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019 鑑定?

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 ローナを家に送り届けてから、マリーナさんを連れて魔道具屋に帰る。

 マリーナさんと爺さんを会わせて大丈夫なのかな?と思いつつ、店の扉を開けて、ただいまと声を掛けた。

 店の奥の方で何やら魔道具を弄って居た爺さんが、ゆっくりと出て来る。そう言えばこの店で客を見た事が無いが、商売は上手く行ってるのだろうか?

「なんじゃ?その婆さんは?」

 いやいや、初対面で女性に婆さんは不味いでしょう。

「貴方がこの方の師匠ですか?」

 マリーナさんは婆さん呼ばわりをされても冷静な様だ。少しホッとする。

「師匠などと言う大げさなもんじゃ無い。こ奴があまりにも魔法に無知なので基礎を少し教えておるだけじゃ。」

「では、その役目を私に譲っては貰えないでしょうか?」

 あれ?何か俺抜きで話が進んで無いか?

「ふむ、条件次第では譲ってやらん事も無い。」

「条件ですか?何でしょう?お金はあまり持ってませんよ。」

 ん?魔法使いって儲かるんじゃなかったっけ?

「金は要らん。お主見た所、魔法使いを生業にしておる様じゃが、何属性の魔法を使えるのじゃ?」

「私は属性魔法を4つと無属性魔法の回復を使えますが?それが何か?」

 へぇ、マリーナさんは回復魔法が使えるんだな。俺はまだ習っていないけど、使えると便利そうだ。

「それでは、こ奴の師匠は務まらんぞ。こ奴は全属性の魔法に適性がある可能性がある。」

「全属性ですか?それは無属性魔法も含めてと言う事でしょうか?」

 マリーナさんが驚いている。

「それだけでは無い。こ奴はユニーク魔法使いかもしれん。お主に指導できるかのぉ?」

「ユニーク魔法使いですか?失礼ですが、貴方は何故彼がそうだと思うのでしょうか?」

 マリーナさんがそう言うと爺さんは笑った。

「大方、こ奴の魔力の高さに目を付け、自分の出世に利用しようとでも思ったのじゃろう?じゃがな、こ奴はお主の指導など無くとも大魔法使いに勝手に成長するぞ。ひょっとしたら賢者にだってなれるかもしれん。」

「そうです、彼には賢者の素質があるかもしれないのです。確かに私では彼を賢者に導けるかどうかは解りません。しかし、然るべき師匠に会わせる事は可能かもしれません。得体の知れない魔道具屋の主人に任せてなど置けません。お判りでしょう?」

 何故かマリーナさんが激高した様に反論している。って言うか、爺さんも俺が賢者かもしれないと思って居たのか?

「こ奴が本当に賢者の器なら、師匠など必要ありゃせん。ワシとて、師匠なぞ居らんかったぞ。」

「貴方はまさか、自分が賢者だとでも言うのですか?」

 爺さん、マリーナさん完全に怒ってるよ、どうすんの?

「ワシは自分が賢者だなどと一度も言うて居らんのだがのぉ。周りが勝手にそう呼ぶだけじゃわい。」

「貴方は、まさか、本当に?」

 あれ?マリーナさんが急に挙動不審になったぞ、喧嘩が始まらなくて良かったけど。

「深淵の錬金術師等と呼ばれた事もあるのぉ。ワシはあまり気に入って無いのじゃがのぉ。」

「それでは、貴方様はルーベル・ドナート様でございますか?」

 え?何がどうなったの?って言うか、爺さん苗字があるのか?あれ?この世界で苗字があるのって貴族だけじゃないの?当の爺さんは悪戯が見つかった子供の様な顔で笑っている。

「失礼いたしました。しかし、彼は魔力をもう少し抑えた方が宜しいかと思います。変な貴族に感付かれると色々とややこしい事になりかねません。」

「それについてはワシも気にしておるのじゃが、こ奴は、まだ魔法を覚えて1週間も経っておらんのじゃ。魔力制御の方法もこれからじゃの。」

 それを聞いてマリーナさんが大いに驚いている。

「では、彼はこの状態で今までずっと暮らして来たのですか?」

「そうなるのぉ。呆れる程の魔力量じゃろ?恐らくワシより魔力量は多いじゃろうな。」

 え?俺って何か知らない内にやらかしてた?呆れる程の魔力量って何?

「確かに私では手に負えません。ここは賢者様に任せて手を引きます。」

「そうして貰えると助かる。それから、この事は出来ればお主の心にだけ留めてくれると有難いかのぉ。」

 爺さんがそう言うとマリーナさんが深々と頭を下げ。御意にと言って魔道具屋を出て行った。

「お爺さん、貴族だったんですか?」

「そんな大層なもんじゃありゃせん。少しだけ魔法が得意な魔道具屋じゃ。」

「でも、賢者なんですよね?それに錬金術って言うのも使えるんでしょ?」

 錬金術ってあれだよね?鉄を金に変えるって奴?

「なんじゃ?お主、錬金術に興味があるのか?」

「使えるなら使ってみたいですね。」

「まあ、お主の場合魔力操作を覚えるのが先決じゃがな。」

 そう言えば魔力が駄々洩れってマリーナさんが言ってたな。

「あの、自分じゃ解らないのですが、魔力が漏れているんですか?」

「お主は魔力が大き過ぎて制御が出来ていない状態なんじゃ、普通はそれだけ魔力が漏れて居たら疲れて倒れるぞ。」

 ちょっと待てよ。魔力150で大きすぎるって事は、体力200はどうなんだ?他人のステータスが見えれば比べられるんだけど、そう言う魔法って無い物かな?

「ちょっと聞きたいんですが、『鑑定』と言う魔法はあるんでしょうか?」

「ああ、お主は商人じゃったな。『鑑定』と言う魔法はあるぞ。無属性魔法なので、ある意味アイテムボックスより希少じゃが、理論さえ覚えれば属性魔法より覚えるのは容易じゃ。属性魔法には相性があるが、無属性魔法には相性が無いからのぉ。」

 あれ?無属性魔法は誰でも覚えられる可能性があるって事だよね?なのにアイテムボックスより希少って、どう言う意味?

「それは理論さえ覚えられれば俺でも使えるって事で良いのですか?」

「まあ、そう言う事じゃな。」

「それなのになんでアイテムボックスより希少なんですか?」

「無属性魔法と言うのは属性魔法より覚える時の必要魔力量が大きくなる傾向にある。まあ、覚えてしまえば魔力量のコントロールは可能じゃがな。」

 なるほど、そう言う事か。つまり魔力が足りなくて覚えられない人が多いって事だね。魔力の多い俺なら可能って事になる。

「で、お爺さんは『鑑定』の魔法を使えるんですよね?でなければ魔道具屋とか錬金術師とか出来ないですから。」

「まずは魔力操作を覚える事じゃ。覚えたら色々と教えてやる。」

 ありがたい。と言うか運が良いな。たまたま大家さんが賢者とか凄いラッキーじゃね?後でローナに甘い物でも奢らないとね。

「じゃあ、今日の訓練は、その魔力操作でお願いします。」

 と、これが意外に難しくて理論を覚えて実践出来るまで2時間半もかかってしまった。だが、これで疲れにくくなると言って居たから、結果オーライかな?

 そう言えば何時になったら電子書籍や映画・ドラマは見れるのだろう?やっぱ年間利用料とか取られるよね?

 翌朝、なんかスッキリと目が覚めた。これも魔力操作を覚えたお陰だろうか?ちなみにステータスを見たら、魔力の数値が152に増えていた。これも魔力操作と関係があるのだろうか?

 さて、本日も芋を揚げまくった訳だが、途中でローナが交代してくれたりしたので、何とか昼飯を食う時間が出来た。交代で食事をするのだが手軽に食べられる物と言う事でホットドッグを購入してみた。

 温め魔法も覚えたからこれからは温かい食事が取れる。飲み物はインスタントのカップスープにしてみた。

 ソリオさんがカップスープに異常な興味を見せて居たのが少し怖かった。

 そう言えば、ショップで日本の物を購入すると必ずダンボールで届く。これは缶コーヒー1本でも同じだ。更に言うと缶コーヒーの缶や、パンのビニール袋等の包装も日本で売られているのと全く一緒だ。

 何が言いたいかと言うと、今、俺のアイテムボックスの中はゴミで一杯と言う事だ。それに販売しているパンもビニール包装されている。

 今はまだ、大きな問題になって居ないが、その内ゴミ問題を解決する方法を考えないとイケない時が来るのでは無いかと思っている。

 その為にも魔法は出来る限り覚えたい。時空魔法が使えるのであれば、亜空間にゴミを廃棄すると言う事も出来るんじゃないだろうか?

 あるいは宇宙に飛ばすと言う方法も考えられる。

 まあ、とりあえずは『鑑定』を覚えないとね。
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