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番外編・その後
未来に向けて【ダニエル視点2】
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マークさんは平民だ。資金力があるから使用人を雇ってはいるが、俺を雇う事はない。
誰が好き好んで、大切な妻に横恋慕している男を雇うんだ。俺がお嬢様と一緒にいられるのは、あと少し。
そのあと、俺はどうする?
このまま旦那様、いや、国王陛下に仕える道は残されている。ルーク様は俺を認めて下さっていて、宰相にならないかと言われている。
我が家は貧乏だったが、ルーク様が有利な条件で取引をしてくれたおかげで盛り返した。独立はせず、ハリソン国と貿易をする道を選んだ。父も兄も、俺のおかげだと喜んでくれているし、自由にしてくれと俺がやる事を応援してくれる。
宰相……そんな大役、俺に務まるのだろうか。
「ダニエル、どうしたの? なんだか嬉しそう」
「ルーク様から、宰相にならないかとお誘いを受けたのです」
「聞いてるわ。やっぱりお兄様は人を見る目があるわよね」
「人を見る目……ですか?」
「ええ、ダニエルは優秀だもの。それに、人の気持ちを見抜く力があるわ。わたくしが辛くてたまらない時、そっと好物のお菓子を用意してくれたり、この間もレモンティーを入れてくれたでしょう? あれ、わたくしがこぼすかもしれないと分かってたから火傷しないように冷たいレモンティーを淹れてくれたのよね?」
俺がお嬢様を諦めた日。お嬢様はマークさんしか見てないと思っていた。けど、違ったんだ。
「お嬢様、私に大役が務まると思いますか?」
「ダニエルなら出来る。だってダニエルは、人を気遣いながらも冷静な判断を下せる。時には非情な判断をしないといけない国の運営を行うには、ダニエルみたいな人が必要よ。我が家としてはダニエルが宰相になってくれたら安心だけど、ダニエルの人生だもの。無理強いは出来ないわ。人に言われたからじゃなくて、ダニエル自身が決めるべきよ」
「相変わらずお嬢様はお優しくて冷たいですね」
「褒めてるの? 貶してるの? どっちよ」
「もちろん褒めています。お嬢様にお仕えできて、本当に良かった。宰相のお話、お受けしたいと思います。お嬢様のご依頼ではなく、私自身の意思でハリソン国のお役に立ちたい。そう思ったのです」
「そう。良かったわ。実はお兄様からダニエルを説得して欲しいと頼まれていたの。でも、無理強いは出来ないし……」
「お嬢様、そこでネタばらしをしては台無しです。まったく、やっぱりお嬢様は貴族に向いていませんね」
照れたように頬を染めるお嬢様は、とてもお美しい。こんな顔、マークさんの前でも滅多にしないだろう。
宰相になり、仕事に邁進していると自然とお嬢様への気持ちは薄くなり、そのうち消えた。幸せそうにしているお嬢様を見ていたら、すっぱり諦めがついた。
俺に新たな出会いが訪れたのは、それから数年経過してからだった。
誰が好き好んで、大切な妻に横恋慕している男を雇うんだ。俺がお嬢様と一緒にいられるのは、あと少し。
そのあと、俺はどうする?
このまま旦那様、いや、国王陛下に仕える道は残されている。ルーク様は俺を認めて下さっていて、宰相にならないかと言われている。
我が家は貧乏だったが、ルーク様が有利な条件で取引をしてくれたおかげで盛り返した。独立はせず、ハリソン国と貿易をする道を選んだ。父も兄も、俺のおかげだと喜んでくれているし、自由にしてくれと俺がやる事を応援してくれる。
宰相……そんな大役、俺に務まるのだろうか。
「ダニエル、どうしたの? なんだか嬉しそう」
「ルーク様から、宰相にならないかとお誘いを受けたのです」
「聞いてるわ。やっぱりお兄様は人を見る目があるわよね」
「人を見る目……ですか?」
「ええ、ダニエルは優秀だもの。それに、人の気持ちを見抜く力があるわ。わたくしが辛くてたまらない時、そっと好物のお菓子を用意してくれたり、この間もレモンティーを入れてくれたでしょう? あれ、わたくしがこぼすかもしれないと分かってたから火傷しないように冷たいレモンティーを淹れてくれたのよね?」
俺がお嬢様を諦めた日。お嬢様はマークさんしか見てないと思っていた。けど、違ったんだ。
「お嬢様、私に大役が務まると思いますか?」
「ダニエルなら出来る。だってダニエルは、人を気遣いながらも冷静な判断を下せる。時には非情な判断をしないといけない国の運営を行うには、ダニエルみたいな人が必要よ。我が家としてはダニエルが宰相になってくれたら安心だけど、ダニエルの人生だもの。無理強いは出来ないわ。人に言われたからじゃなくて、ダニエル自身が決めるべきよ」
「相変わらずお嬢様はお優しくて冷たいですね」
「褒めてるの? 貶してるの? どっちよ」
「もちろん褒めています。お嬢様にお仕えできて、本当に良かった。宰相のお話、お受けしたいと思います。お嬢様のご依頼ではなく、私自身の意思でハリソン国のお役に立ちたい。そう思ったのです」
「そう。良かったわ。実はお兄様からダニエルを説得して欲しいと頼まれていたの。でも、無理強いは出来ないし……」
「お嬢様、そこでネタばらしをしては台無しです。まったく、やっぱりお嬢様は貴族に向いていませんね」
照れたように頬を染めるお嬢様は、とてもお美しい。こんな顔、マークさんの前でも滅多にしないだろう。
宰相になり、仕事に邁進していると自然とお嬢様への気持ちは薄くなり、そのうち消えた。幸せそうにしているお嬢様を見ていたら、すっぱり諦めがついた。
俺に新たな出会いが訪れたのは、それから数年経過してからだった。
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コメントありがとうございます!
その通りですね。
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真人間になるかは、今後次第です。
連投失礼します。
作者「様」と書いたつもりが何故か「自身」になってました。
大変失礼しました🙇
わざわざありがとうございます😊
大丈夫です!
ご丁寧にフォローして頂き嬉しいです☺️
コメントありがとうございます!
嬉しいです!
今回は短編なんで、シルビアはほとんど台詞が無いのですが、彼女は彼女なりに色々思うところもありまして。
本編はもうすぐ終わりますが、そのあたり、番外編で描けたら良いなーと思います。
読んで頂き、誠にありがとうございます!