転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ

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 翌日稽古後、ゆっくりとしているとセリーがやって来た。

 昨日の今日で嫁候補の人選は出来ないだろう。何の用かな?

「あなた、提案があるのですが。これから帝国で行動するにあたり、変装する事は出来ませんか?」

「変装?しかし、既に正体を知っている者も結構居るぞ?」

「そう言う方はしかたありませんが。何か目立つ事をする時は変装する事をお勧めします。特に人助けや、魔物を人前で倒す時などは十分気を付けて下さい。」

 変装か?あらかじめストレージに入れて置けば、変身位は出来そうだ。仮面とかカツラとか用意して置けば、正義のヒーローっぽくなりそうだな。うん、ちょっと真剣に考えてみよう。

 仮面って何処で手に入るのかな?服装はマントか何かで体を隠せば良いか?こうなってくると帝国だけでなく王国でも自由に行動が出来るんじゃないか?

 ふむ、面白そうだ。午後は仮面を探しにあちこち行って見よう。

 結論から言うと仮面は防具屋に普通に売っていた。フルアーマーと言う顔まで隠れる鎧があるのだが、目や鼻は隠せない。そう言う防具の下に仮面を付ける者は多いそうだ。ただし、薄い金属製なので重量もあるし、防御力は低い。そこで1枚仮面を購入し。ストレージでいじる。素材をミスリルにして軽くしてから、デザインを若干派手目にした。これは仮面に気を引いて体つきや動きに目を行かせない為だ。

 コートとマントの中間の様な物も購入し、帽子とカツラも用意した。ストレージ内にセッティングして瞬時に変身できるようにして完成だ。

 正義の味方と言うより殺人鬼みたいだが、まあ、良いだろう。要は僕だとバレなければ良いのだ。

 問題は名前だな。この格好の時は何と名乗ろう?

 銀仮面。いやミスリル仮面か?なんかダサいな。あ、喋ったらバレちゃう?じゃあ名乗らないってのも一つの手だな。

 まあ、話題になれば勝手に名前も付くだろう。

 買い物を終えて家に帰ると、またしてもセリーに捕まる。

「申し訳ありません。若いメイドを当たってみたのですが、皆断られました。結構な金額を提示したのですが、知らない国に行くと言うのが引っかかったみたいです。」

 まあ、普通そうだよな。知らない国でしかも貴族の奥様役だもんな。

 で、リアンは何故セリーの隣に居るんだ?

「その中で唯一、このリアンが引き受けても良いと言ってくれました。今日から帝国語を教えてやって貰えますか?」

「良いのか?リアン。キツイ仕事だぞ?」

「私はご主人様に助けられました。なので今度は私がご主人様を助ける番です。」

「そんな恩に着る様な事はしてないと思うが?」

「私も、姉も父も家族も、皆ご主人さまのおかげで幸せに暮らせるようになりました。ご主人様には些細な事かもしれませんが、私たち家族にとってご主人様は救いの神の様な物です。」

「まあ良い。覚悟があるのなら、リアンに頼むよ。」

「はい!」

 リアンは嬉しそうに返事をした。解ってるのかな?この子?嫁の代理をするって事は、自分の結婚を諦めるって事だぞ?まあ、そう長く帝国に居るつもりは無いが、今14歳、3年居れば17歳までは他の男性と会う事は出来ない。結果婚期を逃す可能性が高い。まあ、王国へ戻れば、僕が適当な貴族との縁談を持ってくるつもりだが、自分が好きな男と結婚できないのは辛く無いのだろうか?

 応接室へリアンを連れて行き、帝国語の練習をする。1対1ならさほど難しい事では無い。リアンの脳に直接帝国語を書き込むイメージで魔法を使えば数日である程度喋れる様になるはずだ。

 言語中枢に働きかけるので非常に疲れるが、ネイティブな発音が身に着くのでこの方法は有効だ。2日で10歳児位の知識を身に着けたが、貴族の夫人としてはもう少し知識を詰め込みたい。3日目もぶっ倒れるまで脳に直接帝国語を書き込む。

 リアンはその夜熱を出した。多分知恵熱だろう。これが収まれば、ほぼネイティブな帝国語が喋れる様になるだろう。

 翌日熱の下がったリアンは帝国語をほぼマスターしていた。ここまで喋れればあとは現地で覚えれば良いだろう。貴族の夫人と言っても子爵だ。派閥も無いと言うし、そこまで深い知識は求められないだろう。

 その日はまだ熱が下がったばかりなので、翌日帝国を案内する事になった。

 王都の農村で育ったリアンには帝都の街並みは刺激的だったようだ。僕でさえ王都より進んでいると感じたのだ、彼女の目にはどれほど進んで見えているのだろうか?

 まだ昼間なので喫茶店に入り、紅茶と甘い物をセットで頼む。甘味が手ごろな価格で食べられるのはカルチャーショックだったらしい。

「帝国は料理の技術に関しては王国より進んでいるぞ。その代わり新鮮な野菜や果物は王国より高いけどね。」

「そうなんですね。それは一般常識として覚えて置いた方が良いですか?」

「いや、この国の人間は王国の事を知らない。それは頭に叩き込んで置いてくれ。」

「解りました。しかし、この国は技術が進んでますね。」

「そうだな。今、この国の技術を王国へ輸入している。いずれは王国でもこの国と同等の技術が使われる様になるだろう。悪いが、それまで辛抱してくれ。」

「問題無いです。こう言う貴重な経験が出来るのもご主人様と一緒にいるからです。ご主人様と一緒に居ると、普通では経験できない事が普通に起こるのでびっくりします。」

 その後子爵邸に向かう。

「ここが子爵邸だ。僕は多分週に1度位しか来れない。実質主人はリアンになる。やっていけるか?」

「大丈夫です。メイド長の様な物ですよね?私にはご主人様の仕事は解りませんから。」

 まあ、言われてみればそうか、後は執事と文官が何とかしてくれるだろうしね。

「家の中を良く見て、不便なところがあったら言ってくれ、すぐに直すから。」

「解りました。」

 僕がお茶を飲んでいる間にリアンがあちこちを見て回る。なんか小動物みたいで可愛いな。

「問題無いですね。若干侯爵家より狭いですが、私にはその位が合ってると思います。」

「そっか、じゃあ、後は王国の方のあと片付けが終わったら、正式にこっちに引っ越す事になる。なるべく早めに準備をして置いてくれ。」

「私は荷物も少ないですし、準備と言っても着るものくらいですね。ああ、エル様やリアーナ様と離れるのが少し寂しいかな。」

「時々は息抜きに王国へ連れて帰るから心配するな。」

「本当ですか?」

「ああ、約束するよ。」

 その日はそれで帰る。

 次の日はアスアスラの家に遊びに行く。悪戯心を出して変身して行ってみた。

「何ですか?エイジさんその格好?」

「あれ?なんでバレた?」

「気と匂いでバレバレですよ。」

「なるほど、改良の余地ありだな。」

 実はと、この格好の意図を話して聞かせる。

「なるほど、エイジさんはトラブルに巻き込まれやすい体質なんですかね?」

「じぶんでは意識してないんだがな。」

「まあ、知らない人なら誤魔化せるでしょう。まさか侯爵様がそんな恰好で町を歩いているとは思わないでしょうし。」

 家に入るとルーラがパパ―と叫びながら凄い勢いでぶつかって来た。地味に痛い。

「良い子だったか?」

「うん。ルーラは何時も良い子なのだ。」

 何処で覚えて来たんだ?その変な口調。

 チョコレートケーキを3人分出してお茶にする。

 ルーラは初めて見る食べ物に興味津々だ。

「これ、食べて良いの?全部?」

「ああ、良いぞ。なんならパパの分も上げるぞ。」

「甘~い!美味し~い!」

 ふと隣を見るとアスアスラも蕩けそうな顔でケーキを食べている。女性は甘味に弱いな。

 僕は紅茶をすする。

「パパは食べないの?」

「良いのか?ルーラに上げようと思ったんだけど?」

「美味しい物は皆で食べるともっと美味しくなるんだよ。」

 へぇ、面白い事を言うな。そう思ったら。アスアスラの口癖らしい。

「エルフの国では集落が家族だと言いましたよね。なので皆で同じ物を食べるのが習慣なんです。」

「なるほどな。」

「ところで今日は泊って行きますか?」

「そのつもりだが?」

「では、お風呂を作りましょう。」

「僕も手伝うよ。って言うかこの際だからお風呂常設しちゃうか?」

「そうですね。土魔法でしっかり作れば数年は持つでしょう。」

「そうなると、家に繋がっていた方が良いよな?幸い石造りの家だし。」

 やると決めたらやる事は早い。一部屋増設し、風呂にする。土では無く石を使うので、耐久力も上がる。30分程で出来上がった風呂は、貴族の家の風呂にも負けない立派な物になった。脱衣所もキッチリと作り、入り口を廊下に繋げる。

「これで好きな時に風呂に入れるだろう。ルーラも風呂好きみたいだしな。」

「やっぱりエイジさんの魔法は凄いですね、こんなに細かい精密魔法も使えて、大技も使えるって、私はどちらかと言うとこういう精密な魔法は苦手なんですよね。」

「まあ、その辺は慣れの問題じゃ無いかな?苦手だと思い込んでいるだけかもしれないし。」

 その後3人で大きなお風呂を楽しんだ。
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