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第3章 公爵令嬢の選択
第21話 アデルとの再会
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「以上が商人街で起きた出来事っす」
レスティア邸に戻り、本日あった出来事を報告しあう私たち。
フィーリアの話が終わると、ヴィレッタが神妙な顔つきで囁いた。
「そういえば、わたくしを側室にと発表した謁見の間にて、ルインズベリー公爵家当主のエクベルト様はお見かけしませんでした」
「エクベルトとはどのような人物だ?」
と、リョウが訊く。
ヴィレッタとエマさんが知っているが、口を開くのに戸惑っていると、フィーリアがならばと代わりに答えた。
「典型的な宰相の腰巾着っすね。
汚れ仕事は概ねエクベルト公爵が絡んでると思っていいっす。
資金源は商業ギルドっす。そこから実行犯が雇われ、金が宰相に流れ、私利私欲に消えているっす」
「その人物を最近誰も見てないか。
考えられるのは病気だけど、それなら公表してないのはおかしいかな?」
「何かあったと見るべきか。意図的に姿を隠しているのか、それとも……」
私の発言に、顎に手を当ててリョウが思考する。
「ごちゃごちゃ言ってないで、ルインズベリー家に行けばいいんじゃないの?
シャルロッテっていうのに頼めばよくない?
その子は友好的で真面目な子なんでしょ?
ポールが怪しいんだし、探りをいれるべきでしょ」
ベレニスの言葉に、ヴィレッタが首を横に振る。
「家同士の交流はありませんので、お誘いがなければ難しいです。
それにシャルロッテ様も兄君のポール様も、わたくしの暗殺を目論むとは思えません」
ヴィレッタの言葉に、後ろで控えるエマさんもコクリと頷く。
「結論はともかく、ルインズベリー家を調べるのは賛成だ。ジーニアと接触していたなら尚更だ」
「リョウの言う通りかな。
ヴィレッタ、明日学校が終わったらシャルロッテ様にお願いして、ルインズベリー家に連れて行ってもらうように頼んでくれる?」
私の言葉にヴィレッタは戸惑いながらも頷いた。
「オルガさんとも腹を割って話したい。
俺はオルガさんには世話になっているし信用されていると思う。
そっちは任せてくれ」
そう言うリョウの表情は、どことなく沈んでいた。
同じアランの傭兵であるオルガの行動と、初耳である彼の過去が、どうにも腑に落ちない心境のようだった。
それからお風呂と夕飯を済まし、寝る前の読書をしているヴィレッタの護衛をリョウとベレニスに任せ、私はフィーリアに連れられて中庭へ出た。
「何?ヴィレッタに聞かれたくない話って」
フィーリアはきょろきょろして、誰もいないかを確認すると声を潜めて話す。
そして語る。先程の話し合いで語らなかった魔女ディアナと元冒険者の商人ヘクターが王都で店を出し、王女生存説の噂を出した当事者であると。
フィーリアはこの国を民が過ごしやすくすることを条件に、2人がこれ以上の動きをしないと約束させたことを。
「勝手に約束してしまい申し訳ないっす」
「ううん、フィーリアだからこそできた交渉だと思う。
できたらノエルのことももう少し詳しく教えてもらいたいけど望み薄かなあ~。
でもディアナさんとはまたお喋りしたいと思ってたし、ヴィレッタの件が落ち着いたら会ってみようかな」
「ローゼさんて、本当に変わってるっすね。
王女にしたらあっという間に国が滅びそうなお人好しっす」
それ、褒めてんのか?
夜風が少し冷たくなって身体に凍みる。
そろそろ部屋に戻ろうかとした時だ。
馬の嘶きと馬蹄が響き、ラシルが馬上から、やあ、と胡散臭そうな笑顔で手を振ってきた。
「これはラシル殿下。夜分遅くに御足労お疲れ様です」
一応王族だし、恭しくスカートの袖を摘んで挨拶する。
「こっちはあれから、ヴィレッタさんへの襲撃はないっす。そっちは何かわかったっすか?」
ヒラリと馬から降りるラシルに、怯むことなくフィーリアが訊く。
「フフ、そうだね。夜も遅いし、女性ばかりいるレスティア邸に入ると、逢瀬を疑われるかも知れない。
ここで用を済ますとしよう」
いやいや、女性ばかりのレスティア邸では、リョウが居心地悪そうにしてるし、多分リョウは喜ぶと思うぞ。
「それに用件は君たち護衛者にだからね。
例の教会でヴィレッタ・レスティア公爵令嬢を襲った連中の身元さ。
結論を告げるとバネッサ・トリトリンではなかった。
元トリトリン家の使用人複数に確認したが、顔貌がまるで違うという事だ」
フィーリアがディアナさんから教えられていたが、これで確定か。
ジーニアが私たちを騙していたのは。
「ちなみに、何故襲撃者の1人がバネッサと思われたのかと疑問に思う人もいてね。
その通りだと冒険者ギルドに依頼を出した経緯から調べてみたら、なんと元々依頼を出してすらいなかった」
「え!それって⁉」
「誰かが勝手に掲示板に貼っていたのが有力だね。
何故そんなことをしたのか、目的は何か皆目見当がつかない。
君たちに心当たりはあるかい?」
ここでジーニアの存在を伝えるべきであろうか?
そもそも教会関係者とはジーニア以外と喋ってもいないし、依頼に関するやり取りやバネッサが襲撃者だと嘘を吹き込んだのは彼女だ。
休戦は反故されたと見るべきか。
だが、と思い留まる。
それが嘘であろうと、ジーニアがいなければヴィレッタは襲撃され、命を落としていた可能性が高い。
ジーニアの目的が、ヴィレッタが生存している事で王派と宰相派の争いが激化するだったとしても、だ。
私は首を横に振った。
「そうか、では失礼する。ヴィレッタ公爵令嬢にはよろしくと伝えてくれ」
「ラシル様。貴方様も王族の身。夜分遅く1人で移動するのは如何なことかと」
「ハハハ、ありがとうローゼさん。だが心配は無用。
僕の命に狙われる価値は微塵もないからね」
馬上でウィンクするラシル。
やっぱりこいつ、昔からのカッコつけは直ってないのか。
「そうそう、もう一つ。
バネッサ・トリトリンは8年前にすでに死亡していたよ。
病死でね、享年15歳だそうだ。
ハハハ、本当は今すぐ教会に乗り込みたいが決め手がないと宗教は厄介でね。では!」
今度こそラシルが踵を返して馬で去る。
「ジーニアって偽シスター、食わせものだったっすねえ。
端からローゼさんらを、ヴィレッタさんの護衛に就かせるために、策を練っていたと考えるほうが無難だったっす。
まあ、乗るしかない策に引っ掛かったのは仕方ないっすが……」
「うん。癪だけどヴィレッタが生きていてほしいって点は共通している。
後はヴィレッタの命を狙ってる黒幕を暴くだけね」
問題はそれが誰なのかだが。ヴィレッタが消えて得をするのは、王がレスティア公爵領を自由に使えるのを恐れる人物が一番手で考えていいだろう。
その候補はジーニアが告げた宰相テスタ・シャイニングなのは間違いない。
「ローゼ様、フィーリア様、そろそろ中へお入り下さい。温かい紅茶をご用意してあります」
エマさんが玄関に現れてお辞儀をしてくる。
う~ん。これぞ完璧なザ、メイドって感じだなあ。
私がエマさんを専属メイドにしたら堕落しちゃうかも。
エマさんに言われて中へと入ろうとするその時、馬蹄の音がした。
ラシルまだ何か用か?と思って振り向き、視界に入った人物を見て私の心臓がドクンと鳴る。
ヴィレッタやシャルロッテ、ラシルよりも私の正体にもっとも気づきそうな人物がそこにいた。
巨漢で熊のような大男だ。
その巨体に似つかわしくない、クリクリっとした可愛らしい瞳。
大陸七剣神に名を連ねているベルガー王国軍人アデル・アーノルド。
父が最も信頼し常に側に置いた親衛隊長職として、王女だった私と最も多く接した人物であり、あの惨劇の日、私と共に魔女ディルと会い記憶を塗り替えられてしまった人物。
私は全身が震えそうになるのを必死で耐えた。
アデルは私の前に来ると、馬から降りて頭を下げてくる。
「夜分遅く申し訳ない。ヴィレッタ・レスティア公爵令嬢はおられるかな?
儂の名前はアデル・アーノルドと申します」
私はドギマギしながらエマさんに振り向く。
「お待ち下さい。主に確認をいたしますので」
エマさんは1分もかからぬうちに戻ってきて、どうぞこちらへとアデルを案内し、私もフィーリアもついていった。
レスティア邸に戻り、本日あった出来事を報告しあう私たち。
フィーリアの話が終わると、ヴィレッタが神妙な顔つきで囁いた。
「そういえば、わたくしを側室にと発表した謁見の間にて、ルインズベリー公爵家当主のエクベルト様はお見かけしませんでした」
「エクベルトとはどのような人物だ?」
と、リョウが訊く。
ヴィレッタとエマさんが知っているが、口を開くのに戸惑っていると、フィーリアがならばと代わりに答えた。
「典型的な宰相の腰巾着っすね。
汚れ仕事は概ねエクベルト公爵が絡んでると思っていいっす。
資金源は商業ギルドっす。そこから実行犯が雇われ、金が宰相に流れ、私利私欲に消えているっす」
「その人物を最近誰も見てないか。
考えられるのは病気だけど、それなら公表してないのはおかしいかな?」
「何かあったと見るべきか。意図的に姿を隠しているのか、それとも……」
私の発言に、顎に手を当ててリョウが思考する。
「ごちゃごちゃ言ってないで、ルインズベリー家に行けばいいんじゃないの?
シャルロッテっていうのに頼めばよくない?
その子は友好的で真面目な子なんでしょ?
ポールが怪しいんだし、探りをいれるべきでしょ」
ベレニスの言葉に、ヴィレッタが首を横に振る。
「家同士の交流はありませんので、お誘いがなければ難しいです。
それにシャルロッテ様も兄君のポール様も、わたくしの暗殺を目論むとは思えません」
ヴィレッタの言葉に、後ろで控えるエマさんもコクリと頷く。
「結論はともかく、ルインズベリー家を調べるのは賛成だ。ジーニアと接触していたなら尚更だ」
「リョウの言う通りかな。
ヴィレッタ、明日学校が終わったらシャルロッテ様にお願いして、ルインズベリー家に連れて行ってもらうように頼んでくれる?」
私の言葉にヴィレッタは戸惑いながらも頷いた。
「オルガさんとも腹を割って話したい。
俺はオルガさんには世話になっているし信用されていると思う。
そっちは任せてくれ」
そう言うリョウの表情は、どことなく沈んでいた。
同じアランの傭兵であるオルガの行動と、初耳である彼の過去が、どうにも腑に落ちない心境のようだった。
それからお風呂と夕飯を済まし、寝る前の読書をしているヴィレッタの護衛をリョウとベレニスに任せ、私はフィーリアに連れられて中庭へ出た。
「何?ヴィレッタに聞かれたくない話って」
フィーリアはきょろきょろして、誰もいないかを確認すると声を潜めて話す。
そして語る。先程の話し合いで語らなかった魔女ディアナと元冒険者の商人ヘクターが王都で店を出し、王女生存説の噂を出した当事者であると。
フィーリアはこの国を民が過ごしやすくすることを条件に、2人がこれ以上の動きをしないと約束させたことを。
「勝手に約束してしまい申し訳ないっす」
「ううん、フィーリアだからこそできた交渉だと思う。
できたらノエルのことももう少し詳しく教えてもらいたいけど望み薄かなあ~。
でもディアナさんとはまたお喋りしたいと思ってたし、ヴィレッタの件が落ち着いたら会ってみようかな」
「ローゼさんて、本当に変わってるっすね。
王女にしたらあっという間に国が滅びそうなお人好しっす」
それ、褒めてんのか?
夜風が少し冷たくなって身体に凍みる。
そろそろ部屋に戻ろうかとした時だ。
馬の嘶きと馬蹄が響き、ラシルが馬上から、やあ、と胡散臭そうな笑顔で手を振ってきた。
「これはラシル殿下。夜分遅くに御足労お疲れ様です」
一応王族だし、恭しくスカートの袖を摘んで挨拶する。
「こっちはあれから、ヴィレッタさんへの襲撃はないっす。そっちは何かわかったっすか?」
ヒラリと馬から降りるラシルに、怯むことなくフィーリアが訊く。
「フフ、そうだね。夜も遅いし、女性ばかりいるレスティア邸に入ると、逢瀬を疑われるかも知れない。
ここで用を済ますとしよう」
いやいや、女性ばかりのレスティア邸では、リョウが居心地悪そうにしてるし、多分リョウは喜ぶと思うぞ。
「それに用件は君たち護衛者にだからね。
例の教会でヴィレッタ・レスティア公爵令嬢を襲った連中の身元さ。
結論を告げるとバネッサ・トリトリンではなかった。
元トリトリン家の使用人複数に確認したが、顔貌がまるで違うという事だ」
フィーリアがディアナさんから教えられていたが、これで確定か。
ジーニアが私たちを騙していたのは。
「ちなみに、何故襲撃者の1人がバネッサと思われたのかと疑問に思う人もいてね。
その通りだと冒険者ギルドに依頼を出した経緯から調べてみたら、なんと元々依頼を出してすらいなかった」
「え!それって⁉」
「誰かが勝手に掲示板に貼っていたのが有力だね。
何故そんなことをしたのか、目的は何か皆目見当がつかない。
君たちに心当たりはあるかい?」
ここでジーニアの存在を伝えるべきであろうか?
そもそも教会関係者とはジーニア以外と喋ってもいないし、依頼に関するやり取りやバネッサが襲撃者だと嘘を吹き込んだのは彼女だ。
休戦は反故されたと見るべきか。
だが、と思い留まる。
それが嘘であろうと、ジーニアがいなければヴィレッタは襲撃され、命を落としていた可能性が高い。
ジーニアの目的が、ヴィレッタが生存している事で王派と宰相派の争いが激化するだったとしても、だ。
私は首を横に振った。
「そうか、では失礼する。ヴィレッタ公爵令嬢にはよろしくと伝えてくれ」
「ラシル様。貴方様も王族の身。夜分遅く1人で移動するのは如何なことかと」
「ハハハ、ありがとうローゼさん。だが心配は無用。
僕の命に狙われる価値は微塵もないからね」
馬上でウィンクするラシル。
やっぱりこいつ、昔からのカッコつけは直ってないのか。
「そうそう、もう一つ。
バネッサ・トリトリンは8年前にすでに死亡していたよ。
病死でね、享年15歳だそうだ。
ハハハ、本当は今すぐ教会に乗り込みたいが決め手がないと宗教は厄介でね。では!」
今度こそラシルが踵を返して馬で去る。
「ジーニアって偽シスター、食わせものだったっすねえ。
端からローゼさんらを、ヴィレッタさんの護衛に就かせるために、策を練っていたと考えるほうが無難だったっす。
まあ、乗るしかない策に引っ掛かったのは仕方ないっすが……」
「うん。癪だけどヴィレッタが生きていてほしいって点は共通している。
後はヴィレッタの命を狙ってる黒幕を暴くだけね」
問題はそれが誰なのかだが。ヴィレッタが消えて得をするのは、王がレスティア公爵領を自由に使えるのを恐れる人物が一番手で考えていいだろう。
その候補はジーニアが告げた宰相テスタ・シャイニングなのは間違いない。
「ローゼ様、フィーリア様、そろそろ中へお入り下さい。温かい紅茶をご用意してあります」
エマさんが玄関に現れてお辞儀をしてくる。
う~ん。これぞ完璧なザ、メイドって感じだなあ。
私がエマさんを専属メイドにしたら堕落しちゃうかも。
エマさんに言われて中へと入ろうとするその時、馬蹄の音がした。
ラシルまだ何か用か?と思って振り向き、視界に入った人物を見て私の心臓がドクンと鳴る。
ヴィレッタやシャルロッテ、ラシルよりも私の正体にもっとも気づきそうな人物がそこにいた。
巨漢で熊のような大男だ。
その巨体に似つかわしくない、クリクリっとした可愛らしい瞳。
大陸七剣神に名を連ねているベルガー王国軍人アデル・アーノルド。
父が最も信頼し常に側に置いた親衛隊長職として、王女だった私と最も多く接した人物であり、あの惨劇の日、私と共に魔女ディルと会い記憶を塗り替えられてしまった人物。
私は全身が震えそうになるのを必死で耐えた。
アデルは私の前に来ると、馬から降りて頭を下げてくる。
「夜分遅く申し訳ない。ヴィレッタ・レスティア公爵令嬢はおられるかな?
儂の名前はアデル・アーノルドと申します」
私はドギマギしながらエマさんに振り向く。
「お待ち下さい。主に確認をいたしますので」
エマさんは1分もかからぬうちに戻ってきて、どうぞこちらへとアデルを案内し、私もフィーリアもついていった。
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