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第1章 復讐の魔女

第13話 衝撃の占い結果

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 ちょうど晩飯時であったギルド内の酒場は混雑していた。
 美味しそうな料理の匂いが鼻をくすぐるので、お腹の虫が騒ぎだす。

「報告済ませたら食事にしよ?
 今日の宿も決めないとね」

 涎垂らしているベレニスの背中を押しつつ、受付嬢の所まで行く。
 ギルドマスターのバルドさんをすぐ呼んでくれて、ロック鳥や教会内の人骨に魔法陣の件を話してゆく。

「ほう、ロック鳥が餌付けされてたとは。
 ……その件はこちらで探っておきましょう。
 では報酬の小金貨3枚です。
 どうぞお受け取りください。
 またの依頼受注をお待ちしております」

 小金貨を受け取り、ご満悦のベレニス。

「なに食べよっかなあ♪なに買おっかなあ♪
 ねえローゼ、何食べる?
 傭兵も仕方ないから付いてきてもいいわよ」

 ベレニスはウキウキしながら、私の腕を引っ張ってくる。

 そういやディアナさんはいるかな?と酒場を見回す。

 いた!薄紫色の巻き毛の髪に、長袖のフード付きのローブを羽織った、大人の魅力に溢れた美女。

 彼女はこちらの視線に気付いたのか、空いている席を指差した。

「無事に、私の占い料を払える額を手に入れたみたいね。
 ふふ、初仕事お疲れさま。
 さあ、座って。食事を食べながら占いをしてあげるわ」

 酒場の店員に注文をしつつ、ディアナさんの対面の席に座ってゆく。
 ステーキ肉を頬張る私を、微笑みながら覗くディアナさん。

「それじゃあ占いの結果ね。
 ローゼちゃんの両親を殺害した黒髪の魔女と思しき女性。
 武器は漆黒の剣だったわね」
「はい、そうです」

 ゴクリと唾を飲む。

「剣を持つ魔女はそこそこいるけど、黒髪となると限られてくるわね。
 知名度ある人物で、そのような容姿をしているのは存在しないわ」
「そうです……か」

 せっかく希望が見えてきたと思ったのに……
 私は肩を落としてしまう。

「フフ、今のは世間に流布されている噂話での話。
 私の占いはこれからよ」

 ディアナさんは水晶球に両手をかざし、瞑想しながら言葉を紡ぐ。
 その瞬間、水晶球は赤く光り輝く。

「……あらあら」
「え?どうしたんですか?」

 ディアナさんの呟きに、思わず身を乗り出してしまう。
 皆も食事の手を止めて、彼女を見る。

 彼女は水晶球を覗くと……

「その者の名前は、ノエル・クロウエム。
 既に死亡してるわね」
「え……?」

 死んでいる?
 それじゃあ何故私の両親を殺したのか、理由がわからないままじゃないか……

 絶望する私にディアナさんは言葉を続ける。

「占いでは死に方まではわからないけど、十年前には亡くなっているわね。
 ……ローゼちゃんの両親を殺した直後に死んでしまったのかしら?」
「そんな!……ノエルという人がどう生きてどう思い、何故私の父と母を殺したのかというのはわからないんですか?」
「時が経ちすぎてるから無理ね。
 ……ごめんなさい」

 ディアナさんは申し訳なさそうに頭を下げる。

 私が十年間もわからなかった、両親を殺した魔女の名前と死亡していた事実の判明。
 希望が見えたと思ったら、絶望に叩き落とされるという目まぐるしさだ。

 私はテーブルに突っ伏してしまった……
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