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我が家でエルフを預かる事になった。この国に亜人は居ない。知られたら大騒ぎになりそうだ。幸い、耳以外は人族と言って問題無い容姿をしている。エルフと言うともっとスレンダーなイメージなのだが、アスアスラは割と肉感的な体をしている。胸が若干小ぶりなのはエルフだからか?
とりあえず耳を見られなければエルフだとバレないだろう。後は言葉だな。この国の言葉を覚えてくれれば良いのだが。
ちなみに狩人と言うのは、この国の冒険者に当たる職業らしい。と言う事は高貴な生まれでは無さそうだ。エルフのお姫様とかだったらそれこそ一大事だ。
エルフは基本王制を布いているが貴族と言うのは居ない。長老と言うのが何人か居て、合議制を取っているらしい。
そうそうアスアスラはまだ17歳だそうだ。エルフは見た目では年齢は解らない。15歳位までは人間と同じように成長するが、その後200年程は見た目が殆ど変わらない。そうして壮年になると更に500年程見た目が変わらなくなる。その後1000~1500歳位まで生きるそうだ。
長命種であるエルフだが、一生に1人か2人程度しか子供は生まないらしい。また、結婚と言う概念が無く、気に入った男女で一緒に暮らす事があっても家族とは呼ばないそうだ。エルフは集落単位で生活をしていて、その集落のメンバー全員が家族なのだそうだ。ややこしいな。
「ところでセリー、家にエルフが居る事を国王陛下にだけは伝えて置いた方が良いかな?」
「今は止めて置いた方が良いと思いますよ。叔父様はエルフを排除する様な事はしないと思いますが、この件はなるべく他に漏らさない方が良いと思います。」
「ふむ、じゃあ、使用人には口止めする必要があるな。メイドネットワークで広まったら目も当てられない。」
「既に昨日のうちに口止めは完了しています。むしろ、あなたが誰かに喋るんじゃないかと心配しています。」
「ん?僕ってそんなに信用無いのか?」
「あなたは色々と不注意ですからね。」
あれ?セリーさんまだ怒ってます?
とりあえず、アスアスラには言葉を覚えるまでは外出禁止と言ってある。今頃、リアンと2人で猛勉強中だろう。
あ、食事は問題無い様だ。エルフだからと言って特別な食事をする訳では無いそうだ、狩人と言う職業からも分かる通り、獲物を狩って食べる訳だ、肉も野菜も問題無く食べられる。
ブラスマイヤーの話ではこの世界にはエルフの他にドワーフや魔族、獣人等の亜人が居るそうだが、エルフ・ドワーフ・魔族は人族に比べて人数が圧倒的に少ないらしい、獣人はかなりの数居るらしいが、知能が若干人族より落ちるそうだ。お互い交わらない領域で生活しているので文明もかなり違うらしい。
エルフの文明かぁ、興味あるな、後で色々聞いてみよう。
それから1週間、片言だが、だいぶこの国の言葉を覚えたアスアスラは冒険者になりたいと言い出した。
「構わないが、魔法か剣は使えるか?」
「魔法も剣も使えますが、一番得意なのは弓ですね。」
弓か、弓使いは居ない訳では無いが、基本シーフの武器だ。アスアスラはシーフと言う感じじゃない。
「一つ条件がある。剣と魔法をテストさせてくれ。合格したら冒険者になる事を許そう。」
「解りました。」
「ちなみに狩人と言うのはランクがあるのか?」
「ランクと言うか、クラスがあります。私は1クラスで上から2番目のクラスです。一番上は特別クラスで以下6クラスまであります。」
ほう?冒険者で言うとAランクって事か?若いのに凄いな。
庭に出て木刀を持たせる。
「好きに打って来い。魔法も使って良いぞ。」
そう言うと口元で何やら呟いている。聞き耳スキルでも聞き取れない所を見ると言葉は発してない様だ。完全無詠唱では無いが、実践的ではあるな。
次の瞬間突風が吹いて視界がゼロになる、思ったより威力があるな。でも精霊魔法って訳でも無さそうだ。エルフ独自の魔法か?
しかし、サーチ持ちの人間には効果が無いぞ、移動速度は速いが、左側に回り込んだのは丸わかりだ。わき腹を狙って来る木刀を叩き落したら吃驚した顔をしていた。
「なんで?」
「悪くは無いが素直過ぎるな。剣術より魔法の方が向いていそうだ。攻撃魔法は無いのか?」
「あります。でも良いのですか?」
「構わん、殺す気で撃って来い。」
また何か呟き始める。およそ5秒程だが、この5秒が命取りになる事もある。
ロックバレットだ。弾も大きいし数も多い。悪くは無いな。物理障壁でガードしながら威力も確認する。まあAランクならこんな所か。
「良いだろう、合格だ。1週間後に冒険者登録をするから、それまでにもう少し言葉を練習しておけ。」
「ありがとうございます。」
さて、まだ時間が早いから畑でも見に行くかな。今日はルードさんの畑の様子を見て来よう。西の畑へ転移する。
カボチャは順調に育っている、この分ならあと3週間位で収穫出来るだろう。雑草も綺麗に抜かれているし。ルードさん頑張ってるな。
他の畑も南に下りながら見て行く。何処の畑も今までこの辺では取れなかった野菜を育てている様だ。
しかし、南門近くまで下りて行くと流石に土地の荒れ方が酷いのか腐葉土だけでは土が改善されて居ない様だ。この辺は魔法で手を入れないと難しそうだな。山から赤土でも持って来ないとここの土ではまともな作物は育たないだろう。
どうしたもんか?魔法を使うのは簡単だが、それでは農民達のスキルが上がらない。これは課題だな。後でじっくり対策を練ろう。
1時間程畑を視察して家に戻ると、屋敷が騒がしい。何事かと思ったら。切り裂き魔の3人目の犠牲者が出たそうだ。
「前の事件から随分と時間が経って無いか?って言うか失踪事件はどうなったんだ?」
「そう言えば失踪者はあれから出ていませんね。多分、事件の発生場所が特定されたので近づく者が減ったのではないでしょうか?」
アリアナがリアーナを抱きながら答える。
「しかし、それなのに切り裂き魔の犠牲者は出た。その被害者は何しにそこへ行ったんだ?」
「それが解って居ないのです。被害者は若い女性ですので、もしかしたら商会に何か用事があったのかもしれません。」
これはセリーだ。
「ふむ、暫く事件が無かったから収まったと思ったのだがな。使用人にあの辺一体に近寄らない様に徹底してくれ。」
「解りました。」
なんだろう?違和感だらけの事件だな。しかし僕が出る訳にも行かないし。早く収まってくれないかな?
その願いは意外に早く叶った。
犯人が捕まったのだ。衛兵優秀じゃんと感心していたら。どうやら王城の『影』が動いたらしい。
捕まったのはクレノール子爵の息子、息子と言ってももう26歳だそうだが。なんでもこの息子、動物や魔物を解体するのが趣味だったらしい。それに飽きて遂に人間を解体してしまったというのが事件の真相だそうだ。ちなみに行方不明だった4人も彼が地下牢に監禁しており、既に2人は殺害されていたそうだ。
問題はこのクレノール子爵が3侯爵の一人、ウィルドール侯爵の派閥で特に可愛がっていたと言う事、男爵から子爵に陞爵した時も侯爵の口添えが合った事が問題視された。
今回の事件でウィルドール侯爵の権威は失墜し、派閥のメンバーも大幅に減ったそうだ。国王陛下は大いに喜んだとか。
ちなみにクレノール子爵の息子は死罪。クレノール子爵は爵位を剥奪されたそうだ。まあ妥当な所だろう。一族郎党死罪とかしないだけ国王陛下はまともな人間だと思う。
しかし、そんな狂った息子を親は野放しにしていたのだろうか?何か裏がある気もしないでも無いが、まあ、僕が追及する必要は無いだろう。
王都を騒がした事件も解決し、平穏な日々が戻り、1週間。アスアスラが冒険者になる日が来た。
僕は彼女に防具と剣を買ってあげたのだが、彼女は必要最低限の範囲しか覆わない皮鎧を選んだ。なんでも、防御より動きを阻害される事を嫌った選択らしい。その代わり剣はミスリルのショートソードを奮発した。
冒険者ギルドまで歩き、中へ入り、何時もの窓口に並ぶ。初めて見る王都のギルドの大きさにアスアスラは吃驚していた。
やがて順番が来て、無事冒険者登録が住んだ。エルフとバレるんじゃないかと心配したが杞憂だった。ちなみにエルフの耳って隠せるらしいよ。後ろに折りたためるらしい。これに髪の毛とカチューシャの組み合わせで、耳が完全に隠れる。なんでもエルフの耳は弱点らしく普段は隠しているのが普通だそうだ。
「家への帰り方は解るか?」
「問題無いですよ。狩人ですので方向感覚には自信があります。」
「そっか、なら後は一人で頑張ってみろ。本当ならパーティーを組んだ方が良いんだけど、バレると厄介だから当分はソロだな。」
「解って居ます。ご迷惑はお掛けしません。」
「じゃあ、頑張って!6時には家に帰るようにね。」
「はい!」
まあ、最初はGランクからだ、暫くは危険な事は無いだろう。
ランクが上がって来たら少し鍛えるか?
とりあえず耳を見られなければエルフだとバレないだろう。後は言葉だな。この国の言葉を覚えてくれれば良いのだが。
ちなみに狩人と言うのは、この国の冒険者に当たる職業らしい。と言う事は高貴な生まれでは無さそうだ。エルフのお姫様とかだったらそれこそ一大事だ。
エルフは基本王制を布いているが貴族と言うのは居ない。長老と言うのが何人か居て、合議制を取っているらしい。
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「今は止めて置いた方が良いと思いますよ。叔父様はエルフを排除する様な事はしないと思いますが、この件はなるべく他に漏らさない方が良いと思います。」
「ふむ、じゃあ、使用人には口止めする必要があるな。メイドネットワークで広まったら目も当てられない。」
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「ん?僕ってそんなに信用無いのか?」
「あなたは色々と不注意ですからね。」
あれ?セリーさんまだ怒ってます?
とりあえず、アスアスラには言葉を覚えるまでは外出禁止と言ってある。今頃、リアンと2人で猛勉強中だろう。
あ、食事は問題無い様だ。エルフだからと言って特別な食事をする訳では無いそうだ、狩人と言う職業からも分かる通り、獲物を狩って食べる訳だ、肉も野菜も問題無く食べられる。
ブラスマイヤーの話ではこの世界にはエルフの他にドワーフや魔族、獣人等の亜人が居るそうだが、エルフ・ドワーフ・魔族は人族に比べて人数が圧倒的に少ないらしい、獣人はかなりの数居るらしいが、知能が若干人族より落ちるそうだ。お互い交わらない領域で生活しているので文明もかなり違うらしい。
エルフの文明かぁ、興味あるな、後で色々聞いてみよう。
それから1週間、片言だが、だいぶこの国の言葉を覚えたアスアスラは冒険者になりたいと言い出した。
「構わないが、魔法か剣は使えるか?」
「魔法も剣も使えますが、一番得意なのは弓ですね。」
弓か、弓使いは居ない訳では無いが、基本シーフの武器だ。アスアスラはシーフと言う感じじゃない。
「一つ条件がある。剣と魔法をテストさせてくれ。合格したら冒険者になる事を許そう。」
「解りました。」
「ちなみに狩人と言うのはランクがあるのか?」
「ランクと言うか、クラスがあります。私は1クラスで上から2番目のクラスです。一番上は特別クラスで以下6クラスまであります。」
ほう?冒険者で言うとAランクって事か?若いのに凄いな。
庭に出て木刀を持たせる。
「好きに打って来い。魔法も使って良いぞ。」
そう言うと口元で何やら呟いている。聞き耳スキルでも聞き取れない所を見ると言葉は発してない様だ。完全無詠唱では無いが、実践的ではあるな。
次の瞬間突風が吹いて視界がゼロになる、思ったより威力があるな。でも精霊魔法って訳でも無さそうだ。エルフ独自の魔法か?
しかし、サーチ持ちの人間には効果が無いぞ、移動速度は速いが、左側に回り込んだのは丸わかりだ。わき腹を狙って来る木刀を叩き落したら吃驚した顔をしていた。
「なんで?」
「悪くは無いが素直過ぎるな。剣術より魔法の方が向いていそうだ。攻撃魔法は無いのか?」
「あります。でも良いのですか?」
「構わん、殺す気で撃って来い。」
また何か呟き始める。およそ5秒程だが、この5秒が命取りになる事もある。
ロックバレットだ。弾も大きいし数も多い。悪くは無いな。物理障壁でガードしながら威力も確認する。まあAランクならこんな所か。
「良いだろう、合格だ。1週間後に冒険者登録をするから、それまでにもう少し言葉を練習しておけ。」
「ありがとうございます。」
さて、まだ時間が早いから畑でも見に行くかな。今日はルードさんの畑の様子を見て来よう。西の畑へ転移する。
カボチャは順調に育っている、この分ならあと3週間位で収穫出来るだろう。雑草も綺麗に抜かれているし。ルードさん頑張ってるな。
他の畑も南に下りながら見て行く。何処の畑も今までこの辺では取れなかった野菜を育てている様だ。
しかし、南門近くまで下りて行くと流石に土地の荒れ方が酷いのか腐葉土だけでは土が改善されて居ない様だ。この辺は魔法で手を入れないと難しそうだな。山から赤土でも持って来ないとここの土ではまともな作物は育たないだろう。
どうしたもんか?魔法を使うのは簡単だが、それでは農民達のスキルが上がらない。これは課題だな。後でじっくり対策を練ろう。
1時間程畑を視察して家に戻ると、屋敷が騒がしい。何事かと思ったら。切り裂き魔の3人目の犠牲者が出たそうだ。
「前の事件から随分と時間が経って無いか?って言うか失踪事件はどうなったんだ?」
「そう言えば失踪者はあれから出ていませんね。多分、事件の発生場所が特定されたので近づく者が減ったのではないでしょうか?」
アリアナがリアーナを抱きながら答える。
「しかし、それなのに切り裂き魔の犠牲者は出た。その被害者は何しにそこへ行ったんだ?」
「それが解って居ないのです。被害者は若い女性ですので、もしかしたら商会に何か用事があったのかもしれません。」
これはセリーだ。
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「解りました。」
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しかし、そんな狂った息子を親は野放しにしていたのだろうか?何か裏がある気もしないでも無いが、まあ、僕が追及する必要は無いだろう。
王都を騒がした事件も解決し、平穏な日々が戻り、1週間。アスアスラが冒険者になる日が来た。
僕は彼女に防具と剣を買ってあげたのだが、彼女は必要最低限の範囲しか覆わない皮鎧を選んだ。なんでも、防御より動きを阻害される事を嫌った選択らしい。その代わり剣はミスリルのショートソードを奮発した。
冒険者ギルドまで歩き、中へ入り、何時もの窓口に並ぶ。初めて見る王都のギルドの大きさにアスアスラは吃驚していた。
やがて順番が来て、無事冒険者登録が住んだ。エルフとバレるんじゃないかと心配したが杞憂だった。ちなみにエルフの耳って隠せるらしいよ。後ろに折りたためるらしい。これに髪の毛とカチューシャの組み合わせで、耳が完全に隠れる。なんでもエルフの耳は弱点らしく普段は隠しているのが普通だそうだ。
「家への帰り方は解るか?」
「問題無いですよ。狩人ですので方向感覚には自信があります。」
「そっか、なら後は一人で頑張ってみろ。本当ならパーティーを組んだ方が良いんだけど、バレると厄介だから当分はソロだな。」
「解って居ます。ご迷惑はお掛けしません。」
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