転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ

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 子爵邸でリアンとお茶をしていたら、商業ギルドから募集を掛けていた3人が集まったと連絡があった、頼んでから3日しか経って無いぞ。本当に店長候補って人気あるんだな。そう思いながら商業ギルドへ赴く。

 商業ギルドの担当者と打ち合わせして、明日の3時に店舗で面接と言う事になった。

 売るべき商品である、マジックバッグと、暖房の魔道具、冷蔵庫、冷凍庫を準備して置く。

 翌日道場が2時で終わった後、店舗に飛んで、面接用のスペースを作る。まあ、店舗以外は民家と変わらないので、店舗部分にソファーとテーブルを設置する。寒いので暖房の魔道具も設置してある。

 この暖房の魔道具、高さが25センチ奥行きが30センチ、幅が10センチと非常にコンパクトな木箱だ。正面に5ミリほどのスリットが3本入っている。ここから温風が出る。正面の上部に小さな魔石が付いており魔力を流すとスイッチが入りもう一度流すとオフになる。両サイドには空気を取り込む穴が30個ずつ付いている。構造は非常に簡単だ。

 魔石に魔力を流すとスイッチが入り、魔石が魔素を吸い込み、魔道具が動作する。動作は1つだけで40度の温風が出る。それだけだ。小さな部屋なら10分もすれば温かくなる。

 問題は空気中の魔素が無くなると停止してしまうと言う事だ。一応魔法の効率化を取り入れているので、一般的な部屋で比較的密封度が高い部屋でも1時間は動作する。定期的に換気を行えば実用に十分耐えられるだろう。

 また、壁に穴を開けて空気の取り入れ口を家の外に出して設置すれば魔石の効果が切れるまで2年程は連続使用も可能だ。

 小型なので部屋から部屋の持ち運びも片手で出来るし、店舗等では設置して使用しても良いと非常に汎用性が高い。

 ちなみに付与の温度を変えればクーラーとしても使える。

 とりあえず1000個作ったが、帝都の人口が40万人程、貴族の家や裕福な家には暖炉がある。だが、例年は暖炉を使う程寒くならないので、これらの暖炉が一斉に稼働し始めたら、薪が足りなくなりそうだ。

 そう言う意味でも需要はかなり多いと踏んでいる。

 2時40分を回った所で3人の若者が連れ立って店舗に訪れた。どうやら商業ギルドから一緒に来たらしい。

 3人の自己紹介が終わった所で、僕は暖房の魔道具を皆に披露する。機能や構造なども説明して行く。

「さて、ここからが面接です。この魔道具、皆さんなら幾らで販売しますか?」

「暖炉に変わる魔道具ですよね?一般的に暖炉を設置するとなると最低でも金貨20枚は掛かります。そう考えると設置代金が掛からないこの魔道具は金貨2枚でも十分売れると思いますが。」

「いや、魔石を使った魔道具と言う事を考えると何年かに1回買い替える事になります、それを踏まえると金貨1枚が妥当かと。」

 この2人は魔道具=高価と言う固定概念から抜け出せない様だ。

「失礼ですが、その魔道具の原価は幾らになりますか?」

 ほう?最後の男は原価を聞いて来た。これは期待が持てるかも。

「僕が作る分には銀貨1枚ですね。」

「なら、採算の取れるギリギリの価格で売りたいと思います。銀貨2~3枚ですね。」

 他の2人が驚いた顔をしている。

「理由を聞いても?」

「この魔道具は一家に1つと言う暖炉とは違います。持ち運んで色々な部屋で使う事も可能ですので、便利さに気が付けば2台目3台目を買う家も出て来るでしょう。そう考えれば、かなりの販売台数が見込めます。高くて売れない魔道具より、安くて沢山売れる魔道具の方が儲かるのは当然ですよね?」

「えっと、エドワードだったか、君に決めよう。他の2人は原価を聞かなかった時点でアウトだったな。」

 先の2人が項垂れて出て行く。残ったエドワードに他の商品を見せて行く。

「どうだ?やって行けそうか?」

「これだけ画期的な商品があれば、暫くは大丈夫ですね。ただ、出来ればもう少し価格の低い魔道具が幾つか欲しい所です。」

「解った考えて置こう。この店舗は自由に改装して構わない。お金は僕が出すので、好きな様に店を作って下さい。ちなみに家族は?」

「嫁と子供が居ます。現在は実家の商会を手伝って居るので、明日からでも働けますよ。」

 エドワードは商会の次男坊で24歳。既に兄が商会を継いでいるのだそうだ。

「居住空間は自由に使って良いですよ。家族が居るならいっその事引っ越しして来てはどうでしょう?」

「え?こんな広い家を貸して貰えるんですか?」

「店を借りたら家が勝手について来たんです。維持するのも面倒なので借りてくれると助かります。もちろん家賃は要りませんよ。」

 その後、僕の身分等も明かし、正式に契約をする。エドワードは早速明日から店作りをするそうだ。1週間以内に引っ越しも同時に行うと言って居たが、無茶すんなよ。

 さて、翌日は道場が休みの日なのでアスアスラに会いに行く。今日は教会も休みの様でルーラが家に居た。

 ルーラとひとしきり遊んだ後、お茶にする。

「そう言えば、エルフの国では異常気象って起こった事ある?」

「私が生まれる前に、雨が1か月以上降り続き、森の木が大量に枯れたって言う話は聞いた事がありますよ。多分、100年位前の話ですね。」

 ふむ、異常気象が全く無い訳では無いのか、だとすると今回も自然現象なのかな?

 いよいよ明日から11月に入る。それでも王国の気温は20度近い。寒いと言う感じはしない。

 だが、帝国に飛ぶと一気に温度が下がる。15度を切っている。流石に道行く人々も防寒着を着ている。

 道場へ行くと子供たちが暖房の魔法で暖を取っていた。うん。そう言う所から魔法を覚えるのは良い事だ。やっぱ実用的な物程身に着きやすいしね。

 2時を回った所で魔道具屋に飛ぶ。たった2日でかなり出来ている。エドワードさんやる気あり過ぎだろう。

 僕は店で販売する商品をマジックバッグに入れてエドワードに渡す。

「価格なんだけど、マジックバッグは安く売って普及させてほしい。具体的には2メートル四方で金貨50枚。4メートル四方で白金貨1枚って感じかな。」

「そんなに安く売って大丈夫なんですか?」

「ああ、マジックバッグは幾らでも作れる。原価もバッグの値段だけだから銀貨1~2枚って所だ。2と4は100個ずつ置いて置く。5,6,8,10は20個ずつ預ける。値段は適当に付けて構わない。」

「ちょっと待って下さい。10メートル四方のマジックバッグって国宝級じゃないですか?」

「そうなの?もっとでかいの作れるよ?」

 その後、冷蔵庫と冷凍庫を4つずつ展示し、暖房の魔道具は店舗に一個設置した後、カウンターに見本を1台出し。残りはマジックバッグに入れて置く。

「暖房の魔道具はとりあえず1000台用意した。足りなくなったら言ってくれ。価格は銀貨3枚で良いぞ。」

 それから初級ポーションと中級ポーションを100本ずつ、上級ポーションを50本預ける。

「これは、初級が銀貨1枚、中級が銀貨5枚、上級が金貨1枚で構わない。」

「全体的に価格が安過ぎませんか?転売屋が出ますよ。」

「ふむ、最初は出るだろうな。だが、ここへ来れば何時でもこの価格で買えると知れれば、ここに買いに来るだろう。」

 とりあえずは、これで開店出来るだろう。後は売れ行きを見ながら、在庫を補充したり、作成したりすれば良いかな?

「そう言えば店の名前は何にしますか?」

「ああ、考えて居なかったな。『エドワード魔道具店』では駄目なのか?」

「え?でも子爵の店でしょ?」

「いや、店はエドワードの物だよ。僕はあくまでも卸業者の立場で。僕は商品の30%を卸価格として貰えれば構わない。後は好きにして良いぞ。他の魔法使いから商品を仕入れても構わない。その場合は僕の商品の分だけ30%払えば文句は無い。」

「マジですか?暖房の魔道具だけでもかなりの売り上げが見込めますよ?」

「僕は基本お金には困って居ないからね。エドワードが儲けたお金で何を仕入れるのかに興味があるよ。」

「うわ~、急にハードルが高くなった。」

「そう言えば嫁さんと子供は?」

「今、実家で荷造りしてます。家具とかが使えるので、あと2日もあれば引っ越せますね。」

「じゃあ、店は頼んだぞ、一応ちょくちょく顔を出すけど、基本自分の店だって心構えは必要だからな。」

「解りました。」
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