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東に向かい飛んで行くと、やがて大山脈が見えて来る。
「光源に向かい飛んでいるのに気温が変わらんな。これはもしかすると奴かもしれんな。」
「爺さん、心当たりがあるのか?」
「おそらくじゃが、フェニックスでは無いかと思う。」
「フェニックスと言うと不死鳥と言われるあの?」
この世界そんな物まで居たんだな。そっちに驚きだよ。
「で、フェニックスと言うのは危険なのか?」
「いや、基本フェニックスは大人しい生き物じゃ。戦闘力もそれ程高くない。」
「じゃあ、放っておいても問題は無いのか?」
「いや、フェニックスの尾羽には再生の能力があると言われておる。フェニックスは何もせんが、人間がちょっかいを出すかもしれん。そうなるとちと厄介だぞ。」
なるほど、再生薬か、目の色を変える人間が出そうだな。ある意味エリクサーより高価で売れそうだ。
「しかし、フェニックスは狂暴では無いんだろう?何が厄介なんだ?」
「通常時のフェニックスは燃えているが熱くない。だが、怒ると全てを焼き尽くすと言われる高温の炎に身を纏う。」
あら、それは厄介だ。
「手を出さなければ問題が無いんだよね?って事は僕らも引き返した方が良いかな?」
「そうじゃな。お主と嬢ちゃんは戻れ。国王に話を通して置くのが良いじゃろう。下手に調査隊でも送られたら面倒じゃ。」
「解った。って、爺さんは?」
「儂は少し話をして来る。奴とは昔馴染みなのでな。」
「相変わらず顔が広いねぇ。ところでフェニックスの目的は何なんだ?」
「おそらく、子供が生まれるのじゃろう。巣作りをして卵を産み。育てて旅立つまで、3か月間と言った所じゃろう。」
「なるほど、じゃあ3か月時間を稼げば問題無しって事だね?」
「そう言う事じゃ。」
僕とルシルは爺さんと別れて、王城へと向かう。
やがて王城が見えてくると、王城前に多数の兵士が見える。これって調査隊かな?
陣頭指揮を取っている宰相の姿を見つけ、そのすぐ近くに降りる。
「これは、調査隊ですか?」
「おお、ゼルマキア卿、卿も参加して貰えんだろうか?」
「東の空が燃えている理由なら解って居ますよ。」
「なんと?」
「大山脈にフェニックスが巣を作ったようです。こちらから刺激しなければ問題はありませんよ。」
「フェニックスとは、これは陛下に知らせねば。」
そう言うと宰相は急いで王城の中へと向かった。
暫くすると陛下と宰相が姿を現した。
「フェニックスが巣を構えたと言うのは本当か?」
「はい、確認に行って来ました。」
「ところでフェニックスの尾羽が蘇生薬になると言う話はしっておるか?」
「あー、変な事は考えない方が良いですよ。フェニックスを怒らせたら、この国位一瞬で燃やし尽くされますよ?」
「お主がおってもか?」
「フェニックスの別名はご存じですよね?僕でも不死身の相手はそう簡単ではありません。」
「倒せないとは言わないんだな。」
「おそらく倒した時にはこの国は無くなってるでしょうね。」
「ふむ、宰相!全土にふれを出せ。フェニックスに手を出すなと。」
「御意。」
まあ、これで一安心かな?
それから1週間ほどは平穏無事な日々が続く。東の空が明るいのにも慣れた頃、それは起こった。
巣に籠っているはずのフェニックスが動いたのだ。竜王の爺さんが慌てて、フェニックスの元へと飛ぶ。
「どこぞの馬鹿がフェニックスの卵を盗みおったわい。儂がフェニックスを押さえられるのも数日じゃ。その間に卵を取り戻さんと大変な事になるぞ。」
おいおい。何を考えてるんだ?この国を滅亡に追い込んだら金儲けどころじゃ無いだろうに。
僕はルシル、クラ―ネルに声を掛けて、卵の一斉捜索に乗り出した。
しかし、生体ならともかく卵と言うのは厄介だ。そこまで大きな反応がある訳では無い。
王城と冒険者ギルドにも協力を頼み探して貰っている。だが、思った成果は上がらない。
そんな時に、裏ギルドの情報を得た。暗殺や非合法品の取引を主に行う組織があるらしい。
フェニックスの卵は正規ルートでは換金出来ないだろう、だとすれば裏ギルドが噛んでいる可能性は高い。
だが、裏ギルドとの接点が無い。今、冒険者ギルドに来ているが、ギルマスも裏ギルドの存在は知っているが、手掛かりが少なく手が出ない状況らしい。
「ギルマスでも手が出せないとなると、誰を頼れば良いですかね?」
「お前さん貴族だろう?裏ギルドの資金源を探ってみたらどうだ?おそらく何処かの貴族が絡んでいると予測している。」
なるほど、組織が活動するには資金が必要と言う事か。
早速家に帰り、セリーに相談する。
「不透明な金の動きに付いて調べたいんだが、方法は無いか?」
「難しいでしょうね。裏ギルドに関わって居れば爵位の剥奪は免れません。おそらく巧妙に隠し、表向きは普通のお金の流れになって居る事でしょう。」
ふむ、金の流れからでは裏ギルドを追う事は難しいと言う事か。
「ならば、ここ数年で不審な死を遂げた貴族は居ないか?」
「私が知る限りでは不審死をした貴族は居ません。と言うか、裏ギルドが関わっているならむしろ自然死に見せかけると思いますよ。それに、フェニックスの卵が盗まれたからと言ってすぐに裏ギルドに回るとは限りません。」
確かに、裏ギルドが主導で行ったのならともかく、そう簡単に足が付く方法で裏ギルドがフェニックスの卵を手に入れるとは思えんな。
となると、手掛かりが無くなるぞ?どうする?
と、そこにクラ―ネルが駈け込んで来た。
「エイジさん!例の魔道具屋のお婆さんの所に、フェニックスの尾羽に幾らの値段を付けるかと言う商談が来たそうです。」
「なに?相手は?」
「レッドカーム伯爵です。」
伯爵かぁ。どうなんだ?首謀者と見るべきか、共犯者と見るべきか?
とりあえず伯爵の周辺を当たってみるか。
2日程張り込んでみたが、接触して来たのは商人が1人と、子爵が1人だった。あれ?犯罪の規模に対して、組織が小さく無いか?
これは外れかな?首謀者が別にいて、伯爵は商品の売却担当かもしれない。
困ったな、時間が無いぞ。強硬手段に出るか?
クラ―ネルと一緒に伯爵家に強襲を掛ける。レッドカーム伯爵を拘束して、尋問をする。
「フェニックスの卵と言えば解るかな?」
「何の事だ?」
「知らないのなら死ぬだけだぞ。」
そう言って右手の人差し指と親指の間にライトニングの魔法をスパークさせてみた。
「グレイトッド盗賊団。」
「なんだ?それ?」
「王都の南に根城を構える盗賊団だ。金さえ払えば言う事を聞く集団だよ。」
伯爵は覚悟を決めたのかスラスラと喋る。
盗賊団に伯爵かぁ、なんだろう?思った以上に規模が小さいんだけど、本当に背後に誰も居ないのかな?
まあ、良い。行けば判る。クラ―ネルと一緒に伯爵邸を飛び出し、南に向かう。
グレイトッド盗賊団はすぐに見つかった。と言うか30人程度の小さな盗賊団だ。フェニックスから卵を盗んだのが、こいつらで合ってるのかな?
「あー、お頭に会わせて貰えないかな?」
「なんだ、てめえ?」
「卵を買いに来たと言えば解るか?」
「あの卵の価値を解って言ってるのか?」
「白金貨3000枚までなら出そう。」
そう言うと下っ端が舌なめずりをした。
お頭と呼ばれる恰幅の良いおっさんが出て来た。
「白金貨3000枚ってのは本当か?」
「そうだな、現物を見せて貰って本物だと確認出来れば払おう。」
すると頭が、おいと下っ端に合図する。やがて、50センチほどの卵が運ばれて来た。
「触っても良いか?」
「ああ、触るだけなら構わない。それ以上は辞めて置けよ。」
そっと卵を触ると暖かい。気を探るとフェニックスで間違いない様だ。
「どうやら本物の様だ。交渉は成立だな。クラ―ネル、外は?」
「外は無力化しました。」
「となると残りは3人だな。」
その言葉にお頭の顔が蒼白になる。
「き、貴様ら何をした?」
「犯罪者を捕縛しに来ただけだが?」
「光源に向かい飛んでいるのに気温が変わらんな。これはもしかすると奴かもしれんな。」
「爺さん、心当たりがあるのか?」
「おそらくじゃが、フェニックスでは無いかと思う。」
「フェニックスと言うと不死鳥と言われるあの?」
この世界そんな物まで居たんだな。そっちに驚きだよ。
「で、フェニックスと言うのは危険なのか?」
「いや、基本フェニックスは大人しい生き物じゃ。戦闘力もそれ程高くない。」
「じゃあ、放っておいても問題は無いのか?」
「いや、フェニックスの尾羽には再生の能力があると言われておる。フェニックスは何もせんが、人間がちょっかいを出すかもしれん。そうなるとちと厄介だぞ。」
なるほど、再生薬か、目の色を変える人間が出そうだな。ある意味エリクサーより高価で売れそうだ。
「しかし、フェニックスは狂暴では無いんだろう?何が厄介なんだ?」
「通常時のフェニックスは燃えているが熱くない。だが、怒ると全てを焼き尽くすと言われる高温の炎に身を纏う。」
あら、それは厄介だ。
「手を出さなければ問題が無いんだよね?って事は僕らも引き返した方が良いかな?」
「そうじゃな。お主と嬢ちゃんは戻れ。国王に話を通して置くのが良いじゃろう。下手に調査隊でも送られたら面倒じゃ。」
「解った。って、爺さんは?」
「儂は少し話をして来る。奴とは昔馴染みなのでな。」
「相変わらず顔が広いねぇ。ところでフェニックスの目的は何なんだ?」
「おそらく、子供が生まれるのじゃろう。巣作りをして卵を産み。育てて旅立つまで、3か月間と言った所じゃろう。」
「なるほど、じゃあ3か月時間を稼げば問題無しって事だね?」
「そう言う事じゃ。」
僕とルシルは爺さんと別れて、王城へと向かう。
やがて王城が見えてくると、王城前に多数の兵士が見える。これって調査隊かな?
陣頭指揮を取っている宰相の姿を見つけ、そのすぐ近くに降りる。
「これは、調査隊ですか?」
「おお、ゼルマキア卿、卿も参加して貰えんだろうか?」
「東の空が燃えている理由なら解って居ますよ。」
「なんと?」
「大山脈にフェニックスが巣を作ったようです。こちらから刺激しなければ問題はありませんよ。」
「フェニックスとは、これは陛下に知らせねば。」
そう言うと宰相は急いで王城の中へと向かった。
暫くすると陛下と宰相が姿を現した。
「フェニックスが巣を構えたと言うのは本当か?」
「はい、確認に行って来ました。」
「ところでフェニックスの尾羽が蘇生薬になると言う話はしっておるか?」
「あー、変な事は考えない方が良いですよ。フェニックスを怒らせたら、この国位一瞬で燃やし尽くされますよ?」
「お主がおってもか?」
「フェニックスの別名はご存じですよね?僕でも不死身の相手はそう簡単ではありません。」
「倒せないとは言わないんだな。」
「おそらく倒した時にはこの国は無くなってるでしょうね。」
「ふむ、宰相!全土にふれを出せ。フェニックスに手を出すなと。」
「御意。」
まあ、これで一安心かな?
それから1週間ほどは平穏無事な日々が続く。東の空が明るいのにも慣れた頃、それは起こった。
巣に籠っているはずのフェニックスが動いたのだ。竜王の爺さんが慌てて、フェニックスの元へと飛ぶ。
「どこぞの馬鹿がフェニックスの卵を盗みおったわい。儂がフェニックスを押さえられるのも数日じゃ。その間に卵を取り戻さんと大変な事になるぞ。」
おいおい。何を考えてるんだ?この国を滅亡に追い込んだら金儲けどころじゃ無いだろうに。
僕はルシル、クラ―ネルに声を掛けて、卵の一斉捜索に乗り出した。
しかし、生体ならともかく卵と言うのは厄介だ。そこまで大きな反応がある訳では無い。
王城と冒険者ギルドにも協力を頼み探して貰っている。だが、思った成果は上がらない。
そんな時に、裏ギルドの情報を得た。暗殺や非合法品の取引を主に行う組織があるらしい。
フェニックスの卵は正規ルートでは換金出来ないだろう、だとすれば裏ギルドが噛んでいる可能性は高い。
だが、裏ギルドとの接点が無い。今、冒険者ギルドに来ているが、ギルマスも裏ギルドの存在は知っているが、手掛かりが少なく手が出ない状況らしい。
「ギルマスでも手が出せないとなると、誰を頼れば良いですかね?」
「お前さん貴族だろう?裏ギルドの資金源を探ってみたらどうだ?おそらく何処かの貴族が絡んでいると予測している。」
なるほど、組織が活動するには資金が必要と言う事か。
早速家に帰り、セリーに相談する。
「不透明な金の動きに付いて調べたいんだが、方法は無いか?」
「難しいでしょうね。裏ギルドに関わって居れば爵位の剥奪は免れません。おそらく巧妙に隠し、表向きは普通のお金の流れになって居る事でしょう。」
ふむ、金の流れからでは裏ギルドを追う事は難しいと言う事か。
「ならば、ここ数年で不審な死を遂げた貴族は居ないか?」
「私が知る限りでは不審死をした貴族は居ません。と言うか、裏ギルドが関わっているならむしろ自然死に見せかけると思いますよ。それに、フェニックスの卵が盗まれたからと言ってすぐに裏ギルドに回るとは限りません。」
確かに、裏ギルドが主導で行ったのならともかく、そう簡単に足が付く方法で裏ギルドがフェニックスの卵を手に入れるとは思えんな。
となると、手掛かりが無くなるぞ?どうする?
と、そこにクラ―ネルが駈け込んで来た。
「エイジさん!例の魔道具屋のお婆さんの所に、フェニックスの尾羽に幾らの値段を付けるかと言う商談が来たそうです。」
「なに?相手は?」
「レッドカーム伯爵です。」
伯爵かぁ。どうなんだ?首謀者と見るべきか、共犯者と見るべきか?
とりあえず伯爵の周辺を当たってみるか。
2日程張り込んでみたが、接触して来たのは商人が1人と、子爵が1人だった。あれ?犯罪の規模に対して、組織が小さく無いか?
これは外れかな?首謀者が別にいて、伯爵は商品の売却担当かもしれない。
困ったな、時間が無いぞ。強硬手段に出るか?
クラ―ネルと一緒に伯爵家に強襲を掛ける。レッドカーム伯爵を拘束して、尋問をする。
「フェニックスの卵と言えば解るかな?」
「何の事だ?」
「知らないのなら死ぬだけだぞ。」
そう言って右手の人差し指と親指の間にライトニングの魔法をスパークさせてみた。
「グレイトッド盗賊団。」
「なんだ?それ?」
「王都の南に根城を構える盗賊団だ。金さえ払えば言う事を聞く集団だよ。」
伯爵は覚悟を決めたのかスラスラと喋る。
盗賊団に伯爵かぁ、なんだろう?思った以上に規模が小さいんだけど、本当に背後に誰も居ないのかな?
まあ、良い。行けば判る。クラ―ネルと一緒に伯爵邸を飛び出し、南に向かう。
グレイトッド盗賊団はすぐに見つかった。と言うか30人程度の小さな盗賊団だ。フェニックスから卵を盗んだのが、こいつらで合ってるのかな?
「あー、お頭に会わせて貰えないかな?」
「なんだ、てめえ?」
「卵を買いに来たと言えば解るか?」
「あの卵の価値を解って言ってるのか?」
「白金貨3000枚までなら出そう。」
そう言うと下っ端が舌なめずりをした。
お頭と呼ばれる恰幅の良いおっさんが出て来た。
「白金貨3000枚ってのは本当か?」
「そうだな、現物を見せて貰って本物だと確認出来れば払おう。」
すると頭が、おいと下っ端に合図する。やがて、50センチほどの卵が運ばれて来た。
「触っても良いか?」
「ああ、触るだけなら構わない。それ以上は辞めて置けよ。」
そっと卵を触ると暖かい。気を探るとフェニックスで間違いない様だ。
「どうやら本物の様だ。交渉は成立だな。クラ―ネル、外は?」
「外は無力化しました。」
「となると残りは3人だな。」
その言葉にお頭の顔が蒼白になる。
「き、貴様ら何をした?」
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