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36.これからも
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「カティ……説明してくれ……」
深夜になって、ようやくリュカは目を覚ましました。心配でずっと側に居たわたくしを止める人は居ませんでしたわ。部屋の隅に、侍女は控えておりますけどね。
「わたくしとリュカは、出来るだけ早く結婚するわ。お父様がロドラ伯爵に話をしたら、賛同頂けたから式の準備を早急に進めるそうよ。幸い、今ならまだ他国の王族の方々が滞在されてるから、お帰りになる前に日程を決めてしまうわ」
「うん、それはさっきも聞いた。2回聞いても、理解が追いつかない」
「大丈夫? ゆっくり休んで! このままここで寝れば良いわ。わたくしは部屋に戻るから」
「カティが嫌じゃないなら、もう少し側に居て欲しいな。でも、今って夜中だよな。カティは寝た方が良いから、部屋まで送るよ」
「わたくしもリュカと話したいわ。少しだけなら問題ないから、お話ししましょう」
チラッと隅に控えてくれている侍女を見ると、小さく頷いてくれている。やったわ!
「俺も騎士の寮に帰るから、部屋まで送るよ。ここで寝る訳にいかないし。起きたら目の前にカティが居て焦ったぜ」
「だってリュカが心配だったんだもの!!!」
「ありがとな。さっきはおかしくなっててごめんな。寝たら治ったから、もう大丈夫だ」
「……本当に?」
「本当。だからもうあんなのは結婚するまで勘弁してくれよ。王太子殿下に殺されそうだ」
「リュカがあんな顔するから、わたくしまた振られると思ったのよ。ローランにも叱られたわ。もうしないから、許して」
「許すよ。ってか、カティ変わってねぇのな。そう言って何回俺に謝ったと思ってんだ」
「んー……何回だっけ?」
「言っておいてなんだけど、俺も覚えてねぇわ。けど、その顔で許してって言われると許しちゃうんだよなー……。俺が死んだ時みたいに許してって泣いてんのは勘弁だけど」
「へ? わたくし、そんな事言ってた?」
「言ってた言ってた。俺になのか、クリストフ様に言ってたのかは分かんねえけど、許してって泣いてた。あんな泣き顔はもう御免だな」
「リュカが一生わたくしの夫で居てくれるなら、あんな事にならないわ」
「そうだなぁ。なんかよくわかんねーけどガンガン外堀も埋められてるしなぁ」
……う、やっぱりわたくしと結婚するのは面倒だとか……?
「リュカ……、あのね……」
「ありがてぇよな」
「え?」
ありがたいって言いました?!
言いましたわよね?!
「俺も早くカティと結婚したいからな。横槍入れそうな奴らは国王陛下に教えてもらったから対処しようと思ってたんだけど、こんだけサクッと結婚させて貰えるならわざわざ余計な事しなくて良いしな」
「……よ、余計な事って?」
「聞きたいか?」
そう言って笑うリュカはちょっとだけ腹黒そうな笑みを浮かべております。
「聞いた方が良い?」
「いや、あんま話したくはねぇな」
「なら聞かないわ。例え婚約者でも、恋人でも、夫婦でも……全てを知らないといけない訳ではないもの」
お母様だって、お父様に内緒でわたくしに時戻りの魔法を教えてくれた。お父様だってきっと、お母様に言えない秘密が沢山ある。
リュカの人柄はよく分かっている。たくさんの人から信用されているし、わたくし自身もリュカを心から信頼している。絶対にわたくしが許せない事や、酷い事はしない。だから、彼の全てを知らなくても構わない。
「言うねぇ、俺はカティの全てを知りたいけどな」
「確かにリュカはわたくしの全てを知ってるわね。幼い頃からよく遊んだし、リュカと一緒に居る時が一番楽しかったわ。わたくしだけが抱えないといけないと思っていた時を戻る前の過去すら共有してくれている。今のところ、わたくしはリュカに秘密がないわ。でも、そのうち秘密が出来るかもしれないわよ? それでも、わたくしを好きでいてくれる?」
「秘密の内容によるな。俺以外の男を愛したら、きっと俺はそいつを殺すぜ?」
あまりに美しい笑みであっさりとそう言うリュカ。
見る人によっては恐ろしいと思う笑みですが、わたくしには愛しい人が微笑んでいるだけにしか見えませんわ。
それに、きっとリュカはそんな事出来ません。そもそもわたくしはリュカ以外を愛する気はありませんから、無用な心配ですわ。
「それはないわ。だって、リュカ以上に最高の男性なんていないもの。知ってる? わたくし、男性を好きになったのはリュカが初めてなのよ?」
「そりゃ、今はそうだろうけどよ……」
「クリストフ様を愛した事はないわ。お姉様にも聞いたけど、わたくしは過去ではクリストフ様を政略結婚のお相手としてしか認識していなかったみたいね」
「俺にもう会えないって言ったから……てっきり……」
「婚約者が決まれば当然そうなるでしょう? わたくし、浮気は大嫌いなの。だからね、リュカが浮気するのは許せないと思うわ」
「しねーよ。クリストフ様と一緒にすんな」
「あら、わたくしはクリストフ様の浮気は諦めたわよ。それに、そもそも魅了魔法のせいならクリストフ様を悪いと思うのは申し訳ないわ」
「なんであんな男庇うんだよ。やっぱりクリストフ様の方が良いのか?」
「なんでそうなるのよ。わたくし、リュカが良いわ。リュカはわたくしじゃ嫌?」
「俺はカティが好きだよ。今までも、これからもな」
「嬉しいわ。わたくしもリュカを愛してるわ。嫌だって言っても、もう離してあげないんだから」
「俺もだな。これからもよろしく。お姫様」
「そこはカティと呼ぶところでしょう!」
「そうだな。カティが妻になる日が楽しみだよ。きっと、すっげぇ綺麗なんだろうな。さ、夜も遅いし、そろそろ部屋まで送るよ」
リュカは、愛しそうにわたくしの頭を撫でてくれました。それから、ドキドキして真っ赤になっているわたくしを横抱きにしてそのまま部屋まで運んでくれましたわ。
侍女の嬉しそうな顔や、見廻り中の騎士の皆様の生暖かい微笑みが恥ずかしかったのですが、わたくしを見つめるリュカが素敵で、暖かくて、いつの間にか眠ってしまいました。
深夜になって、ようやくリュカは目を覚ましました。心配でずっと側に居たわたくしを止める人は居ませんでしたわ。部屋の隅に、侍女は控えておりますけどね。
「わたくしとリュカは、出来るだけ早く結婚するわ。お父様がロドラ伯爵に話をしたら、賛同頂けたから式の準備を早急に進めるそうよ。幸い、今ならまだ他国の王族の方々が滞在されてるから、お帰りになる前に日程を決めてしまうわ」
「うん、それはさっきも聞いた。2回聞いても、理解が追いつかない」
「大丈夫? ゆっくり休んで! このままここで寝れば良いわ。わたくしは部屋に戻るから」
「カティが嫌じゃないなら、もう少し側に居て欲しいな。でも、今って夜中だよな。カティは寝た方が良いから、部屋まで送るよ」
「わたくしもリュカと話したいわ。少しだけなら問題ないから、お話ししましょう」
チラッと隅に控えてくれている侍女を見ると、小さく頷いてくれている。やったわ!
「俺も騎士の寮に帰るから、部屋まで送るよ。ここで寝る訳にいかないし。起きたら目の前にカティが居て焦ったぜ」
「だってリュカが心配だったんだもの!!!」
「ありがとな。さっきはおかしくなっててごめんな。寝たら治ったから、もう大丈夫だ」
「……本当に?」
「本当。だからもうあんなのは結婚するまで勘弁してくれよ。王太子殿下に殺されそうだ」
「リュカがあんな顔するから、わたくしまた振られると思ったのよ。ローランにも叱られたわ。もうしないから、許して」
「許すよ。ってか、カティ変わってねぇのな。そう言って何回俺に謝ったと思ってんだ」
「んー……何回だっけ?」
「言っておいてなんだけど、俺も覚えてねぇわ。けど、その顔で許してって言われると許しちゃうんだよなー……。俺が死んだ時みたいに許してって泣いてんのは勘弁だけど」
「へ? わたくし、そんな事言ってた?」
「言ってた言ってた。俺になのか、クリストフ様に言ってたのかは分かんねえけど、許してって泣いてた。あんな泣き顔はもう御免だな」
「リュカが一生わたくしの夫で居てくれるなら、あんな事にならないわ」
「そうだなぁ。なんかよくわかんねーけどガンガン外堀も埋められてるしなぁ」
……う、やっぱりわたくしと結婚するのは面倒だとか……?
「リュカ……、あのね……」
「ありがてぇよな」
「え?」
ありがたいって言いました?!
言いましたわよね?!
「俺も早くカティと結婚したいからな。横槍入れそうな奴らは国王陛下に教えてもらったから対処しようと思ってたんだけど、こんだけサクッと結婚させて貰えるならわざわざ余計な事しなくて良いしな」
「……よ、余計な事って?」
「聞きたいか?」
そう言って笑うリュカはちょっとだけ腹黒そうな笑みを浮かべております。
「聞いた方が良い?」
「いや、あんま話したくはねぇな」
「なら聞かないわ。例え婚約者でも、恋人でも、夫婦でも……全てを知らないといけない訳ではないもの」
お母様だって、お父様に内緒でわたくしに時戻りの魔法を教えてくれた。お父様だってきっと、お母様に言えない秘密が沢山ある。
リュカの人柄はよく分かっている。たくさんの人から信用されているし、わたくし自身もリュカを心から信頼している。絶対にわたくしが許せない事や、酷い事はしない。だから、彼の全てを知らなくても構わない。
「言うねぇ、俺はカティの全てを知りたいけどな」
「確かにリュカはわたくしの全てを知ってるわね。幼い頃からよく遊んだし、リュカと一緒に居る時が一番楽しかったわ。わたくしだけが抱えないといけないと思っていた時を戻る前の過去すら共有してくれている。今のところ、わたくしはリュカに秘密がないわ。でも、そのうち秘密が出来るかもしれないわよ? それでも、わたくしを好きでいてくれる?」
「秘密の内容によるな。俺以外の男を愛したら、きっと俺はそいつを殺すぜ?」
あまりに美しい笑みであっさりとそう言うリュカ。
見る人によっては恐ろしいと思う笑みですが、わたくしには愛しい人が微笑んでいるだけにしか見えませんわ。
それに、きっとリュカはそんな事出来ません。そもそもわたくしはリュカ以外を愛する気はありませんから、無用な心配ですわ。
「それはないわ。だって、リュカ以上に最高の男性なんていないもの。知ってる? わたくし、男性を好きになったのはリュカが初めてなのよ?」
「そりゃ、今はそうだろうけどよ……」
「クリストフ様を愛した事はないわ。お姉様にも聞いたけど、わたくしは過去ではクリストフ様を政略結婚のお相手としてしか認識していなかったみたいね」
「俺にもう会えないって言ったから……てっきり……」
「婚約者が決まれば当然そうなるでしょう? わたくし、浮気は大嫌いなの。だからね、リュカが浮気するのは許せないと思うわ」
「しねーよ。クリストフ様と一緒にすんな」
「あら、わたくしはクリストフ様の浮気は諦めたわよ。それに、そもそも魅了魔法のせいならクリストフ様を悪いと思うのは申し訳ないわ」
「なんであんな男庇うんだよ。やっぱりクリストフ様の方が良いのか?」
「なんでそうなるのよ。わたくし、リュカが良いわ。リュカはわたくしじゃ嫌?」
「俺はカティが好きだよ。今までも、これからもな」
「嬉しいわ。わたくしもリュカを愛してるわ。嫌だって言っても、もう離してあげないんだから」
「俺もだな。これからもよろしく。お姫様」
「そこはカティと呼ぶところでしょう!」
「そうだな。カティが妻になる日が楽しみだよ。きっと、すっげぇ綺麗なんだろうな。さ、夜も遅いし、そろそろ部屋まで送るよ」
リュカは、愛しそうにわたくしの頭を撫でてくれました。それから、ドキドキして真っ赤になっているわたくしを横抱きにしてそのまま部屋まで運んでくれましたわ。
侍女の嬉しそうな顔や、見廻り中の騎士の皆様の生暖かい微笑みが恥ずかしかったのですが、わたくしを見つめるリュカが素敵で、暖かくて、いつの間にか眠ってしまいました。
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