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翌日はルシルとの稽古の後、久しぶりに仕事をしようと部屋に籠った。
「ブラスマイヤー。どうやら領地経営をしないとイケないっぽいので、今のうちに高く売れそうな物を作って置きたい。何か無いかな?」
「ふむ、魔道具関連ならやはり剣が高く売れるぞ。この間のドラゴンの剣も高値でうれたのであろう?」
「そうだな、オークションは面倒だが、ギルドに任せればそれなりになるか。」
「魔鉱石もまだ大量にあるから魔剣でも作ったらどうだ?」
「魔剣って作っても大丈夫なの?」
「うむ、聖剣と違って魔剣は誰でも扱える。ただ、あまり使い過ぎると魔素欠乏症になり、暫く力が入らなくなるぞ。」
「魔素欠乏症?要は魔力切れみたいな物かな?」
「認識的には間違っていない。なので、魔剣はここぞと言う時以外は使わない方が良い。」
「まあ、僕は使わないけどね。で、高く売れるの?」
「オークションの主催者が価値を解って居れば、かなりの高値が付くはずだ。」
「んじゃ、作ってみましょう。」
「やはり片手剣より両手剣の方が見栄えも良いし値段も高くなる。ストレージに聖剣が入っているから、それをベースに作って行こう。」
「ほう?魔剣を作るのに聖剣をベースにするのか?」
「魔剣も聖剣も魔力を使う剣と言う点では一緒だからな。」
「そうなんだ?魔剣って聞くと悪魔の剣と言うイメージなのだが違うんだな?」
「剣と言うのは持つ者の性格で、その存在の性格も変わって来る。聖剣が正で魔剣が邪と言うのは誤った考えだな。」
「なるほど、じゃあカッコイイ魔剣もありなんだね?」
「聖剣をベースにお前の考える格好の良い剣と言うのを作ってみろ。」
ストレージからアイテム→剣と進み、聖剣を選ぶ。勇者の剣みたいなのがあったのでそれをベースに選んだ。
まず、複製で魔鉱石を材料に選ぶ。次に改造でデザインをいじって行く。昔、アニメかゲームで見た様な、格好の良い剣を作り上げた。なんか中二病入ってるけど良いだろう。
「ここまでは出来たけど、次はどうするの?」
「まず、今作った剣を選択して、改造→回路と進んでみろ。」
「回路?これはなんだ?」
「回路から魔素吸収を選択すると更に選択肢が出るだろう?そこから斬撃強化を選べ。」
「ほう?なるほど、この要素を選ぶことで魔剣の性格が変わるんだな。」
「そう言う事だ。魔法系の効果は時間が短いので今回は斬撃強化で切れ味を良くする。」
「ちなみにこれって持ってるだけで体内の魔素を吸収するの?」
「いや、普段は空気中の魔素を使っているが、剣に魔素を流すと切れ味がもう一段上がる。魔剣は人間の血液の中の魔素を吸うので赤く発光する。聖剣は聖なる光を発するので青く光ると言うのが定説だ。」
「あ、なんとなく解った。魔剣は血液の中の魔素を吸うので魔素欠乏症になるから、寿命を縮めるとか言う噂が流れたとか?」
「ほう?良く解ったな。その通りだ。実際は魔素欠乏症になったら魔剣を離せば問題無いのだがな。」
「で、これで魔剣は完成?」
「せっかく作ったのだ銘を付けたらどうだ?」
「名前か?魔剣の名前ねぇ。ゼストブリンガーとでも付けるかな。聖剣の名前なんだけど。」
「良いのでは無いか?魔剣ゼストブリンガー。語呂も悪く無いぞ。」
「んじゃあ、明日にでも冒険者ギルドに持ち込んでみるよ。」
多分、近い内に領地が決まるだろうから、暫くはこの剣を売ったお金で生活しないとね。って、お金は結構あるんだけど、領地経営にどの位のお金が掛かるか解らないしね。どうも、また人を雇う事になりそうだし、もしかしたら、領地経営しながら内職の日々が待ってるかも。
等と考えていたら、お客さんが来た。誰だろう?
執事のルーメンさんが呼びに来た。お客さんは古書収集家のラーム・フォン・ルーゼリア子爵だった。
「ゼルマキア伯爵。この間は失礼しました。まさか伯爵様とは知らず。」
「いえいえ、お誘い頂きありがとうございます。今日は何か?」
「こう言った本をお持ちしたのですが、興味はありますか?」
そう言って子爵が出した本は2冊。両方ともあの本だ。
「とても興味があります。貸していただけるのですか?」
「前回競り落とした本と交換では如何でしょう?こっちは2冊、そっちは1冊で良いですよ。」
「それは、大変ありがたい申し出で。」
そう言ってストレージから前回競り落とした本を出す。既にコピーを取ってあるので無くされても問題無い。
「会の規則で貸出期間は2週間以内となっております。2週間したら、また来ますので、写本するなら急いで下さいね。」
「解りました。わざわざおいで下さるとは恐縮です。」
「では、確かに本をお借りしました。」
「はい、こちらこそ。ありがとうございます。」
子爵は馬車で貴族街を西に行った。
両手の本を見る。1冊は農地改革の本だが、もう1冊は魔導書だ。そう言えば子爵は読めるのだろうか?
早速ストレージに突っ込みコピーを取る。
農地改革はどうでも良いが、魔導書を早く読みたい。だが、これから入浴、夕食と忙しい。読めるのは夕食後だな。
結果、魔導書は非常に参考になる物であった。前世代の後期に書かれたもので、術も洗練されており、少ない魔素で強力な魔法を操る方法が詳細に載っていた。更に知らない魔法も沢山載っており。これ一冊で白金貨1000枚位の価値はあると思われる。
「これ、翻訳して売ったら儲かるんじゃない?」
「駄目だ、この世界にはまだ早すぎる。」
「そうかなぁ、全部は無理でも一部分だけでも価値はありそうだけど?」
「正直、お主が使うにも強力過ぎるぞ。魔法界のパワーバランスが崩れる。」
「そう言う物なのかね?」
「それよりももう1冊の方、そっちを翻訳して売ったらどうだ?」
「え?農地改革の本だよ?」
「この世界の農業は遅れている。バランス的には魔法が進み過ぎていて、他が遅れ過ぎているのだよ。」
「なるほど、これはこれで売れるって訳か?いや、待てよ。これを領地経営につかったらどうだ?」
「ふむ、それは良いかもしれんな。農業が進めば領地は潤う。そして新しい技術は拡散して行く。」
悪く無いな、領地が潤えば内職しなくて済むかも。って言うか、領地経営ってなんか僕の考えていたスローライフに近くない?
そう言えばセリーが領地経営を勉強していたって言ってたな。時間がある時に色々と教えて貰おう。
翌日昼過ぎに冒険者ギルドへ行った。魔剣を売る為だ。
基本昼過ぎはギルドは空いている。何時もの窓口に並んでいたら、何故か職員にギルドマスターの部屋に連れて行かれた。
「あのー、何の用でしょうか?」
「いや、大した用事では無いのだが、先日、夜中に突然冒険者が20人以上飛ばされて来てな。魔人がどうのとか寝ぼけた事を言ってたのだが、心当たりは無いか?」
やべっ、忘れてた。
「えっと、緊急事態でして、放って置いたらあの冒険者たちも魔人になって居た所でして。」
「ほう?やはり、人為的な魔人騒動だった訳だ?」
「魔人は兵器ですね。本当の狙いはクーデターでした。」
「その話はまだ降りてきていないぞ。」
「首謀者は教会です。第2王子をそそのかして国家転覆を謀ったようです。」
「第2王子だと、そこまで大掛かりなクーデターだったのか?」
「はい、第2王子と騎士団長、そして大司祭が打ち首になりました。」
「騎士団までが?」
「幸い早い間に情報を得ていたので、何とか大事になる前に沈静化出来ましたが、危ない所でしたよ。」
「市民には発表されていない様だが?」
「近く発表されると思います。かなりの数の貴族が参加していたので、その割り出しに時間が掛かっているのだと思います。貴族も大勢粛清されるので、暫く経済に混乱が出るかもしれません。その辺りも考慮しているのだと思います。」
「なるほどなぁ。まあ、お前さんが噛んでるんじゃ相手が可哀そうだな。」
え?何その酷い言われ様は?
「で、今日は何の用事で来たんだ?」
「あ、またオークションに剣を出そうと思って。」
「オークションって終わったばかりだぞ。2か月待つ事になるが良いのか?」
「問題無いです。この間の剣が高く売れたので生活費はあります。」
「見せて貰って良いか?」
そう言われたのでストレージから魔剣ゼストブリンガーを出す。
「どうぞ。」
「ほう?見事な剣だな、お前さんは剣作りでも食っていけるんじゃないか?」
「剣作りは趣味なので本業にするつもりはありませんよ。」
ギルドマスターが鞘から剣を抜く。
「これは、もしかして、魔剣か?」
「はい、魔剣ゼストブリンガー。僕が作りました。」
「使っているのは魔鉱か?」
「そうです。」
「簡単に言うが、魔剣を作るなんて、とんでもねぇぞ。」
「あ~、錬金魔法は得意なんで。」
「そう言う問題じゃないと思うが。」
え?
「魔剣の技法なんて知ってる奴見た事ないし聞いた事も無いぞ。」
「そうなんですか?」
「じゃあ、ダンジョンで拾ったとか?」
「落ちてねぇよ。」
「我が家に代々伝わる秘宝ってのは?」
あら?ギルドマスターが頭を抱えてる。
「ブラスマイヤー。どうやら領地経営をしないとイケないっぽいので、今のうちに高く売れそうな物を作って置きたい。何か無いかな?」
「ふむ、魔道具関連ならやはり剣が高く売れるぞ。この間のドラゴンの剣も高値でうれたのであろう?」
「そうだな、オークションは面倒だが、ギルドに任せればそれなりになるか。」
「魔鉱石もまだ大量にあるから魔剣でも作ったらどうだ?」
「魔剣って作っても大丈夫なの?」
「うむ、聖剣と違って魔剣は誰でも扱える。ただ、あまり使い過ぎると魔素欠乏症になり、暫く力が入らなくなるぞ。」
「魔素欠乏症?要は魔力切れみたいな物かな?」
「認識的には間違っていない。なので、魔剣はここぞと言う時以外は使わない方が良い。」
「まあ、僕は使わないけどね。で、高く売れるの?」
「オークションの主催者が価値を解って居れば、かなりの高値が付くはずだ。」
「んじゃ、作ってみましょう。」
「やはり片手剣より両手剣の方が見栄えも良いし値段も高くなる。ストレージに聖剣が入っているから、それをベースに作って行こう。」
「ほう?魔剣を作るのに聖剣をベースにするのか?」
「魔剣も聖剣も魔力を使う剣と言う点では一緒だからな。」
「そうなんだ?魔剣って聞くと悪魔の剣と言うイメージなのだが違うんだな?」
「剣と言うのは持つ者の性格で、その存在の性格も変わって来る。聖剣が正で魔剣が邪と言うのは誤った考えだな。」
「なるほど、じゃあカッコイイ魔剣もありなんだね?」
「聖剣をベースにお前の考える格好の良い剣と言うのを作ってみろ。」
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「ここまでは出来たけど、次はどうするの?」
「まず、今作った剣を選択して、改造→回路と進んでみろ。」
「回路?これはなんだ?」
「回路から魔素吸収を選択すると更に選択肢が出るだろう?そこから斬撃強化を選べ。」
「ほう?なるほど、この要素を選ぶことで魔剣の性格が変わるんだな。」
「そう言う事だ。魔法系の効果は時間が短いので今回は斬撃強化で切れ味を良くする。」
「ちなみにこれって持ってるだけで体内の魔素を吸収するの?」
「いや、普段は空気中の魔素を使っているが、剣に魔素を流すと切れ味がもう一段上がる。魔剣は人間の血液の中の魔素を吸うので赤く発光する。聖剣は聖なる光を発するので青く光ると言うのが定説だ。」
「あ、なんとなく解った。魔剣は血液の中の魔素を吸うので魔素欠乏症になるから、寿命を縮めるとか言う噂が流れたとか?」
「ほう?良く解ったな。その通りだ。実際は魔素欠乏症になったら魔剣を離せば問題無いのだがな。」
「で、これで魔剣は完成?」
「せっかく作ったのだ銘を付けたらどうだ?」
「名前か?魔剣の名前ねぇ。ゼストブリンガーとでも付けるかな。聖剣の名前なんだけど。」
「良いのでは無いか?魔剣ゼストブリンガー。語呂も悪く無いぞ。」
「んじゃあ、明日にでも冒険者ギルドに持ち込んでみるよ。」
多分、近い内に領地が決まるだろうから、暫くはこの剣を売ったお金で生活しないとね。って、お金は結構あるんだけど、領地経営にどの位のお金が掛かるか解らないしね。どうも、また人を雇う事になりそうだし、もしかしたら、領地経営しながら内職の日々が待ってるかも。
等と考えていたら、お客さんが来た。誰だろう?
執事のルーメンさんが呼びに来た。お客さんは古書収集家のラーム・フォン・ルーゼリア子爵だった。
「ゼルマキア伯爵。この間は失礼しました。まさか伯爵様とは知らず。」
「いえいえ、お誘い頂きありがとうございます。今日は何か?」
「こう言った本をお持ちしたのですが、興味はありますか?」
そう言って子爵が出した本は2冊。両方ともあの本だ。
「とても興味があります。貸していただけるのですか?」
「前回競り落とした本と交換では如何でしょう?こっちは2冊、そっちは1冊で良いですよ。」
「それは、大変ありがたい申し出で。」
そう言ってストレージから前回競り落とした本を出す。既にコピーを取ってあるので無くされても問題無い。
「会の規則で貸出期間は2週間以内となっております。2週間したら、また来ますので、写本するなら急いで下さいね。」
「解りました。わざわざおいで下さるとは恐縮です。」
「では、確かに本をお借りしました。」
「はい、こちらこそ。ありがとうございます。」
子爵は馬車で貴族街を西に行った。
両手の本を見る。1冊は農地改革の本だが、もう1冊は魔導書だ。そう言えば子爵は読めるのだろうか?
早速ストレージに突っ込みコピーを取る。
農地改革はどうでも良いが、魔導書を早く読みたい。だが、これから入浴、夕食と忙しい。読めるのは夕食後だな。
結果、魔導書は非常に参考になる物であった。前世代の後期に書かれたもので、術も洗練されており、少ない魔素で強力な魔法を操る方法が詳細に載っていた。更に知らない魔法も沢山載っており。これ一冊で白金貨1000枚位の価値はあると思われる。
「これ、翻訳して売ったら儲かるんじゃない?」
「駄目だ、この世界にはまだ早すぎる。」
「そうかなぁ、全部は無理でも一部分だけでも価値はありそうだけど?」
「正直、お主が使うにも強力過ぎるぞ。魔法界のパワーバランスが崩れる。」
「そう言う物なのかね?」
「それよりももう1冊の方、そっちを翻訳して売ったらどうだ?」
「え?農地改革の本だよ?」
「この世界の農業は遅れている。バランス的には魔法が進み過ぎていて、他が遅れ過ぎているのだよ。」
「なるほど、これはこれで売れるって訳か?いや、待てよ。これを領地経営につかったらどうだ?」
「ふむ、それは良いかもしれんな。農業が進めば領地は潤う。そして新しい技術は拡散して行く。」
悪く無いな、領地が潤えば内職しなくて済むかも。って言うか、領地経営ってなんか僕の考えていたスローライフに近くない?
そう言えばセリーが領地経営を勉強していたって言ってたな。時間がある時に色々と教えて貰おう。
翌日昼過ぎに冒険者ギルドへ行った。魔剣を売る為だ。
基本昼過ぎはギルドは空いている。何時もの窓口に並んでいたら、何故か職員にギルドマスターの部屋に連れて行かれた。
「あのー、何の用でしょうか?」
「いや、大した用事では無いのだが、先日、夜中に突然冒険者が20人以上飛ばされて来てな。魔人がどうのとか寝ぼけた事を言ってたのだが、心当たりは無いか?」
やべっ、忘れてた。
「えっと、緊急事態でして、放って置いたらあの冒険者たちも魔人になって居た所でして。」
「ほう?やはり、人為的な魔人騒動だった訳だ?」
「魔人は兵器ですね。本当の狙いはクーデターでした。」
「その話はまだ降りてきていないぞ。」
「首謀者は教会です。第2王子をそそのかして国家転覆を謀ったようです。」
「第2王子だと、そこまで大掛かりなクーデターだったのか?」
「はい、第2王子と騎士団長、そして大司祭が打ち首になりました。」
「騎士団までが?」
「幸い早い間に情報を得ていたので、何とか大事になる前に沈静化出来ましたが、危ない所でしたよ。」
「市民には発表されていない様だが?」
「近く発表されると思います。かなりの数の貴族が参加していたので、その割り出しに時間が掛かっているのだと思います。貴族も大勢粛清されるので、暫く経済に混乱が出るかもしれません。その辺りも考慮しているのだと思います。」
「なるほどなぁ。まあ、お前さんが噛んでるんじゃ相手が可哀そうだな。」
え?何その酷い言われ様は?
「で、今日は何の用事で来たんだ?」
「あ、またオークションに剣を出そうと思って。」
「オークションって終わったばかりだぞ。2か月待つ事になるが良いのか?」
「問題無いです。この間の剣が高く売れたので生活費はあります。」
「見せて貰って良いか?」
そう言われたのでストレージから魔剣ゼストブリンガーを出す。
「どうぞ。」
「ほう?見事な剣だな、お前さんは剣作りでも食っていけるんじゃないか?」
「剣作りは趣味なので本業にするつもりはありませんよ。」
ギルドマスターが鞘から剣を抜く。
「これは、もしかして、魔剣か?」
「はい、魔剣ゼストブリンガー。僕が作りました。」
「使っているのは魔鉱か?」
「そうです。」
「簡単に言うが、魔剣を作るなんて、とんでもねぇぞ。」
「あ~、錬金魔法は得意なんで。」
「そう言う問題じゃないと思うが。」
え?
「魔剣の技法なんて知ってる奴見た事ないし聞いた事も無いぞ。」
「そうなんですか?」
「じゃあ、ダンジョンで拾ったとか?」
「落ちてねぇよ。」
「我が家に代々伝わる秘宝ってのは?」
あら?ギルドマスターが頭を抱えてる。
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