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第十六話

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「ローザ様はルシアン様にお任せすれば問題ないでしょう。カトリーヌお嬢様も寮に戻りますよ。戻ったら、伺いたい事があります」

セバスチャン、怒ってるわよね。顔にもっと早く言えって書いてあるわ。

「セバスチャン……思い出したのはさっきなの、だから、その、ごめんなさい」

「そんな顔をなさらなくても、怒ってはおりませんよ。ですが、思い出した事は全てお話頂きます。よろしいですね」

「もちろんよ!」

…………………………

「あ、お嬢様おかえりなさい! なんだか騒ぎになってましたけど大丈夫でしたか?」

「セバスチャンと、ルシアンが居たから大丈夫よ!」

「ルシアン様が、ぐったりしたローザ様を抱えて屋敷に戻られたと話題になってますよ。キャシー様は、ローザ様はもう危ないじゃないかとか不吉な事言うから、びっくりしました。さすがにメイド仲間も引いてましたよ。スチュアートなんて、キャシーお嬢様にお説教してました」

「そうか、スチュアートはまともなようで安心した」

セバスチャンの弟のスチュアートも優秀なのよね。

「でも、あれだけ叱られても、すぐに分かるとか言って反省してないし、まわりにも言いふらしてるし、酷いです。キレたスチュアートに部屋に軟禁されてました。みんなも今キャシーお嬢様を外に出しておかしな事言いふらされたらお家問題に発展するし、必死に止めてます。キャシーお嬢様は、クッキーがあればメイドのみんなもお願い聞いてくれるとかぶつぶつ言ってましたけど、クッキー全部ローザ様にあげちゃったんですって。はやく屋敷に戻って作らないと! って言ってるけど、クッキーなんて寮でも作れるのに意味わかりませんよ。何度も何度も、ローザ様が死んだらルシアン様の攻略が進むとか言ってて怖いです。やっぱりあのクッキーやばいですよ。みんな最近クッキーの量減らして、セバスチャンの持ってきた紅茶飲ませたらだいぶまともになってきて、クッキーあげるって言っても知らん顔になってきましたし、あのまま食べなきゃ元に戻りませんかね?」

「禁断症状とか出てないか?」

「甘味好きな数名は少し出ましたね。目が虚ろになってきたので、例の紅茶を多めに飲ませたら治りました。あれ、効きすぎて怖いんですけど」

「そうよ! セバスチャン! 紅茶!」

紅茶がアイテムなこと、言わないと! でも、言おうとしたらセバスチャンに止められた。

「メアリー、いますぐキャシーお嬢様の様子を見てきてくれ。あと、スチュアートを呼んできて、代わりにキャシーお嬢様を見張っててくれ。スチュアートが戻るまで絶対キャシーお嬢様を外に出すな。それから、ローザ様の件は、否定せずにローザ様は危ういと思わせたままにしろ」

「……露骨に追い出そうとしますよね。後でいいからきちんと説明して下さいよ」

「あの! メアリーが聞いてもいいんじゃ……」

ひぃ! セバスチャンの圧が怖い!

「今後の作戦を立てるのにスチュアートの協力がいるんです。メアリーにも、後できちんと説明しますよ、お嬢様」

「これ以上セバスチャンを刺激したくないので、行ってきますね。お嬢様、頑張って!」

何を頑張るの!?
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