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結局2週間が経過した現在でもクラ―ネルの魔法に大きな変化は無かった。もしかしたら、才能に対して神の欠片が大き過ぎたのかもしれない。最初から半分の大きさでもクラ―ネルの才能はきちんと開花した可能性が出て来た。
しかし、こうなると別の所で問題が出て来る。僕の子供達だ。僕の子供達は皆、今のクラ―ネルと同じくらいの大きさの神の欠片を持っている。と言う事は、最低でもクラ―ネルレベルの魔法使いに育つと言う事にはならないか?
僕としては、クラ―ネルは唯一僕の後を継げる人材として育てて行きたいと考えているのだが、まあ、もし子供達の成長を見ずに僕が神として天界に昇る様な事になったら、子供達の訓練はクラ―ネルに任せる事にしよう。
さて、話は少し変わるが、我が家の増築部分の工事が終わった。家人は増築部分に移り、今度は母屋の改築工事が始まる。
そう言えば、貴族の家庭教師ってどんな人物がやってるんだ?
まあ、家の事はセリーに任せて置けば問題無いだろう。
先週から朝の訓練にもクラ―ネルは参加している。こちらも極端に弱くなっていたりはしない様だ。でも、極端にと言う事は少しは弱くなってるって事だよね?そう聞いたら、1週間以上休めば誰でも練習に復帰するのはきついぞ。と言われた。
結局、クラ―ネルの強さについては、概ね元のままと言う、曖昧な結果になった。なにより本人のクラ―ネルがあまり気にして居ない良いなので、これで良いだろう。
直接、神の欠片を砕いた僕は結構気を使ったんだけどね。
現在、王都での仕事はそれなりに上手くやっているクラ―ネルだが、帝国での新しい商売には少し苦戦している様だ。
万能薬と言う売りたい商品はあるのだが、そこへの到達方法が思いつかない様だ。一つヒントを与えるならば、クラ―ネルの手持ちの武器は、他にもあるんじゃないのかな?何故それを使わないのかと言いたい。どうやって王国で成功したのかを思い出してみれば判るんじゃないかな?
「リバーシですか?あれはポルト商会の物ですよね?」
「王国ではな。だが、ポルト商会が帝国に進出する方法は無いぞ。」
「では、リバーシを使って。帝国で第二のポルト商会を探す所から始めろと?」
「その方法は教えたはずだ。後は自分の力でやってみるんだな。」
その言葉に感じる物があったのか、クラ―ネルが力強く頷いた。
現在のクラ―ネルは、毎朝早朝稽古に参加、その後、2日狩り、2日王国で商売、2日帝国で商売と言う感じになって居る。
まあ、商売はいずれ人に任せる事になるのだが、基本部分を理解していないと、大事な場面で判断をミスったり。商機を逃がす事になるので、今のうちに叩き込んで置きたい。
それに、貴族と言うのは人を使う事、金を使う事を義務とされている。同じ使うなら有意義な使い方をした方が良いだろう。
「ところでクラ―ネル。家の方はどこまで進んだんだ?」
「1階は完全にリフォームが終わって居ます。残り半分は2階になりますが、こちらは基本、使用人の個室ですので、1階ほど時間は掛からないとの事です。恐らく1か月は掛からずに終わると思いますよ。」
「ふむ、今回は裏技を使ったので少し工期に時間が掛かったが、クラ―ネルが伯爵になれば、上級貴族だ。家の改築も新築も自由に出来る。まあ、正確に言うと新築には申請が必要なんだがな。」
「そう言えば、王様とあんな約束して大丈夫なんですか?」
「伯爵位の話か?あれは、国王陛下も僕と同じ気持ちって事だろう。」
「どういうことです?」
「この国には400家以上の貴族がいる。その内国王派が最大派閥で130家。公爵派が70家。併せて200家。過半数に満たない。3侯爵が50家ずつ150家を握っていて、残りの60家あまりが無派閥だ。」
「エイジさんは派閥を持たないんですか?」
「そこが問題なんだよ。僕はちょっと立場が特殊でね。事実上国王派のトップで、公爵とは義理の親子に当たる。そんな僕が大きな派閥を作ったらどうなると思う?」
「なるほど、クーデターの温床になりかねないと考える者が出てきますね。」
やはり、クラ―ネルは僕と思考が似ているな。
「そこで、クラ―ネルの出番だ。クラ―ネルが侯爵になって派閥を作ってくれると、僕としては色々と動きやすくなる。」
「え?僕がですか?」
「現状、3侯爵と僕と言う対立構造になっている。だが、僕はあまり派閥を大きく出来ない。そこで、クラ―ネルを引き込んで3侯爵対2侯爵と言う構図にしたい訳だ。これなら、派閥の数も増やして行けるしな。」
「いや、ちょっとそれは。」
クラ―ネルが大いに慌てている。
「いやいや、今日明日の話じゃ無いぞ。まだ、子爵にもなって無いだろう?」
「あ、そうですね。話がポンポンと進むので焦ってしまいました。」
「しかし、そう言う期待があるのも事実だぞ。」
「僕はどうしたら良いのでしょうか?」
「クラ―ネルはクラ―ネルらしく、自分が出来る事を一つずつやって行けば大丈夫だよ。」
そう言うと少し落ち着いた様だ。
「現在の僕は子爵と言う爵位でも重いんですから、あまりプレッシャーを掛けないで下さいよ。」
「でも、収入的には侯爵でも十分やって行けるぞ。」
「爵位ってそう言う物じゃないでしょ?」
「いや、そう言う側面も持っているのは事実だ。金の無い者は出世し難い。」
「では、上級貴族の方に過剰にお金を使わせようとするのは?」
「一つは力を削ぐ目的だな。一つは、それでも上を目指す気概を確認している。」
「では、そう言う貴族の方は期待されているのですか?」
「そうとも言えない。通常は持っているお金に合わせた爵位が与えられる。そうでは無い場合に貴族は苦労する事になる。」
その言葉にクラ―ネルは何か考える仕草をした。
「下級貴族、特に男爵家は貧乏貴族が多いと聞きます。これも、持っているお金に合わせた爵位と言えるのでしょうか?」
「ある意味、そうだな。そこから抜け出せないのであれば上に行く資格が無いと言う事になる。」
「僕の実家はリドリル家はどうですか?」
「君の父上は成功した。試されるのは2代目。つまり君のお兄さんだな。」
「何故、兄が?」
「貴族は商人とは違う。ただ単純に商品を売るだけなら商人が貴族をやれば良い。そうでないのは、解るだろう?貴族と商人の商売は違うって言う事だ。」
そう言う意味ではクラ―ネルは恵まれている。まだ子爵になる前から上級貴族の稼ぎを得ている。しかも自分で稼いだお金だ。これは稼ぐ能力を持つと同時に使う能力も持っている事を周囲に示している。出世できる貴族の条件を満たしている事になる。
庶民が貴族に何を求めているのか、これを知っているかどうかも判断材料になる。僕はクラ―ネルには、そう言った物をすべて叩き込んで、どうやって持ち、どう言う風に使うかまでキッチリと教えたつもりだ。
「僕の教えが間違って居なければ、クラ―ネルは出世するだろう。まあ、クラ―ネルが望まないのであれば、それはその時断れば良いだけの話だ。」
「目の前に出世がぶら下がっていて飛びつかない程愚かでは無いと思っています。ただ、余りにも順調で、そしてエイジさんの凄さを目の当たりにして、正直少し怖いと思っている自分が居ます。エイジさんと同じ侯爵に並んだ時、エイジさんと同じ事が出来るのだろうかと。」
「別に僕と同じになる必要は無い、むしろクラ―ネルにはクラ―ネルのやりたい事があるだろう?侯爵と言う地位は、その為に利用すれば良い。僕が出来る事は僕がする。出来れば僕の出来ない事をやって欲しいと考えている。」
クラ―ネルには第二の僕になって貰いたいと言う気持ちはあるが、何から何までそっくり真似ろと言って居る訳では無い。だから、最近では行動を示唆するだけで、実際の行動はクラ―ネルに考えさせて行わせている。
僕ならどうするだろうと想像するのは構わないが、何時までも手取り足取りではクラ―ネルが成長しない。
直接教えるのは簡単だが、クラ―ネルの個性を消してしまっては意味が無いだろう。
しかし、こうなると別の所で問題が出て来る。僕の子供達だ。僕の子供達は皆、今のクラ―ネルと同じくらいの大きさの神の欠片を持っている。と言う事は、最低でもクラ―ネルレベルの魔法使いに育つと言う事にはならないか?
僕としては、クラ―ネルは唯一僕の後を継げる人材として育てて行きたいと考えているのだが、まあ、もし子供達の成長を見ずに僕が神として天界に昇る様な事になったら、子供達の訓練はクラ―ネルに任せる事にしよう。
さて、話は少し変わるが、我が家の増築部分の工事が終わった。家人は増築部分に移り、今度は母屋の改築工事が始まる。
そう言えば、貴族の家庭教師ってどんな人物がやってるんだ?
まあ、家の事はセリーに任せて置けば問題無いだろう。
先週から朝の訓練にもクラ―ネルは参加している。こちらも極端に弱くなっていたりはしない様だ。でも、極端にと言う事は少しは弱くなってるって事だよね?そう聞いたら、1週間以上休めば誰でも練習に復帰するのはきついぞ。と言われた。
結局、クラ―ネルの強さについては、概ね元のままと言う、曖昧な結果になった。なにより本人のクラ―ネルがあまり気にして居ない良いなので、これで良いだろう。
直接、神の欠片を砕いた僕は結構気を使ったんだけどね。
現在、王都での仕事はそれなりに上手くやっているクラ―ネルだが、帝国での新しい商売には少し苦戦している様だ。
万能薬と言う売りたい商品はあるのだが、そこへの到達方法が思いつかない様だ。一つヒントを与えるならば、クラ―ネルの手持ちの武器は、他にもあるんじゃないのかな?何故それを使わないのかと言いたい。どうやって王国で成功したのかを思い出してみれば判るんじゃないかな?
「リバーシですか?あれはポルト商会の物ですよね?」
「王国ではな。だが、ポルト商会が帝国に進出する方法は無いぞ。」
「では、リバーシを使って。帝国で第二のポルト商会を探す所から始めろと?」
「その方法は教えたはずだ。後は自分の力でやってみるんだな。」
その言葉に感じる物があったのか、クラ―ネルが力強く頷いた。
現在のクラ―ネルは、毎朝早朝稽古に参加、その後、2日狩り、2日王国で商売、2日帝国で商売と言う感じになって居る。
まあ、商売はいずれ人に任せる事になるのだが、基本部分を理解していないと、大事な場面で判断をミスったり。商機を逃がす事になるので、今のうちに叩き込んで置きたい。
それに、貴族と言うのは人を使う事、金を使う事を義務とされている。同じ使うなら有意義な使い方をした方が良いだろう。
「ところでクラ―ネル。家の方はどこまで進んだんだ?」
「1階は完全にリフォームが終わって居ます。残り半分は2階になりますが、こちらは基本、使用人の個室ですので、1階ほど時間は掛からないとの事です。恐らく1か月は掛からずに終わると思いますよ。」
「ふむ、今回は裏技を使ったので少し工期に時間が掛かったが、クラ―ネルが伯爵になれば、上級貴族だ。家の改築も新築も自由に出来る。まあ、正確に言うと新築には申請が必要なんだがな。」
「そう言えば、王様とあんな約束して大丈夫なんですか?」
「伯爵位の話か?あれは、国王陛下も僕と同じ気持ちって事だろう。」
「どういうことです?」
「この国には400家以上の貴族がいる。その内国王派が最大派閥で130家。公爵派が70家。併せて200家。過半数に満たない。3侯爵が50家ずつ150家を握っていて、残りの60家あまりが無派閥だ。」
「エイジさんは派閥を持たないんですか?」
「そこが問題なんだよ。僕はちょっと立場が特殊でね。事実上国王派のトップで、公爵とは義理の親子に当たる。そんな僕が大きな派閥を作ったらどうなると思う?」
「なるほど、クーデターの温床になりかねないと考える者が出てきますね。」
やはり、クラ―ネルは僕と思考が似ているな。
「そこで、クラ―ネルの出番だ。クラ―ネルが侯爵になって派閥を作ってくれると、僕としては色々と動きやすくなる。」
「え?僕がですか?」
「現状、3侯爵と僕と言う対立構造になっている。だが、僕はあまり派閥を大きく出来ない。そこで、クラ―ネルを引き込んで3侯爵対2侯爵と言う構図にしたい訳だ。これなら、派閥の数も増やして行けるしな。」
「いや、ちょっとそれは。」
クラ―ネルが大いに慌てている。
「いやいや、今日明日の話じゃ無いぞ。まだ、子爵にもなって無いだろう?」
「あ、そうですね。話がポンポンと進むので焦ってしまいました。」
「しかし、そう言う期待があるのも事実だぞ。」
「僕はどうしたら良いのでしょうか?」
「クラ―ネルはクラ―ネルらしく、自分が出来る事を一つずつやって行けば大丈夫だよ。」
そう言うと少し落ち着いた様だ。
「現在の僕は子爵と言う爵位でも重いんですから、あまりプレッシャーを掛けないで下さいよ。」
「でも、収入的には侯爵でも十分やって行けるぞ。」
「爵位ってそう言う物じゃないでしょ?」
「いや、そう言う側面も持っているのは事実だ。金の無い者は出世し難い。」
「では、上級貴族の方に過剰にお金を使わせようとするのは?」
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「では、そう言う貴族の方は期待されているのですか?」
「そうとも言えない。通常は持っているお金に合わせた爵位が与えられる。そうでは無い場合に貴族は苦労する事になる。」
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「ある意味、そうだな。そこから抜け出せないのであれば上に行く資格が無いと言う事になる。」
「僕の実家はリドリル家はどうですか?」
「君の父上は成功した。試されるのは2代目。つまり君のお兄さんだな。」
「何故、兄が?」
「貴族は商人とは違う。ただ単純に商品を売るだけなら商人が貴族をやれば良い。そうでないのは、解るだろう?貴族と商人の商売は違うって言う事だ。」
そう言う意味ではクラ―ネルは恵まれている。まだ子爵になる前から上級貴族の稼ぎを得ている。しかも自分で稼いだお金だ。これは稼ぐ能力を持つと同時に使う能力も持っている事を周囲に示している。出世できる貴族の条件を満たしている事になる。
庶民が貴族に何を求めているのか、これを知っているかどうかも判断材料になる。僕はクラ―ネルには、そう言った物をすべて叩き込んで、どうやって持ち、どう言う風に使うかまでキッチリと教えたつもりだ。
「僕の教えが間違って居なければ、クラ―ネルは出世するだろう。まあ、クラ―ネルが望まないのであれば、それはその時断れば良いだけの話だ。」
「目の前に出世がぶら下がっていて飛びつかない程愚かでは無いと思っています。ただ、余りにも順調で、そしてエイジさんの凄さを目の当たりにして、正直少し怖いと思っている自分が居ます。エイジさんと同じ侯爵に並んだ時、エイジさんと同じ事が出来るのだろうかと。」
「別に僕と同じになる必要は無い、むしろクラ―ネルにはクラ―ネルのやりたい事があるだろう?侯爵と言う地位は、その為に利用すれば良い。僕が出来る事は僕がする。出来れば僕の出来ない事をやって欲しいと考えている。」
クラ―ネルには第二の僕になって貰いたいと言う気持ちはあるが、何から何までそっくり真似ろと言って居る訳では無い。だから、最近では行動を示唆するだけで、実際の行動はクラ―ネルに考えさせて行わせている。
僕ならどうするだろうと想像するのは構わないが、何時までも手取り足取りではクラ―ネルが成長しない。
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