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12.魔法使えますか?
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「さぁ、明日もしっかり神に祈りを捧げてくださいましね。大丈夫、聖女様がきちんとなされば懲罰などしませんわ」
悪魔は去った。
もうこんなとこ居られない。いてたまるか。癒しの力があれば、空腹も癒せるし、聖女は死なないのならどっかに隠れて過ごせばいけるんじゃないかな。見通しが甘いのはわかってるけど、ココにいる恐怖が強すぎる。あの人怖い。
それに、多分こんなの続いたらあのお兄さんは、シスター殴ったりしちゃいそう。そしたらあの人も鞭打ち?! わたしみたいに、癒やせたりもしないのに。それはヤダ。
今逃げれば、護衛も居ないしあの人のせいにもならないだろう。とにかくあのシスター怖すぎる。顔見ただけで身体が動かなくなるのに、ココに居たらあの人としか話せない。どうせ人生終わってるんだから、逃げちゃおう。
でも、多分この部屋から出るのも無理よね。癒しの魔法っぽいのが使えたんだし他になんかできないかなぁと、ゲームや小説を思い出しながら考えると、ふと癒しって聖女ぽいけど、他にも不思議な力、魔法っぽいの使えるのかな? と疑問に思う。
この世界は、神様に祈って力を貸してもらう感じだから、聞いてみればいけるか?
「神様、神様。わたしって魔法使えますか? 教えて下さい」
なーんて、こんなんで分かるわけないかぁ。……って、部屋がまた光りましたけどっ!!!
「使える。魔法はイメージだ、そなたのイメージできることは、魔法として使えるであろう」
……なんか声がしました。
「聖女様! お部屋から眩い光が!」
うぉい、ラスボス来たじゃないのよー。要らないのよ、そして顔見たら恐怖で固まるじゃないのよ。
「何をしたのか早く説明なさいっ!」
ひぇぇ! また鞭が来る!
わたしは、恐怖で土下座しながらなんとかしゃべろうとする。だけど、怖くてごめんなさいとしか言えない。あ、あまりに泣くからか鞭が仕舞われた。良かった。
「……ゆっくり教えてくださる? 聖女様。あなたは神に祈ったのですか? また、魔物の消滅を願ってくださったの?」
わたしは、泣きながら頷いた。ホントは違うけど、今祈れば問題ない。祭壇に走り、必死で声に出して魔物の消滅を願う。その様子を見て、シスターコリンナは満足そうに笑っていた。やっぱりこの人いたら正常な判断が出来なくなる。ここから逃げたい。この人が怖い。
「聖女様は、いつ祈って頂いても構いませんわ。だからそんなに怯えなくて大丈夫。だって、聖女様の教育係で、お話できるのはわたくしだけですもの。お祈りは、素晴らしいですわ。ですけど今日はおやすみくださいませ」
優しく笑うシスターコリンナが、わたしには怖くて仕方なかったが、逆らうとまた鞭打ちだから、彼女の指示に従いベットに横になる。
「それでは、おやすなさいませ聖女様。明日もしっかりご教育しますわね」
そう笑って去っていき、わたしはひとりになった。
イヤだ! もうこの人はイヤだ!!!
なんとかしなきゃと、必死で考えていると、さっきの光を思い出した。神様は魔法はイメージって言ってたから、この恐怖をどうにかするんだ!
あるよね、そんなやつ。サニティっぽいの。
そう思うと、また身体が光って、急に恐怖が収まった。
「聖女様! 今日はおやすみ下さいませっ!」
ひええ! またラスボスが来たよっ!
でもさっきほどの恐怖はないから、うまく話せる。
「申し訳ありませんシスターコリンナ、眠りながらも祈れるのか試しておりましたの。シスターコリンナのご指導のおかげで祈れましたが、召喚されてから数日間は祈れなかったでしょう? その分を取り返したくて。シスターコリンナに召喚されてすぐ祈る事を求められたのに応えられませんでしたし、早くその分祈っておきたいのですわ」
居酒屋バイトの時、お客様へのおべっかスキルは店長以上だと言われたし、心にもないおべっか言うのは大得意よ。それに、暴力的な人ほど人の目を気にするはず。さすがに何回も光ればたくさん他の人も集まってきたから、こうしておべっかを言うだけでもそこそこ効果はあるはず。
「でも、シスターコリンナの言う通りね。あと何度か祈ったらすぐに休みます。本当にシスターコリンナは優秀な教育係ですわね」
「そ、そうでしょう! ご無理をなさってはいけませんわよ聖女様!」
「ありがとう。では、祈りに集中したいのでひとりにしてくださる?」
「もちろんです! さあ、みなさま聖女様の邪魔はいけませんわ!!!」
ほーらね。周りの目もあるし、自分に向けられる尊敬の眼差しに有頂天だよ。案外わかりやすいな。恐怖も、魔法でどーにかなるっぽいし、逃げて捕まっても神のお告げって事にしようかな。ホントはもっと状況分かってから逃げる方が良いんだけど、あの人の顔見ると恐怖で吐き気がする。癒し使えば大丈夫だけど、使うたび目立つのは問題よね。
「それでは聖女様! ごゆっくり!」
やっと居なくなった。恐怖取り除いてもやっぱり怖いや。居なくなるとやっと息ができる感じ。
それにしても、いちいち来たらめんどくさいな。さっきの口八丁で数回は誤魔化せるだろうし、色々実験してみよう。まずは、散々使った癒しで実験だ。
悪魔は去った。
もうこんなとこ居られない。いてたまるか。癒しの力があれば、空腹も癒せるし、聖女は死なないのならどっかに隠れて過ごせばいけるんじゃないかな。見通しが甘いのはわかってるけど、ココにいる恐怖が強すぎる。あの人怖い。
それに、多分こんなの続いたらあのお兄さんは、シスター殴ったりしちゃいそう。そしたらあの人も鞭打ち?! わたしみたいに、癒やせたりもしないのに。それはヤダ。
今逃げれば、護衛も居ないしあの人のせいにもならないだろう。とにかくあのシスター怖すぎる。顔見ただけで身体が動かなくなるのに、ココに居たらあの人としか話せない。どうせ人生終わってるんだから、逃げちゃおう。
でも、多分この部屋から出るのも無理よね。癒しの魔法っぽいのが使えたんだし他になんかできないかなぁと、ゲームや小説を思い出しながら考えると、ふと癒しって聖女ぽいけど、他にも不思議な力、魔法っぽいの使えるのかな? と疑問に思う。
この世界は、神様に祈って力を貸してもらう感じだから、聞いてみればいけるか?
「神様、神様。わたしって魔法使えますか? 教えて下さい」
なーんて、こんなんで分かるわけないかぁ。……って、部屋がまた光りましたけどっ!!!
「使える。魔法はイメージだ、そなたのイメージできることは、魔法として使えるであろう」
……なんか声がしました。
「聖女様! お部屋から眩い光が!」
うぉい、ラスボス来たじゃないのよー。要らないのよ、そして顔見たら恐怖で固まるじゃないのよ。
「何をしたのか早く説明なさいっ!」
ひぇぇ! また鞭が来る!
わたしは、恐怖で土下座しながらなんとかしゃべろうとする。だけど、怖くてごめんなさいとしか言えない。あ、あまりに泣くからか鞭が仕舞われた。良かった。
「……ゆっくり教えてくださる? 聖女様。あなたは神に祈ったのですか? また、魔物の消滅を願ってくださったの?」
わたしは、泣きながら頷いた。ホントは違うけど、今祈れば問題ない。祭壇に走り、必死で声に出して魔物の消滅を願う。その様子を見て、シスターコリンナは満足そうに笑っていた。やっぱりこの人いたら正常な判断が出来なくなる。ここから逃げたい。この人が怖い。
「聖女様は、いつ祈って頂いても構いませんわ。だからそんなに怯えなくて大丈夫。だって、聖女様の教育係で、お話できるのはわたくしだけですもの。お祈りは、素晴らしいですわ。ですけど今日はおやすみくださいませ」
優しく笑うシスターコリンナが、わたしには怖くて仕方なかったが、逆らうとまた鞭打ちだから、彼女の指示に従いベットに横になる。
「それでは、おやすなさいませ聖女様。明日もしっかりご教育しますわね」
そう笑って去っていき、わたしはひとりになった。
イヤだ! もうこの人はイヤだ!!!
なんとかしなきゃと、必死で考えていると、さっきの光を思い出した。神様は魔法はイメージって言ってたから、この恐怖をどうにかするんだ!
あるよね、そんなやつ。サニティっぽいの。
そう思うと、また身体が光って、急に恐怖が収まった。
「聖女様! 今日はおやすみ下さいませっ!」
ひええ! またラスボスが来たよっ!
でもさっきほどの恐怖はないから、うまく話せる。
「申し訳ありませんシスターコリンナ、眠りながらも祈れるのか試しておりましたの。シスターコリンナのご指導のおかげで祈れましたが、召喚されてから数日間は祈れなかったでしょう? その分を取り返したくて。シスターコリンナに召喚されてすぐ祈る事を求められたのに応えられませんでしたし、早くその分祈っておきたいのですわ」
居酒屋バイトの時、お客様へのおべっかスキルは店長以上だと言われたし、心にもないおべっか言うのは大得意よ。それに、暴力的な人ほど人の目を気にするはず。さすがに何回も光ればたくさん他の人も集まってきたから、こうしておべっかを言うだけでもそこそこ効果はあるはず。
「でも、シスターコリンナの言う通りね。あと何度か祈ったらすぐに休みます。本当にシスターコリンナは優秀な教育係ですわね」
「そ、そうでしょう! ご無理をなさってはいけませんわよ聖女様!」
「ありがとう。では、祈りに集中したいのでひとりにしてくださる?」
「もちろんです! さあ、みなさま聖女様の邪魔はいけませんわ!!!」
ほーらね。周りの目もあるし、自分に向けられる尊敬の眼差しに有頂天だよ。案外わかりやすいな。恐怖も、魔法でどーにかなるっぽいし、逃げて捕まっても神のお告げって事にしようかな。ホントはもっと状況分かってから逃げる方が良いんだけど、あの人の顔見ると恐怖で吐き気がする。癒し使えば大丈夫だけど、使うたび目立つのは問題よね。
「それでは聖女様! ごゆっくり!」
やっと居なくなった。恐怖取り除いてもやっぱり怖いや。居なくなるとやっと息ができる感じ。
それにしても、いちいち来たらめんどくさいな。さっきの口八丁で数回は誤魔化せるだろうし、色々実験してみよう。まずは、散々使った癒しで実験だ。
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