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翌日、大森林の上をフライで飛んでみる。サーチを掛けるとかなりの数の魔物が確認出来る。なるほど、大森林の魔物の絶対数が増えている様だ。
少し間引いてやれば問題無いだろう。そのまま高速で西へ向かう。やがて大きな壁と砦の様な物が見えて来る。どうやらあれが帝国の国境線らしい。こちらはそれ程魔物の数が多く無いな。適度に狩っているのかな?
さて、ここに降りても不審者だと思われるだけだ。まずは町を探そう。大きく迂回してサーチを掛けながら飛んで行く。20分程で、それなりの大きさの町を発見した。
町は壁で囲われている。これは外から入ろうとすると止められるパターンだな。上から適当な場所を探し、転移で町に入る。
町はかなり栄えている。調査をしたいところだが、身分証が欲しいな。冒険者ギルドとかあるのだろうか?
あ、そう言えばこの国の通貨を持って無いぞ、どうする?
(ブラスマイヤー、この国の通貨が欲しいんだが、どうにかならないか?)
(何時もの様にストレージから銀貨を数枚出してみろ。)
ん?銀貨をストレージから?あれ?見た事のない銀貨だ。どう言う事?
(種類を指定せずに銀貨とだけ念じるとその時必要な銀貨が出て来る。)
なにそれ?都合よすぎない?まあ、助かるけど。
町ゆく人に声を掛けて、ギルドって何処にあります?って聞いたら、商業ギルドとハンターズギルドと言うのがあるそうだ。どうやら帝国では冒険者の事をハンターと呼ぶらしい。
ハンターズギルドに入り窓口で登録をお願いしますと言うと、身分証は?と聞かれたので、盗まれたのでここに来ましたと言うと納得された。どうやら冒険者ギルドと同じ仕組みで間違いなさそうだ。
何やら水晶の様な物に血を一滴垂らしてハンターカードと言う物を貰った。ランクはGだ。この辺は王国と一緒なんだな。Gランクか懐かしいな。
とりあえず身分証とお金がそろったので町を探索だ。商店を覗いたり、食堂で食事をしたりする。王国より圧倒的に文明が進んでいると言う感じはしないが、何と言うか田舎から都会に出て来た感がある。やはりこちらの方が進んでいるのだろう。
文明の調査が終わったら次は情勢の調査だ。田舎者を装ってあちこちで聞き込みをする。どうやら隣接する3国で絶えず小競り合いが起こっている様だ。このまま3竦み状態が続いてくれれば帝国も大森林に手を出す事はしないかもしれない。希望的観測だが、大森林に大軍を送れば、他の国に攻められるのは目に見えている、皇帝が馬鹿で無い事を祈ろう。
ちなみに今の皇帝は23代目だそうだ。随分と長く続いているんだな。
聞き込みの結果分かったのは帝国が軍事力に力を入れている事。人口は意外に少なく120万人程だそうだ。ちなみに3国の中では最小の国だそうだ。国の名前はロードリーク帝国と言うらしい。
さてと、この町での情報収集はこの位で良いだろう。次は帝都に行って見るか?帝都まではここから2週間位の距離らしい。フライなら数時間だろう。後々転移する事を考えたら一度は帝都を見て置いた方が良い。帝都は北西になるらしい、人気のない所で上空に転移し、帝都を目指す。
およそ2時間強で帝都が見えて来る。かなり立派な都市だ。王都とはかなり雰囲気が違う。何が違うのだろうと考えて良く見ると建物の高さだ。王都では平屋や2階建てが主流だ。しかし、この帝都には4階以上の高層建築物が結構な数ある。多分人口密度が高いのだろう。そう言えば広さは王都より2回り位小さい。
他にも畑の少なさが目立つ、食料の流通はどうなっているのだろう?ここだけを見れば近代都市に近い。実際はどうなのか降りて見てみたいが、これだけ人口が密集していると帝都に空から降りるのは危険だろう。
帝都の少し手前で地上に降り歩いて帝都に入る事にする。帝都の南門は中へ入る人で行列が出来ていた。この人数だと1時間位待つ事になりそうだ。
10分位待っていると後ろから馬車が走る音が聞こえて来た。なんとなく振り返ると様子がおかしい。
あの馬車暴走してないか?って言うか御者が居ないぞ。魔物にでも襲われたのか?こんな帝都の近くで?
いや、それよりも早く止めないと行列に突っ込むぞ。あの速度じゃ怪我じゃ済まないだろう。
誰も動こうとしない、皆唖然として見ているだけだ。僕が止めないと駄目か?
小さいが2頭立ての豪華な馬車だ。貴族かもしれない。馬を切り殺すのは不味いよな?僕は瞬動で馬に近づき当身をくらわせる。馬がつんのめって転びそうになるのを魔法で止める。このままだと慣性の法則で馬車に乗っている人が大変な事になるので馬車と馬を30メートル位掛けて、速度を殺す。
止まった馬車には老人と少女が乗っていた。
「大丈夫ですか?」
「ありがとうございます。突然御者が苦しみだして馬車から落ちてしまったのです。馬はそれに驚きこんな事態に。助けて頂かなければ私たちもどうなったか。」
執事を思わせる口調で老人が語った。少女は横で震えている。
「無事な様で何よりです。では僕はこれで。」
「お待ちください。礼をしないと主に叱られます。是非お名前を。」
「ハンターをしているエイジだ。帝都へは今日初めて来た。泊まる所も決めていない。」
「でしたら、主の家にお越し頂けませんか?今から列に並ぶと夜になってしまいますよ。」
どうしたものかな?明らかに身分高そうだよね?こういう場合は断ったら失礼になるのかな?
考えていると門の兵士が馬を持って来て、交換している。
「さあ、お乗りください。」
言われるままに馬車に乗ってしまった。
少女と老人が並んで座りその対面に僕が座る。
「ご紹介が遅れました。こちらは我が主、アーベルシュタイン侯爵のご息女リリルアーナ様です。」
侯爵かぁ、僕と同じだ。って帝国の貴族の爵位ってどうなってるんだ?
「僕みたいな平民が侯爵様の屋敷に行って構わないのですか?」
「問題ありません。我が主は元ハンターですので平民に理解があります。」
「ほう?貴族でハンターって言うのは結構居るのですか?」
「帝国は武を重んじる気風がありますので、戦える貴族は優遇されます。主もハンターを経て騎士になりました。その後家を継ぎ侯爵となられたのです。」
なるほどハンターから騎士って言う道があるんだな。王国ではありえない話だ。
「エイジ様も暴走する馬車を止める等と言う芸当が出来るのですから、かなりの腕を持ってらっしゃるようですね。」
あれ?不味ったか?
「いや、しがないGランクハンターですよ。」
「なんと、Gランクですか?何か理由がありそうですね。」
老人の目がキラリと光った気がした。
うーん、これは絶対に不味ったパターンだな、トラブルの匂いがする。
やがて馬車が止まった。窓にカーテンが付いているので解らないが、多分侯爵邸についたのであろう。
馬車を降りると巨大な建物の前だった。でかっ!何だこの家?僕の家の2倍位あるぞ、上に。4階建ての侯爵邸は明らかに僕の家の2倍以上の部屋数があるだろう。使用人もかなりの数だぞ。
中に入ると更に驚く。内装があまりにも豪華すぎる。これって王国の王城より豪華じゃね?
どんだけ金持ってんだ侯爵様?
何となくヨーロッパ風な雰囲気を持つ内装に気おされながら案内されたのは、これまた豪華な応接室。埋もれそうなソファに座って待っているとコーヒーが運ばれて来た。ほう?帝国ではコーヒーが一般的なのか。
感心していると、むっちゃ高貴そうな人が現れた。髪の毛が白いが年は若そうだ。多分30前位だろう。
「リリルアーナを助けてくれたそうだね。感謝するよ。」
「いえ、丁度居合わせただけの話です。」
「ちなみにどうやって暴れた馬を止めたのか教えて貰えるかい?」
「風魔法でふわっと受け止めただけですよ。」
「ほう?君は魔法が使えるのか?」
あれ?もしかしてこの国の人はあまり魔法を使えないのだろうか?
「申し訳ありません、田舎者なので知識が無いのですが、魔法を使える人は少ないのですか?」
「そうだね。いわゆる魔法使いと呼ばれる者は100人に1人位だろうね。」
マジですかい?これって王国の国王陛下が知ったら侵略に乗り出すんじゃないか?
「この国は昔から科学と言う物が進んでいてね。魔法は非科学的だと批判する声もある。」
「と言う事は魔道具などもあまり普及して居ないと言う事ですか?」
「ああ、そうだね。作れる者が少ないので魔道具は非常に高価だ。更に、同じ効果を持つ科学製品もあるので、魔道具はあまり普及して居ないな。」
ん?もしかして、これって金儲けのチャンスなんじゃ無いか?
「ところでだ。うちの子リリルアーナなんだが、魔法の才がある。しかし、魔法を教える者がなかなか見つからなくてな。どうだ?家庭教師をやっては貰えないだろうか?」
むむ、これはチャンスかピンチか悩む所だな。
少し間引いてやれば問題無いだろう。そのまま高速で西へ向かう。やがて大きな壁と砦の様な物が見えて来る。どうやらあれが帝国の国境線らしい。こちらはそれ程魔物の数が多く無いな。適度に狩っているのかな?
さて、ここに降りても不審者だと思われるだけだ。まずは町を探そう。大きく迂回してサーチを掛けながら飛んで行く。20分程で、それなりの大きさの町を発見した。
町は壁で囲われている。これは外から入ろうとすると止められるパターンだな。上から適当な場所を探し、転移で町に入る。
町はかなり栄えている。調査をしたいところだが、身分証が欲しいな。冒険者ギルドとかあるのだろうか?
あ、そう言えばこの国の通貨を持って無いぞ、どうする?
(ブラスマイヤー、この国の通貨が欲しいんだが、どうにかならないか?)
(何時もの様にストレージから銀貨を数枚出してみろ。)
ん?銀貨をストレージから?あれ?見た事のない銀貨だ。どう言う事?
(種類を指定せずに銀貨とだけ念じるとその時必要な銀貨が出て来る。)
なにそれ?都合よすぎない?まあ、助かるけど。
町ゆく人に声を掛けて、ギルドって何処にあります?って聞いたら、商業ギルドとハンターズギルドと言うのがあるそうだ。どうやら帝国では冒険者の事をハンターと呼ぶらしい。
ハンターズギルドに入り窓口で登録をお願いしますと言うと、身分証は?と聞かれたので、盗まれたのでここに来ましたと言うと納得された。どうやら冒険者ギルドと同じ仕組みで間違いなさそうだ。
何やら水晶の様な物に血を一滴垂らしてハンターカードと言う物を貰った。ランクはGだ。この辺は王国と一緒なんだな。Gランクか懐かしいな。
とりあえず身分証とお金がそろったので町を探索だ。商店を覗いたり、食堂で食事をしたりする。王国より圧倒的に文明が進んでいると言う感じはしないが、何と言うか田舎から都会に出て来た感がある。やはりこちらの方が進んでいるのだろう。
文明の調査が終わったら次は情勢の調査だ。田舎者を装ってあちこちで聞き込みをする。どうやら隣接する3国で絶えず小競り合いが起こっている様だ。このまま3竦み状態が続いてくれれば帝国も大森林に手を出す事はしないかもしれない。希望的観測だが、大森林に大軍を送れば、他の国に攻められるのは目に見えている、皇帝が馬鹿で無い事を祈ろう。
ちなみに今の皇帝は23代目だそうだ。随分と長く続いているんだな。
聞き込みの結果分かったのは帝国が軍事力に力を入れている事。人口は意外に少なく120万人程だそうだ。ちなみに3国の中では最小の国だそうだ。国の名前はロードリーク帝国と言うらしい。
さてと、この町での情報収集はこの位で良いだろう。次は帝都に行って見るか?帝都まではここから2週間位の距離らしい。フライなら数時間だろう。後々転移する事を考えたら一度は帝都を見て置いた方が良い。帝都は北西になるらしい、人気のない所で上空に転移し、帝都を目指す。
およそ2時間強で帝都が見えて来る。かなり立派な都市だ。王都とはかなり雰囲気が違う。何が違うのだろうと考えて良く見ると建物の高さだ。王都では平屋や2階建てが主流だ。しかし、この帝都には4階以上の高層建築物が結構な数ある。多分人口密度が高いのだろう。そう言えば広さは王都より2回り位小さい。
他にも畑の少なさが目立つ、食料の流通はどうなっているのだろう?ここだけを見れば近代都市に近い。実際はどうなのか降りて見てみたいが、これだけ人口が密集していると帝都に空から降りるのは危険だろう。
帝都の少し手前で地上に降り歩いて帝都に入る事にする。帝都の南門は中へ入る人で行列が出来ていた。この人数だと1時間位待つ事になりそうだ。
10分位待っていると後ろから馬車が走る音が聞こえて来た。なんとなく振り返ると様子がおかしい。
あの馬車暴走してないか?って言うか御者が居ないぞ。魔物にでも襲われたのか?こんな帝都の近くで?
いや、それよりも早く止めないと行列に突っ込むぞ。あの速度じゃ怪我じゃ済まないだろう。
誰も動こうとしない、皆唖然として見ているだけだ。僕が止めないと駄目か?
小さいが2頭立ての豪華な馬車だ。貴族かもしれない。馬を切り殺すのは不味いよな?僕は瞬動で馬に近づき当身をくらわせる。馬がつんのめって転びそうになるのを魔法で止める。このままだと慣性の法則で馬車に乗っている人が大変な事になるので馬車と馬を30メートル位掛けて、速度を殺す。
止まった馬車には老人と少女が乗っていた。
「大丈夫ですか?」
「ありがとうございます。突然御者が苦しみだして馬車から落ちてしまったのです。馬はそれに驚きこんな事態に。助けて頂かなければ私たちもどうなったか。」
執事を思わせる口調で老人が語った。少女は横で震えている。
「無事な様で何よりです。では僕はこれで。」
「お待ちください。礼をしないと主に叱られます。是非お名前を。」
「ハンターをしているエイジだ。帝都へは今日初めて来た。泊まる所も決めていない。」
「でしたら、主の家にお越し頂けませんか?今から列に並ぶと夜になってしまいますよ。」
どうしたものかな?明らかに身分高そうだよね?こういう場合は断ったら失礼になるのかな?
考えていると門の兵士が馬を持って来て、交換している。
「さあ、お乗りください。」
言われるままに馬車に乗ってしまった。
少女と老人が並んで座りその対面に僕が座る。
「ご紹介が遅れました。こちらは我が主、アーベルシュタイン侯爵のご息女リリルアーナ様です。」
侯爵かぁ、僕と同じだ。って帝国の貴族の爵位ってどうなってるんだ?
「僕みたいな平民が侯爵様の屋敷に行って構わないのですか?」
「問題ありません。我が主は元ハンターですので平民に理解があります。」
「ほう?貴族でハンターって言うのは結構居るのですか?」
「帝国は武を重んじる気風がありますので、戦える貴族は優遇されます。主もハンターを経て騎士になりました。その後家を継ぎ侯爵となられたのです。」
なるほどハンターから騎士って言う道があるんだな。王国ではありえない話だ。
「エイジ様も暴走する馬車を止める等と言う芸当が出来るのですから、かなりの腕を持ってらっしゃるようですね。」
あれ?不味ったか?
「いや、しがないGランクハンターですよ。」
「なんと、Gランクですか?何か理由がありそうですね。」
老人の目がキラリと光った気がした。
うーん、これは絶対に不味ったパターンだな、トラブルの匂いがする。
やがて馬車が止まった。窓にカーテンが付いているので解らないが、多分侯爵邸についたのであろう。
馬車を降りると巨大な建物の前だった。でかっ!何だこの家?僕の家の2倍位あるぞ、上に。4階建ての侯爵邸は明らかに僕の家の2倍以上の部屋数があるだろう。使用人もかなりの数だぞ。
中に入ると更に驚く。内装があまりにも豪華すぎる。これって王国の王城より豪華じゃね?
どんだけ金持ってんだ侯爵様?
何となくヨーロッパ風な雰囲気を持つ内装に気おされながら案内されたのは、これまた豪華な応接室。埋もれそうなソファに座って待っているとコーヒーが運ばれて来た。ほう?帝国ではコーヒーが一般的なのか。
感心していると、むっちゃ高貴そうな人が現れた。髪の毛が白いが年は若そうだ。多分30前位だろう。
「リリルアーナを助けてくれたそうだね。感謝するよ。」
「いえ、丁度居合わせただけの話です。」
「ちなみにどうやって暴れた馬を止めたのか教えて貰えるかい?」
「風魔法でふわっと受け止めただけですよ。」
「ほう?君は魔法が使えるのか?」
あれ?もしかしてこの国の人はあまり魔法を使えないのだろうか?
「申し訳ありません、田舎者なので知識が無いのですが、魔法を使える人は少ないのですか?」
「そうだね。いわゆる魔法使いと呼ばれる者は100人に1人位だろうね。」
マジですかい?これって王国の国王陛下が知ったら侵略に乗り出すんじゃないか?
「この国は昔から科学と言う物が進んでいてね。魔法は非科学的だと批判する声もある。」
「と言う事は魔道具などもあまり普及して居ないと言う事ですか?」
「ああ、そうだね。作れる者が少ないので魔道具は非常に高価だ。更に、同じ効果を持つ科学製品もあるので、魔道具はあまり普及して居ないな。」
ん?もしかして、これって金儲けのチャンスなんじゃ無いか?
「ところでだ。うちの子リリルアーナなんだが、魔法の才がある。しかし、魔法を教える者がなかなか見つからなくてな。どうだ?家庭教師をやっては貰えないだろうか?」
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