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イナゴの事は一旦置いておいて。視察を続ける。鉱山を見に行く。
確か鉄鉱石が採れるんだったな。鉱山は思った以上に規模が大きく。2000人程の人が働いているらしい。それでもあと150年は掘り続けられる埋蔵量があるそうだ。
ここを押さえて居れば町の経営は適当でも構わないと言うのは何となくわかる。だが、7万の人間を2つの町に分けるのは愚行だと思う。やはり1つの町にして、更なる発展を目指したいな。
2つの町を繋ぐ街道を開拓して農地にすれば周辺に農家が住む。現在街道の幅は6メートル程度、これを8メートル道路にして両脇に500メートルずつ農地を開拓してみよう。2つの町の間は歩いて3時間強、おそらく直線距離にすれば10キロは無いはずだ。ここさえクリアできれば2つの町は統合できる。
統合するメリットは大きい。まず人員の削減、コストの削減、人口の増加、管理のしやすさ等が上げられる。
一度正確な地図を作ってルキナと相談してみよう。後は人材が揃ってからだな。一旦プレイースに戻り、ルキナに人材が揃ったら2つの町の代官を調べる様に伝えて置く。マークにはプレイースを任せると言って王都へ帰る。
王都に帰った僕は冒険者ギルドへと急いだ。そこでイナゴの被害についての情報を聞く。
どうやら被害にあった町はどれもそれ程大きな規模の町では無いらしい。と言うか大きな町ではイナゴの対策が取られているので、仮に襲われたとしてもそれ程の被害は出ないと言う。
それでも今回のイナゴの大量発生で12万人程の被害者が出ているそうだ。幸い、北東のやや南寄りにあるトゥーファルと言う町が支援に乗り出しているそうだ。
このトゥーファルと言う町はこの国で2番目の大きさを誇る大都市で人口も45万人と多く、冒険者ギルドの規模も大きい。冒険者ギルドと教会が各町で炊き出しや支援物資の配給を行っているそうだ。
トゥーファルを治める領主、ボーマット辺境伯は金銭的に3侯爵に対抗出来る力を持ち。何処の派閥にも属していないらしい。
どうやら僕が下手に手を出す必要は無い様だ。
家に帰るとまだ、時間が早い様でセリーは帰って居なかった。これから農業に出るのもどうなんだ?
って事で帰って来るセリーの為に甘い物でも作りますか。
厨房へ行くと見習い君が走って来る。今日はそんなに難しい物は作らないよ。そう言って、まず、カスタードクリームを作る。これはプリンと殆ど材料は一緒だ。カスタードクリームの材料はたった4つ。卵、ミルク、砂糖、小麦粉だ、まず卵黄と砂糖を混ぜる。混ざったら小麦粉を加えてまた混ぜる。そこに温めたミルクを卵が固まらない様少しずつ加えて混ぜる。
混ぜ終わったら鍋に入れ弱火に掛けてひたすらかき混ぜる。ここでバニラエッセンスを加えてもOK。今回は入れないけどね。ポイントは結構固めに作る事。ヘラで掬って垂れない程度まで固くするのが秘訣です。
完成したら粗熱を取ってから冷蔵庫で冷やす。
次に、生クリームも作って置きましょう。こちらはバニラエッセンスを入れてね。
そして最後にクレープ生地を焼きます。実はこれも材料は似た様な物なんだよね。小麦粉が多いだけって感じ。
卵、ミルク、砂糖、小麦粉を混ぜて最後に塩を一つまみ。これをフライパンで焼くんだけど、ポイントはバターで焼く事。弱火で焼いて表面が乾いてきたらひっくり返すと破れないよ。あまり薄さに拘らなくてもOK!
クレープ生地が焼けたら、カスタードと生クリームを乗せて、季節の果物をトッピング。くるっと巻いて完成だ。
後は見習い君に任せたよ!
メイドが風呂が沸いたと知らせてくれたので僕は風呂へ向かう。ちなみにこの世界に石鹸はあるが、風呂では使わない。基本石鹸は洗濯用だ。かなり刺激の強い石鹸なので体を洗うとピリピリする。じゃあどうするのかって?クリーンを使います。じゃあ、風呂は要らないじゃんってなるよね?風呂は温まる為にあるのです、血行も良くなり健康的だしね。何より疲れを取ってくれるんだよね。
さっぱりして風呂を出たらセリーが帰っていた。
夕食後のデザートとしてクレープを堪能し、セリーに話があると応接室へ呼び出した。
「まず、そっちの首尾はどうだった?」
「父も叔父様も乗り気だったので問題無いと思います。」
「そうか、なら一安心だな。こっちは色々と問題がありそうだが、そう急ぐ話でも無さそうだ。前の領主が領地経営にあまり積極的でなかった様で、殆どが代官の指示で動いている。代官が居る限りは大きな混乱にはならないだろう。」
「でも、問題があるって事は、貴方としては動く気満々なのでしょう?」
「もちろんだ。でも今は人材が足りない。何処かで優秀な人材が眠って無いかな?」
「そうですね、この間のクーデターの様な事件があれば、そう言った人材も出て来るのですが、埋もれた人材と言うのはなかなか表に出て来ないのが普通です。」
「セリーの人脈でも難しいか?」
「私より、ルキナやマークの方がそう言った方面には強いはずですよ。」
「ああ、一応2人にも良い人材が居たら連れて来る様に言ってある。それでも足りないんだよねぇ。」
「代官2人は駄目でしたか?」
「うーん、もしかしたら1人は使えるかもしれない。ただ、僕の政策に賛同してくれるかどうか?それならいっその事、そう言う事情を知らない人物の方が扱いやすいんだよね。」
「まだ時間はあるんですよね?私の方でも少し探してみます。」
「そうだな、焦っても良い結論は出ないからな。」
お茶にしましょうと言ってセリーがメイドを呼んだ。運ばれて来た紅茶を飲みまったりとする。
「そう言えばイナゴの話知ってるか?」
「ああ、王国の東にイナゴの大群が出たらしいですね。」
「王都に出る事もあるのか?」
「いえ、王都の近くには大森林がありますので、エサが不足すると言う事はありません。なのでイナゴが出たと言う話は聞きませんね。」
「ボーマット辺境伯と言うのが、救済に乗り出したそうだ。僕もいずれそう言う立場になりたいものだ。」
「トゥーファルですか、あそこは元々何もない場所からボーマット辺境伯の祖先が開拓したと言う話ですよ。」
「へぇ、凄いな。」
「そう言う貴方も既に10万を越える民の領主なのですよ。しっかりして下さい。」
最近セリーさん、時々怖いですよ。やっぱ子供が出来ると母親になるのかな?
翌朝、稽古を終えてから農業に出かける。1時間程掛けて草むしりを終えると近所の畑の様子を見に行く。
近所の畑は今の所順調だ。連作障害も起こしていない。ちなみに肥料の知識のない今の時代でも連作障害の知識はあるらしく、同じ作物を続けて作る事はしないと言うのが常識になって居る。
どうもこの世界、魔法のせいで文明の進み方が歪になっている様だ。
例えばトイレだ、クリーンの魔法のお陰でトイレは非常に清潔だ。一方で生活排水は川に垂れ流し状態である。まあ、化学薬品が無いので垂れ流しでも問題は無いと言えば無いのだが。
他にも魔道具と言うのがある。冷蔵庫や冷凍庫は魔道具だ。作ろうと思えばエアコンも魔道具で作れる。まあ、気候が良いので必要無いけどね。
魔道具は理論を知らなくても使えてしまう。これが知識の格差を生んでいる様だ。魔道具は非常に高価である。高価ゆえに開発者はその技術を隠匿する。その結果、作れる人間が限られて値段が更に上がると言う悪い循環に陥っている。
この世界の住人は基本的に魔法を使える。なので理論さえ教えれば誰でも魔道具を作れるのだが、それさえ知らない人が大勢いる。
また識字率の問題もある。字を読める者が少なすぎるのだ。よって、誰かが何かを広めようと本を書いても、なかなか広まらない。
識字率は貴族や商人で100%、冒険者で70%、一般市民で30%と言われている。この数字だけ見ると識字率は高く感じるが、国民の85%が一般市民である。
この事からも、代読屋と言う職業が成り立つ事となる。例えば王城からの発表が掲示板に貼り出される事がある。これは正式な文章で書かれているので読めるだけでは理解出来ない場合がある。こう言う時に代読屋は解り易い様に噛み砕いて教えたりもする。
また、稼げない低ランクの冒険者のアルバイトとしての側面も持つ。冒険者は字が書けなくてもなる事は出来るが、字が読めないと依頼が受けられない事が多い。なので、ランクが上がるごとに識字率は高くなる。
そんな事を考えていたら、隣の畑のおっちゃんに声を掛けられた。
「イナゴの話聞いたかい?」
「ああ、なんでもトゥーファルが乗り出したみたいですね。」
「トゥーファルが?その話は初めて聞いたよ。これは吉報だな皆にも知らせよう。」
おっちゃんは走って何処かへ行ってしまった。僕も聞きたい事あったのになぁ。
何時もならこのあとプレイースに飛ぶのだが今日は行ってもしょうがないので家に帰る。やる事無いんだよね。
家に帰るとルシルが真剣な顔で待っていた。
確か鉄鉱石が採れるんだったな。鉱山は思った以上に規模が大きく。2000人程の人が働いているらしい。それでもあと150年は掘り続けられる埋蔵量があるそうだ。
ここを押さえて居れば町の経営は適当でも構わないと言うのは何となくわかる。だが、7万の人間を2つの町に分けるのは愚行だと思う。やはり1つの町にして、更なる発展を目指したいな。
2つの町を繋ぐ街道を開拓して農地にすれば周辺に農家が住む。現在街道の幅は6メートル程度、これを8メートル道路にして両脇に500メートルずつ農地を開拓してみよう。2つの町の間は歩いて3時間強、おそらく直線距離にすれば10キロは無いはずだ。ここさえクリアできれば2つの町は統合できる。
統合するメリットは大きい。まず人員の削減、コストの削減、人口の増加、管理のしやすさ等が上げられる。
一度正確な地図を作ってルキナと相談してみよう。後は人材が揃ってからだな。一旦プレイースに戻り、ルキナに人材が揃ったら2つの町の代官を調べる様に伝えて置く。マークにはプレイースを任せると言って王都へ帰る。
王都に帰った僕は冒険者ギルドへと急いだ。そこでイナゴの被害についての情報を聞く。
どうやら被害にあった町はどれもそれ程大きな規模の町では無いらしい。と言うか大きな町ではイナゴの対策が取られているので、仮に襲われたとしてもそれ程の被害は出ないと言う。
それでも今回のイナゴの大量発生で12万人程の被害者が出ているそうだ。幸い、北東のやや南寄りにあるトゥーファルと言う町が支援に乗り出しているそうだ。
このトゥーファルと言う町はこの国で2番目の大きさを誇る大都市で人口も45万人と多く、冒険者ギルドの規模も大きい。冒険者ギルドと教会が各町で炊き出しや支援物資の配給を行っているそうだ。
トゥーファルを治める領主、ボーマット辺境伯は金銭的に3侯爵に対抗出来る力を持ち。何処の派閥にも属していないらしい。
どうやら僕が下手に手を出す必要は無い様だ。
家に帰るとまだ、時間が早い様でセリーは帰って居なかった。これから農業に出るのもどうなんだ?
って事で帰って来るセリーの為に甘い物でも作りますか。
厨房へ行くと見習い君が走って来る。今日はそんなに難しい物は作らないよ。そう言って、まず、カスタードクリームを作る。これはプリンと殆ど材料は一緒だ。カスタードクリームの材料はたった4つ。卵、ミルク、砂糖、小麦粉だ、まず卵黄と砂糖を混ぜる。混ざったら小麦粉を加えてまた混ぜる。そこに温めたミルクを卵が固まらない様少しずつ加えて混ぜる。
混ぜ終わったら鍋に入れ弱火に掛けてひたすらかき混ぜる。ここでバニラエッセンスを加えてもOK。今回は入れないけどね。ポイントは結構固めに作る事。ヘラで掬って垂れない程度まで固くするのが秘訣です。
完成したら粗熱を取ってから冷蔵庫で冷やす。
次に、生クリームも作って置きましょう。こちらはバニラエッセンスを入れてね。
そして最後にクレープ生地を焼きます。実はこれも材料は似た様な物なんだよね。小麦粉が多いだけって感じ。
卵、ミルク、砂糖、小麦粉を混ぜて最後に塩を一つまみ。これをフライパンで焼くんだけど、ポイントはバターで焼く事。弱火で焼いて表面が乾いてきたらひっくり返すと破れないよ。あまり薄さに拘らなくてもOK!
クレープ生地が焼けたら、カスタードと生クリームを乗せて、季節の果物をトッピング。くるっと巻いて完成だ。
後は見習い君に任せたよ!
メイドが風呂が沸いたと知らせてくれたので僕は風呂へ向かう。ちなみにこの世界に石鹸はあるが、風呂では使わない。基本石鹸は洗濯用だ。かなり刺激の強い石鹸なので体を洗うとピリピリする。じゃあどうするのかって?クリーンを使います。じゃあ、風呂は要らないじゃんってなるよね?風呂は温まる為にあるのです、血行も良くなり健康的だしね。何より疲れを取ってくれるんだよね。
さっぱりして風呂を出たらセリーが帰っていた。
夕食後のデザートとしてクレープを堪能し、セリーに話があると応接室へ呼び出した。
「まず、そっちの首尾はどうだった?」
「父も叔父様も乗り気だったので問題無いと思います。」
「そうか、なら一安心だな。こっちは色々と問題がありそうだが、そう急ぐ話でも無さそうだ。前の領主が領地経営にあまり積極的でなかった様で、殆どが代官の指示で動いている。代官が居る限りは大きな混乱にはならないだろう。」
「でも、問題があるって事は、貴方としては動く気満々なのでしょう?」
「もちろんだ。でも今は人材が足りない。何処かで優秀な人材が眠って無いかな?」
「そうですね、この間のクーデターの様な事件があれば、そう言った人材も出て来るのですが、埋もれた人材と言うのはなかなか表に出て来ないのが普通です。」
「セリーの人脈でも難しいか?」
「私より、ルキナやマークの方がそう言った方面には強いはずですよ。」
「ああ、一応2人にも良い人材が居たら連れて来る様に言ってある。それでも足りないんだよねぇ。」
「代官2人は駄目でしたか?」
「うーん、もしかしたら1人は使えるかもしれない。ただ、僕の政策に賛同してくれるかどうか?それならいっその事、そう言う事情を知らない人物の方が扱いやすいんだよね。」
「まだ時間はあるんですよね?私の方でも少し探してみます。」
「そうだな、焦っても良い結論は出ないからな。」
お茶にしましょうと言ってセリーがメイドを呼んだ。運ばれて来た紅茶を飲みまったりとする。
「そう言えばイナゴの話知ってるか?」
「ああ、王国の東にイナゴの大群が出たらしいですね。」
「王都に出る事もあるのか?」
「いえ、王都の近くには大森林がありますので、エサが不足すると言う事はありません。なのでイナゴが出たと言う話は聞きませんね。」
「ボーマット辺境伯と言うのが、救済に乗り出したそうだ。僕もいずれそう言う立場になりたいものだ。」
「トゥーファルですか、あそこは元々何もない場所からボーマット辺境伯の祖先が開拓したと言う話ですよ。」
「へぇ、凄いな。」
「そう言う貴方も既に10万を越える民の領主なのですよ。しっかりして下さい。」
最近セリーさん、時々怖いですよ。やっぱ子供が出来ると母親になるのかな?
翌朝、稽古を終えてから農業に出かける。1時間程掛けて草むしりを終えると近所の畑の様子を見に行く。
近所の畑は今の所順調だ。連作障害も起こしていない。ちなみに肥料の知識のない今の時代でも連作障害の知識はあるらしく、同じ作物を続けて作る事はしないと言うのが常識になって居る。
どうもこの世界、魔法のせいで文明の進み方が歪になっている様だ。
例えばトイレだ、クリーンの魔法のお陰でトイレは非常に清潔だ。一方で生活排水は川に垂れ流し状態である。まあ、化学薬品が無いので垂れ流しでも問題は無いと言えば無いのだが。
他にも魔道具と言うのがある。冷蔵庫や冷凍庫は魔道具だ。作ろうと思えばエアコンも魔道具で作れる。まあ、気候が良いので必要無いけどね。
魔道具は理論を知らなくても使えてしまう。これが知識の格差を生んでいる様だ。魔道具は非常に高価である。高価ゆえに開発者はその技術を隠匿する。その結果、作れる人間が限られて値段が更に上がると言う悪い循環に陥っている。
この世界の住人は基本的に魔法を使える。なので理論さえ教えれば誰でも魔道具を作れるのだが、それさえ知らない人が大勢いる。
また識字率の問題もある。字を読める者が少なすぎるのだ。よって、誰かが何かを広めようと本を書いても、なかなか広まらない。
識字率は貴族や商人で100%、冒険者で70%、一般市民で30%と言われている。この数字だけ見ると識字率は高く感じるが、国民の85%が一般市民である。
この事からも、代読屋と言う職業が成り立つ事となる。例えば王城からの発表が掲示板に貼り出される事がある。これは正式な文章で書かれているので読めるだけでは理解出来ない場合がある。こう言う時に代読屋は解り易い様に噛み砕いて教えたりもする。
また、稼げない低ランクの冒険者のアルバイトとしての側面も持つ。冒険者は字が書けなくてもなる事は出来るが、字が読めないと依頼が受けられない事が多い。なので、ランクが上がるごとに識字率は高くなる。
そんな事を考えていたら、隣の畑のおっちゃんに声を掛けられた。
「イナゴの話聞いたかい?」
「ああ、なんでもトゥーファルが乗り出したみたいですね。」
「トゥーファルが?その話は初めて聞いたよ。これは吉報だな皆にも知らせよう。」
おっちゃんは走って何処かへ行ってしまった。僕も聞きたい事あったのになぁ。
何時もならこのあとプレイースに飛ぶのだが今日は行ってもしょうがないので家に帰る。やる事無いんだよね。
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