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21.種明かし1
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「マーク! 説明なさい!」
マークの店に突撃したら、なんとフィリップがのんびりお茶を飲んでいたわ。
「ほら、来ましたよ。国王陛下」
「本当に来るとはね。マーガレットが珍しく指輪をしていたから気になっていたんだけど……君がお相手だったんだね」
「あ! 指輪! っしゃ愛してるぜマーガレット!」
「無邪気な笑みを浮かべるな! 説明、説明をしなさいよ!」
「種明かしされるだけじゃつまんねーだろ? 推理してみろよ」
この顔、腹が立つけど好きだわ。
フィリップが付けてるタイピンは、今日初めて見る。マークが用意した物に間違いない。つまり、マークがフィリップと繋がったのは最近! マークがフィリップに挨拶代わりに贈ったんだと思う。フィリップは、贈り物は極力すぐに身に着ける。マークは国にとっても蔑ろにできない相手。フィリップが気を遣う理由は充分ある。
まずは情報を集めましょう。
「くっ……! 分かったわ! マークはフィリップ陛下と繋がっていたのよね?」
「あってるぜ。さすがマーガレット」
「褒めるのは最後まで当ててからにしてちょうだい!」
「はいはい。んで、俺が国王陛下と繋がったのはなんでだと思う?」
「損をしない取引をするって言ったわよね? 王妃様に売ったネックレスを回収して頂いたんじゃないの?」
「正解だよ。さすがマーガレット。僕はこれをマークに返しに来たんだ」
フィリップが取り出したネックレスは、傷ひとつない。綺麗に箱に収まっている。マークに返したって事は、違約金はマークが払ったとフィリップも知ってるのよね?
ああもう、気になる事だらけだわ!
まずはあれだけダイヤに執着していた王妃様からどうやってネックレスを回収したのか確認したいわ。わたくしは、フィリップに質問をぶつける。
「王妃様が簡単にネックレスを渡すとは思えません。どうやったのですか?」
「父上が母上のアクセサリーを勝手に愛妾にあげようとしてるって言ったら怒って父上に怒鳴り込みに行ったんだ。コレを残してね。だから高価な物だし母上に渡しておくねって持って来ただけさ。これは王家が持つべき物じゃない。マーガレットの物だ」
「って事で、マーガレットにプレゼントだ」
「そんな渡し方あるか! まだ推理は終わってないわ」
「……ははっ、良いねその目。じゃ、謎解きの続きといこうか。コレは俺のモノだし預かっておくよ」
「ごめんねマーガレット。まさか父上や母上が毎年お金を要求していたなんて知らなくて。このネックレスを返しても全く足りないよね。違約金だって、本当は払わなくて良かった。違約金なんて払わなくても独立する事は可能だった。本当にごめん。ハリソン国王に詫びる方法を考えるから」
「ハリソン王は金を受け取りませんよ。独立出来たんだからあんくらいの金払って当然です」
「それでも、だよ。民に使われたならともかく父と母が無駄に使っただけだからね。マーガレット達ばかりに負担をかけて悪かった」
そう言って頭を下げるフィリップは、以前と変わらない優しい笑みを浮かべている。
だけど、何か違う。聞きたくないけど、これを聞かないと始まらないわよね。シルビア様の事を聞いてみましょう。
マークの店に突撃したら、なんとフィリップがのんびりお茶を飲んでいたわ。
「ほら、来ましたよ。国王陛下」
「本当に来るとはね。マーガレットが珍しく指輪をしていたから気になっていたんだけど……君がお相手だったんだね」
「あ! 指輪! っしゃ愛してるぜマーガレット!」
「無邪気な笑みを浮かべるな! 説明、説明をしなさいよ!」
「種明かしされるだけじゃつまんねーだろ? 推理してみろよ」
この顔、腹が立つけど好きだわ。
フィリップが付けてるタイピンは、今日初めて見る。マークが用意した物に間違いない。つまり、マークがフィリップと繋がったのは最近! マークがフィリップに挨拶代わりに贈ったんだと思う。フィリップは、贈り物は極力すぐに身に着ける。マークは国にとっても蔑ろにできない相手。フィリップが気を遣う理由は充分ある。
まずは情報を集めましょう。
「くっ……! 分かったわ! マークはフィリップ陛下と繋がっていたのよね?」
「あってるぜ。さすがマーガレット」
「褒めるのは最後まで当ててからにしてちょうだい!」
「はいはい。んで、俺が国王陛下と繋がったのはなんでだと思う?」
「損をしない取引をするって言ったわよね? 王妃様に売ったネックレスを回収して頂いたんじゃないの?」
「正解だよ。さすがマーガレット。僕はこれをマークに返しに来たんだ」
フィリップが取り出したネックレスは、傷ひとつない。綺麗に箱に収まっている。マークに返したって事は、違約金はマークが払ったとフィリップも知ってるのよね?
ああもう、気になる事だらけだわ!
まずはあれだけダイヤに執着していた王妃様からどうやってネックレスを回収したのか確認したいわ。わたくしは、フィリップに質問をぶつける。
「王妃様が簡単にネックレスを渡すとは思えません。どうやったのですか?」
「父上が母上のアクセサリーを勝手に愛妾にあげようとしてるって言ったら怒って父上に怒鳴り込みに行ったんだ。コレを残してね。だから高価な物だし母上に渡しておくねって持って来ただけさ。これは王家が持つべき物じゃない。マーガレットの物だ」
「って事で、マーガレットにプレゼントだ」
「そんな渡し方あるか! まだ推理は終わってないわ」
「……ははっ、良いねその目。じゃ、謎解きの続きといこうか。コレは俺のモノだし預かっておくよ」
「ごめんねマーガレット。まさか父上や母上が毎年お金を要求していたなんて知らなくて。このネックレスを返しても全く足りないよね。違約金だって、本当は払わなくて良かった。違約金なんて払わなくても独立する事は可能だった。本当にごめん。ハリソン国王に詫びる方法を考えるから」
「ハリソン王は金を受け取りませんよ。独立出来たんだからあんくらいの金払って当然です」
「それでも、だよ。民に使われたならともかく父と母が無駄に使っただけだからね。マーガレット達ばかりに負担をかけて悪かった」
そう言って頭を下げるフィリップは、以前と変わらない優しい笑みを浮かべている。
だけど、何か違う。聞きたくないけど、これを聞かないと始まらないわよね。シルビア様の事を聞いてみましょう。
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