転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ

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 冒険者ギルドで事情聴取を受けた。と言っても、大して喋る事は無いので僕の話はすぐに終わった。ついでなので情報収集をして行こう。

「あの、僕、魔人って初めて見たんですが、こんなに頻繁に現れる物なんですか?」

「いや、普通は数年に一度、場合によっては数十年に一度現れるかどうかの割合だぞ。」

 後ろで聞いて居たギルマスが出てきた。

「それが、同じような場所で続けて2人ですか?なんかおかしくありません?」

「ふむ、俺もそう思ってな。今、調査団を作って調査を始める事に決めた所だ。」

「ちなみにですが、人を魔人に変える様な魔道具や儀式ってあるんでしょうか?」

「現時点では何とも言えんが、心当たりがあるのか?」

「心当たりと言う訳では無いのですが、最近ある筋から4本の短剣を使った儀式が行われると言う話を聞いた物ですから。何の儀式だろうと考えていたんですよ。」

「4本の短剣を使った儀式ねぇ。確かに胡散臭いな。」

「それと魔人の外見なんですが、まったく人間と一緒なんですか?」

「そうだな、外見に関しては人間との違いは無い。だが対峙すれば解るだろう?」

「ええ、ただ、高ランクの冒険者ならあの闘気を抑えられる奴も居るんじゃないかと思いましてね。そうなったら何処で判断します?」

「む?それは既に人間社会に溶け込んだ魔人が居るかもしれないと言う事か?」

「そこまでは言いませんが、懸念しては居ます。」

「確かにあの黒い靄が無ければ普通の人間と区別はつかんな。その辺りも調べさせよう。ちなみにエイジは魔人と普通の人を見分けられるのか?」

「ええ、見分けられますよ。実際に戦って気付いたのですが、サーチには魔物として反応しますので。」

「お前、戦いながら幾つの魔法を使ってるんだ?見てる限りは剣士の戦い方だったが。」

「常に2~3種類は同時に発動してますよ。おかしいですか?」

「お前はSランクとしても桁違いだな。SSランクがあったら申請して置くよ。」

 やっと解放され、ホールに出るとセリーが待っていた。

「ごめんセリー遅くなっちゃって。」

「いえ、魔人を倒したのだから当然ですよ。今回は犠牲者が出なかったのもエイジさんのお陰です。」

「みんな心配していると思うから早く帰ろう。」

「はい。」

 ギルドを出て、人気の少ない場所を選び転移で屋敷に帰る。

 執事のルーメンさんとメイド長が安堵した顔になる。ってまだ7時をちょっと回っただけじゃん。

「なんでもまた魔人が出たと言う噂を聞きまして、心配しておりました。」

「大丈夫ですよ。その魔人はエイジさんがサクッと倒しちゃいました。」

「え?」

 おいおい。セリー、それは言っちゃ駄目な奴だぞ。

 セリーがルーメンとメイド長に捕まってる間に部屋に転移で逃げる。

「なぁ、ブラスマイヤー。今回の魔人、どう思う?」

「ふむ、我も、魔人がこうも立て続けに現れるのは何か裏があるのでは無いかと思うぞ。」

「やはりか?」

「以前、前世紀の話になるが、ある集団が、儀式で100人の人間を同時に魔人化した事がある。儀式は失敗したが、42人の魔人が誕生し、一つの町が滅びた。」

「ほう?つまり、人間の力で魔人を作れると言う事になるな?」

「ああ、理論は簡単だ。人間に大量の魔素を吸わせれば良い。だが、制御が出来ない。」

「ふむ?王都を混乱させるだけなら制御はしなくても良いのでは?」

「だがな、一人の魔法使いが魔人の制御に成功したと言う事例がある。あくまでもその魔法使いは好奇心で行ったらしいのだが、それに目を付けた集団が現れたと言う記録も残っている。」

「なるほどねぇ。それが42人の魔人に繋がる訳だ。もし42人が制御された魔人なら王都は滅びるかな?」

「魔人の強さは元になる人間の3~5倍と言われている。もしSランクの冒険者が魔人化したら、お主でも手こずるぞ。それが42人居たらどうする?」

「例えばルシルが42人居ても、勝てはしないが、無力化はさせられるぞ。それに王都には冒険者も多い。騎士団もある。無力化した魔人なら退治できるだろう。」

「ではお主が魔人化したらどうなるのだろうな?」

「それはまずいな、僕が5倍強くなったら勝てる自信無いぞ。」

「魔人にどこまで魔法を使いこなせる知能があるかがカギになるな。」

「魔人の研究ってのはあまり進んでいないのか?」

「ああ、存在例が少ない上に、現れるとすぐに討伐されるからな。」

「ちなみに魔人から魔素を抜けば人間に戻るのか?」

「いや、一度魔人になったら元へは戻らない。魔素を抜けば弱体化して、最悪死ぬ。」

「やっかいだな。」

 そう言った瞬間ドアが空きセリーが雪崩れ込んで来た。

「酷いです。エイジさんなんで一人で逃げてるんですか?」

「いや、あれはセリーの自爆でしょ?」

「そうですけど、少しくらい助けてくれても良いじゃありませんか?」

「いや、無理。あの2人に歯向かうなんて僕には出来ません。」

 そう言ったらセリーがぐったりした。

「確かにあの2人が揃うと恐ろしいです。」

「だよね~。」

 だけど、仕事が出来るからクビにする訳には行かないしな。

「まあ、これに懲りたらあの2人の前で不用意な発言をしない事だね。」

「う、う、なんか納得いかないです。」

「ところで、夜に男性の部屋に居ても大丈夫?それとも夜這いですか?」

「夜這いはエイジさんの方から来てください。」

「え~、だって、侍女が何時もいるしなぁ。」

「侍女が居なければ来るんですか?」

 何故そこで目を輝かせてるんだ?

「冗談はここまで、はやくおやすみ。」

「えー。応接室でも良いから少しお話しません?」

「今日は勘弁してくれ明日なら付き合うよ。」

「解りました、明日ですね。約束ですよ!」

 何故か嬉しそうに部屋へ戻って行くセリー。なんかだいぶ積極的になったな。

「なぁ、ブラスマイヤー。現在王都に何人の魔人が居るか調べられるか?」

「確定では無いが、2人反応がある。」

「それは、普通の人間として生活していると考えて良いのか?」

「うむ、この反応が魔人ならそうなるな。」

「こうなると誰かが人為的に魔人を作っていると言う説もあながち間違いではなさそうだな。」

「また、変な事に首を突っ込むのか?スローライフはどうした?」

「ん?今、割とスローライフしてるぞ。自由に生活してるしな。」

「随分と忙しいスローライフだな。変な事にばかり首を突っ込んで。」

「本人が納得してるんだから良いだろう?」

 翌日は朝寝坊した、かなり疲れていたらしい。

 ルシルとの朝稽古もなんかパッとしなかった。

 気分転換にと午後は厨房に行き。見習い君を呼んでパウンドケーキを作った。

 基本となるプレーンな物をまず作る。小麦粉と砂糖、卵、バターを同量まず合わせる。バニラエッセンスを1滴たらして、型に入れてオーブンで焼く。薪オーブンなので火加減が難しいので見習い君に180度で40分が基本とだけ教えて置く。あとは仕上がりを見ながら焼いて行く。

 出来上がったら冷蔵庫で冷やして、生クリームを添えて完成だ。見習い君には更にドライフルーツを加えたり、ナッツを入れても美味しいぞと教える。1個は食後にデザートとして出すように伝え。これから試作する分は皆で食べてくれと言って置く。

 そう言えばコーヒースタンドは無事に引き継がれた様だ。なんでも将来喫茶店を開きたいと言う青年に譲ったそうだ。

 夕食は今更だが洋食だ。まあ、この世界が中世ヨーロッパに似ているので肉食なのは解るが、やはり魔物と言う特別な食料があるせいか、食文化は結構独特だ。まず、砂糖が高いので甘味が少ない。塩は普及しているが胡椒は高い。そのせいかハーブが普及している。スパイスが少ないが、料理の味は決して不味くは無い。料理人はいかに少ないスパイスで美味い料理を作るかが腕の差になっている様だ。

 現代日本人としては米が食いたいところだが、よく考えたら、日本に居る時もあまり米を食っていた記憶が無い。ただ、醤油の味は恋しい。

 今日の夕食はパスタだ。オーソドックスなトマトのパスタだが、チーズとガーリックが効いている。サラダが付いているがこれは通常塩味なのだが、僕がドレッシングを教えてから、様々なハーブを使ったドレッシングが出る様になった。

 次はマヨネーズを教えるつもりなので、更に幅が広がるだろう。

 食後には見習い君がパウンドケーキを持って来てくれた。これには紅茶が合うはずだ。メイドに紅茶の用意を頼む。

 甘いパウンドケーキに無糖の紅茶が絶妙なハーモニーだった。セリーとルシルも満足気に食べている。

 そう言えばうちにお客って来ないな?来れば美味しいお菓子が食べれるのに。
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