上 下
53 / 55

053 準備良し?

しおりを挟む
 さて、冷蔵庫が完成すれば2号店はオープンできる。大まかな部分は大工さんに頼んで、最後の魔道具設置は自分でするつもりだ。完成まで後3日と言った所だろう。

 現在、俺とルルイ、そしてローナと新人が2人、2号店で研修をしている。商品は賞味期限が短い物以外は陳列してある。

 ちなみに新人は2人共女性だ。別に意図した訳では無く、ソリオさんに優秀で計算の出来る人材を頼んだら、この2人が来ただけだ。まあ、この店は女性用の商品を多く扱うので女性従業員の方がありがたいのは確かなのだが、武器や農具も扱っているので出来れば俺以外にもう1人位男性が居ても良かった気がする。

 シャンプーや石鹸の使い方はルルイとローナが知って居るので省略して、生理用品と男女の下着の説明をして置いた。これは売れれば大きいので積極的に売る様に皆には伝えてある。

 その他の商品についても実際に手に取って貰ったり食べて貰ったりして商品の特徴を覚えて貰う。

 問題は価格だ。商品数が多い上に一律価格では無いので、棚に値段を表示してあるのだが、こう言うタイプの店はこの世界には無い様なので、周知されるまで時間が掛かりそうだ。

 また、レジで会計する時にも個々の商品の値段を覚えて置かないとイケないので最初は大変だと思う。いっその事スーパーの様に値段シールでも貼ってみるかな?

 ポーションに関しては俺が担当するので問題は無い。この店では初級と中級のポーション、そして解毒薬、初級の万能薬の4種類のポーションを取り扱う。それ以外は今の所扱わない。これは価格的な問題もあるが、冒険者ギルドで購入出来る物に絞った結果だ。

 値段は冒険者ギルドより若干安めに設定してある。ちなみに効果は冒険者ギルドで売って居る物よりほんの少しだけ優れている。

 味についても、フルーツの果汁を入れて飲みやすく改良してある。

 恐らく安定した売り上げを望めるだろう。

 最初はレジにローナを置いて、他のメンバーには売れた商品の補充や、客からの質問に答えると言う仕事をやって貰いつつ、商品についての知識や値段を把握して貰おうと思っている。

 俺はポーションと弁当やホットスナック等の温かい商品を担当する。これは温かい状態で提供しないとイケないので、最初は俺が担当するが、徐々に他の店員にも覚えて貰おうと思っている。

 ちなみにレジは手動だ。この世界の数字はアラビア数字では無いので電卓も俺以外は使えない。一応全ての商品は端数が出ない様に設定してあるが、高価な物もあるので、あまり沢山商品数を買われると計算が大変だ。

 まあ、ルルイ以外のメンバーには頑張って貰おう。ルルイには武器や防具のコーナーを任せようと思う。大型家電量販店の様に売り場に専門家が一人居ると色々と都合が良い。

 この布陣で回してみて、手が足りない様なら考える事にしよう。冷蔵庫が準備出来次第開店の予定だ。後、数日は研修が必要だしね。

 14時になったのを機に新人2人を家に帰し、俺達3人は食堂へと赴く。厨房の2人と弁当とホットスナックの打ち合わせだ。既に半数は出来上がっていて熱々のままマジックバッグに入って居る。残りの半数も2日もあれば間に合うそうだ。

 まあ、最初の数が揃えば、その後の毎日の弁当類は負担が無い程度に提供してもらう事になる。オープン初日は味を覚えて貰う為にセールを行うつもりなので、通常の倍の数を用意して貰ったのだ。

 店舗での販売形式は写真を使ったメニュー方式にするつもりだ。一応この世界にも写真らしき物はある。恐らくピンホール写真機を誰かが発明したのだろう。モノクロ写真だが、貴族の肖像画代わりに使われているそうだ。

 まだ、カラー写真は普及して居ないが、食堂のメニューはカラー写真を使って居たりするので、今更だよね。

 ちなみに2号店の雑誌コーナーに置かれている本は、基本日本のファッション誌だったりする。これもカラー写真満載だが、他の雑誌は文字がメインだから置いても読めないんだよね。あ、一応この世界の魔法書等も置いてある。

 まあ、雑誌コーナーはあまり売り上げを期待していない。あくまでも俺のこだわりでコンビニっぽさを演出したまでだ。

 さて、翌日は、弁当類が揃ったので、これを売る研修だ。ドリンク類も一緒に覚えて貰う事になる。基本弁当類はマジックバッグから出して販売するので、出す時に注文と間違えない様に必ず中身をチェックする様徹底した。

 ドリンク類は全て缶で統一した。ペットボトルは回収が面倒だしね。350MLと500MLの2種類で値段が違うので要注意だ。それから、見た目で酒類とソフトドリンクの見分けが難しい物もあるので、酒類をレジに持って来た客には必ずそれは酒類である事を伝える様に言って置く。

 また、カップ麺とレトルト商品の調理法も教えて置く。おそらくこの2商品は売れ筋だと考えて居る。特にレトルトカレーはヒットする可能性が高い。

 それから生洋菓子は閉店時に廃棄する様徹底して置く。勿体ないが、売れ残りを次の日に販売する訳には行かない。一応冷蔵の魔道具を設置した棚に置くが、食中毒を起こす可能性は避けたい。マジックバッグ販売も考えたのだが、生洋菓子は見た目も売り物なんだよね。

 これは総菜パン等にも同じ事が言える。まあ、コンビニは廃棄商品をいかに出さないかの勝負なんだよね。

 最近のコンビニはスーパーの様に値下げをして売り切る所も出てきたが、まあ、廃棄商品が大量に出る様になったら考えよう。

 それから、コンビニと言えばキャンペーンだよね。おにぎり100円とかサンドウィッチ全品30円引きとかあるけど、この店ではどんなキャンペーンをすれば良いのかな?

 割引よりも幾ら以上購入した方には○○をプレゼントとかの方が良さそうだ。商品の宣伝にもなるしね。最初はやはりコーヒー1杯無料とかが良いかな?コーヒーは原価が安いしね。

 折角電気が使えるのでカートリッジタイプのバリスタマシンを購入した。こっちの方が操作が楽だし、一々豆を捨てたりフィルターを洗う手間が省けるしね。

 某有名メーカーの物が安く売って居たのでそれを購入して、ミルクはパウダー状の物を、砂糖はスティック状の物を購入する。紙コップやコーヒーマドラーも購入して置く。カートリッジは何種類か購入して皆の意見を聞いて、飲み易い物を選択するつもりだ。

 ちなみに食堂から、この2号店までは歩いて7分程度だ。かなり大きい市場で端から端までが歩いて20分程度掛かる。広さとしては中心部の市場が、半径1キロ、その周りに店舗が並んでいて、全体で半径1.2キロ程度の円状になって居る。直線距離で歩けばもっと近いのだが、様々な店が入り組んでいて、全部の店を見て回るには1日では足りない程だ。

 正式にオープンしたら、昼食は食堂に行って食べて貰う事になる。まあ、人数の関係で1人ずつ交代制になるだろう。無料なので文句を言う者は居ない。

 新人2人の給料は月に金貨1枚だ。昼食が付いてこの金額は、かなりの好条件だとソリオさんは言っていた。まあ、その分、優秀な人材が確保出来たので俺はそれだけの給料を払う価値があると考えて居る。

 使う所にはしっかりと使って、節約する所はきっちり節約する。それが金の使い方だと実家の爺ちゃんが言っていたが、この世界に来てようやく本当の意味が解った気がする。

 さて、今日中には大工さんの仕事が終わりそうだ。明日は冷蔵の魔道具を設置して、ドリンクを並べれば、開店準備は全て完了する。

 後は、皆の頑張りと、食堂での宣伝の効果を期待するしかない。

 ちなみに、食堂の入り口横ではテイクアウト商品とパンの販売が続いている。ここで、この2号店の宣伝を行っている。もちろん食堂の中でも宣伝はしているのだが、2号店の客層はむしろテイクアウトを利用する人達の方が向いているのでは無いかと思い、宣伝に力を入れて貰っている。

 さあ、宣伝の効果は出るのであろうか?
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの? 人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

異世界に転生した俺は元の世界に帰りたい……て思ってたけど気が付いたら世界最強になってました

ゆーき@書籍発売中
ファンタジー
ゲームが好きな俺、荒木優斗はある日、元クラスメイトの桜井幸太によって殺されてしまう。しかし、神のおかげで世界最高の力を持って別世界に転生することになる。ただ、神の未来視でも逮捕されないとでている桜井を逮捕させてあげるために元の世界に戻ることを決意する。元の世界に戻るため、〈転移〉の魔法を求めて異世界を無双する。ただ案外異世界ライフが楽しくてちょくちょくそのことを忘れてしまうが…… なろう、カクヨムでも投稿しています。

神に同情された転生者物語

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。 すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。 悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。

転売屋(テンバイヤー)は相場スキルで財を成す

エルリア
ファンタジー
【祝!第17回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞!】 転売屋(テンバイヤー)が異世界に飛ばされたらチートスキルを手にしていた! 元の世界では疎まれていても、こっちの世界なら問題なし。 相場スキルを駆使して目指せ夢のマイショップ! ふとしたことで異世界に飛ばされた中年が、青年となってお金儲けに走ります。 お金は全てを解決する、それはどの世界においても同じ事。 金金金の主人公が、授かった相場スキルで私利私欲の為に稼ぎまくります。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

神によって転移すると思ったら異世界人に召喚されたので好きに生きます。

SaToo
ファンタジー
仕事帰りの満員電車に揺られていたサト。気がつくと一面が真っ白な空間に。そこで神に異世界に行く話を聞く。異世界に行く準備をしている最中突然体が光だした。そしてサトは異世界へと召喚された。神ではなく、異世界人によって。しかも召喚されたのは2人。面食いの国王はとっととサトを城から追い出した。いや、自ら望んで出て行った。そうして神から授かったチート能力を存分に発揮し、異世界では自分の好きなように暮らしていく。 サトの一言「異世界のイケメン比率高っ。」

転生させて貰ったけど…これやりたかった事…だっけ?

N
ファンタジー
目が覚めたら…目の前には白い球が、、 生まれる世界が間違っていたって⁇ 自分が好きだった漫画の中のような世界に転生出来るって⁈ 嬉しいけど…これは一旦落ち着いてチートを勝ち取って最高に楽しい人生勝ち組にならねば!! そう意気込んで転生したものの、気がついたら……… 大切な人生の相棒との出会いや沢山の人との出会い! そして転生した本当の理由はいつ分かるのか…!! ーーーーーーーーーーーーーー ※誤字・脱字多いかもしれません💦  (教えて頂けたらめっちゃ助かります…) ※自分自身が句読点・改行多めが好きなのでそうしています、読みにくかったらすみません

処理中です...