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「そう言えばお主、ブラスマイヤーとは連絡を取って居ないのか?」
その場を辞そうと思ったら、竜王の爺さんが突然そう言った。
「え?ブラスマイヤーは神界ですよ??」
「連絡を取る方法は無いのか?儂なら神界に行って来る事も出来るぞい。それに、ドラゴン同士なら思念で連絡をする事も可能じゃ。お主はそう言う手段を持っておらんのか?」
思念?念話みたいな物か?って言うか念話って地上から神界に通じるのだろうか?そう言えば試した事無かったな。
ブラスマイヤーが神界に行った時にもう2度と会えないと思って居たから、連絡を取るなんて、すっかり頭から抜けていた。
「ちょっと待って下さい。一つだけ可能性がありますので試してみます。」
そう言って僕は集中して念話を送ってみる。
(ブラスマイヤー!聞こえるかブラスマイヤー!)
(おお、ようやく気が付いた様だな。もっと早く連絡してくると思っていたぞ。)
通じた!どうやら神界でも念話は通じるらしい。魔素があればどこでも通じるのかな?
(知っていたならなんで教えてくれなかったんだよ。)
(いや、何でもかんでも俺に頼られても困るからな。お前の事は神界からずっと見ていたぞ。)
(聞きたい事が山ほどあるんだが、今は急用だ。何者かが冒険者に魔法を掛けているらしい。誰が何の目的でこんな事をしているのかが知りたい。)
(ふむ、その件に関して俺は手を出せない。そこでだ、2つ程、重要な事を伝える。恐らくこれが、その事件の解決に繋がるだろう。)
(重要な事?)
(ああ、これはローレシアが知っていてあえて隠していた情報だ。何故隠していたかは聞けば判る。)
やはりローレシアは何か企んでいた訳だ。色々とおかしな点があったのも頷ける。
(聞かせてくれ。)
(1つ目は封印の腕輪だ。その腕輪には不壊の魔法が掛かっているのは知っているな?)
(ああ、どんな事があっても壊れない魔法だとローレシアは言っていた。)
(その通り、その腕輪は壊れない。だが外す事は出来る。壊れない=外せないと勘違いしていないか?)
な、その通りだ。壊れないと言う事は外せない事だと思っていた。
(思った通り勘違いしていた様だな。試しにその腕輪をストレージに仕舞ってみろ。)
言われた通りにストレージに入れと念じると、腕輪がスッと腕から消えた。
(入った!)
(同様に時空魔法でも外す事は可能だ。何故試さなかった?)
(いや、これを外すと神になっちゃうんでしょ?外しちゃ不味いと思ったし外せない物だと思い込んでいた。)
(それが2つ目だ。お主はその腕輪をしてようがしてまいが、既に神だぞ。)
(え?)
(ローレシアがどう言ったかは知らんが、お主は既に神だ。神界に来ようと思えば何時でも来れる。)
(済まん、頭が混乱している。ローレシアはこの腕輪を付けて居れば人間として、地上で暮らして行けると言ってたぞ?)
(腕輪の有無に関係なく、神は地上で暮らせるぞ。問題は、基本的には神は地上には降りられないと言う掟にある。しかし、お前の様に地上に落とされた者が自らの意思で戻らないのであれば、その掟に縛られる事も無い。)
(それって、ローレシアに騙されたって事?)
(騙されたと言うよりは、必要な情報を与えなかったと言うべきかな。)
なんか、釈然としないぞ。
(神格を砕けば僕は神で無くなるんでしょ?何故、ローレシアはそれをしなかったんだ?)
(神格を砕くと言う事は神を殺すと言う事だ。神殺しは大罪だ。ローレシアもそれは出来なかった様だな。)
(もう一つ疑問があるんだけど、何故ローレシアはストレージを取り上げたり封印したりしなかったの?)
(まず、ストレージの封印は不可能だ。あれは神のスキルだからな。もし取り上げても、神であるならば復活する。もし、一度取り上げられて、復活したら、お前はどう思う?)
(なるほど、僕が自分が神であると疑念を抱く事になるのを避けたのか。)
(そう言う事だな。そして、一番の失敗は俺とお前が念話で話せる事を知らなかった事だ。)
(そっか、色々とおかしいと感じていた事の謎が解けたよ。)
(ふむ、これでお前は神の力を取り戻した。だが、地上でこのまま暮らしたいなら、普段は封印の腕輪を装備して置け、ローレシアに見つかると不味いからな。そして、必要な時に腕輪を外し神の力を開放すれば良い。)
(ところで、今回の事件は神の力を使わないとイケない程の事件なの?)
(ああ、この事件はちと厄介だぞ。)
(ヒントはくれないの?)
(まずは自分で動け。どうしても俺の力が必要なら、また念話を送ってくれ。)
(解った。)
ブラスマイヤーとの念話が途切れた。
僕がブラスマイヤーと別れて約1年。きっと、ブラスマイヤーにとっては数日の出来事と変わりが無いんだろうな。僕は竜王の爺さんのヒントが無ければ、未だに一人で藻掻いて居ただろう。
「お主、力が戻った様じゃのぉ。何があった?」
爺さんが声を掛けて来た。
「爺さんのお陰だよ。ブラスマイヤーと話が出来た。」
「ほう?それで、事件は解決できそうなのか?」
「今回の事件はかなり厄介な事件らしい、もしかしたら、爺さんとルシルの協力が必要になるかもしれない。その時は頼む。」
「ふむ、良いじゃろう。儂もたまには暴れたいからのぉ。」
あれ?竜王の爺さんが暴れたら王都が吹き飛ぶんじゃ無いか?大丈夫かな?
2人と別れ、冒険者ギルドに向かう。事件の鍵はあそこにあるはずだ。それに、冒険者が弱くなっている事をギルマスに伝える必要がある。
急いでギルドに転移する。と、転移した時に何か違和感があった。
なんだ、この感覚?
神の力が戻って感覚が鋭くなったのか?
もう一度転移でギルドから少し離れた位置に飛ぶ。今度は歩いてギルドに向かう。
歩く事15分。ギルドが見えて来た辺りで、またもや違和感。一歩下がると違和感が消える。どうやら、冒険者ギルドを中心に半径500メートルの地点に何かがあるらしい。
結界か?しかし、それらしき魔力は感じない。
んー、良く解らんが、とりあえず、僕には効果が無い様だ。中に入っても問題は無いだろう。だが、後で上空から調査する必要があるかもしれない。場所を覚えて置こう。
僕は意を決して中に入る。はやり入った瞬間だけ違和感を感じる。だが、入ってしまうと、徐々に違和感が薄れて行く。まるで列車でトンネルに入った様な感覚だ。
何かが冒険者ギルドで起こっているのは間違いない。だが、それが何かが掴めない。鑑定魔法を掛けてみるが、何も引っ掛からなかった。
考えていても仕方ない。冒険者ギルドに急ぐ。冒険者ギルドに近づいても特に反応が強くなると言う事も無い。
明らかに冒険者ギルドを中心に異変が起きているのだが、それを感じ取れない上に正体も解らない。
ブラスマイヤーは厄介だと言って居た。その辺にヒントがありそうだ。
冒険者ギルドに入るとまたしても、大量の怪我人が床に転がっている。まるで野戦病院だな。
ギルマスの姿を探す。恐らく朝と同様指揮を取っているはずだ。
見回しながらエリアハイヒールを掛ける。と、ギルマスが見つかった。声を掛けようと近づくと向こうもこちらに気が付いた様だ。
「どうした?随分早いが何か判ったのか?」
「幾つか、急いで知らせなきゃイケない事が出来たので来ました。ところで死者は出ていないんですよね?」
「ああ、幸い死者はまだ出ていない。」
「そうですか。では、報告を。結論から言うと魔物は強くなって居ません。」
「ん?どう言う事だ?お前も今の惨状を見ただろう?」
「ええ。魔物が強くなったんじゃ無くて、冒険者が弱くなっているんですよ。10%程ですが。」
「まさか、そんな事が・・・信じられん。」
「まだ、原因が特定出来ていませんが事実です。ちなみに弱くなったのは王都の冒険者ギルド、つまりここですね。ここに来た冒険者だけが、弱くなります。」
「冒険者ギルドが原因になって居ると言う事か?」
「それは、まだ解って居ません。ですが、冒険者ギルドから500メートル離れればその効果は切れます。出来れば急いで冒険者ギルドの出張所の様な物をギルドから500メートル以上離れた場所に作る事をお勧めします。」
「解った。検討しよう。」
「それから、一度弱くなった冒険者がどの位の期間で回復するかは解って居ません。出来ればギルドの方で確認して貰えると助かります。」
「ふむ、それはこっちで、引き受けよう。エイジは原因の究明に急いでくれ。」
「解りました。」
その場を辞そうと思ったら、竜王の爺さんが突然そう言った。
「え?ブラスマイヤーは神界ですよ??」
「連絡を取る方法は無いのか?儂なら神界に行って来る事も出来るぞい。それに、ドラゴン同士なら思念で連絡をする事も可能じゃ。お主はそう言う手段を持っておらんのか?」
思念?念話みたいな物か?って言うか念話って地上から神界に通じるのだろうか?そう言えば試した事無かったな。
ブラスマイヤーが神界に行った時にもう2度と会えないと思って居たから、連絡を取るなんて、すっかり頭から抜けていた。
「ちょっと待って下さい。一つだけ可能性がありますので試してみます。」
そう言って僕は集中して念話を送ってみる。
(ブラスマイヤー!聞こえるかブラスマイヤー!)
(おお、ようやく気が付いた様だな。もっと早く連絡してくると思っていたぞ。)
通じた!どうやら神界でも念話は通じるらしい。魔素があればどこでも通じるのかな?
(知っていたならなんで教えてくれなかったんだよ。)
(いや、何でもかんでも俺に頼られても困るからな。お前の事は神界からずっと見ていたぞ。)
(聞きたい事が山ほどあるんだが、今は急用だ。何者かが冒険者に魔法を掛けているらしい。誰が何の目的でこんな事をしているのかが知りたい。)
(ふむ、その件に関して俺は手を出せない。そこでだ、2つ程、重要な事を伝える。恐らくこれが、その事件の解決に繋がるだろう。)
(重要な事?)
(ああ、これはローレシアが知っていてあえて隠していた情報だ。何故隠していたかは聞けば判る。)
やはりローレシアは何か企んでいた訳だ。色々とおかしな点があったのも頷ける。
(聞かせてくれ。)
(1つ目は封印の腕輪だ。その腕輪には不壊の魔法が掛かっているのは知っているな?)
(ああ、どんな事があっても壊れない魔法だとローレシアは言っていた。)
(その通り、その腕輪は壊れない。だが外す事は出来る。壊れない=外せないと勘違いしていないか?)
な、その通りだ。壊れないと言う事は外せない事だと思っていた。
(思った通り勘違いしていた様だな。試しにその腕輪をストレージに仕舞ってみろ。)
言われた通りにストレージに入れと念じると、腕輪がスッと腕から消えた。
(入った!)
(同様に時空魔法でも外す事は可能だ。何故試さなかった?)
(いや、これを外すと神になっちゃうんでしょ?外しちゃ不味いと思ったし外せない物だと思い込んでいた。)
(それが2つ目だ。お主はその腕輪をしてようがしてまいが、既に神だぞ。)
(え?)
(ローレシアがどう言ったかは知らんが、お主は既に神だ。神界に来ようと思えば何時でも来れる。)
(済まん、頭が混乱している。ローレシアはこの腕輪を付けて居れば人間として、地上で暮らして行けると言ってたぞ?)
(腕輪の有無に関係なく、神は地上で暮らせるぞ。問題は、基本的には神は地上には降りられないと言う掟にある。しかし、お前の様に地上に落とされた者が自らの意思で戻らないのであれば、その掟に縛られる事も無い。)
(それって、ローレシアに騙されたって事?)
(騙されたと言うよりは、必要な情報を与えなかったと言うべきかな。)
なんか、釈然としないぞ。
(神格を砕けば僕は神で無くなるんでしょ?何故、ローレシアはそれをしなかったんだ?)
(神格を砕くと言う事は神を殺すと言う事だ。神殺しは大罪だ。ローレシアもそれは出来なかった様だな。)
(もう一つ疑問があるんだけど、何故ローレシアはストレージを取り上げたり封印したりしなかったの?)
(まず、ストレージの封印は不可能だ。あれは神のスキルだからな。もし取り上げても、神であるならば復活する。もし、一度取り上げられて、復活したら、お前はどう思う?)
(なるほど、僕が自分が神であると疑念を抱く事になるのを避けたのか。)
(そう言う事だな。そして、一番の失敗は俺とお前が念話で話せる事を知らなかった事だ。)
(そっか、色々とおかしいと感じていた事の謎が解けたよ。)
(ふむ、これでお前は神の力を取り戻した。だが、地上でこのまま暮らしたいなら、普段は封印の腕輪を装備して置け、ローレシアに見つかると不味いからな。そして、必要な時に腕輪を外し神の力を開放すれば良い。)
(ところで、今回の事件は神の力を使わないとイケない程の事件なの?)
(ああ、この事件はちと厄介だぞ。)
(ヒントはくれないの?)
(まずは自分で動け。どうしても俺の力が必要なら、また念話を送ってくれ。)
(解った。)
ブラスマイヤーとの念話が途切れた。
僕がブラスマイヤーと別れて約1年。きっと、ブラスマイヤーにとっては数日の出来事と変わりが無いんだろうな。僕は竜王の爺さんのヒントが無ければ、未だに一人で藻掻いて居ただろう。
「お主、力が戻った様じゃのぉ。何があった?」
爺さんが声を掛けて来た。
「爺さんのお陰だよ。ブラスマイヤーと話が出来た。」
「ほう?それで、事件は解決できそうなのか?」
「今回の事件はかなり厄介な事件らしい、もしかしたら、爺さんとルシルの協力が必要になるかもしれない。その時は頼む。」
「ふむ、良いじゃろう。儂もたまには暴れたいからのぉ。」
あれ?竜王の爺さんが暴れたら王都が吹き飛ぶんじゃ無いか?大丈夫かな?
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急いでギルドに転移する。と、転移した時に何か違和感があった。
なんだ、この感覚?
神の力が戻って感覚が鋭くなったのか?
もう一度転移でギルドから少し離れた位置に飛ぶ。今度は歩いてギルドに向かう。
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結界か?しかし、それらしき魔力は感じない。
んー、良く解らんが、とりあえず、僕には効果が無い様だ。中に入っても問題は無いだろう。だが、後で上空から調査する必要があるかもしれない。場所を覚えて置こう。
僕は意を決して中に入る。はやり入った瞬間だけ違和感を感じる。だが、入ってしまうと、徐々に違和感が薄れて行く。まるで列車でトンネルに入った様な感覚だ。
何かが冒険者ギルドで起こっているのは間違いない。だが、それが何かが掴めない。鑑定魔法を掛けてみるが、何も引っ掛からなかった。
考えていても仕方ない。冒険者ギルドに急ぐ。冒険者ギルドに近づいても特に反応が強くなると言う事も無い。
明らかに冒険者ギルドを中心に異変が起きているのだが、それを感じ取れない上に正体も解らない。
ブラスマイヤーは厄介だと言って居た。その辺にヒントがありそうだ。
冒険者ギルドに入るとまたしても、大量の怪我人が床に転がっている。まるで野戦病院だな。
ギルマスの姿を探す。恐らく朝と同様指揮を取っているはずだ。
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「どうした?随分早いが何か判ったのか?」
「幾つか、急いで知らせなきゃイケない事が出来たので来ました。ところで死者は出ていないんですよね?」
「ああ、幸い死者はまだ出ていない。」
「そうですか。では、報告を。結論から言うと魔物は強くなって居ません。」
「ん?どう言う事だ?お前も今の惨状を見ただろう?」
「ええ。魔物が強くなったんじゃ無くて、冒険者が弱くなっているんですよ。10%程ですが。」
「まさか、そんな事が・・・信じられん。」
「まだ、原因が特定出来ていませんが事実です。ちなみに弱くなったのは王都の冒険者ギルド、つまりここですね。ここに来た冒険者だけが、弱くなります。」
「冒険者ギルドが原因になって居ると言う事か?」
「それは、まだ解って居ません。ですが、冒険者ギルドから500メートル離れればその効果は切れます。出来れば急いで冒険者ギルドの出張所の様な物をギルドから500メートル以上離れた場所に作る事をお勧めします。」
「解った。検討しよう。」
「それから、一度弱くなった冒険者がどの位の期間で回復するかは解って居ません。出来ればギルドの方で確認して貰えると助かります。」
「ふむ、それはこっちで、引き受けよう。エイジは原因の究明に急いでくれ。」
「解りました。」
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