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実を言うと誕生日だからと言ってパーティーをする訳でも無いので、クラ―ネルの試験に着いて行っても良かったのだが、なるべく一人で行動できるようにさせたかった。
僕はCランクからいきなりAランクになったので、Bランクの試験がどんな物か知らない。
まあ、クラ―ネルの実力なら、落ちるとは思えないが、冒険者ギルドとしては1回は落としにかかるかもしれない。15歳と言う年齢をギルドがどう判断するかにも寄るだろう。
明日には結果は解るが、落ちても別に構わない。基本冒険者の試験は何時でも受けられるので、落ちたら次の機会に受ければ良いだけだ。
出来れば、見合いまでにBランクに上がってくれると話がしやすいと言う位で、ランクはあまり重要ではない。
それよりももっとクラ―ネルに色々な事を教えたいと言うのが本心だ。
剣と魔法、回復魔法までは形になって来た。このまま続ければ冒険者のランクに拘らなくても良い位には成長するだろう。
僕としては、時空魔法と付与魔法、武術を教えたいと思っている。特に付与魔法は王国の魔道具のレベルを上げる為にも是非覚えて貰いたい。
武術の方は、自分の身が守れる程度で構わない。ルシルや竜王の爺さんと一緒に稽古をする訳には行かないだろうし、帝国のフローネル嬢とは事情が違うしね。
要は、劣化版の僕を作りたいのだ。僕の弟子と公言するなら、その位にならないと納得しない者が現れそうだ。特に王様とか王様とか王様とかね。
逆に王様に認められれば、伯爵への道が開けそうだ。
応接室でのんびりとお茶を飲みながら、そんな事を考えていたら。セリーがやって来て、暇なら子供達の相手をして下さいと言われた。
なんだろう?最近尻に敷かれている感が凄い。ハーレムってこんな感じ?
子供達の成長を感じながら、暫く戯れる。そう言えば、この子達は半神なんだよなと改めて思う。まだ幼いから大丈夫だけど、あと10年もしない内になんらかの兆候が現れるのだと思うと、今から覚悟を決めて置いた方が良いのかもしれない。
僕が抑え込める物なら良いのだが。セリー達にはまだ、話すのは時期尚早だろうか?
翌日、何時もの様に10時にギルドへ飛ぶと、クラ―ネルが待っていた。
僕の姿を見つけると嬉しそうに微笑んだので、試験は受かったのだろう。
「試験はどうだった?」
「無事に受かりました。これで僕も冒険者として一人前ですよね?」
あら?冒険者はDランクで一人前だって教えて無かったっけ?
「まあ、そうだな。」
「これで、結婚出来ますかね?」
そう言えばクラ―ネルって結婚に前向きだよな?そんなに結婚したいのか?
「お前、随分と積極的だが、そんなに女好きだったのか?」
「ち、違いますよ。結婚すれば家を出られますよね?それが嬉しいんです。」
ああ、そう言えば貴族の次男以下は成人したら家を出て行くのが普通って言ってたな。クラ―ネルは何でまだ実家に居るんだ?
「クラ―ネルは実家暮らしが辛いのか?」
「そうですね。まあ、第2夫人の子供って言うのもありますが。」
「なんで家を出ないんだ?成人したら、家を出るのが普通なんだろう?」
「父には僕が冒険者になった事は言って居ません。僕が、お金を稼いでいる事を知られると兄の面子を潰す事にもなりますし、魔法学院を卒業したら家を出て行けと言われているので、今は家で、大人しい子を演じています。」
なるほど、そこで、結婚の話が出てくれば、魔法学院の卒業を待たなくて良いと言う寸法か。
「魔法学院は16歳で卒業だったよな?あと1年待つつもりだったのか?」
「いえ、自分なりに稼ぐ方法を模索していました。ですのでエイジさんに出会えたのはラッキーでした。」
クラ―ネルって見た目や境遇に反して、前向きと言うか明るいと言うかポジティブだよな。
「じゃあ、今日は付与魔法を教えようと思う。自分で魔道具を作れるようになると稼ぎの幅が広がるぞ。更に、時空魔法も同時に教える。これによって、アイテムボックスが使える様になるし、マジックバッグを作る事も可能になる。」
「アイテムボックスにマジックバッグって、物凄く希少な物ですよね?」
「らしいな。僕は自分で作れるから、あまり感じないが、持って無い者にとっては価値が高いらしい。」
「それって、持ってるだけで狙われるんじゃ無いですか?」
「だから、Bランクに上がるまで待ってたんだよ。Bランクの冒険者を襲う者は少ない。」
「ああ、なるほど、それで昇級試験を受けさせたんですね。」
まあ、実力的に問題無いと判断したからで、ランクはあんまり関係ないんだけど、理論派のクラ―ネルにはそっちの方が理解しやすいだろう。
じゃあ、行くぞと言ってギルドに入る。ギルドには作戦の為の会議室と言うのが複数ある。窓口の受付嬢に話をして小会議室を貸して貰う。基本無料だ。
「冒険者ギルドにこんなサービスがあるんですね。」
会議室に入るとクラ―ネルが呟くように言った。珍しいのだろう。まあ、僕も大きな会議室は使った事があるが、小会議室には初めて入る。
まず、時空魔法の理論から教える。時間の概念はすぐに理解したのだが、空間の概念を教えるのに時間が掛かった。この世界で3Dとか言っても解らないよね。
点から線、線から面、面から立体へと紙とペンを使いながら教えて行く。
「これに時間を足した物が、今、僕たちが住んでいる世界だ。」
そこから空間の概念を説明して、時空魔法に辿り着くまで4時間位掛かった。
その後の付与魔法はすんなりと理解した。しかし、次のステップで躓いた。
アイテムボックスが発動しないのだ。
「時空魔法の概念が理解出来ているのにアイテムボックスが発動しないと言うのは珍しいケースだな。」
「済みません。」
「別に謝る事では無い。先にマジックバッグを作ってみよう。理論は同じだからな。」
そう言って僕はストレージからトートバッグの様なバッグを出す。
「このバッグの中の空間を広げるイメージで、時間は付与しなくて良い。まずは大きさは気にせずに付与してみろ。」
「解りました。」
そう言って、クラ―ネルがバッグに魔法を付与する。今度は発動した。
出来上がった物は、およそ3メートル四方のマジックバッグだ。ちゃんと時間停止もしている。
「マジックバッグは1度で成功したな。と言う事は時空魔法は理解出来ていると言う事だ。おそらく、アイテムボックスのイメージが明確に出来ていなかったんだろうな。」
「確かにアイテムボックスは実物が無いのでイメージし難いのかもしれません。」
言われてみれば、僕は最初からストレージを持っていたからなぁ。アイテムボックスのイメージって言われたら難しいかもしれないな。
「そうだな。空間を歪めて穴を開ける。その中をマジックバッグの要領で拡張してみろ。もしくは、別の空間をイメージして、そこに物を収納するイメージだな。」
「空間を歪めると言うのは難しいですね。別の空間の方がイメージしやすいかもしれません。」
そう言ってクラ―ネルが、あれこれと試行錯誤している。
この時点で始めてから5時間半程経っている。
「今日はこの位にして置こう。根を詰めても出来ない時は出来ない。」
「何となくコツは掴めてきた気がするんですけど?」
「じゃあ、宿題にするから寝るまで家で頑張ってみろ。ただし、出来なくても睡眠はきちんと取れよ。」
「はい!」
「明日は、他の付与魔法も教えたいし、時空魔法の応用編もある。もう一度キッチリと理論の復習もして置けよ。」
そう言って2人で会議室を出て、ギルドを後にする。
家に帰る道でもクラ―ネルはあれこれと考え込んでいた。
魔法に対しては、真面目過ぎるほど真面目だ。剣と武術もこの位熱心にやってくれると良いのだが。
まあ、人間得手不得手があると言う事かな?
僕はCランクからいきなりAランクになったので、Bランクの試験がどんな物か知らない。
まあ、クラ―ネルの実力なら、落ちるとは思えないが、冒険者ギルドとしては1回は落としにかかるかもしれない。15歳と言う年齢をギルドがどう判断するかにも寄るだろう。
明日には結果は解るが、落ちても別に構わない。基本冒険者の試験は何時でも受けられるので、落ちたら次の機会に受ければ良いだけだ。
出来れば、見合いまでにBランクに上がってくれると話がしやすいと言う位で、ランクはあまり重要ではない。
それよりももっとクラ―ネルに色々な事を教えたいと言うのが本心だ。
剣と魔法、回復魔法までは形になって来た。このまま続ければ冒険者のランクに拘らなくても良い位には成長するだろう。
僕としては、時空魔法と付与魔法、武術を教えたいと思っている。特に付与魔法は王国の魔道具のレベルを上げる為にも是非覚えて貰いたい。
武術の方は、自分の身が守れる程度で構わない。ルシルや竜王の爺さんと一緒に稽古をする訳には行かないだろうし、帝国のフローネル嬢とは事情が違うしね。
要は、劣化版の僕を作りたいのだ。僕の弟子と公言するなら、その位にならないと納得しない者が現れそうだ。特に王様とか王様とか王様とかね。
逆に王様に認められれば、伯爵への道が開けそうだ。
応接室でのんびりとお茶を飲みながら、そんな事を考えていたら。セリーがやって来て、暇なら子供達の相手をして下さいと言われた。
なんだろう?最近尻に敷かれている感が凄い。ハーレムってこんな感じ?
子供達の成長を感じながら、暫く戯れる。そう言えば、この子達は半神なんだよなと改めて思う。まだ幼いから大丈夫だけど、あと10年もしない内になんらかの兆候が現れるのだと思うと、今から覚悟を決めて置いた方が良いのかもしれない。
僕が抑え込める物なら良いのだが。セリー達にはまだ、話すのは時期尚早だろうか?
翌日、何時もの様に10時にギルドへ飛ぶと、クラ―ネルが待っていた。
僕の姿を見つけると嬉しそうに微笑んだので、試験は受かったのだろう。
「試験はどうだった?」
「無事に受かりました。これで僕も冒険者として一人前ですよね?」
あら?冒険者はDランクで一人前だって教えて無かったっけ?
「まあ、そうだな。」
「これで、結婚出来ますかね?」
そう言えばクラ―ネルって結婚に前向きだよな?そんなに結婚したいのか?
「お前、随分と積極的だが、そんなに女好きだったのか?」
「ち、違いますよ。結婚すれば家を出られますよね?それが嬉しいんです。」
ああ、そう言えば貴族の次男以下は成人したら家を出て行くのが普通って言ってたな。クラ―ネルは何でまだ実家に居るんだ?
「クラ―ネルは実家暮らしが辛いのか?」
「そうですね。まあ、第2夫人の子供って言うのもありますが。」
「なんで家を出ないんだ?成人したら、家を出るのが普通なんだろう?」
「父には僕が冒険者になった事は言って居ません。僕が、お金を稼いでいる事を知られると兄の面子を潰す事にもなりますし、魔法学院を卒業したら家を出て行けと言われているので、今は家で、大人しい子を演じています。」
なるほど、そこで、結婚の話が出てくれば、魔法学院の卒業を待たなくて良いと言う寸法か。
「魔法学院は16歳で卒業だったよな?あと1年待つつもりだったのか?」
「いえ、自分なりに稼ぐ方法を模索していました。ですのでエイジさんに出会えたのはラッキーでした。」
クラ―ネルって見た目や境遇に反して、前向きと言うか明るいと言うかポジティブだよな。
「じゃあ、今日は付与魔法を教えようと思う。自分で魔道具を作れるようになると稼ぎの幅が広がるぞ。更に、時空魔法も同時に教える。これによって、アイテムボックスが使える様になるし、マジックバッグを作る事も可能になる。」
「アイテムボックスにマジックバッグって、物凄く希少な物ですよね?」
「らしいな。僕は自分で作れるから、あまり感じないが、持って無い者にとっては価値が高いらしい。」
「それって、持ってるだけで狙われるんじゃ無いですか?」
「だから、Bランクに上がるまで待ってたんだよ。Bランクの冒険者を襲う者は少ない。」
「ああ、なるほど、それで昇級試験を受けさせたんですね。」
まあ、実力的に問題無いと判断したからで、ランクはあんまり関係ないんだけど、理論派のクラ―ネルにはそっちの方が理解しやすいだろう。
じゃあ、行くぞと言ってギルドに入る。ギルドには作戦の為の会議室と言うのが複数ある。窓口の受付嬢に話をして小会議室を貸して貰う。基本無料だ。
「冒険者ギルドにこんなサービスがあるんですね。」
会議室に入るとクラ―ネルが呟くように言った。珍しいのだろう。まあ、僕も大きな会議室は使った事があるが、小会議室には初めて入る。
まず、時空魔法の理論から教える。時間の概念はすぐに理解したのだが、空間の概念を教えるのに時間が掛かった。この世界で3Dとか言っても解らないよね。
点から線、線から面、面から立体へと紙とペンを使いながら教えて行く。
「これに時間を足した物が、今、僕たちが住んでいる世界だ。」
そこから空間の概念を説明して、時空魔法に辿り着くまで4時間位掛かった。
その後の付与魔法はすんなりと理解した。しかし、次のステップで躓いた。
アイテムボックスが発動しないのだ。
「時空魔法の概念が理解出来ているのにアイテムボックスが発動しないと言うのは珍しいケースだな。」
「済みません。」
「別に謝る事では無い。先にマジックバッグを作ってみよう。理論は同じだからな。」
そう言って僕はストレージからトートバッグの様なバッグを出す。
「このバッグの中の空間を広げるイメージで、時間は付与しなくて良い。まずは大きさは気にせずに付与してみろ。」
「解りました。」
そう言って、クラ―ネルがバッグに魔法を付与する。今度は発動した。
出来上がった物は、およそ3メートル四方のマジックバッグだ。ちゃんと時間停止もしている。
「マジックバッグは1度で成功したな。と言う事は時空魔法は理解出来ていると言う事だ。おそらく、アイテムボックスのイメージが明確に出来ていなかったんだろうな。」
「確かにアイテムボックスは実物が無いのでイメージし難いのかもしれません。」
言われてみれば、僕は最初からストレージを持っていたからなぁ。アイテムボックスのイメージって言われたら難しいかもしれないな。
「そうだな。空間を歪めて穴を開ける。その中をマジックバッグの要領で拡張してみろ。もしくは、別の空間をイメージして、そこに物を収納するイメージだな。」
「空間を歪めると言うのは難しいですね。別の空間の方がイメージしやすいかもしれません。」
そう言ってクラ―ネルが、あれこれと試行錯誤している。
この時点で始めてから5時間半程経っている。
「今日はこの位にして置こう。根を詰めても出来ない時は出来ない。」
「何となくコツは掴めてきた気がするんですけど?」
「じゃあ、宿題にするから寝るまで家で頑張ってみろ。ただし、出来なくても睡眠はきちんと取れよ。」
「はい!」
「明日は、他の付与魔法も教えたいし、時空魔法の応用編もある。もう一度キッチリと理論の復習もして置けよ。」
そう言って2人で会議室を出て、ギルドを後にする。
家に帰る道でもクラ―ネルはあれこれと考え込んでいた。
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