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20.特殊魔法とは

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「リュカはどんな魔法が使えるんだ? 魔法を無効化するのか?」

騎士団の部屋を借りて、お兄様とリュカとわたくしで話をします。

「そうです。王族の血筋の方は特殊な魔法が使えますよね。俺はそれを無効化するみたいです。4属性の魔法は普通に効きますよ。でないと俺は今頃怪我で死んでます。無効といっても、完璧ではないらしくて、鑑定は3人一斉に行ったら効いたらしいですよ」

「ふん、リュカはずいぶん父上に気に入られたみたいだな」

「お兄様、どういう事?」

「王族の血族が特殊な魔法を使える事を知っているのは王族だけだ。城を出た者は口外する事を許されない。アナベルの子も魔法を受け継ぐが、鑑定をしない。国外に出た者は特殊魔法の事を自分の胸にだけ秘めて過ごすんだ」

「え……そうなんですか?!」

「ああ、国外に出る時はもちろん、国内の貴族に降嫁しても嫁ぎ先に伝えてはならない掟になっている」

そうか……だからお父様はわたくしに魔法の事を教えられなかったんだわ。

「お兄様、言わない掟との事ですけれど、魔法などで制約をかけるのですか?」

「いや、たまにそういった特殊魔法を使える者も居るが現在は存在しないから、口約束のみだ。だが、王族なら秘密を守る。アナベルだって、嫁いでからは魔法を使っていない」

なるほど……お姉様はきちんと約束を守られるでしょう。ですが、おば様は信用出来ませんわ。ルイーズにペラペラ話していたりするかもしれませんわね。あの方は口が軽いですもの。

「俺の鑑定を行った時は、父にどう伝えたんですか?」

「リュカの場合は父親が特殊魔法が使えたから念のため調べたという事にしている。人に応じて出来るだけ不自然にならない嘘を吐くんだ。ま、勘の良い者は気が付いているかも知れんがな。王家の血筋はあちこちに居る。隠す事で、守る事にしたんだそうだ」

「もし特殊な魔法と王家の血筋が関係あると分かれば非人道的な所業を企む者も現れるでしょうからね」

「まあ……な。今まではその辺も含めて保護者に任せてあったが、そろそろ考え直す時期かもしれん」

「そうですね。特に、魅了は分かり次第封じる方が良いでしょうね」

「そうだな。でも魔法を封じられる人は1人しか居ないんだ。だから、現実的な案を考えないといけない」

「そうですね。まずは魔法の使い手を鑑定して調べ直した方が良いかもしれません。王太子殿下の魔法は身体強化ですか? 俺が触れると魔法が解除されてしまうようですからお気をつけ下さい。一か八かで、試してみて良かったです。でないと、厳しい戦いを強いられるところでした」

「いつものリュカなら訓練になるからとそのまま戦う。カトリーヌの前でかっこつけたかっただけだろう」

「バレてしまいましたか。その通りです。よろしければ今度は本気の王太子殿下と手合わせ願いたいものです」

「次は最初から身体強化を使ってやる。覚悟しておけよ」

「はい。俺はもっと強くなります。ルイーズ様の魅了は対策できましたが、他にどんな危険が迫るか分かりませんから。もう絶対カティを泣かせません。カティが時を戻して良かったと思える幸せな未来をお約束しますよ」

リュカは、わたくしが話して良いのか迷っていた事をあっさりと話してしまいました。

「なっ……! ルイーズが魅了の魔法を使うだと?! 魅了持ちは必ず王家に報告が入る筈だ! ルイーズが魅了持ちだなんて聞いた事がない!!!」

「そうですね。上手く隠しておられたようですよ。ルイーズ様の魅了のせいで、カトリーヌ姫は冷遇されて俺は死にました。詳しくは今夜話がありますよ。俺も来るように言われましたから」

「父上が絶対に時間を作れと言ったのはそういうことか。なんでリュカが詳しく知っているんだ!」

「俺とカティは当事者だからですね」

「くっ……! カトリーヌをカティと呼ぶな!」

「国王陛下の御許可は頂いておりますよ」

「父上め……! もっと早く教えてくれればいいものを……!」
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