスターコリンナの姿も映されたのだ。そして魔物が増えた事で、神殿は何をやっているんだと抗議が殺到した。一応、魔物の被害がないように、人々を守るよう祈ってはおいたし、それはみんなも感じていた。ただ、被害はなくても増えていく魔物は不安を煽るから、神殿が聖女様を蔑ろにしたからじゃないかと騎士団の皆さんがさりげなく噂を流してくれたらしい。
これを、トップである神殿長は無視できない。自分の地位すら危ぶまれているんだから、娘を庇うなんて出来ない。
「神殿は、聖女様を蔑ろにするのか?!」
「神殿と聖女様! 偉いのはどっちよ!?」
こんな声が溢れた神殿長は、
「……我々神殿は、聖女様を大切にしています。神の声を聞ける聖女様の方が、偉いのは当然です。聖女様、お願いします。大聖堂での祈りだけは出てきてください」
「分かりましたわ。大聖堂の祈りの時以外は、結界で神に祈りますわ。もう聖女教育も充分でしょう?」
「もちろんでごさいます。聖女様のお心のままに」
………………
「聖女様、お祈りの時間です」
シスターコリンナの声がしたら、結界を解除して、大聖堂で祈りを捧げる。
それが済んだら、すぐ結界の中で祈ると言ってひとりで結界に入る。
「わたくしも聖女様と結界で祈ります!」
最初そう宣言したシスターコリンナには、
「神は静かな祈りを好まれます」
「何故ですか?! わたくしは静かに祈りますわ! 聖女様はわたくしの言う事をお聞きなさい!」
「……そう、では神に聞きましょう?」
神様のホログラム出して、答えてもらう。
「シスターコリンナは、我に祈りたいのかの?」
「もちろんですわ!」
「では、シスターコリンナも結界ができるであろう? 自分で結界を出して、ひとりで祈れ」
神様を消して、
「……神のお言葉ですわ。わたくしに結界を教えたのはシスターコリンナですもの。きっと素晴らしい祈りになりますわね」
それだけ言って、結界を出した。
最初のうちは、それでも結界に入れろと騒いでいたので、大聖堂で祈る時に
「わたくしが神に祈る時に結界に近づく事は許しませんわ。祈りの妨げになります。大聖堂での祈りの時間を知らせる時以外結界に触れるのはお辞めなさい。結界に触れられると集中が切れます。神が最近の祈りの質が悪いとお怒りですわ」
それだけ言って、神殿長の顔をじっと見た。
神殿長は、
「聖女様の祈りを妨げる者は、何人たりとも許さん。祈りの時間を知らせる時以外で、聖女様が結界で祈られている時に結界に近づいた者は、神殿から追放する」
そう、宣言された。と言うか、させた。大聖堂の祈りを、例のホログラムでリアルタイム配信する事にしたのだ。機械は週一でニックに交換して貰う。これなら神殿が余計な事できないからね。
「そう、では神殿長、祈りの時間を知らせる時以外で結界に触れた者がいれば、次回からこの場で申し上げますわ」
神殿長は、とてもとても苦い顔をしていた。ニックから聞いたけど、シスターコリンナって神殿長の娘なんだってね。娘を追放はしたくないわよね。頑張って監督してちょうだいな。
「聖女様のお心のままに」
こうして、わたしはほぼ結界に居られるようになった。でもそうなると護衛は要らなくなっちゃうから、ニックに会えないと思ってたんだけど……。
「明日は非番だから、会いにいく」
ニックは、お休みの日には大聖堂に皆が集まる間に透明化を駆使してわたしの部屋に潜んでくれるようになった。結界さえ出せば、ゆっくりふたりで話せる。しあわせ過ぎて、ニックが来ると魔物の減りが良いらしい。
「ニック!」
「よぉ、元気か?」
「うん! 抱っこ」
しばらく会えないと寂しいから、すぐ抱きついてしまうけど、ニックはいつも嬉しそうに抱きしめてくれる。しあわせだ。最近は甘えるのも普通になってきたし、こんなのも……
「今日は、新作のマドレーヌだってよ」
ニックが甘いものを買ってくるようになった。そしてそれを必ず食べさせようとするのだ。だいぶ慣れたけど、まだ恥ずかしい。
「……まだ、照れんのかよ」
「ニックも顔真っ赤じゃないのよ!」
まだまだ初々しい感じのカップルだけど、ニックってモテそうなんだよねー……。ちょっと気になるけど、過去の恋愛聞くなんて無粋だからやらない。
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