俺のチートが凄すぎて、異世界の経済が破綻するかもしれません。

埼玉ポテチ

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004 調査?

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 窓を開けたまま寝ていたらしく、日の光が眩しくて目が覚めた。今、何時だろう?

 って言うか、この世界に季節はあるのかな?体を調べてみるが、害虫に刺された様な後は無い。自然のど真ん中に居るのに虫は居ないのか?それとも頑丈スキルが仕事をしているのだろうか?

 昨日考えた通り、今日は村の中央まで出て商店に行き、この世界の経済状況を調べるつもりだ。それから、食事が出来る場所があれば朝飯も食いたい。

 そう言えば服を1着しか持っていない。出来れば、あと何着か欲しいのだが、商店で買えるのだろうか?

 家を出て、村の中央へと向かう。鍵を掛けようと思ったのだが、家に鍵は付いていなかった。中から掛ける閂はあるんだけどな。

 少し歩くとバルザックさんの家が見えて来る。バルザックさんの家を越えて更に進むとポツポツと家が建っている。徐々に家の数が増えて来ると、広場の様な物が見えて来た。数人だが人の姿も見える。

 おそらく、あそこが村の中心部では無いかと思う。

 商店は思った以上にキッチリとした作りで驚いた。田舎の駄菓子屋の様な物を想像していた。

 店主の他に売り子らしき店員が2人居る。かなり繁盛している様だ。

 先客が数名居て、手の空いている店員が居ないので、商品を眺めながら時間を潰す。村の商店の割に品揃えは良い。

 日用品から農機具、冒険者用の武具等まで幅広く商品が展示されている。店の規模から行くと、広く浅くと言った感じだろうか、昔の万屋を思い出す。現代風に言えばコンビニか?

 だが、食品が見当たらないな。自給自足が基本なのだろうか?

 色々と眺めていたら、知らない間に客が増えている。あら?もしかして混む時間帯だったのか?

 ふと、客の中に見知った顔があるのに気が付いた。ライザさんだ。

「ライザさんも買い物ですか?この時間って何時もこんなに混むのでしょうか?」

「今日は塩の販売日なんですよ、皆さんの目当ても塩だと思いますよ。」

 なるほど、塩と言えば生活必需品だもんな。それはタイミングが良かったのか悪かったのか。

「ちなみに塩の価格ってどの位ですか?」

 そう聞くとライザさんが店員が持っている壺を指さしながら言う。

「あの壺1つで大銅貨1枚ですよ。」

 両手に乗る位の大きさの壺だ。恐らく容量は1キロ位だろう。塩が1キロで1000円?それは高くない?日本なら1キロ100円から200円程度で売っている。それとも壺が高いとか?

「もう一つ聞いて良いですか?砂糖って幾ら位するのでしょう?」

「砂糖は庶民には手に入りません。貴族の間では1キロ金貨1枚と言われて居ますが、実際は解りません。」

 金貨1枚が銀貨10枚なら、キロ10万円って事になるな。上手く砂糖を転売すれば儲かるんじゃね?

「それでは、庶民は甘味は口にしないのですか?」

「そうですねぇ。甘い物と言えば果物かハチミツになりますね。」

 なるほど、ハチミツはそれ程高価では無いと言う事か?あるいは自分で手に入れるのかな?

「ちなみに、この店には食料品は置いて居ない様ですが、パンとか買いたい時はどうすれば良いのでしょう?」

「ああ、それでしたら、この道をもう少し東に行った右側に太陽の恵亭と言う食堂があります。昼間は食事やパンの販売をしていて、夜には酒場になります。宿屋も兼ねているので朝早くから営業していますよ。」

 ほう?それは良い事を聞いた。朝飯はそこで食うとしよう。

 そうこうしている内に塩を買う人の列がはけて来たので俺はライザさんと別れ、太陽の恵亭に向かった。

 太陽の恵亭はすぐに見つかった。看板に太陽と麦の穂が描かれた看板が目印だ。どうやらこの世界は識字率が低いらしく、看板に絵を使っている店が多い様だ。
 
 店に入ると女将さんらしき人に声を掛けられる。

「泊まりかい?食事かい?」

「食事を頼む。メニューとか選べるのかい?」

「悪いが朝食は選べないよ。今日は豆のスープと肉焼きだよ。銅貨8枚になるけどどうする?」

「貰おう。」

 そう言って大銅貨1枚を出す。お釣りの銅貨2枚を貰って、適当な席に着く。

 数分待つとスープと肉、パンが出て来た。豆のスープは結構具沢山で、恐らく干し肉を出汁と塩分に使っている。塩味だけだが、不味くは無い。

 肉焼きは文字通り肉を焼いただけの物で味付けは塩のみ。何の肉かは判らないが、鶏肉に近い味がする。兎かもしれない。

 パンは昨日食べた物よりは柔らかいが、甘みが少なく、若干パサパサしている。スープに付けて食べるのがデフォルトっぽい。周りで食べてる客も同じように食べている。

 多分、このパンは全粒粉で出来ているんじゃ無いかと思う。この世界ではまだ製粉技術が普及していないのかもしれない。

 パンが美味ければ何個か買って帰ろうと思ったのだが、当てが外れた。これは、早い所自炊をする準備をしないとイケないな。

 戦闘をする必要が無いのであれば武器や防具は下取りに出しても構わないだろう。あと金になりそうなのは前世で来ていた服だな。あれも下取りに出せばそれなりの値段になりそうだ。

 その金を元手に、食生活と、自給生活を充実させるのが良いかもしれない。ただ、収入が無いと、この先必ず手詰まりになる。何とか収入を得る手段を考えないとイケないな。

 まずは大きな町、リストームだっけ?そこに行って何か商売が出来ないか調べる必要があるかもしれない。

 正直小さな村で日本の製品を販売したら目立ち過ぎてしまう。貴族が居る世界らしいし、そう言うのに目を付けられるのは避けたい。出来れば、ある程度力のある商人に伝手を作って、安定した生活が出来るだけの稼ぎがあれば良いと考えている。

 日本には戻れないのだから、この世界で生きて行く術を身に付けなければイケないのは解って居る。だが、勇者や魔王の様な派手な人生は御免だ。俺は地味にスローライフを楽しみたい。

 正直、勇者なんてブラック企業よりキツそうだ。

 さて、この世界で平穏無事な生活を送るには何が必要か?それは情報だ。この世界の常識もそうだが、何が高くて何が売れるか、そう言った情報を制した者が成功する。

 とりあえず塩と砂糖が高いのは解った。食堂の食事の味付けが塩のみだった事から考えれば香辛料も高いはずだ。問題は、調味料関係を国や組織が抑えて居るとしたら、下手に販売すれば犯罪者になってしまうかもしれない。

 まずは、その辺りをバルザックさんに聞いてみよう。あの人は見た目に反して人が良さそうだ。

 食堂を出て、一旦家に帰る。あの食事で800円と言う事は外食をしていたのでは1か月に食費だけでも9万円程度掛かってしまう。この世界に来る前に、謎の管理人から渡された当座の生活費が5万6千円だった事を考えると、恐らく、一人暮らしの男性が1か月に使用する金額は5万円程度なのでは無いかと予想できる。

 食事は自給自足が基本と考えれば、購入するのは塩と調理器具そして農具位だろう。俺にはショップのスキルがあるから、これらを全部揃えても3万円もあれば十分だろう。残りの2万で、何かを仕入れて販売すれば、大きく儲ける事も可能だと言う事だ。

 そこで必要なのが何が高く売れるかと言う情報になる。本当は商人に聞くのが一番なんだけど、商人がそう言う情報を教えてくれるとは思わない。

 やがて、バルザックさんの家が見えて来る。一旦家に帰るつもりだったが、また来るのは面倒なので寄って行こうと思う。

 バルザックさんは畑に居た。どうやらライザさんも家に帰って居る様で、時たま話し声が聞こえる。

「すみません。ちょっとお時間貰って良いですか?」

「お?昨日の、タツヤとか言ったな。どうでも良いがその変な言葉遣いは止めた方が良いぞ。」

「すみません。田舎ではこんな感じだった物で。」

 どうやら、この世界、あまり敬語とか使わない方が良いっぽい。

「で、何の用事だ?」

「少し聞きたい事があるんですが、お仕事中なら改めて来ましょうか?」

「別に気を使わなくても良いぞ。普段から娘と話をしながら畑仕事をしているからな。深刻な話じゃ無ければ聞くぞ?」
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