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第三十一話

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「なんの茶番だよコレ」

「なんだ? 文句あるのかクロード。オレ達の結婚を報じた新聞記事だぞ」

「それはそれは、ご結婚おめでとうございます。お祝い申し上げます。カトリーヌは死んだと思ってた我が国は大騒ぎですよ。特にカトリーヌに酷い態度をとっていた者は、ビクビクしています。クッキーのせいなら情状酌量あります? 念のため確認ですけど、この記事にある、非道な者達に俺は入ってませんよね?」

「クロードとルシアンは、ギリギリ入ってないな」

「ギリギリなんですか?!」

「クロードは、カトリーヌと婚約しようとしただろ? ルシアンも、もうちょっとローザの手綱を握ってたらカトリーヌが無駄に傷つく事はなかった」

「有罪の基準低くないですか?!」

「そうか? オレは寛大な男だぞ。アイツらは結局放置してあるからな」

「キャシーは結婚式以来姿を見ませんけどね」

「多分、ルバートに監禁されたな」

「分かってましたよね? 無駄にルバート煽ってたし、紅茶も飲ませてましたし。当主気取りのカトリーヌの父親を潰したのは貴方じゃないんですか?」

「何故かキャシー達の結婚式が終わったらクッキーから惚れ薬の成分が検出できてな、ローザを襲った男がクッキーを食べて依存してたから、ルシアンに伝えて訴えさせた。男もキャシーから依頼されたと吐いたから、もうすぐ公爵家も終わるだろ。危険を感じて逃げようとしたところを、当主を偽って大量の買い物のツケが溜まってたと商人から訴えられて捕まったらしいぞ。あの女は娼館に逆戻りだが、負債が多すぎるから、どれだけ働けば良いんだろうなぁ? 前みたいに高級娼館なんて無理だろうしな」

「……そのツケのアイデア、貴方の仕込みでしょう?」

「ふん、カンがいいな。あまりに使い込むし、カトリーヌが泣いていたから公爵家の当主ならツケも可能ですと言っただけだ。自分達の買い物の料金なんだ。自業自得だろ」

「自滅しただけですしね。ルバートも、日に日に目つきがおかしくなってますけど、なんか変なもの与えたりしてないですよね」

「ルバートには何もしてないぞ、カトリーヌを自ら手放してくれたんだ。感謝している」

「……感謝、ねぇ」

「なんだ? クロードにも感謝してるぞ? カトリーヌを使い捨てようとした王家に対する怒りはあるが、クロードが宰相になるのなら我慢してやるかと思うくらいには感謝してるぞ?」

「それは、光栄ですね」

「これで、借りは返せた事にならないか?」

「なりませんね。これから俺はあの無能どもを調教しないといけないんです。王子のお力は、きっと必要になりますからね」

「おやおや、ダラス国の時期宰相様は怖いな」

「ヨハン王子には、負けますよ」
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