転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ

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 まず、結果から言うと『エドワード魔道具店』は大繁盛した。まず、売れたのが暖房の魔道具だ。お手頃な価格設定が功を奏し、初回分の1000台は1週間掛からず売り切れた。もちろん転売屋も多数出たが、僕はすぐさま5000台の在庫を投入した。

 エドワードの商才もあるのだろうが、商品の強さが際立ったのか、行列が出来る程、短期間で大量に売れている。

 また、日に日に寒くなって行く帝都の気候も手助けになったのかもしれない。

 次に火が付いたのがマジックバッグだ。その値段の安さに、買い占めようとする客が現れたので個数制限を掛けたほどだ。

 正直、マジックバッグはエドワード魔道具店で購入して転売すればかなり儲かる。だが、それも最初の1週間の話だ。暖房の魔道具で注目を集めたエドワード魔道具店はマジックバッグも安く売っているとすぐに知れ渡った。こうなると他の魔道具屋でマジックバッグを買う者が居なくなる。実際、1メートル四方のマジックバッグなんて、あまり需要は無かったしね。

 また、ポーションも隠れた人気商品になって居る。価格は他店の半分、効果は1.2倍と言うのが、ハンターの間で話題になり、補充する傍から売れて行く。

 本当なら新商品の開発をしたいのだが、補充用の商品の制作に時間を取られ開発まで手が回らない。

 まあ、このフィーバーが落ち着いたら新商品を投入すれば良いだろう。

 そう言えば、エドワードの家族は22歳の奥さんと3歳になる息子さんが居る。流石に3歳児を放って店を手伝うのは無理がある。そこで店員を1名雇った。雇ったのは奥さんの妹で20歳になったばかりの娘さんだ。まあ家族で経営しているので、時々奥さんと役割を交代しながら上手くやっているらしい。

 僕は基本2時過ぎに店に寄ってマジックバッグに入った商品をエドワードに渡すだけだ。その後は王国の自宅へ帰り、補充品を作成してから風呂に入る。

 しかし帝国は日に日に寒くなっているのに王国はあまり温度が変わらない。物凄く暖かく感じる。

 翌日、稽古の後、帝国に転移したら無茶寒かった。ついに気温が10度を切った。幾らなんでも早すぎない?まだ11月の前半だよ?

 僕は防寒着を装備して道場へ行く、何時もは元気な子供達も流石に寒いらしく、皆で固まっている。

 僕は暖房の魔法で子供たちを中心に周囲10メートル程を温める。

 その後子供達に理論を教えたり、実際に魔法を撃ってみたりしながら、教えていると。門下生が徐々に集まって来る。師範の2人が揃うと本格的に稽古が始まる。今日はリリ達は来ない様だ。僕は暫く子供たちの相手をしてから、門下生の成長具合を見て回る。そう言えば特待生の3人はかなり強くなっている。今では師範に次ぐ実力を持っている彼らの周りには何時も誰かしら門下生が付いて教えを受けている。

 まだ10歳程度の子供に大人が魔法を教わる図は奇妙だが、成立しているのでありだろう。彼らが成人する頃にはどこまで成長しているか楽しみだ。

 魔法道場と言うと魔法だけを教えるイメージだが、魔法使いは戦う。なので、魔法を使った戦闘も教える。基本魔法使いが戦う時は補助魔法を多用する。例えばクイックや身体強化等は必須の魔法なのだが、帝国の魔法使いは、補助魔法をあまり使わない。

 帝国では魔法使いは砲台なのだ、王国では魔法使いも前線で走り回っているが、帝国の魔法使いは走らないのだそうだ。同じ起源で始まっているはずの魔法使いで何がこうも変わってしまったのだろうか?

 僕の道場では走る魔法使いを育てている。なので走りながら魔法を使うのは当たり前だ。だが、この当たり前がなかなか難しいらしい。実戦では威力のある魔法より早い魔法の方が効果がある。なので、初級でも良いからとにかく素早く撃つ事を覚えさせている。

 詠唱は無駄だ。と言うのが僕の理論だが、魔法学院では詠唱こそが魔法の神髄だと教えているそうだ。確かに詠唱にはイメージを補佐すると言う意味はある。だが、敵にこれから撃つ魔法を教えてどうするのだろう?避けて下さいと言って居る様な物だ。

 正直戦争になったら魔法学院の卒業生は戦場に死にに行く様な物だ。僕の道場なら生き残る事を真っ先に考える魔法使いを育てる。

 魔法学院の教師はなんでそんな簡単な事に気が付かないのだろうか?そう言えば帝国は何十年もまともな戦争をした事が無いと侯爵が言っていた。こんなに身近に魔物が闊歩する世界で平和ボケしているのか?

 リリ達5人が魔法教育に一石を投じてくれることを祈って、その日は上がった。

 エドワード魔道具店へ飛び、補充分を渡す。

「どうですか?」

「まだ、客の数は多いですが、こっちもだいぶ慣れて来たので、徐々に楽になってきました。」

「良いですね、明日は何が必要ですか?」

「暖房の魔道具はまだまだ売れますね。あとマジックバッグとポーションをいつも通りで。」

「解りました。では、また明日の同じ時間に。」

 王国へ戻り、子供たちの顔を見てから、魔道具の補充分を作る。その後は風呂だ。そう言えば最近一人で入る事が多くなったな。まあ、妊婦2人が相当お腹が大きいからな。一緒に入るのを嫌がるんだよね。

 アリアナはもうすぐ予定日じゃなかったかな?12月に入る前に生まれるとか言っていた気がする。
 
 そう言えばシルフィーヌの顔もだいぶしっかりして来て可愛いし。なんだかんだで忙しくしてたから時間が経つのが早いな。

 ルシルはシルフィーヌが生まれてから母性が芽生えたのか、若干女らしくなった気がする。母乳を与えたり、おむつを交換したりと、結構お母さんしている。

 訓練の時以外はだいたいシルフィーヌにべったりだしな。やはり我が子は可愛いのだろう。しかし、僕とルシルの子って将来どうなるのだろう?やはり戦闘民族?竜人って言ってたしな、名前だけで強そうだ。長命種なのだろうか?だとすると他の兄弟とのバランスが難しいな。

 僕とルシル、そしてシルフィーヌは年を取らない、しかし、セリーやアリアナ、エルにリアーナはどんどん年を取って行き、100年もしない内に寿命がやって来るだろう。僕の魔法で延命する事は可能だが、果たして、彼女たちはどう言う選択をするのだろうか?これはいずれは話し合わないといけない問題だ。

 問題はどのタイミングで話をするかだな。

 その日はセリーと一緒に寝た。うーん、セリーもアリアナも今は子供の事で頭が一杯だろうな。出来れば誰も妊娠していない状態の時に話をしよう。

 翌朝6時前に目が覚める。もうこれは習慣だな。6時半に朝食を取り、7時には稽古だ。2時間稽古をして、9時過ぎには帝国へ飛ぶ。

 なんだ?また寒くなっているぞ。朝だからか?まあ良い寒いって事は暖房の魔道具が売れるって事だ。

 それにしても王国との温度差がどんどん激しくなるな。これからは転移する前に防寒着を装備しよう。

 道場へ行くと既に子供たちが稽古をしている。前は僕の方が早かったのにな。まあ、自分がどんどん強くなるのが楽しいんだろうな。

 子供たちを中心に暖房の魔法を掛ける。僕も寒いのは苦手だし。皆を集めて少し講義をするから、暖かい方が良いよね?

 今日は実戦での戦い方を教えてみた。そろそろ補助魔法の大事さを教えて置いた方が良い頃合いだと思う。僕とリリとの模擬戦を解説しながら教えたのが良かったのか、喰いつきが良い。

 その後、門下生が来るまでは模擬戦形式で稽古をして良いぞと言うと大はしゃぎだった。

 10時を過ぎると門下生がパラパラと集まって来る。師範2人が揃うまでは子供達に模擬戦をやらせた。

「よし、そこまでだ。続きは明日にして、今度は模擬戦で有効な魔法を幾つか教えるから覚える様に。」

 僕は補助魔法を一通り使って見せて、どう言う時にどんなタイミングで使うのかを丁寧に解説して行く。

 ここから先は自主練だ。僕は今度は門下生の練習を見て回り、時々アドバイスをしたり、実際に魔法を使って見せたりする。

 珍しく武舞台が空いていたので、特待生3人を呼んで、1対3で模擬戦を30分程行った。3人共見違える程強くなっている。どうやら、僕とリリやベル達との模擬戦を見て覚えたらしい。更に教科書の理論が加わっている。どうやらかなり読み込んでいる様だ。

 これを見たらリリが更に気合が入りそうだ。いや、いっその事リリと特待生で戦わせてみるか?

 どっちが勝っても収穫がありそうだ。これはアリだな。
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