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10.マーク視点2
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マーガレットを十年も縛り付けておいて、あっさり他の女に靡くような奴と比べちゃいけねぇのは分かってるけどよ。俺は王太子より魅力がある男だと思うぜ。
公爵令嬢にアプローチされた事もあるし、伯爵家くらいなら、娘を差し出すから融資してくれって言ってくる。
全部丁重にお断りしてるけどな。俺が欲しいのは、マーガレットだけだから。
「幼い頃、マーガレットに助けて貰った恩は充分返せたと思うぞ。わざわざ娘の行く末まで心配して頂かなくても構わない」
公爵様の暗い声を聞いた瞬間、背中に一筋の汗が流れ落ちた。
あの事は、誰も知らなかったはずなのに。
淡々と微笑む公爵様は、俺に一枚の紙を手渡した。そこには、俺の生い立ちが事細かに書かれている。見覚えのある字だ。
……ダニエルさんか。
「本音を言え」
公爵様の圧がすげぇ。俺は覚悟を決めて、口を開いた。
「……俺は……出会った時からずっとマーガレットお嬢様が好きでした。彼女を守りたくて……商人になったんです。お願いです。俺にマーガレットお嬢様を口説く許可を下さい」
「お前は、平民だ」
「必要なら爵位を用意します!」
必死で訴える。金で用意できるものならなんでも用意してやる!
「……この国の爵位に、マークが汗水垂らして稼いだ金を出す価値はない」
公爵様が微かな笑みを浮かべた。ルーク様が悔しそうに口を開く。
「マーガレットは貴族に向いてない。お前が一生マーガレットしか愛さないと誓うのなら、我らの至宝を譲ってやる。ただし、マーガレットがお前を認めたら。だ。私は全力で邪魔させてもらう。少なくとも、現実の見えてない能天気な男よりお前の方が数倍良い。もう一人、良い候補がいたのだが……諦めるそうだ」
「……は……え……?」
なんで俺、簡単に認められてんの?!
もう一人の候補って、ダニエルさんだよな?!
「なんだその間抜けな顔は。凄腕商人ではなかったのか? 我が家より多くの資産を持ち、マーガレットの事を第一に考え、体を鍛えていて頭もいい。なにより、マーガレット以外の女性に一切靡かない。条件としては充分だろう。さっさと口説け。マーガレットは婚約破棄で良い。破棄なら、違約金を求められる。強欲な王家はすんなり婚約破棄を受け入れるだろうよ。もちろんお前が違約金を払ってくれるんだろう? 独立すれば、マーガレットの価値が上がって手に入らなくなるぞ」
「……かしこまりました。全力でやらせて頂きます。違約金も、もちろん私が払います。ハリソン家の至宝を手に入れる為なら、全財産を払っても構いません。金はまた、稼げば良いのですから」
「そうか。潔いな。よし、今度マーガレットも交えて夕食でもどうだ?」
「喜んで」
……俺は商人だ。目の前の宝石を逃すほど愚かじゃない。
公爵令嬢にアプローチされた事もあるし、伯爵家くらいなら、娘を差し出すから融資してくれって言ってくる。
全部丁重にお断りしてるけどな。俺が欲しいのは、マーガレットだけだから。
「幼い頃、マーガレットに助けて貰った恩は充分返せたと思うぞ。わざわざ娘の行く末まで心配して頂かなくても構わない」
公爵様の暗い声を聞いた瞬間、背中に一筋の汗が流れ落ちた。
あの事は、誰も知らなかったはずなのに。
淡々と微笑む公爵様は、俺に一枚の紙を手渡した。そこには、俺の生い立ちが事細かに書かれている。見覚えのある字だ。
……ダニエルさんか。
「本音を言え」
公爵様の圧がすげぇ。俺は覚悟を決めて、口を開いた。
「……俺は……出会った時からずっとマーガレットお嬢様が好きでした。彼女を守りたくて……商人になったんです。お願いです。俺にマーガレットお嬢様を口説く許可を下さい」
「お前は、平民だ」
「必要なら爵位を用意します!」
必死で訴える。金で用意できるものならなんでも用意してやる!
「……この国の爵位に、マークが汗水垂らして稼いだ金を出す価値はない」
公爵様が微かな笑みを浮かべた。ルーク様が悔しそうに口を開く。
「マーガレットは貴族に向いてない。お前が一生マーガレットしか愛さないと誓うのなら、我らの至宝を譲ってやる。ただし、マーガレットがお前を認めたら。だ。私は全力で邪魔させてもらう。少なくとも、現実の見えてない能天気な男よりお前の方が数倍良い。もう一人、良い候補がいたのだが……諦めるそうだ」
「……は……え……?」
なんで俺、簡単に認められてんの?!
もう一人の候補って、ダニエルさんだよな?!
「なんだその間抜けな顔は。凄腕商人ではなかったのか? 我が家より多くの資産を持ち、マーガレットの事を第一に考え、体を鍛えていて頭もいい。なにより、マーガレット以外の女性に一切靡かない。条件としては充分だろう。さっさと口説け。マーガレットは婚約破棄で良い。破棄なら、違約金を求められる。強欲な王家はすんなり婚約破棄を受け入れるだろうよ。もちろんお前が違約金を払ってくれるんだろう? 独立すれば、マーガレットの価値が上がって手に入らなくなるぞ」
「……かしこまりました。全力でやらせて頂きます。違約金も、もちろん私が払います。ハリソン家の至宝を手に入れる為なら、全財産を払っても構いません。金はまた、稼げば良いのですから」
「そうか。潔いな。よし、今度マーガレットも交えて夕食でもどうだ?」
「喜んで」
……俺は商人だ。目の前の宝石を逃すほど愚かじゃない。
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