転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ

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 Sランクが2人にAランクが3人なら、普通はSランクパーティーだよね?イービルボア程度にビビっていてどうすんの?

 僕の感覚が異常なのか、Sランクが思ったよりレベルが低いのかな?

 僕らは、魔物の様子を確認しながら先へと進む。途中で出て来るレッドボアは他のメンバーに譲り、僕はイービルボアだけを担当した。20分程進み、レッドボアを4匹、イービルボアを1匹倒した。やはり、どの魔物もどこかがおかしい。

「魔物がおかしいのは解りましたが、その中心点が判りませんね。こう言うのは中心に何かがあると思うのですが?」

「ふむ、もしかしたら、影響範囲が異様に広いのかもしれんな。」

 なるほど、この森全部が影響範囲だとすれば、原因を探すのは時間が掛かりそうだ。

「どうしたもんですかね?」

「もう一班が何か掴んでくれると助かるのだがな。」

「僕らの方が深い位置に居る訳ですから、何かあるとすれば、こっちじゃ無いですか?」

「まあ、そうとも言えるが、魔物は人間の様に都合では動かんからな。」

 確かにそうだが、あまり浅い位置にボスが居ると言う例はあまり聞かない。

 また、暫く歩いていると、サーチに人間の反応が掛かる。最初に森へ入ったグループだろう。と、それとは別に大きな反応が、端っこに引っ掛かった。イービルボアよりでかいぞ。

「向こうの班に魔法使いは居ますか?」

「ああ、女が2人居たろう?あの2人は魔法使いだぞ。」

「なら、大丈夫ですかね?イービルボアより強い反応があるんですが、向こうのグループも気が付いてれば良いのですが。」

「なに?どっちだ?」

「東ですね。動いている気配はありませんので、近づかなければ問題無いとは思います。」

「そいつが元凶かもしれない。急いで先行した班と合流して、10人で調査に向かうべきだな。」

 ビトーの意見が通って、急ぎ別の班と合流する事になった。

 10分程で先行した班と合流出来た。ビトーが今までの話を総合して伝え、東に大きな反応がある事も伝える。

 向こうの班のリーダーはSランクのバルカン。大剣使いの戦士だ。体も大きい。年齢は30歳前後と言った所だろう。

「こっちにはSランクが4人居る。大抵の敵には対処出来るだろう。そいつの正体を確認してみよう。」

 そう決まったが、10人でぞろぞろと行くのは見つけて下さいと言って居る様な物だ。なので、先行して偵察に行く部隊を決める。

 こう言う時は斥候職がメインになる。僕も入りたかったのだが、メンバーは4人と言う事で、何故か留守番役にされてしまった。恐らく、経験が少ないのがイケないのであろう。

 あれ?ちょっと待って。僕が知っているだけでもSランクが3人留守番になってるぞ、もう一人のSランクって誰だ?

 って言うか、4人が先行するならSランク4人を選択すれば良かったんじゃ?

 5分程で先行したメンバーの一人が帰って来た。

「確認しました。ヒュドラです。」

「ヒュドラだと?こんな所にか?」

「間違いありません。現在、眠っている様です。他の3人が見張っていますが、どうしますか?」

「ヒュドラとはまた、厄介だな。Sランクでも上位の魔物だ、攻撃力はドラゴンにも匹敵すると言われている。この中でヒュドラと戦った経験者は居るか?」

「ヒュドラは無いですけど、ドラゴンなら何度か退治してます。」

 そう進言してみた。

 あれ?みんなの視線が痛い。

「ヒュドラって、そんなに厄介なんですか?」

「ああ、毒持ちで首が3つもある。しかも3つの首をほぼ同時に切り落とさないと再生するって言う厄介なスキル持ちだ。」

「聞く限りでは、そこまで厄介だとは思わないのですが、弱点とか無いんですか?」

「弱点は首だ。首を落とせば再生するまではその首は攻撃が出来ない。しかし、奴には首が3つある。常に3つの首を警戒しながら戦う必要がある。」

「でも、ドラゴンよりは弱いんですよね?それは、防御力が低いって事ですか?」

「うむ、防御力に関してはドラゴンより劣る。だが、攻撃が3枚あるって言う点ではドラゴンよりも厄介だぞ。」

「こちらにはSランクが4人居るんですよね?それでも手こずる相手だと?」

「通常、ドラゴンを狩るには、Sランクが最低10人。Aランクが20人の30人態勢で挑む。ヒュドラも、それに近い物があるな。」

 え?ドラゴンに30人?それは竜王でも相手にするんでしょうか?

「寝てるんですよね?僕らも見に行きませんか?無防備なら上手くすれば、倒せるかもしれませんよ。」

「まあ、調査依頼だからなぁ。一応そのヒュドラが今回の異変の原因かどうかは調べる必要はあるな。だが、戦うかどうかは、その時の判断で決めるぞ。」

 と言う事で、皆でヒュドラを見に行く事にした。寝ているなら、大丈夫だろうと、皆、高を括っている様だ。

 しかし、僕はヒュドラに近づくにしたがって、その気がおかしい事に気が付いた。ドラゴンより弱いとバルカンは言って居た。だが、近づいて来る気は、ドラゴンより大きく感じる。

 しかも、その気を中心に細かい気が飛んでいるのも気になる。報告はヒュドラだけだ、他の魔物の報告は無かった。

 およそ5分、そこで一旦止まる。ここから先は慎重に行かないとヒュドラに気が付かれる可能性がある。僕は隠密の魔法を発動する。

 木の影を移動しつつ徐々に近づくとやがて、ヒュドラの巨体が見えて来る。

 ん?なんだ?ヒュドラの周りをハエの様な黒い物が飛んでいる。と言うか、この世界にハエは居ない。環境のせいか、虫も巨大だ。ここまで小さい虫は見た事が無い。

 と言うか、虫では無さそうだ。良く見ていると小さい黒い物はくっついたり分裂したりしている。

 更に言えば虫ならサーチには引っ掛からない。この黒い物は魔物の一種?

 バルカンの元へ近づき聞いてみる。

「あの、ヒュドラの周りの黒い物って何か判りますか?」

「いや、初めて見た。と言うかヒュドラを見るのも初めてなので何とも言えないと言うのが正確かな。」

「あのヒュドラ、明らかにおかしいですよ。多分、ドラゴンより強いんじゃないかと思います。」

「どう言う事だ?」

「僕は単独でドラゴンを退治した事がありますが、ここまで強い気を発しているドラゴンとは戦った事がありません。」

 まあ、ルシルや竜王の爺さんはもっと凄いけどね。

「ドラゴンより強いヒュドラか、これはギルドに報告しないと行けないな。」

 バルカンがそう言った瞬間、ヒュドラを取り巻いている黒い物体があちこちに飛び散った。

「なんだ?」

「もしかしたら、あれって、ヒュドラのセンサーだったのかもしれませんよ。」

「どう言う事だ?」

「僕らの存在が気付かれたって事です。」

 しかし、ヒュドラって、そんな事が出来る魔物なのか?

「戦いますか?」

「逃げると言う選択肢もあるが、まずはAランカーを下がらせてからだな。」

「んー、それは悪く無い選択ですが、面倒なので倒しちゃいましょう。とりあえず、皆を下がらせて下さい。僕が奴の気を引きます。」

「おいおい、大丈夫なんだろうな?」

 次の瞬間にはヒュドラの真ん中の首が飛んでいた。もちろん僕の攻撃なのだが、唖然として無いで早く下がってくれないかな。戦いづらいよ。

 他の2本の首から毒が飛んで来るが、物理防御魔法で弾く。真ん中の首が再生を始めた。再生時間は思ったより遅いな。これなら3つ一遍に首を飛ばすのは簡単だ。

 皆が、ある程度の距離まで下がったのを確認してから、僕は、もう一度再生した首を狙う。あれ?切れない?さっきより硬度が増している?そんな器用な事が出来るの?

 ふむ、確かに厄介だな。じゃあ魔法で行くか?

 と、考えて居たら、なんか黒い物体が戻って来てヒュドラの体に吸い込まれて行く。なんだこれ?

 とりあえず、ライトニングを3つの首にぶち込む。イケたか?あら、2つは沈黙したが一つはレジストしたみたいだ。3つの首それぞれで属性でもあるのかな?

 残った首が毒を吐く。これしか攻撃が来ないのが救いだな。僕は余裕で躱す。一度見た攻撃は通用しないよ。

 しかし、この間に2つの首が再生した。3つ同時ってのは意外に難しいな。
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