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 2月に入り、帝都は寒さもピークだ。しかし、王都はそこまで寒くない。それでもやはり、冬は寝起きのベッドから出るのが辛い。帝都に住んでるリアンは大丈夫だろうか?

 寒くても朝の稽古はキッチリと行う。その後帝都へ飛ぶのだが、これがまた辛いのだ、急に寒くなるからね。まあ、魔法で温度調節は出来るのだが、なんか他のメンバーに悪い気がして。

 まあ、今日はハンターギルドに申請していた、レイドの日だ。30人編成でオークの村を潰す作戦だ。

 集合場所はギルドの裏手、最近よくお世話になってます。

 今日はCランク以上のメンバーが集まるのだが、やはり試験の関係でCランクが多く、半数以上を占めている。

 オークは低ランクの魔物だが、集団になるとランクが上がる。そして、村を形成し、上位種が産まれると、こうやって大規模討伐の対象になるらしい。ちなみに上位種のオークジェネラルはBランクだそうだ。また稀に生まれるオークキングはAランクの魔物になるらしい。

 また、亜種としてオークメイジ、オークアーチャー、オークロードと言うのも居ると言う、どうやら人間の軍隊を模倣している様だ。

 僕が着いた時には既に10人近くのメンバーが揃っていた。その後もぞろぞろと集まって来る。
 
 ギルド職員の話によると、Aランクが4人、これは引率役らしい。Bランクが7人、残りがCランクだそうだ。

「オークだと思って甘く見るとやられるぞ。そして、一人欠けると全員にしわ寄せが来る。最悪パーティー全滅って事もある。気を引き締めて、討伐に当たる様に。」

 ギルド職員がそう言うと、Aランカーを先頭に出発する。あれ?ブリーフィングとか無いの?

 ギルドの表に回ると8人乗りの大型馬車が4台用意されていた。どうやら、これに乗って目的地に行くらしい。

 馬車は苦手なんだけどな。

 今回討伐に行くのは東だそうだ。事前の調べで100匹以上の村である事は確認されている。だが、上位種の種類や人質の有無などは解って居ないと言う。

 距離的には馬車で1時間少しと言った所らしい。

 引率と言う事で各馬車には1人ずつAランカーが乗っている。馬車が動き出すと、Aランカーが今回の討伐の詳細を話してくれる。なるほど、移動に時間が掛かるから出発前の説明が短かったのか。

「100匹以上の群れには必ず上位種が居る。オークジェネラルが居るのは間違い無いだろう。まあ、上位種は我々高ランクが相手をするのであまり心配はしなくて良い。だが、上位種が居ると、他のオークも若干だが強くなる。これを忘れるな。オークは弱いと侮ると危険だぞ。」

「オークの亜種と言うのは強いのですか?」

 前の方で熱心に聞いていた男が質問をした。

「亜種ってのは強いと言うより、特殊技能持ちなので戦いづらい。戦力自体は普通のオークと変わらない。この中に魔法使いは居るか?」

 Aランカーの問いに数人が手を上げる。僕は純粋な魔法使いじゃ無いからどうしよう?と思っているうちに話が進んでいた。

「亜種については魔法使いに任せるのが良いと思う。まあ、それ程数も居ないし心配するほどでは無いかな。」

 馬車の中にホッとした空気が流れる。やっぱこう言うの良いね。僕の気分はアトラクションだ。

 どうやら休憩は入れずに目的地まで行くらしい。僕はちょっとケツが痛い。

 目的地に着くと、皆体を伸ばしたり、用意された水を飲んだりして、体を解す。ここから15分程行った場所にオークの村があるらしい。

 どうやらオークにも斥候が居るらしく、これ以上近づくのは危険だそうだ。

 僕はサーチを展開する。あれ?100匹って言ってたけど、数が多いぞ。150匹以上は居そうだ。これは言った方が良いのかな?

 150対30。まあ、一人5匹倒せば良いだけだ。問題無いだろう。

 現場は北に崖がありその周りの木を切り開き、かろうじて家と解る程度の家が何軒か立っているらしい。その他のオークは崖の壁に穴を掘って、そこに住んでいる様だ。

 僕はサーチで探りながら、話を聞いているが、何処かがおかしい。家の数も10件以上あるし、予想しているより規模が大きい気がする。

「済みません。それは何時の情報でしょうか?」

 気になったので聞いてみた。

「2週間ほど前の情報になるな。何かおかしな点があるのか?」

「探知魔法を使ってみたのですが、説明された物より一回り大きい反応があります。数も150匹程度居ますね。」

「2週間で増えたか。まあ、誤差の範囲だろう。予定通り討伐するぞ。」

 誤差の範囲で済む話なのか?

 まあ、良い。150匹と聞いても動揺する気配は無かった。それなりの経験があると言う事だろう。

 背後が崖と言う事もあり、包囲作戦を展開する様だ。僕は東の方に配置された。

 徐々に包囲を狭める戦法だ。

 中央に陣取ったAランカーの合図で包囲戦が始まった。

 配置された30人から崖までの距離は500メートル。順調に行けば1時間で終わる作戦だ。

 サーチを掛けながら歩いて行くが、こちら側には斥候は居ない様だ。100メートル程一気に間を詰める。最初のオークに迫るが、まだ、他のメンバーが追い付いていない。攻撃を仕掛けるのは早いか?

 西の方では斥候とぶつかっているメンバーもいる。これだと、東のオークがそっちに行ってしまうのでは?

 判断を仰ぎたいが、近くに高ランカーが居ない。自分の判断でやれって事かな?

 とりあえず、隠密を掛けて1匹オークを仕留める。普通のオークだ。サーチでオークの位置を特定しながら徐々に北西へ進んで行く。

 この辺に家は無い。オークの数もまばらだ。近くのCランカーに先へ進めと合図し僕もどんどん崖に近づいて行く。

 2匹目のオークを倒した時にはかなり崖に近づいていた。

 どうやら東は開拓中と言った所らしい。これは、放って置けば更に数が増えるって事だろう。

 西へ西へと向かうとみすぼらしい家があった。サーチを掛けると中に反応が2つ。ドアを蹴破ると子供のオークが2匹。子供は殺したくないんだがな。しかしオークの成長は早い。見逃せば犠牲者が出るかもしれない。仕方なく、瞬殺する。

 既に4匹倒した。あと1匹でノルマは達成だな。そう思いながら、東に配置された他のメンバーと合流し西へ向かう。

 今度は家が3軒ほど、適当な配置で建っている。サーチを掛けると3軒とも空だ。

 僕らは更に西へと進んで行く。合流したメンバーは5人になって居る。徐々に家の数も増えて来る。事前の情報では数軒じゃなかったのか?どう見ても10軒以上集まって居るぞ。

 サーチを掛けると殆どの家は空だが、1軒だけ、3つの反応がある家がある。また子供か?

 ドアを破壊しながら転がり込むと半裸の女性が3人、3人は怯えた様子でこちらを見ている。明かにオークに凌辱された被害者だな。僕はストレージから毛布を3枚取り出し。女性達に投げて渡した。

 メンバーの1人に3人を預けて、更に先に進む。ほぼ中央辺りで乱戦が始まっている。現在は討伐軍が押しているが、どこからかオークがわらわらと湧いて来る。

 僕らは乱戦には加わらずに、湧いて来るオークを減らして行く。これは150匹どころじゃないな。倍の300匹位に修正した方が良いぞ。

 僕は出て来るオークを瞬殺しているが、他のCランクメンバーは結構苦戦気味だ。時々助け船を出しながら、もう10匹は倒している。

 そう言えば上位ランカーは?サーチを掛けるともう少し西で大きな反応と戦っている。オークジェネラルが出たのか?

 そちらへ向かいたいのだが、オークがやたらと湧く。どこから出て来るんだ?

 見回すと崖の壁に空いた穴からオークが沸いている。これは住居じゃ無くて、崖全体が巨大な要塞になっている様だ。

「どうなっている?」

 手の空いているAランカーがこちらの様子を見に来た様だ。

「崖全体が、巨大な要塞になって居ますね。オークの数は300匹以上に修正した方が良さそうですよ。」

「ふむ、しかし、お前、Cランクにしては落ち着いてるな。」

「そうですか?所で崖に攻撃を仕掛けても構いませんか?」

「構わんが崩すなよ。」

 許可を取ったので、オークが湧く穴の1つに爆炎を叩き込んだ。

 数秒後、他の穴からオークが大量に湧き出て来た。思った通り中で繋がっている様だ。

 近くのオークから瞬殺して行く。もう30匹以上倒しているんだが、減らないな?

 一体何匹居るんだろう?
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