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第32話 ファーストキスは誰に捧げますか?
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私、リーシャ・リンベルは夢を見た。
いや、見ているのかもしれない。
かつての神々の1人として、地上を眺めている自分の姿。
周りにいる仲間である神々は、私を見て奇異な視線を向けてくる。
地上は暗雲立ち込める暗黒の世界だった。
人は争いしか生まず、その欲はあらゆるものを歪めていく。
魔獣は人を餌としてしか見ていなかった。
世界とはそういうものなのかと諦めていたその時だった。
1人の少女が、魔獣に襲われた人々を助けたが、魔力切れを起こしたその少女に、助けられた人々が身ぐるみ剥がして殺そうとする姿が目に映った。
駄目!助けなきゃ!
私はその少女を助けるために神々の世界から飛び出した。
飛び出した私に、後の上沢恵=イワンが止めようとしてきた手を振り払って。
神々の世界から飛び出す瞬間、私の心には恐れと期待が入り混じった気持ちだった。
未知の世界へ足を踏み入れる不安と、新たな可能性への興奮が胸の中で渦巻いていた。
少女と出会った瞬間、私の運命が大きく変わることを直感的に感じ取ったのであった。
地上に降りた私は少女を助けた。
「貴方様は一体?」
銀色の長い髪の幼き少女に、私は名乗る。
「え~っと、神ってやつ?」
「神!こんな世界を生み出した元凶⁉」
「わわ、ちょっと待って!私は人間の味方!
世界を良くしたいと願う人の味方だから!」
私は必死になって、その少女に自身の存在を伝えた。
「ならば約束してくださいませ。
私と一緒に、この世界を創造して放置した神々を屠ると」
少女の暗い瞳に、私は思わず頷いた。
この少女の側にいてあげないと。
そんな思いにかられながら、私は少女と行動を共にするのであった。
***
そして、夢は覚めた。
私の目に飛び込んできたのは、見知らぬ天井だった。
あれ?私何してたんだっけ?
たしか……イワンたちとアンゼリカちゃんを召喚して、その後で神々が干渉してきたんだよね?
それで……どうなったんだっけか?
まだ頭がボーッとするし、体もだるいなあ。
目を覚ました時、私の体は重く、まるで長い眠りから覚めたかのようだった。
筋肉が鈍く痛み、頭の中はまだ靄がかったままだ。
しかし、徐々に記憶が蘇ってくるにつれ、これは魔力を使い果たした後の疲労感だと気づいた。
あ!そうだ!みんなは⁉
私は重い体を必死に起こし、周りを見回す。
ここは……王宮かな?
私が横になっているベッドの横で、椅子に座ってうたた寝している美少女がそこにいた。
アンゼリカちゃんだ!
あ!そうか! 神々の干渉を封じるために、魔力を使いすぎたんだっけか?
それで寝てたんだっけ。
彼女の姿を見た瞬間、懐かしさと安心感が私を包み込んだ。
長い年月を共に過ごした仲間であり、最も信頼できる存在。
彼女の存在が、私の中の不安を少しずつ和らげていくのを感じた。
アンゼリカちゃんを起こそうとして、倒れる前に言われた言葉を思い出す。
『ちゃんとファーストキスの相手を選ばないと駄目ですよ?
ちなみに私も候補ですからね』
……起こすのを止めて考えねばなるまい。
断片的だった記憶が、パズルのピースのようにゆっくりと組み合わさっていく。
アンゼリカちゃんとの出会い、世界を変えようとした日々、そして転生を選んだ瞬間。
それらの記憶が、現在の私の意識と融合していく感覚に、私は戸惑いと懐かしさを感じた。
さて、魔王だった前前世の私はアンゼリカちゃんと旅を続け、この世界での争いや魔獣たちが人を理由なく襲うことに叱り続けた。
無論、人が魔獣を襲うことにもだ。
旅路の果てに、私はいつの間にか魔王と呼ばれる存在となった。
人々も魔獣も、私を畏怖し、尊敬し、そして恐れた。
アンゼリカちゃんは私の力を浴び続けた影響なのか、見た目の成長が止まってしまい、不老不死の存在となった。
う~ん、忙しすぎてファーストキスどころか恋愛する暇がなかった感じだねえ、前前世の私。
ただ、平和になった世界で人々が愛し愛される姿を見て、恋愛に憧れを抱いたのは事実だ。
だから私は勇者が現れた時にこう思ったんだ。
『平和な世界で、素敵な人と恋をしたいな』
だから勇者として私を倒しに来たあの子の説得にも応じず、私が死んだらアンゼリカちゃんたちがどうなるのかも想像せず、身勝手に我儘に、転生したいと願ってしまったんだ。
そう考えると本当に無責任だなあ……私ってばさ。
「う~ん」
あ、ヤバ。アンゼリカちゃんが目を醒ましちゃった。
「どうかしましたか?リーシャ様」
「いや……ちょっと岩下真帆の人生が可哀想すぎて。私じゃなくって別の魂が岩下真帆だったら絶対普通に生きていたと思ってさあ」
なんか泣きそうになってきたよ。
「魔王だった頃の感覚が戻った今だからわかる。
あの日、岩下真帆が死ななければ、神々は地球を滅ぼしていたと思う。
理由は異物が混じった世界の浄化とか言ってさ。
私も元は神々ってのだったから、他の神々の言い分もわからなくはないけど、それでもね」
私は思わず涙を零した。
そんな私をアンゼリカちゃんが優しく抱きしめてくれた。
「ごめん。私を殺す決断をさせちゃって。
アンゼリカちゃんと勇者……イワンに酷い決断をさせちゃった」
「いいのです。私も騙していて申し訳ありませんでした」
このままずっと抱きついていたいなあって思ってると、アンゼリカちゃんが耳元に囁いてくる。
「それでファーストキスの相手は私でよろしいのですよね?」
⁉
完全に忘れてたけど、それが問題だったんだよね⁉
「ちょ、ちょっと待って!今考えをまとめるから!」
8人の候補者それぞれに、私の心は揺れ動く。
それぞれの魅力と、共に過ごした時間の思い出が次々と蘇ってくる。
アンゼリカちゃんから考えるぞ。
アンゼリカちゃんの銀色の髪が柔らかく揺れる様子や、大きな瞳に宿る知性と優しさ。
何百年も私の側にいてくれた彼女の存在は、心の奥底に安らぎをもたらす。
その小さな体に秘められた強さと献身に、私は何度も助けられてきたのだ。
ボリスはどうかな?
ボリスとマラソンした時の姿が蘇る。
その純粋な肉体と純情は、私の心を強く打った。
彼の真っ直ぐな性格は、この複雑な世界で貴重な宝石のように輝いている。
次にフェリクスだ。
フェリクスの冷静な分析力と洞察力は、私にない才能だ。
彼が問題を考えている過程を見ていると、自分も成長したいという気持ちが湧いてくる。
その知性は、私の心を刺激し、新たな可能性を見せてくれる。
そしてユリウスだ。
ユリウスの熱意あふれる行動力は、時に周囲を巻き込んでしまうこともある。
でも、その純粋さと決意の強さは、私の心を揺さぶる。
彼の姿を見ていると、自分も何かのために全力で走りたくなる。
さらにニコライだ。
ニコライの真摯な態度と深い思慮深さは、私に安心感を与えてくれる。
彼の存在は、この不安定な世界の中で、揺るぎない支えとなっている。
その誠実さは、私の心の奥底にある不安を少しずつ溶かしていく。
それからソフィアだ。
ソフィアの優雅な立ち振る舞いと、時折見せる愛らしい一面。
その魅力は、私の心を掻き立てる。
彼女の愛情表現は時に大胆だが、その純粋さに心が震える。
ソフィアとの時間は、まるで別世界に迷い込んだかのような感覚だ。
そんでもってカリーナだ。
カリーナの明るさは、私の心の闇を照らしてくれる。
彼女のユーモアセンスと、時折見せる鋭い洞察力のギャップに、私は何度も救われてきた。
カリーナとの関係は、単なる友情を超えた、魂の繋がりのように感じる。
最後にイワンだ。
イワンの存在は、私の中で最も複雑な感情を呼び起こす。
前世での因縁、そして現世での新たな関係。
彼の中に宿る女性性と男性性の融合は、私の心を惹きつけてやまない。
イワンとの関係は、過去と現在、そして未来を繋ぐ架け橋のようだ。
イワンを考えると、前世での因縁と現世での新たな絆を感じずにはいられない。
彼の中に宿る複雑さに、私は引き寄せられると同時に、どこか警戒心も感じる。
この矛盾した感情こそが、イワンとの関係の本質なのかもしれない。
あれ?
この8人から1人しか選べないの⁉
みんなの顔が頭に浮かぶ。
それぞれに魅力があり、それぞれに大切な存在だ。
1人を選ぶことは、他の7人を失うことになるのかもしれないってことよね?
う~ん、よし!決めたぞ!
私は決意を固めて顔を上げた。
「リーシャ様、私に決めたのですか?」
目を輝かせてアンゼリカちゃんが言うけど、私はこう返すのだ。
「うん!決めたよ。
私は……今は眠いから寝る!」
布団をガバッと被った私を見て、アンゼリカちゃんが魔法をブッパしてきたのであったとさ♪
逃げてるわけじゃないから!
みんなのことをもっと知りたいし、自分の気持ちもしっかり確かめたいんだよ~。
それが、みんなに対する私の誠意だと思うから、さ。
こうして私の、リーシャ・リンベルとしての、前前世と前世を気にしない新たな人生がスタートしたのであった。
魔法障壁でアンゼリカちゃんの攻撃を防ぎつつ、布団を被りながら、私は新たな人生への期待と不安を感じていた。
過去の記憶を持ちながらも、これからは自分の意思で人生を歩んでいける。
その喜びと同時に、責任の重さも感じずにはいられない。
しかし、アンゼリカちゃんや仲間たちの存在が、私に勇気を与えてくれる。この新たな人生が、どんな展開を見せるのか。
布団の中で、私は静かに微笑んだ。
これからの人生は、私自身の選択で作り上げていける。
その自由と責任に、胸が高鳴る。アンゼリカちゃんや仲間たちと共に歩む未来が、今はとても眩しく感じられた。
ファーストキスの相手を決めるのは、まだ先のことだ。
でも、その選択に向かって歩んでいく過程こそが、私の新たな冒険なのかもしれない。
その思いに、私は密かにワクワクしていた。
いや、見ているのかもしれない。
かつての神々の1人として、地上を眺めている自分の姿。
周りにいる仲間である神々は、私を見て奇異な視線を向けてくる。
地上は暗雲立ち込める暗黒の世界だった。
人は争いしか生まず、その欲はあらゆるものを歪めていく。
魔獣は人を餌としてしか見ていなかった。
世界とはそういうものなのかと諦めていたその時だった。
1人の少女が、魔獣に襲われた人々を助けたが、魔力切れを起こしたその少女に、助けられた人々が身ぐるみ剥がして殺そうとする姿が目に映った。
駄目!助けなきゃ!
私はその少女を助けるために神々の世界から飛び出した。
飛び出した私に、後の上沢恵=イワンが止めようとしてきた手を振り払って。
神々の世界から飛び出す瞬間、私の心には恐れと期待が入り混じった気持ちだった。
未知の世界へ足を踏み入れる不安と、新たな可能性への興奮が胸の中で渦巻いていた。
少女と出会った瞬間、私の運命が大きく変わることを直感的に感じ取ったのであった。
地上に降りた私は少女を助けた。
「貴方様は一体?」
銀色の長い髪の幼き少女に、私は名乗る。
「え~っと、神ってやつ?」
「神!こんな世界を生み出した元凶⁉」
「わわ、ちょっと待って!私は人間の味方!
世界を良くしたいと願う人の味方だから!」
私は必死になって、その少女に自身の存在を伝えた。
「ならば約束してくださいませ。
私と一緒に、この世界を創造して放置した神々を屠ると」
少女の暗い瞳に、私は思わず頷いた。
この少女の側にいてあげないと。
そんな思いにかられながら、私は少女と行動を共にするのであった。
***
そして、夢は覚めた。
私の目に飛び込んできたのは、見知らぬ天井だった。
あれ?私何してたんだっけ?
たしか……イワンたちとアンゼリカちゃんを召喚して、その後で神々が干渉してきたんだよね?
それで……どうなったんだっけか?
まだ頭がボーッとするし、体もだるいなあ。
目を覚ました時、私の体は重く、まるで長い眠りから覚めたかのようだった。
筋肉が鈍く痛み、頭の中はまだ靄がかったままだ。
しかし、徐々に記憶が蘇ってくるにつれ、これは魔力を使い果たした後の疲労感だと気づいた。
あ!そうだ!みんなは⁉
私は重い体を必死に起こし、周りを見回す。
ここは……王宮かな?
私が横になっているベッドの横で、椅子に座ってうたた寝している美少女がそこにいた。
アンゼリカちゃんだ!
あ!そうか! 神々の干渉を封じるために、魔力を使いすぎたんだっけか?
それで寝てたんだっけ。
彼女の姿を見た瞬間、懐かしさと安心感が私を包み込んだ。
長い年月を共に過ごした仲間であり、最も信頼できる存在。
彼女の存在が、私の中の不安を少しずつ和らげていくのを感じた。
アンゼリカちゃんを起こそうとして、倒れる前に言われた言葉を思い出す。
『ちゃんとファーストキスの相手を選ばないと駄目ですよ?
ちなみに私も候補ですからね』
……起こすのを止めて考えねばなるまい。
断片的だった記憶が、パズルのピースのようにゆっくりと組み合わさっていく。
アンゼリカちゃんとの出会い、世界を変えようとした日々、そして転生を選んだ瞬間。
それらの記憶が、現在の私の意識と融合していく感覚に、私は戸惑いと懐かしさを感じた。
さて、魔王だった前前世の私はアンゼリカちゃんと旅を続け、この世界での争いや魔獣たちが人を理由なく襲うことに叱り続けた。
無論、人が魔獣を襲うことにもだ。
旅路の果てに、私はいつの間にか魔王と呼ばれる存在となった。
人々も魔獣も、私を畏怖し、尊敬し、そして恐れた。
アンゼリカちゃんは私の力を浴び続けた影響なのか、見た目の成長が止まってしまい、不老不死の存在となった。
う~ん、忙しすぎてファーストキスどころか恋愛する暇がなかった感じだねえ、前前世の私。
ただ、平和になった世界で人々が愛し愛される姿を見て、恋愛に憧れを抱いたのは事実だ。
だから私は勇者が現れた時にこう思ったんだ。
『平和な世界で、素敵な人と恋をしたいな』
だから勇者として私を倒しに来たあの子の説得にも応じず、私が死んだらアンゼリカちゃんたちがどうなるのかも想像せず、身勝手に我儘に、転生したいと願ってしまったんだ。
そう考えると本当に無責任だなあ……私ってばさ。
「う~ん」
あ、ヤバ。アンゼリカちゃんが目を醒ましちゃった。
「どうかしましたか?リーシャ様」
「いや……ちょっと岩下真帆の人生が可哀想すぎて。私じゃなくって別の魂が岩下真帆だったら絶対普通に生きていたと思ってさあ」
なんか泣きそうになってきたよ。
「魔王だった頃の感覚が戻った今だからわかる。
あの日、岩下真帆が死ななければ、神々は地球を滅ぼしていたと思う。
理由は異物が混じった世界の浄化とか言ってさ。
私も元は神々ってのだったから、他の神々の言い分もわからなくはないけど、それでもね」
私は思わず涙を零した。
そんな私をアンゼリカちゃんが優しく抱きしめてくれた。
「ごめん。私を殺す決断をさせちゃって。
アンゼリカちゃんと勇者……イワンに酷い決断をさせちゃった」
「いいのです。私も騙していて申し訳ありませんでした」
このままずっと抱きついていたいなあって思ってると、アンゼリカちゃんが耳元に囁いてくる。
「それでファーストキスの相手は私でよろしいのですよね?」
⁉
完全に忘れてたけど、それが問題だったんだよね⁉
「ちょ、ちょっと待って!今考えをまとめるから!」
8人の候補者それぞれに、私の心は揺れ動く。
それぞれの魅力と、共に過ごした時間の思い出が次々と蘇ってくる。
アンゼリカちゃんから考えるぞ。
アンゼリカちゃんの銀色の髪が柔らかく揺れる様子や、大きな瞳に宿る知性と優しさ。
何百年も私の側にいてくれた彼女の存在は、心の奥底に安らぎをもたらす。
その小さな体に秘められた強さと献身に、私は何度も助けられてきたのだ。
ボリスはどうかな?
ボリスとマラソンした時の姿が蘇る。
その純粋な肉体と純情は、私の心を強く打った。
彼の真っ直ぐな性格は、この複雑な世界で貴重な宝石のように輝いている。
次にフェリクスだ。
フェリクスの冷静な分析力と洞察力は、私にない才能だ。
彼が問題を考えている過程を見ていると、自分も成長したいという気持ちが湧いてくる。
その知性は、私の心を刺激し、新たな可能性を見せてくれる。
そしてユリウスだ。
ユリウスの熱意あふれる行動力は、時に周囲を巻き込んでしまうこともある。
でも、その純粋さと決意の強さは、私の心を揺さぶる。
彼の姿を見ていると、自分も何かのために全力で走りたくなる。
さらにニコライだ。
ニコライの真摯な態度と深い思慮深さは、私に安心感を与えてくれる。
彼の存在は、この不安定な世界の中で、揺るぎない支えとなっている。
その誠実さは、私の心の奥底にある不安を少しずつ溶かしていく。
それからソフィアだ。
ソフィアの優雅な立ち振る舞いと、時折見せる愛らしい一面。
その魅力は、私の心を掻き立てる。
彼女の愛情表現は時に大胆だが、その純粋さに心が震える。
ソフィアとの時間は、まるで別世界に迷い込んだかのような感覚だ。
そんでもってカリーナだ。
カリーナの明るさは、私の心の闇を照らしてくれる。
彼女のユーモアセンスと、時折見せる鋭い洞察力のギャップに、私は何度も救われてきた。
カリーナとの関係は、単なる友情を超えた、魂の繋がりのように感じる。
最後にイワンだ。
イワンの存在は、私の中で最も複雑な感情を呼び起こす。
前世での因縁、そして現世での新たな関係。
彼の中に宿る女性性と男性性の融合は、私の心を惹きつけてやまない。
イワンとの関係は、過去と現在、そして未来を繋ぐ架け橋のようだ。
イワンを考えると、前世での因縁と現世での新たな絆を感じずにはいられない。
彼の中に宿る複雑さに、私は引き寄せられると同時に、どこか警戒心も感じる。
この矛盾した感情こそが、イワンとの関係の本質なのかもしれない。
あれ?
この8人から1人しか選べないの⁉
みんなの顔が頭に浮かぶ。
それぞれに魅力があり、それぞれに大切な存在だ。
1人を選ぶことは、他の7人を失うことになるのかもしれないってことよね?
う~ん、よし!決めたぞ!
私は決意を固めて顔を上げた。
「リーシャ様、私に決めたのですか?」
目を輝かせてアンゼリカちゃんが言うけど、私はこう返すのだ。
「うん!決めたよ。
私は……今は眠いから寝る!」
布団をガバッと被った私を見て、アンゼリカちゃんが魔法をブッパしてきたのであったとさ♪
逃げてるわけじゃないから!
みんなのことをもっと知りたいし、自分の気持ちもしっかり確かめたいんだよ~。
それが、みんなに対する私の誠意だと思うから、さ。
こうして私の、リーシャ・リンベルとしての、前前世と前世を気にしない新たな人生がスタートしたのであった。
魔法障壁でアンゼリカちゃんの攻撃を防ぎつつ、布団を被りながら、私は新たな人生への期待と不安を感じていた。
過去の記憶を持ちながらも、これからは自分の意思で人生を歩んでいける。
その喜びと同時に、責任の重さも感じずにはいられない。
しかし、アンゼリカちゃんや仲間たちの存在が、私に勇気を与えてくれる。この新たな人生が、どんな展開を見せるのか。
布団の中で、私は静かに微笑んだ。
これからの人生は、私自身の選択で作り上げていける。
その自由と責任に、胸が高鳴る。アンゼリカちゃんや仲間たちと共に歩む未来が、今はとても眩しく感じられた。
ファーストキスの相手を決めるのは、まだ先のことだ。
でも、その選択に向かって歩んでいく過程こそが、私の新たな冒険なのかもしれない。
その思いに、私は密かにワクワクしていた。
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