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ブラスマイヤーのしごきも既に1か月以上続いているが徐々に難易度が上がっているのか、なかなか慣れない。体が丈夫になった実感はあるが強くなった実感は無い、もしかしたら今は体作りの最中なのかもしれない。
1日46時間生活には慣れた。まあ、以前もやってたしね。ただ、24時間何も食べずに訓練すると低血糖を起こす危険性があるので、2食は食べる事にしている。なので僕のストレージには常に食べ物と飲み物がある程度入っている。
そうそう食べ物と言えば甘味を2種類増やした。ドーナツとアイスクリームだ。既存の材料を使って作れる物と言う事でこの2種類になった。まあどっちも簡単なレシピだしね。それから厨房に冷凍庫を完備した。これは氷魔法を付与した50センチ四方の箱で常に-18度をキープする様に設定してある。確かアイスクリームの保存温度が-18度だったと記憶していたのでそうした。
これにより、何時でもアイスクリームが食べられる様になったのは良いのだが、食べれば当然減る訳で、見習い君の仕事が増えたとも言う。
僕としてはチョコレートが食べたいのだが、果たしてこの世界にカカオはあるのだろうか?
気になって居たジェレミーのお見合いだが、あっさりと決まった。まあ2人共お見合いを受けた段階で結婚確定と話して置いたので波乱は無いと思ったが、会わせた瞬間ジェレミーが相手の娘を気に入った様でかなり積極的にアタックしていた。お相手のプラムリル・フォン・ドーブルスと言うドーブルス男爵家の娘だが、24歳とは思えないほど若い。いや、幼いと言っても過言では無いだろう。妹が居ると言って居たので最初は妹かと思った。どう見ても18歳前後に見える。これで切れ者と噂される程の女性だ、一癖も二癖もありそうだ。おっさんが苦労するのが目に浮かぶ。しかし、おっさんがロリコンだったとは思わなかったな。
見合い会場には侯爵邸を提供したのだが、おっさんは娘ばかり見ていたし、男爵家の令嬢は甘味に興味深々で緊張とは縁のないお見合いになった様だ。
男爵家の令嬢の話では結婚届けはすぐにでも教会に出すそうだ。そうしないとジェレミーを貴族の跡取りとする為の正式な認可が下りるまで結構な時間が掛かるのだそうだ。何処の世界もお役所は仕事が遅いらしい。落ち着いたら披露宴をすると言うので出席するから招待状待ってるよと答えて置いた。
さて、本命のホリーさんのお見合いだが。こちらもセリーの根回しのお陰でスムーズに見合いまでは話が進んだ。
そして、ジェレミーのお見合いから4日後、ホリーの見合いが始まった。
お相手はローンデリ男爵家の次男、レイン・フォン・ローンデリ。25歳。初対面の感触は2人共悪くは無かったようだ。ご両親も思ったより若く美人で良い意味で冒険者っぽくないホリーさんを気に入った様だ。
皆で甘味を食べながらお茶を飲み団らんをしている時、ふとした切欠でお金の話になった。ローンデリ男爵が長男の結婚式にお金を使い過ぎ、借金がある事やその後すぐに長男が亡くなり、元奥さんにかなりのお金を渡して、実家に引き取ってもらった事を話してしまった。
「そう言う訳で2人の結婚式にはあまりお金をかける事は出来ないんだ、それでも家に嫁いで貰えるだろうか?」
次男のレイン君も苦い顔をしている。家にお金が無いせいで今まで縁談がまとまらなかったんだろうな。
「ぶしつけな質問ですが、借金はお幾らでしょうか?」
ホリーさんの顔が戦闘時の物になる。
「白金貨20枚と言った所です。」
「ふむ、その程度なら何とかなりますね。正直派手な結婚式は要りません。借金が無ければ男爵家は回るのでしょうか?」
「私と息子は王城で文官として働いています。正直借金が無ければ、他の男爵家より多少ましな生活が送れます。」
「解りました。白金貨20枚は私が出しましょう。その代わり結婚後はちゃんと養って下さいね。」
次男のレイン君が驚いた顔をしている。平民の女性が白金貨20枚ポンと出すと言うのだ。
「良いんですかホリーさん?正直、この縁談が纏まれば、ローンデリ男爵家は僕の派閥になります。借金は僕の方でチャラに出来ますよ。」
「あー、私は既に冒険者ギルドで働く内定を貰っています。ですのでお金にはそれ程困って無いんですよ。それに結婚すれば資産は旦那と共有になるのは当然だと思ってます。ちなみに貯金は白金貨60枚以上あるので20枚位なら大した額じゃ無いしね。」
「お?流石堅実なホリーさんですね。随分と貯め込んでいますね。」
「いやぁ、本当はもう少し早くミレニアが嫁に行くと思ってたんだけどね。」
ローンデリ男爵家の面々は白金貨60枚と聞いて吃驚している。
「Sランク冒険者と言うのはそんなに稼ぐ物なんですか?」
「私は少ない方ですよ。こちらの侯爵様なんか1日で白金貨30枚位は稼ぎますからね。」
「そんな凄い方が貧乏貴族に嫁に来て貰えるんでしょうか?」
「冒険者は長く続ける仕事じゃ無いですからね。僕もホリーさんも危険の少ない堅実な仕事を求めているんですよ。」
「そう言う物なんですかねぇ。」
「で、肝心のレインさんは、如何でしょう?こちらのホリーさんと結婚する意志はありますか?」
「私は本来なら平民になる所を兄の死と言う偶然で貴族になったような男です。一応貴族学院は出てますので、私の代でローンデリ男爵家を途絶えさせるつもりはありません。出来れば私に力を貸して頂きたい。」
実質プロポーズだよな?
「ホリーさんは、異存有りませんよね?」
「私を必要としてくれるなら喜んで。」
と言う事で見合いはまとまった。結構ひやひやしたけどね。
これで、2組成立だ。こう言うのもたまには面白いけど、結婚したい冒険者が押し寄せても困るので、後でホリーさんとジェレミーのおっさんに釘を刺して置かないとな。
後で聞いた話だが、ジェレミーのおっさんは相当嫁自慢をしたらしく、独身冒険者達から嫉妬と羨望の目で見られる様になっていた。しかも貴族の当主になった事も相まって、Sランク昇級試験を受ける者が増えたそうだ。
僕はと言うと農業に勤しみながら、近所の農家の人達に農地改革を教えていた。空き地を開拓して。そこに適当な森から腐葉土を持って来て攪拌して栄養のある土を大量に作った。それを近所、と言っても畑は広いので3軒程度なのだが、の農家に無料で分け与えた。
そのせいか、僕の畑と隣接する畑3つ、合わせて4つは青々とした葉が茂る立派な畑になった。
こうなると噂が噂を呼んで、今度はその周りの畑を持つ農家に相談される。僕は森から腐葉土と土も持ち帰り。作った空き地で攪拌して、腐葉土の山を作った。僕はなるべく表に出ない様に周りの農家に頼んで、他の農家に肥料の重要さを教える様にする。もちろん肥料は好きなだけ無料で持って行って良いと伝えてある。
これが徐々に広まり。今年はかなりの農家が儲けを出した。すると僕の畑から遠い畑の人達から不満が出始める。そこで僕は、適当な間隔で腐葉土の山を3か所用意した。使い方は隣の農家に聞いてねって感じでわざわざ教えない。教えなくても畑の作物を見ればどこが肥料を使ってるか一目瞭然だからだ。
農家の人達もさぼっていた訳では無い。知らないだけで、やる気はあるのだ。自分で開拓した農地が大事じゃ無い訳が無い。水を一滴垂らすと波紋が広がる様に、肥料の存在は農地に革命を起こした。
来期にはもっと儲かる農家が出るだろう。問題はあまりやりすぎると作物の値段が下がってしまうので、僕が手を出すのはこの地区だけで、他の地区は自分達の手でやって貰うつもりだ。
一方プレイースでは魚のアラや売り物にならない小魚から作った。魚肥料を試験的に幾つかの農家で試して貰っている。今まで肥料を一切使わずに作物を作っていたので劇的な効果はある。だが、魚肥料は思ったより大量には作れない。そこで安く提供するには腐葉土に混ぜ込むのが良さそうだ。プレイースは3方を森に囲まれているので腐葉土は手に入り易い。こちらの改良版も現在試験的に使っている。
やはり土いじりをしているとスローライフの気分が出る。ここ1か月くらい事件は起こって無いし、お見合いをした以外は貴族らしいこともしていない。
このまま50年位スローライフしたいのだが、3年後には邪竜が現れるんだよね。まあ、僕の性格だとなんだかんだ言いながら色々な事に手を出す事になるんだろうけどね。
とりあえずは平穏な3年を楽しもう。
1日46時間生活には慣れた。まあ、以前もやってたしね。ただ、24時間何も食べずに訓練すると低血糖を起こす危険性があるので、2食は食べる事にしている。なので僕のストレージには常に食べ物と飲み物がある程度入っている。
そうそう食べ物と言えば甘味を2種類増やした。ドーナツとアイスクリームだ。既存の材料を使って作れる物と言う事でこの2種類になった。まあどっちも簡単なレシピだしね。それから厨房に冷凍庫を完備した。これは氷魔法を付与した50センチ四方の箱で常に-18度をキープする様に設定してある。確かアイスクリームの保存温度が-18度だったと記憶していたのでそうした。
これにより、何時でもアイスクリームが食べられる様になったのは良いのだが、食べれば当然減る訳で、見習い君の仕事が増えたとも言う。
僕としてはチョコレートが食べたいのだが、果たしてこの世界にカカオはあるのだろうか?
気になって居たジェレミーのお見合いだが、あっさりと決まった。まあ2人共お見合いを受けた段階で結婚確定と話して置いたので波乱は無いと思ったが、会わせた瞬間ジェレミーが相手の娘を気に入った様でかなり積極的にアタックしていた。お相手のプラムリル・フォン・ドーブルスと言うドーブルス男爵家の娘だが、24歳とは思えないほど若い。いや、幼いと言っても過言では無いだろう。妹が居ると言って居たので最初は妹かと思った。どう見ても18歳前後に見える。これで切れ者と噂される程の女性だ、一癖も二癖もありそうだ。おっさんが苦労するのが目に浮かぶ。しかし、おっさんがロリコンだったとは思わなかったな。
見合い会場には侯爵邸を提供したのだが、おっさんは娘ばかり見ていたし、男爵家の令嬢は甘味に興味深々で緊張とは縁のないお見合いになった様だ。
男爵家の令嬢の話では結婚届けはすぐにでも教会に出すそうだ。そうしないとジェレミーを貴族の跡取りとする為の正式な認可が下りるまで結構な時間が掛かるのだそうだ。何処の世界もお役所は仕事が遅いらしい。落ち着いたら披露宴をすると言うので出席するから招待状待ってるよと答えて置いた。
さて、本命のホリーさんのお見合いだが。こちらもセリーの根回しのお陰でスムーズに見合いまでは話が進んだ。
そして、ジェレミーのお見合いから4日後、ホリーの見合いが始まった。
お相手はローンデリ男爵家の次男、レイン・フォン・ローンデリ。25歳。初対面の感触は2人共悪くは無かったようだ。ご両親も思ったより若く美人で良い意味で冒険者っぽくないホリーさんを気に入った様だ。
皆で甘味を食べながらお茶を飲み団らんをしている時、ふとした切欠でお金の話になった。ローンデリ男爵が長男の結婚式にお金を使い過ぎ、借金がある事やその後すぐに長男が亡くなり、元奥さんにかなりのお金を渡して、実家に引き取ってもらった事を話してしまった。
「そう言う訳で2人の結婚式にはあまりお金をかける事は出来ないんだ、それでも家に嫁いで貰えるだろうか?」
次男のレイン君も苦い顔をしている。家にお金が無いせいで今まで縁談がまとまらなかったんだろうな。
「ぶしつけな質問ですが、借金はお幾らでしょうか?」
ホリーさんの顔が戦闘時の物になる。
「白金貨20枚と言った所です。」
「ふむ、その程度なら何とかなりますね。正直派手な結婚式は要りません。借金が無ければ男爵家は回るのでしょうか?」
「私と息子は王城で文官として働いています。正直借金が無ければ、他の男爵家より多少ましな生活が送れます。」
「解りました。白金貨20枚は私が出しましょう。その代わり結婚後はちゃんと養って下さいね。」
次男のレイン君が驚いた顔をしている。平民の女性が白金貨20枚ポンと出すと言うのだ。
「良いんですかホリーさん?正直、この縁談が纏まれば、ローンデリ男爵家は僕の派閥になります。借金は僕の方でチャラに出来ますよ。」
「あー、私は既に冒険者ギルドで働く内定を貰っています。ですのでお金にはそれ程困って無いんですよ。それに結婚すれば資産は旦那と共有になるのは当然だと思ってます。ちなみに貯金は白金貨60枚以上あるので20枚位なら大した額じゃ無いしね。」
「お?流石堅実なホリーさんですね。随分と貯め込んでいますね。」
「いやぁ、本当はもう少し早くミレニアが嫁に行くと思ってたんだけどね。」
ローンデリ男爵家の面々は白金貨60枚と聞いて吃驚している。
「Sランク冒険者と言うのはそんなに稼ぐ物なんですか?」
「私は少ない方ですよ。こちらの侯爵様なんか1日で白金貨30枚位は稼ぎますからね。」
「そんな凄い方が貧乏貴族に嫁に来て貰えるんでしょうか?」
「冒険者は長く続ける仕事じゃ無いですからね。僕もホリーさんも危険の少ない堅実な仕事を求めているんですよ。」
「そう言う物なんですかねぇ。」
「で、肝心のレインさんは、如何でしょう?こちらのホリーさんと結婚する意志はありますか?」
「私は本来なら平民になる所を兄の死と言う偶然で貴族になったような男です。一応貴族学院は出てますので、私の代でローンデリ男爵家を途絶えさせるつもりはありません。出来れば私に力を貸して頂きたい。」
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