40 / 49
エルト王国編
Report40. 違う道 part.3
しおりを挟む
いつからだったろうか?
弟に対して、嫉妬の感情を抱きはじめたのは。
AIロボットの研究を始めた当初は互いに切磋琢磨しあい、ああだこうだと夜が明けるまで議論を交わしていた。
対等な相手と真っ向から議論をぶつけ合うことは、俺にとって至上の喜びであった。
だが、その議論の中で俺の感情にはある変化が生まれる。
焦りだ。
そして、そうさせているのは恭二のおそるべき発想力にあった。
恭二は引っ込み思案であまり強くものを言えないタイプであったが、その内に秘めたる発想は時に他を驚かせた。
俺自身もその一人だ。
あいつは、誰もが考え付かないような革新的なシステム技術をさも当たり前のように平然と言ってのけ、そしてそれを成し遂げてしまう。
誰もが考えつきもしなかったことをいとも簡単にやってしまうことに、俺は焦りや恐怖を感じていた。
そして、そんな恭二が各国の発明家たちの目に留まるのに、そう長い時間はかからなかった。
--------------------------------------------------
とある晩のこと。
恭二は、父に自分の部屋へ来るように呼び出されていた。
家族でもめったに入ることができない父の部屋。
不思議に思った俺は二人の後を付け、部屋の扉越しに二人の会話に耳をそばだてた。
「エルヴィス工科大学からお誘いの手紙……ですか?」
「ああ。お前宛てのものだ、恭二。」
日比谷家の大黒柱、日比谷 定春は海外から届いた便箋を恭二に手渡す。
「一体どうしてまた……?」
「エルヴィス工科大学の名誉博士、アルバード・ヴェイガーがお前の論文を見てぜひうちに来てほしいとのことだ。」
「ロボット工学の権威でもあるアルバード博士のお誘いはとても光栄なことです……しかし、あの論文は誠一兄さんと共同で書いたものです。私だけの力ではありません。もちろん誠一兄さんにも同じものが届いているんですよね?」
定春は深いため息を吐き、首を大きく横に振る。
「……!それはおかしなことです父上。論文を見て誘いが来たというのなら、誠一兄さんにも当然同じものが来るはずです。こんな不公平なやり口、到底納得はできません。申し訳ないですがこの件は無かったことにして…」
「恭二!!」
父親の一喝に、恭二は肩を震わせる。
「それがどうした?お前、そんなくだらない理由でこの誘いを蹴るとでもいうのか?」
「……くだらない、ですって?上から物をいうだけのあなたにはわからないでしょうね。これは誠一兄さんと私が血の滲むような思いで書き上げた論文なんです!その評価は平等に受けて然るべきだ!」
「フン…随分と言うようになったな。だがな、恭二。口ではそう言ってはいるが、賢しいお前も薄々感づいているんじゃないのか?アレに才能が無いことに。」
「なん…ですって…?」
「無いんだよ、誠一には。モノを生み出す才能ってやつがな。全く期待外れも良いところだ。折角手塩にかけて英才教育を施してやったというのに。」
オレニ…サイノウガナイ……?
その父の言葉を聞いた時、俺の中で何かが弾けた。
その後の二人の会話はよく覚えていない。
なんとなく覚えているのは、恭二が今まで聞いたことないぐらいの怒号で父に猛反発していたということぐらいだ。
そして、その翌日。
恭二は、小さな荷物を抱え日比谷家を出ていった。
その別れの間際、なぜか恭二は俺に頭を下げ謝ってきた。
「ごめんなさい、誠一兄さん。昨日の夜、父上と大喧嘩しちゃってさ。その……勘当されちゃったんだよ。だから僕ここを出ていくよ。でも、共同研究は続けていこうね。色々落ち着いたらまた連絡するからさ。それじゃあまたね、誠一兄さん。」
俺はそれに対して、何も言うことはできなかった。
恭二は少し寂しそうに笑った後、そのまま振り返ることなく朝靄の中に消えていったのだった。
--------------------------------------------------
残された俺も居心地が悪くなり、程なくして日比谷家を出ていった。
自身で研究所を立ち上げ、四六時中AIロボットの研究に明け暮れた。
その際に恭二から何度も連絡が届いたが、俺はそれらを全て無視した。
俺の俺だけのAIロボットで世間を認めさせてやる。
恭二より、俺の方が上だってことを。それを次のAIロボティクス・アワードで証明してやる。
半ば意地に近い、俺のプライドだった。
しかしーーー
「今年のAIロボティクス・アワード、栄えある最優秀賞が贈られるAIロボットは…!キョウジ・ヒビヤ作、人命救助AIロボット『SUBARU』に決定いたしました!」
まただ。
またしても選ばれたのは、恭二の方だった。
どうしてだ?
どうしていつも、あいつばかりが脚光を浴びる?
「クソがぁっ!!!」
研究所へと戻ってきた俺は、机の上に山積みになっていた研究資料を全て床にぶちまけた。
「クソがクソがクソがクソがクソが。あいつさえ!恭二さえいなければ!今頃俺が賞賛を受けているはずなんだ!」
弟に抱く感情は、いつしか憎しみと嫉妬に変わっていた。
そして、顔がまったくの瓜二つということが憎しみに更なる拍車をかける。
「日比谷博士!この度はAIロボティクス・アワード大賞受賞おめでとうございます!少しインタビューさせてもらってもよろしいですか?」
「……帰れ。俺はそいつじゃない。」
「えっ……あっ!すみません!日比谷博士のお兄様の方でしたか!これは大変失礼しました!」
インタビューに来た記者は、恭二じゃないと分かるや否や逃げるように去っていく。
その去り際に、「紛らわしいな。おんなじ顔しやがって。」
とボソッと呟いていたのを俺は聞き逃さなかった。
好き好んで同じ顔になった訳ではない。
姿形は同じなのに、どうしてここまで差がついてしまったんだ?
どこまでも付き纏う、弟の呪縛。
俺はそれを振り払うが如く、さらに研究に没頭していった。
そしてその研究の最中、ある事件が研究所で起きる。
開発中AIロボットの暴走だ。
無茶な学習プログラムの果てに暴走したAIロボットは、その場にいた研究員を次々と亡き者へと変えていく。
そして俺自身もーー
グサッ
「か…はぁっ………!」
暴走AIの腕に、胸を貫かれその場で倒れ伏す。
俺もここまでか……
薄れゆく意識の中、何者かが研究所内に入ってくるのが見える。
「人命救助AIロボットSUBARUデス!ただ今より、暴走AIロボットの鎮圧に当たりまス!生存者は、速やかにここから退去してくださイ!」
「……!」
助けに来たのは、恭二が作ったあのAIロボットだった。
まったく、どこまで俺を苦しめれば気が済むのか。
結局俺は、最後の最後までアイツを超えることは出来なかった。
そうして俺は、暴走したAIロボットとアイツのロボットが戦っている光景を最期に、ひっそりと息を引き取った。
全く、実に馬鹿馬鹿しい、道化のような人生だった。
弟に対して、嫉妬の感情を抱きはじめたのは。
AIロボットの研究を始めた当初は互いに切磋琢磨しあい、ああだこうだと夜が明けるまで議論を交わしていた。
対等な相手と真っ向から議論をぶつけ合うことは、俺にとって至上の喜びであった。
だが、その議論の中で俺の感情にはある変化が生まれる。
焦りだ。
そして、そうさせているのは恭二のおそるべき発想力にあった。
恭二は引っ込み思案であまり強くものを言えないタイプであったが、その内に秘めたる発想は時に他を驚かせた。
俺自身もその一人だ。
あいつは、誰もが考え付かないような革新的なシステム技術をさも当たり前のように平然と言ってのけ、そしてそれを成し遂げてしまう。
誰もが考えつきもしなかったことをいとも簡単にやってしまうことに、俺は焦りや恐怖を感じていた。
そして、そんな恭二が各国の発明家たちの目に留まるのに、そう長い時間はかからなかった。
--------------------------------------------------
とある晩のこと。
恭二は、父に自分の部屋へ来るように呼び出されていた。
家族でもめったに入ることができない父の部屋。
不思議に思った俺は二人の後を付け、部屋の扉越しに二人の会話に耳をそばだてた。
「エルヴィス工科大学からお誘いの手紙……ですか?」
「ああ。お前宛てのものだ、恭二。」
日比谷家の大黒柱、日比谷 定春は海外から届いた便箋を恭二に手渡す。
「一体どうしてまた……?」
「エルヴィス工科大学の名誉博士、アルバード・ヴェイガーがお前の論文を見てぜひうちに来てほしいとのことだ。」
「ロボット工学の権威でもあるアルバード博士のお誘いはとても光栄なことです……しかし、あの論文は誠一兄さんと共同で書いたものです。私だけの力ではありません。もちろん誠一兄さんにも同じものが届いているんですよね?」
定春は深いため息を吐き、首を大きく横に振る。
「……!それはおかしなことです父上。論文を見て誘いが来たというのなら、誠一兄さんにも当然同じものが来るはずです。こんな不公平なやり口、到底納得はできません。申し訳ないですがこの件は無かったことにして…」
「恭二!!」
父親の一喝に、恭二は肩を震わせる。
「それがどうした?お前、そんなくだらない理由でこの誘いを蹴るとでもいうのか?」
「……くだらない、ですって?上から物をいうだけのあなたにはわからないでしょうね。これは誠一兄さんと私が血の滲むような思いで書き上げた論文なんです!その評価は平等に受けて然るべきだ!」
「フン…随分と言うようになったな。だがな、恭二。口ではそう言ってはいるが、賢しいお前も薄々感づいているんじゃないのか?アレに才能が無いことに。」
「なん…ですって…?」
「無いんだよ、誠一には。モノを生み出す才能ってやつがな。全く期待外れも良いところだ。折角手塩にかけて英才教育を施してやったというのに。」
オレニ…サイノウガナイ……?
その父の言葉を聞いた時、俺の中で何かが弾けた。
その後の二人の会話はよく覚えていない。
なんとなく覚えているのは、恭二が今まで聞いたことないぐらいの怒号で父に猛反発していたということぐらいだ。
そして、その翌日。
恭二は、小さな荷物を抱え日比谷家を出ていった。
その別れの間際、なぜか恭二は俺に頭を下げ謝ってきた。
「ごめんなさい、誠一兄さん。昨日の夜、父上と大喧嘩しちゃってさ。その……勘当されちゃったんだよ。だから僕ここを出ていくよ。でも、共同研究は続けていこうね。色々落ち着いたらまた連絡するからさ。それじゃあまたね、誠一兄さん。」
俺はそれに対して、何も言うことはできなかった。
恭二は少し寂しそうに笑った後、そのまま振り返ることなく朝靄の中に消えていったのだった。
--------------------------------------------------
残された俺も居心地が悪くなり、程なくして日比谷家を出ていった。
自身で研究所を立ち上げ、四六時中AIロボットの研究に明け暮れた。
その際に恭二から何度も連絡が届いたが、俺はそれらを全て無視した。
俺の俺だけのAIロボットで世間を認めさせてやる。
恭二より、俺の方が上だってことを。それを次のAIロボティクス・アワードで証明してやる。
半ば意地に近い、俺のプライドだった。
しかしーーー
「今年のAIロボティクス・アワード、栄えある最優秀賞が贈られるAIロボットは…!キョウジ・ヒビヤ作、人命救助AIロボット『SUBARU』に決定いたしました!」
まただ。
またしても選ばれたのは、恭二の方だった。
どうしてだ?
どうしていつも、あいつばかりが脚光を浴びる?
「クソがぁっ!!!」
研究所へと戻ってきた俺は、机の上に山積みになっていた研究資料を全て床にぶちまけた。
「クソがクソがクソがクソがクソが。あいつさえ!恭二さえいなければ!今頃俺が賞賛を受けているはずなんだ!」
弟に抱く感情は、いつしか憎しみと嫉妬に変わっていた。
そして、顔がまったくの瓜二つということが憎しみに更なる拍車をかける。
「日比谷博士!この度はAIロボティクス・アワード大賞受賞おめでとうございます!少しインタビューさせてもらってもよろしいですか?」
「……帰れ。俺はそいつじゃない。」
「えっ……あっ!すみません!日比谷博士のお兄様の方でしたか!これは大変失礼しました!」
インタビューに来た記者は、恭二じゃないと分かるや否や逃げるように去っていく。
その去り際に、「紛らわしいな。おんなじ顔しやがって。」
とボソッと呟いていたのを俺は聞き逃さなかった。
好き好んで同じ顔になった訳ではない。
姿形は同じなのに、どうしてここまで差がついてしまったんだ?
どこまでも付き纏う、弟の呪縛。
俺はそれを振り払うが如く、さらに研究に没頭していった。
そしてその研究の最中、ある事件が研究所で起きる。
開発中AIロボットの暴走だ。
無茶な学習プログラムの果てに暴走したAIロボットは、その場にいた研究員を次々と亡き者へと変えていく。
そして俺自身もーー
グサッ
「か…はぁっ………!」
暴走AIの腕に、胸を貫かれその場で倒れ伏す。
俺もここまでか……
薄れゆく意識の中、何者かが研究所内に入ってくるのが見える。
「人命救助AIロボットSUBARUデス!ただ今より、暴走AIロボットの鎮圧に当たりまス!生存者は、速やかにここから退去してくださイ!」
「……!」
助けに来たのは、恭二が作ったあのAIロボットだった。
まったく、どこまで俺を苦しめれば気が済むのか。
結局俺は、最後の最後までアイツを超えることは出来なかった。
そうして俺は、暴走したAIロボットとアイツのロボットが戦っている光景を最期に、ひっそりと息を引き取った。
全く、実に馬鹿馬鹿しい、道化のような人生だった。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
あの、神様、普通の家庭に転生させてって言いましたよね?なんか、森にいるんですけど.......。
▽空
ファンタジー
テンプレのトラックバーンで転生したよ......
どうしようΣ( ̄□ ̄;)
とりあえず、今世を楽しんでやる~!!!!!!!!!
R指定は念のためです。
マイペースに更新していきます。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる