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道場の師範と言うか、僕が留守の時に門下生を見てくれる人を雇いたい。前に商業ギルドに頼んだのだが、音沙汰がない。久しぶりに商業ギルドに行って見よう。
商業ギルドに入ると。受付嬢が何やら僕の顔を見て吃驚している。そして、席を立ち、何処かへ消えた。ん?どう言う事だ?
やがて受付嬢が帰って来て、僕を奥の応接室へ通す。白髪交じりの紳士が待っていた。
「フェリクス子爵さまですね。お待ちしておりました。」
あれ?なんか待たれる様な事したっけな?
「どう言う事でしょうか?」
「当ギルドに魔法使いの人材募集を掛けましたよね?」
「あ、はい。道場の運営を助けて貰える人材を募集しています。」
「どうも、それを良く思っていない人物が居るようです。いや、正確にはあなたの後ろ盾にアーベルシュタイン侯爵が付いているのが気に食わない様です。」
「ほう?この国には派閥争いは無いと聞いていたのですが?」
「ええ、派閥争いではありませんよ。純粋に利益の話です。」
「利益?商業的な話ですか?」
「はい、ある高位の貴族が剣術道場を持っています。この道場は非常に人気で、その貴族の資金源ともなって居ます。そこにあなたの道場の話が降って湧きました。しかも魔法道場だと言う。一見関係が無いように思えますが、その貴族は思いました。自分の道場の地位を怯えさせると。」
「ん?何故魔法道場が剣術道場を脅かすのですか?」
「理由は単純です。剣より魔法の方が強いから。そして、その後ろ盾がアーベルシュタイン侯爵と言うのも一つです。きっとその道場は流行るでしょう。」
「でも実際には門下生50人程の弱小道場ですよ?」
「それは、その貴族が圧力を掛けているからですよ。」
なるほど、師範が見つからないのも門下生の集まりが悪いのもそのせいか。って事は道場破りもその貴族に雇われた?
「さて、自己紹介がまだでしたね。私はこのギルドのサブマスターでリンクスと言います。ここからは商談です。あなたはその貴族の名前に幾らのお金を払いますか?」
これは試されているって事だよな?何故一介の子爵にこんな話を?ああ、侯爵の後ろ盾が原因か。
「白金貨10枚。」
「ほう?あなたは面白いですね。アーベルシュタイン侯爵が目を掛ける理由が解ります。貴族の名は『スカルドーネ侯爵』です。」
僕はテーブルの上に白金貨10枚が入った麻袋を置く。
「問題が解決すれば、人材募集は?」
「きっと殺到すると思いますよ。」
「助かった。また頼むよ。」
「お待ちしております。」
僕はギルドを出るとすぐに侯爵の家に急ぐ。
まだ、夕食までには時間がある。この時間なら侯爵は居るだろう。
侯爵家を訪れるとリリが出て来た。あそっか、リリの家でもあるんだよな。聞かれたら不味いかな?
応接室で待っていると侯爵が現れる。僕は商業ギルドで聞いた話を簡単にまとめて話す。ついでに道場破りの件も話して置いた。
「スカルドーネ侯爵か、肝の小さい男だ。」
「で、問題は、そのスカルドーネ侯爵ってのを潰しちゃって良いのかって事なんですけど?」
「ん?スカルドーネを潰すって?出来るのかそんな事?」
「それ程難しい事ではありませんよ。」
「恐ろしいな君は。潰すのは道場だけにしてやってくれないか?」
「そっちの方が不味く無いですか?道場に通ってるのって一般市民ですよね?」
「問題無いよ。道場が潰れるのは良くあることだ。潰れれば違う道場へ行く。例えば君の道場とかね。」
「僕の道場は剣術道場じゃありませんよ?」
「強くなれるなら剣術でも魔法でも構わないんだよ。普通の人にとってはね。」
「そう言う物ですか?で、道場の名前と場所は解りますか?」
「ああ、地図を持って来させよう。」
そう言って執事に声を掛ける。さて、道場を潰すとなると、道場破りか?それとも魔法で物理的に消滅させてやるか?
「これが地図だ。この赤い丸が奴の道場だ。しかし、貴族から圧力がかかるとは考えても居なかった、私のミスだな。済まない。」
「いえいえ、僕も気が付きませんでしたから、お気になさらずに。それに利益は2の次でやってますので、今でも楽しいですし。問題無いです。」
リリに挨拶をして侯爵家を辞す。さて、この時間に残っている勤勉な弟子は居るのだろうか?スカルドーネ侯爵の道場を目指す。ここって、前に来た剣術流の道場の近くだな。どうやらこの辺りは道場が多いらしい。
目的の道場に着いてすぐにサーチを掛ける。あれ?誰も居ない?誰かいれば道場破りで済ませてやったのに。
僕は道場の周りを四角く防壁で囲い。ヘルファイアで文字通り道場を消し去った。これで圧力が消えてくれれば良いのだが。
翌朝、稽古の後帝国の道場へ飛ぶ。子供たちに魔法を教えていると、ベルたち4人組がやって来る。
ベルたちの成長は早く、既にマルチタスクに挑戦中である。リリには伝説級の魔法まで教えてあるので流石にここから先は追いつくのが難しくなるが、それでも学院内では並ぶことが可能なのでは無いかと思っている。
「どうだ?教科書は毎日読んでるか?」
「はい、日々新しい発見があるので面白いです。」
「マルチタスクをマスターすればもっと面白くなるぞ。とりあえず4重まではマスターしろよ。リリは6重まで使いこなすぞ。」
リリと言う解り易い目標があるので、この子たちの成長が早いのかもしれない。
と、そこへ。何やら団体さんが登場した。皆、手に剣をぶら下げている。正確な数は解らないが100名は超えて居そうだ。もしかして昨日の報復?
「良くもやってくれたな。」
「えーと、何の事でしょうか?」
「朝、行ったらうちの道場が消えていた。お前の仕業だろ?」
「僕が道場を消し去るほどの魔法使いだと?だとするとあなた達も危険じゃ無いですか?」
「あ?どういう意味だ?」
こいつら馬鹿だな。とりあえず、僕はゆっくり後退しながら100人を道場の敷地内に引き入れる。ご近所に迷惑だしね。
「僕が道場を消し去るほどの力を持っているなら、剣で勝てると思いますか?」
何人かが気が付いた様でビクッと体を震わせる。
「うるせえ!この人数に勝てるつもりで居るのか?」
余裕で勝てますけど何か?
ベルたちが怖がっているので早めに済ますか。
僕はライトニングの魔法を水平に撃った。普通は垂直に撃つ魔法なのだがこうやって、水平に撃つと、まるで点つなぎの様に次々と人に当たって暴れまくる。
多分、30人以上は当たったはずだ、威力もそれなりにあるので最初に当たった奴は死んだかもしれない。
バタバタと倒れる仲間を置いて逃げ出す者が多数。なんとか仲間を引きずって行く奴が数人、残った奴らはどうしよう?ここに置いておくと邪魔だよな?
子供たちを呼んで、隅っこに置いておいてくれる?と頼むと、凄え、凄えと言いながら運んでくれる。ベルたち4人は茫然とした顔で見ている。
「今のライトニング、水平に飛んでましたよね?」
「お?気が付いたか?魔法には向きがある物がある。それも計算に入れて角度を制御してやると違った効果が得られる。これも魔法制御の応用だ。覚えて置くと良い。」
「なるほど、魔法って普通に撃つだけじゃ無いんですね。」
「ああ、前にも言ったが、魔法はイメージだ。柔軟なイメージが出来るかどうかが魔法使いの強さに繋がって来る。」
今日は4人を連れて狩りに出る予定だったのだが、丁度良い。イメージの訓練に切り替えよう。4人にはみっちりとイメージの訓練を武舞台の上でやらせた。他の門下生が興味を惹かれて見ている。見る事も訓練になる。イメージが固定されてしまうと同じ魔法しか使えなくなるが、違うイメージが頭の片隅に残っているとそれはそれで、役に立つときがある。
4人はだいぶ育って来たが、他の門下生はまだ入って日が浅い。もしかしたら子供たちの方が進んでいる部分もあるかもしれない。だが、この中から将来帝国の魔法界を背負って立つ人材が現れるかもしれない。ちゃんと育てないとね。
ちなみにうちの道場は10時から3時までだ。だが、これはあくまでも僕が居る時間と言う事であって。3時を過ぎても自主訓練をしても構わない。うちの道場に門は無いし門番も居ない。流石に道場の建物には鍵を掛けるが、敷地内は誰でも入ろうと思えば入れる。
別に不用心な訳では無い。盗まれる物が無いだけだ。でも、その内門位は作ろうと考えている。やはり門が無いのは不格好なのでね。
商業ギルドに入ると。受付嬢が何やら僕の顔を見て吃驚している。そして、席を立ち、何処かへ消えた。ん?どう言う事だ?
やがて受付嬢が帰って来て、僕を奥の応接室へ通す。白髪交じりの紳士が待っていた。
「フェリクス子爵さまですね。お待ちしておりました。」
あれ?なんか待たれる様な事したっけな?
「どう言う事でしょうか?」
「当ギルドに魔法使いの人材募集を掛けましたよね?」
「あ、はい。道場の運営を助けて貰える人材を募集しています。」
「どうも、それを良く思っていない人物が居るようです。いや、正確にはあなたの後ろ盾にアーベルシュタイン侯爵が付いているのが気に食わない様です。」
「ほう?この国には派閥争いは無いと聞いていたのですが?」
「ええ、派閥争いではありませんよ。純粋に利益の話です。」
「利益?商業的な話ですか?」
「はい、ある高位の貴族が剣術道場を持っています。この道場は非常に人気で、その貴族の資金源ともなって居ます。そこにあなたの道場の話が降って湧きました。しかも魔法道場だと言う。一見関係が無いように思えますが、その貴族は思いました。自分の道場の地位を怯えさせると。」
「ん?何故魔法道場が剣術道場を脅かすのですか?」
「理由は単純です。剣より魔法の方が強いから。そして、その後ろ盾がアーベルシュタイン侯爵と言うのも一つです。きっとその道場は流行るでしょう。」
「でも実際には門下生50人程の弱小道場ですよ?」
「それは、その貴族が圧力を掛けているからですよ。」
なるほど、師範が見つからないのも門下生の集まりが悪いのもそのせいか。って事は道場破りもその貴族に雇われた?
「さて、自己紹介がまだでしたね。私はこのギルドのサブマスターでリンクスと言います。ここからは商談です。あなたはその貴族の名前に幾らのお金を払いますか?」
これは試されているって事だよな?何故一介の子爵にこんな話を?ああ、侯爵の後ろ盾が原因か。
「白金貨10枚。」
「ほう?あなたは面白いですね。アーベルシュタイン侯爵が目を掛ける理由が解ります。貴族の名は『スカルドーネ侯爵』です。」
僕はテーブルの上に白金貨10枚が入った麻袋を置く。
「問題が解決すれば、人材募集は?」
「きっと殺到すると思いますよ。」
「助かった。また頼むよ。」
「お待ちしております。」
僕はギルドを出るとすぐに侯爵の家に急ぐ。
まだ、夕食までには時間がある。この時間なら侯爵は居るだろう。
侯爵家を訪れるとリリが出て来た。あそっか、リリの家でもあるんだよな。聞かれたら不味いかな?
応接室で待っていると侯爵が現れる。僕は商業ギルドで聞いた話を簡単にまとめて話す。ついでに道場破りの件も話して置いた。
「スカルドーネ侯爵か、肝の小さい男だ。」
「で、問題は、そのスカルドーネ侯爵ってのを潰しちゃって良いのかって事なんですけど?」
「ん?スカルドーネを潰すって?出来るのかそんな事?」
「それ程難しい事ではありませんよ。」
「恐ろしいな君は。潰すのは道場だけにしてやってくれないか?」
「そっちの方が不味く無いですか?道場に通ってるのって一般市民ですよね?」
「問題無いよ。道場が潰れるのは良くあることだ。潰れれば違う道場へ行く。例えば君の道場とかね。」
「僕の道場は剣術道場じゃありませんよ?」
「強くなれるなら剣術でも魔法でも構わないんだよ。普通の人にとってはね。」
「そう言う物ですか?で、道場の名前と場所は解りますか?」
「ああ、地図を持って来させよう。」
そう言って執事に声を掛ける。さて、道場を潰すとなると、道場破りか?それとも魔法で物理的に消滅させてやるか?
「これが地図だ。この赤い丸が奴の道場だ。しかし、貴族から圧力がかかるとは考えても居なかった、私のミスだな。済まない。」
「いえいえ、僕も気が付きませんでしたから、お気になさらずに。それに利益は2の次でやってますので、今でも楽しいですし。問題無いです。」
リリに挨拶をして侯爵家を辞す。さて、この時間に残っている勤勉な弟子は居るのだろうか?スカルドーネ侯爵の道場を目指す。ここって、前に来た剣術流の道場の近くだな。どうやらこの辺りは道場が多いらしい。
目的の道場に着いてすぐにサーチを掛ける。あれ?誰も居ない?誰かいれば道場破りで済ませてやったのに。
僕は道場の周りを四角く防壁で囲い。ヘルファイアで文字通り道場を消し去った。これで圧力が消えてくれれば良いのだが。
翌朝、稽古の後帝国の道場へ飛ぶ。子供たちに魔法を教えていると、ベルたち4人組がやって来る。
ベルたちの成長は早く、既にマルチタスクに挑戦中である。リリには伝説級の魔法まで教えてあるので流石にここから先は追いつくのが難しくなるが、それでも学院内では並ぶことが可能なのでは無いかと思っている。
「どうだ?教科書は毎日読んでるか?」
「はい、日々新しい発見があるので面白いです。」
「マルチタスクをマスターすればもっと面白くなるぞ。とりあえず4重まではマスターしろよ。リリは6重まで使いこなすぞ。」
リリと言う解り易い目標があるので、この子たちの成長が早いのかもしれない。
と、そこへ。何やら団体さんが登場した。皆、手に剣をぶら下げている。正確な数は解らないが100名は超えて居そうだ。もしかして昨日の報復?
「良くもやってくれたな。」
「えーと、何の事でしょうか?」
「朝、行ったらうちの道場が消えていた。お前の仕業だろ?」
「僕が道場を消し去るほどの魔法使いだと?だとするとあなた達も危険じゃ無いですか?」
「あ?どういう意味だ?」
こいつら馬鹿だな。とりあえず、僕はゆっくり後退しながら100人を道場の敷地内に引き入れる。ご近所に迷惑だしね。
「僕が道場を消し去るほどの力を持っているなら、剣で勝てると思いますか?」
何人かが気が付いた様でビクッと体を震わせる。
「うるせえ!この人数に勝てるつもりで居るのか?」
余裕で勝てますけど何か?
ベルたちが怖がっているので早めに済ますか。
僕はライトニングの魔法を水平に撃った。普通は垂直に撃つ魔法なのだがこうやって、水平に撃つと、まるで点つなぎの様に次々と人に当たって暴れまくる。
多分、30人以上は当たったはずだ、威力もそれなりにあるので最初に当たった奴は死んだかもしれない。
バタバタと倒れる仲間を置いて逃げ出す者が多数。なんとか仲間を引きずって行く奴が数人、残った奴らはどうしよう?ここに置いておくと邪魔だよな?
子供たちを呼んで、隅っこに置いておいてくれる?と頼むと、凄え、凄えと言いながら運んでくれる。ベルたち4人は茫然とした顔で見ている。
「今のライトニング、水平に飛んでましたよね?」
「お?気が付いたか?魔法には向きがある物がある。それも計算に入れて角度を制御してやると違った効果が得られる。これも魔法制御の応用だ。覚えて置くと良い。」
「なるほど、魔法って普通に撃つだけじゃ無いんですね。」
「ああ、前にも言ったが、魔法はイメージだ。柔軟なイメージが出来るかどうかが魔法使いの強さに繋がって来る。」
今日は4人を連れて狩りに出る予定だったのだが、丁度良い。イメージの訓練に切り替えよう。4人にはみっちりとイメージの訓練を武舞台の上でやらせた。他の門下生が興味を惹かれて見ている。見る事も訓練になる。イメージが固定されてしまうと同じ魔法しか使えなくなるが、違うイメージが頭の片隅に残っているとそれはそれで、役に立つときがある。
4人はだいぶ育って来たが、他の門下生はまだ入って日が浅い。もしかしたら子供たちの方が進んでいる部分もあるかもしれない。だが、この中から将来帝国の魔法界を背負って立つ人材が現れるかもしれない。ちゃんと育てないとね。
ちなみにうちの道場は10時から3時までだ。だが、これはあくまでも僕が居る時間と言う事であって。3時を過ぎても自主訓練をしても構わない。うちの道場に門は無いし門番も居ない。流石に道場の建物には鍵を掛けるが、敷地内は誰でも入ろうと思えば入れる。
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