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第十七話

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「さて、さっさと全部説明しろ」

せ、セバスチャン?! 完全に敬語がなくなってますよ。怒ってますよね? おこですよね?

「紅茶も、ゲームのアイテムだったのを思い出したの。好感度を下げるアイテム」

「よし、まずそのゲームの詳細をもう一度話せ。主人公であるキャシーお嬢様が、男どもと恋愛するゲームじゃねぇのか?」

「そう! あってる!」

「好感度って要は相手に好意的になるかどうかだろ? 上げるクッキーは分かるけどよ、下げるってなんでだよ」

「あのね、いっぱいルートがあるから、見たいエンディングのためには好感度を調整しないといけないの。一番いいのは、トゥルーエンド、次がラブエンド、ノーマルエンド、バットエンドだよ」

「4種類も結末があるのか? なら3人だから12の結末があるって事か。それで、カトリーヌはどんくらいの割合で無事なんだ?」

「私の死亡率は100%だよ!」

泣きたくなってくる……。

「なんで最初に言わなかった」

「思い出したのがさっきだからだよ。私も全ルートは攻略してないから、友達からの情報の聞きかじりも多いし、記憶戻ったときは混乱してたし。ルシアンは、攻略うまくいかなくてバッドエンドしか経験してないから、私は毎回剣で殺されてる。ルシアンの場合、バッドエンド以外は私は事故死だね。逆にルバートはちょろくて、基本トゥルーエンド。私は国外追放。でも、ノーマルエンドだと処刑。全ルート攻略したら隠しキャラが攻略できるから紅茶は一番ルバートに使ったよ。バットエンドのほうが好きって子もいるしね。クロードは、難易度は普通かな。クロードはどのルートでも私を殺すよ」

「とりあえず、思い出した限りの情報を紙に書け。紅茶とか、クッキー以外にもアイテム出てくるなら全部書け。ローザ様みたいに危険になる奴もいれば書け。それから、カトリーヌお嬢様に予知の力があることにするからな。ルシアン様にはそう説明する。もちろん、口止めもする」

予知能力者は、たまに国内に現れる。大々的に予知をする人もいるが、外れると場合によっては命が危ないので隠している人が多い。

「わかった。メアリーにもそう説明するの?」

「ああ、不確定すぎる予知だし当てにならんけど、たまに当たるからタチの悪い予知能力って言っておく。あの騒ぎなのに、人が集まらなくて助かったぜ。ルシアン様とローザ様だけ押さえればいいからな」

「ああ、あれね。ゲームのナレーションであったよ。ローザは人が来なくて発見が遅れて死んじゃうの。数時間してようやくルシアンが見つけてくれて急いで医者に運ぶけど間に合わなくてルシアンは自分を責め続ける。自分がもっと早く駆け付ければってね。その時ルシアンを引き留めたのが私だったから、私も憎まれて、私に虐められてたキャシーに興味を持つの」

「なら、人が現れなかったのもゲームのせいか。あんだけ騒いでたのに犯人引き渡しまで誰にも会わないなんておかしいと思ったんだよな」

「あの犯人、どうなるの?」

「ローザ様は高貴なお方だから、普通に死刑じゃね? でも、しばらくは取り調べだと思うぜ」

「そっか、なんか目が虚ろで気になってたのよね。まるで操られてるみたいで」

「なんだと?!」

「それに、ローザが教えてた下級生ってキャシーだったけど、ゲームではそんなことなかったと思うんだよね」

「あれは酷かったな。そそくさと逃げって行ったぜ。多分、オレらが来たことに気が付いてない」

「キャシーも、ゲームの記憶があるのかな? だからルート通り誰もいないことにしようとして急いで逃げたとか? 私がいたけど、ルシアンルートで私が早々に退場するルートあるって友達が言ってたから、もしかして私もあそこで死ぬ予定とかかもしれない。ルシアンルート、あんまり分からないのよね」

「確認する。もしかしたら、しばらく寮から出ないでもらうかもしれん」

「わかった。でもここって現実で、全部ゲーム通りなんてありえないよね? クロードもキャシーを嫌ってるしゲームとは違うもん」

「そうだな、オレもカトリーヌも生きてるし、他の方もそうだ。思い通りにいくわけがない」

カトリーヌと呼ばれると、なんだか心があったかくなる。

「最近セバスチャンは2人の時だけ、呼び捨てだよね」

「では、常に丁寧にお話ししましょうか?」

「それは嫌! 2人の時は、こんな風がいい!」

「そうか、なら2人の時だけ、昔みたいにするか。切り替えは問題ないしな。カトリーヌ、さっさと思い出したこと全部書け、いいな」

「はぁい」

心はあったかくなったけど、やっぱりセバスチャンはスパルタだわ。
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