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2.誘拐犯の主張
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気絶から目覚めたら、あの鞭女がいた。
「おはようございます。聖女様。お祈りのお時間です。お支度を」
身体が痛すぎて、動けない。
「いや、身体動かないんですけど」
「まあ! なんて軟弱なのでしょう! やはり聖女召喚を誘拐などと言うから、神の怒りですわ!」
話聞かないなぁこの人。
「仕方ありません、神殿長様も今日だけは懲罰するなと仰せですし、今日だけは特別に休暇といたしましょう。当然ですが、お祈りをなさらないのでしたら食事はありませんわ」
おいおい、何だこの狂った主張。
しかも、全く悪びれもなく言ってるし。
え、なんなの?! わたしヤバい奴らに誘拐されちゃったの?! あんだけ鞭打たれても誰も助けてくれなかったし。
でも、このままじゃ何も分からないままだ。迂闊な事言うと、この鞭女からまた暴力受けそうだし、とにかく冷静になって情報を集めよう。
「すいません、さっきは動揺してて失礼な事を言いました。とにかく、あなたのことと、わたしの立場を教えていただけますか? あと、ここどこですか?」
「まぁ! さすが聖女様ですわ! ご理解がお早いのね!」
おいおい、急に機嫌が良くなったぞ。
この人はあれだ、自分の思う通りにいってたら、ご機嫌なんだね。つまり、この人には敬語が必須と。……なんで誘拐犯アンド暴行犯に媚び売らなきゃいけないのよ。でも、ひとまず情報収集と思ってやるしかない。居酒屋の酔っ払いと思って対応すれば、腹も立たないだろう。いや、立つな。めっちゃ立つな。
「ここは、ロチァ聖王国。聖女様は、魔物というのはご存知?」
「現実には見たことがありませんが、物語などで聞いたことがあります」
「まぁ! 魔物をみたこともないなんて! ずいぶんと甘やかされて育てられたんですのね」
「は?!」
チェンジ! チェンジを要求します!!! なんなのこの人! 説明っていうのは、相手が知らない事を前提として話すのよ?
いきなり今日来た新人に、本日のおすすめまで含めた全メニュー覚えてないって怒鳴る店長がいる?! いないでしょ! 話す気あんの?
「バシッ」
鞭女が、地面に鞭をうった。
「今日は、神殿長様のご指示なのでやりませんが、そのような乱暴な言葉遣いをなさるなら、明日は懲罰ですわね」
へ?! また鞭?! イヤですけど!!!
「ですけど、わたしの国では魔物なんてお話の中だけの存在です!」
「また、口答えですか!!! 神殿長様がお許しになっても、神はお許しになりませんわ!!!」
「バシッ!!!」
「痛い! 痛い!」
鞭の痛みになんて慣れてないから、痛くて仕方ない。痛すぎて、頭が回らない。
薄れゆく意識の中、私はこれからどうなるのだろと不安ばかりが募った。
「おはようございます。聖女様。お祈りのお時間です。お支度を」
身体が痛すぎて、動けない。
「いや、身体動かないんですけど」
「まあ! なんて軟弱なのでしょう! やはり聖女召喚を誘拐などと言うから、神の怒りですわ!」
話聞かないなぁこの人。
「仕方ありません、神殿長様も今日だけは懲罰するなと仰せですし、今日だけは特別に休暇といたしましょう。当然ですが、お祈りをなさらないのでしたら食事はありませんわ」
おいおい、何だこの狂った主張。
しかも、全く悪びれもなく言ってるし。
え、なんなの?! わたしヤバい奴らに誘拐されちゃったの?! あんだけ鞭打たれても誰も助けてくれなかったし。
でも、このままじゃ何も分からないままだ。迂闊な事言うと、この鞭女からまた暴力受けそうだし、とにかく冷静になって情報を集めよう。
「すいません、さっきは動揺してて失礼な事を言いました。とにかく、あなたのことと、わたしの立場を教えていただけますか? あと、ここどこですか?」
「まぁ! さすが聖女様ですわ! ご理解がお早いのね!」
おいおい、急に機嫌が良くなったぞ。
この人はあれだ、自分の思う通りにいってたら、ご機嫌なんだね。つまり、この人には敬語が必須と。……なんで誘拐犯アンド暴行犯に媚び売らなきゃいけないのよ。でも、ひとまず情報収集と思ってやるしかない。居酒屋の酔っ払いと思って対応すれば、腹も立たないだろう。いや、立つな。めっちゃ立つな。
「ここは、ロチァ聖王国。聖女様は、魔物というのはご存知?」
「現実には見たことがありませんが、物語などで聞いたことがあります」
「まぁ! 魔物をみたこともないなんて! ずいぶんと甘やかされて育てられたんですのね」
「は?!」
チェンジ! チェンジを要求します!!! なんなのこの人! 説明っていうのは、相手が知らない事を前提として話すのよ?
いきなり今日来た新人に、本日のおすすめまで含めた全メニュー覚えてないって怒鳴る店長がいる?! いないでしょ! 話す気あんの?
「バシッ」
鞭女が、地面に鞭をうった。
「今日は、神殿長様のご指示なのでやりませんが、そのような乱暴な言葉遣いをなさるなら、明日は懲罰ですわね」
へ?! また鞭?! イヤですけど!!!
「ですけど、わたしの国では魔物なんてお話の中だけの存在です!」
「また、口答えですか!!! 神殿長様がお許しになっても、神はお許しになりませんわ!!!」
「バシッ!!!」
「痛い! 痛い!」
鞭の痛みになんて慣れてないから、痛くて仕方ない。痛すぎて、頭が回らない。
薄れゆく意識の中、私はこれからどうなるのだろと不安ばかりが募った。
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