転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ

文字の大きさ
上 下
149 / 308

149

しおりを挟む
 さて、今日は稽古の後、道場を軽く見て回り、ギルドで昇級試験を受けた。無事Dランクに昇級した。

 その後子爵邸でゆっくりと過ごし、3時には王国へ戻る。

 子供たちを1時間程戯れ、風呂に入る。その後は応接室が僕の定位置だ。お茶を飲みながら明日の事を考える。

 『緋色の風』のメンバーは、稼げるようにはなったが、どうも実力が伴って居ない。ここは少し鍛えてみても良いかな?正直、これから先も一緒に行動するなら、せめてBランク位にはなって欲しい。

 まあ、1日でどうこうなる物では無いが、あれだけ稼いで居れば、週に1日位は稽古の日が取れそうだ。

 翌朝、稽古の後、帝国に飛び、『緋色の風』と合流する。

「昨日はどうだった?」

「昨日はブラックベアを中心に狩りました。ブラックサーペントが1匹。ベアが12匹ですね。」

「悪く無い成果だな。レーネの探知魔法もだいぶ上手くなって来ている様じゃ無いか。」

「今日はどうします?」

「今日はこれから皆で昇級試験を受けようと思う。その後は稽古をしたいな。」

「え?狩りには出ないんですか?」

「毎日狩りと言う訳にも行かないだろう?昇級すればパーティーランクも上がるし。狩れる魔物のランクも上がる。特に女性2人はここの所活躍がめざましいからランクアップしてEランクパーティーにしましょう。」

 と言う事で混雑の中皆で窓口に並ぶ。

「ところで、稽古をしたいんだが、良い場所を知らないか?」

「普通はハンターギルドの裏手で稽古をするもんだが、派手な魔法を使うなら西の平原がお勧めだな。」

 西の平原?そう言えばリリの家庭教師の時に行ったな。あそこなら滅多に人も来ないし良いかも。

 30分程で順番が回って来た。

「ここにいる5人全員で昇級試験を受けたいんだが。」

「では、ギルドカードを出して下さい。」

「みなさん、Cランク以下ですので、すぐに試験は受けられます。受付票を発行しますので、受け取ったらギルドの裏手に回って下さい。」

 順番に、カードと受付票を受け取り。ギルドの裏手の試験会場へ向かう。

 朝一と言う事もあってか、試験を受ける人が結構いる。まあ、その分職員も多いので、意外に早く終わりそうだ。

 僕とシン、ヒルダは戦士職で、リオンとレーネは魔法職で試験を受ける。結果全員が昇級した。リオンはギリギリだったな。鍛えないと。

 再び窓口に並び、手続きを終えた頃には11時を回っていた。

「じゃあ、これから西の草原に行くぞ。ちなみに僕はCランクでシンがDランク他のメンバーがE、これってパーティーランクはどうなるんだ?」

「エイジが居ればD、居ない時はEランクのパーティーになるな。」

 西門を出て10分程で平原に着く。

「さて、まずは皆の実力を量る為に模擬戦をする。その後、個人別に指導をしよう。」

「模擬戦ですか?」

「ええ、そっちは4人で何時ものフォーメーションで掛かって来て下さい。武器も真剣で構いません。魔法も普通に使って良いですよ。僕を魔物だと思って狩るつもりで来てくださいね。」

 僕は4人と7メートル程距離を取る。

「何時でも良いですよ。あ、指揮はリオンが取って下さい。」

 1対4で対峙する。皆は戸惑っているが、魔物は待ってくれないよ。

 僕が軽く走り出すと。レーネがエアカッターを発動する。同時にリオンもファイヤーボールを撃つ。僕が2つの魔法を霧散させると、ヒルダが真剣な顔になった。

 僕はヒルダに向かうと見せて、途中で、くるりと身を翻し、シンと打ち合う。シンは慌てたのか、剣を弾かれて手放してしまった。

 4人の中央に入り込んだ僕は4人に同時にバインドを掛けた。

「はい、パーティー全滅。全員死亡だよ。」

 バインドを解きながらそう言った。

「このパーティーは良くも悪くもシンが要のパーティーだ。シンが崩れたらパーティーは全滅する。」

 シンが神妙な顔で頷く。

「次に盾役のヒルダ。ヒルダは魔物を押さえるのは当然だが、常にシンの居場所を把握して守らなければならない。今はそれが出来ていない。」

 ヒルダも頷いている。

「そして魔法職の2人。魔法が外れる事は良くある事だ。常に第二の魔法を撃てるように準備しなければ駄目だ。それに、攻撃魔法だけが魔法では無い。支援魔法も上手く使わなければ今後の戦いはきつくなるぞ。」

「自分たちの弱点がハッキリと見える模擬戦でした。全く何も出来ずに全滅するとは、情けないです。」

 リオンが落ち込んでいる。

「落ち込む事は無い。魔物は僕みたいな戦い方はしないし、僕は皆の弱点が解って居たから出来た事だ。自分たちの弱点が解ったなら、そこを改善すれば良いだけの事だろう?」

 その後3時間みっちりと4人を扱いた。特にリオンをメインに。リオンには攻撃魔法と支援魔法を。レーネには支援魔法をメインに教えた。後は魔法書で勉強すれば魔法は上手くなるはずだ。

 シンには剣技を教えつつ模擬戦を行った。ヒルダには、盾を使いながらの剣技を教えた。

 ここの所の魔物討伐で、4人は大幅にレベルが上がっている。どうやら体がレベルアップについて行って居ない様だ。それを補正する意味でも、週に1度は稽古をしたい。そう、提案すると、皆思う所があるらしく、賛成してくれた。

「さて、今日の訓練はここまでだな。出来れば週に1度は休みの日にした方が良い。現在の稼ぎなら可能だろう?週に1日休み、1日稽古。残りの5日で金貨100枚も稼げば問題無いだろ?」

「エイジが入る前は、月に金貨10枚って感じだったよ。それでもFランクとしては稼いでる方だったし。」

 リオンの言葉にヒルダがうんうんと頷いている。

「週に金貨100枚とか、Bランカーの稼ぎだよ。」

 ん?そうなの?やりすぎた?

 確かに月に金貨10枚稼げば、一般人より良い生活が出来る。そう言う意味ではシンは有能なリーダーなのかもしれないな。

 なるほど、ヒルダが怖がるわけだ。

 でも、強くなることは悪く無い。何より知り合いが死ぬのは避けたい。だから、稼ぎは二の次と考えて、鍛えて行くつもりだ。結果、稼げるなら、それは悪い事では無いと思うのだが。

 とりあえず、金銭感覚が麻痺しない様に気を付けよう。って言ってる僕が一番金銭感覚狂ってるけどね。

 稽古を終えて、西門へ向かう最中、冒険者グループと鉢合わせた。ガラの悪そうな連中だったので、僕らは道の端に避け、道を譲った。しかし、その行為が気に食わなかったのか、絡まれた。

「お前ら、最近稼いでると噂のFランクパーティーじゃねえか?金持ってるなら少し恵んでくれないか?」

 ん?噂になってるのか?

 同じパーティーのメンバーが止めているが、男は止めようとしない。

「Fランクごときが生意気なんだよ。俺らDランクパーティーが注目されずに、なんでFランクパーティーが話題になってるんだ?」

「それは、こいつらのせいじゃ無いだろう?お前酔ってるのか?」

 どうでも良いが、道を開けてるんだからさっさと行ってくれないかな?

「いや、俺の気が収まらねぇ。上下関係ってのを教えてやる。」

「よせって、問題を起こすとギルドがうるさいぞ。」

「構うもんか、それに、今、ここには誰も居ねえよ。」

 内輪もめか、喧嘩を売るのかはっきりして欲しいね。

 それに、早く帰りたい。

「何だ、その眼は?喧嘩売ってんのか?」

 いやいや、喧嘩を売ってるのはあなたでしょう。

 男が剣に手をかけた。それを抜いたら、ギルドカードを剥奪されるよ?

「やめろ、ゲルド!」

 前方から迫力のある声が聞こえた。

「だけど、リーダー、こいつらが。」

「俺に2度同じ事を言わせる気か?」

 相手のパーティーは6人。リーダーと呼ばれた男が振り向く。どうやら、リーダーだけは格が違う様だ。

 ゲルドと呼ばれた男は、黙って列に戻った。どうやらリーダーには頭が上がらない様だ。

 僕たちは黙ってそのパーティーを見送る。

「なんだ、あれ?」

「あれは、Dランクパーティーの『漆黒の影』ですね。リーダーのゴルザはBランクらしいです。」

 リオンが答えてくれた。

「強いのか?」

「Dランクパーティーとしては強いですね。ただ、上はBで下がEまでの幅がある構成なのでリーダーが居なくなったら大変そうです。」

「まあ、良いか。滅多に会う事は無いだろうしね。」

 あれ?今僕思いっきりフラグ立てなかった?
しおりを挟む
感想 299

あなたにおすすめの小説

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

処理中です...