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神様の恋事情2

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勇人の部屋にて
「何しに来たんです?」

勇人と狛犬の前にいるのは紅茶を嗜んでいる天照大御神の姿だった。

「良い香りの茶ではないか」
香りを楽しむ天照大御神

「ありがとうございます。天照大御神様」
しっぽを揺らし満遍な笑みを見せる狛犬
可愛いらしい…

「あのな、ここはあんたの紅茶を楽しむ場所じゃないんだぞ」
頬杖をしながらジト目で天照を見つめる勇人

「そうかっかするでない。次の仕事の話をするだけじゃつまらんではないか」

その言葉に勇人は頬杖をやめ机を叩いた

「だからって呑気に紅茶なんか飲んでんなよ、その仕事内容が急ぎとかだったらどうするんだ。」

叩いた音で狛犬が驚き、涙目になる
「狛犬ごめんな、怖かったな、よしよし」

優しく頭を撫で涙を拭いていると天照は紅茶を飲み干し一息ついた

「実に美味しかったぞ、抹茶パフェもあればもっと良かったのじゃがな」

身体を前に倒し目をキラキラさせながら勇人を見つめるが、勇人は顔を横に向け、不貞腐れた表情で目を逸らす。

「すみませんね。抹茶パフェがなくて」

その後天照は身体を戻し、小さく咳をした。

「さて、仕事話をするとするかの」

と言うと、天照は懐から一通の手紙を渡してきた。

「これは依頼主からの手紙じゃ、依頼主は速秋津比売命(はやあきつひめのかみ)からじゃ」

早秋津比売命(はやあきつひめのかみ)

海の神三柱の一柱で川が海に注ぐ河口を浄化する神様と言われている。
川と海を「つなぐ」ということから地元では縁結びの神様としても祀られている。

「んで、その女神様はどこにいるんです?」

「彼女は島根の松江におるぞ」

「確か、川にいると思ったな。川に行って呼んでみたらひょっこり出てくるじゃろ」

「簡単に言ってくれますね。島根の川なんて幾つもあるのにその中から探せと」

「まぁこちらである程度絞っておくからそなたらはそれまで島根を堪能しておれ」

確かに最近は仕事を受けて、動いてばっかだったからな。
狛犬とどこかのんびり出掛けるのもありだな。

「ありがとうございます。」

「なんじゃ?やたらと素直ではないか」

「こちとら仕事で動いてばっかだったからな、狛犬もしかり、俺もしかり、少し休憩をさせていただきます。」

「そうするといい、妾も島根を堪能しながら探すとするかのう」

こうして、うちらは島根に向か休みという日を堪能するのだった。




島根に来た俺と狛犬は出雲大社の森の奥にある社殿に泊まっている。
昔、天照を祀っていた社殿として存在していたが、今は使われず廃殿となっていたところを天照が改装してこの配達員の会社にしているとの事

「外見はボロボロなのに中は綺麗だな。」

「天照様の力で改装したのです。私も手伝ってこのような内装になりました。」

間取りとしては2LK、玄関から入って一発目の部屋が事務室なのだろう電話機や受付といった札が置いてある、その奥の部屋は8畳の和室、檜の心落ち着く香りが広がっている…なんて贅沢な

「さすが天照大御神、神様の中のトップなだけあるな」

持ってきた荷物を広げ、あれやこれやと置いていく、布団や枕を押し入れの中から取り出し、畳んで角に置いておき
勇人は手についた埃を払うように手を叩いた。

「さて、寝泊まりできる場所も確保できた事だし出雲を楽しむとするか!」

出雲大社を出て、町の中を歩く2人
色んなお店を見て周り、休みを堪能するのだった。

「東京と比べて、出雲は自然豊かで気持ちがいいな」

「はい!とても楽しいです!」
狛犬は満遍な笑みを見せた

「狛犬が楽しんでくれてるのなら良かった。」

喫茶店でのんびりしていた時だった

「充実な休みを送っておって何よりじゃのう」

声の方へ目を向けるとそこには天照大御神がいた

「天照大御神様じゃないですか、どうでした?依頼主は見つかりましたか?」

「いたぞ、あやつは意宇川という川に居る、大草町という町に向かうといい。」

「わかった。明日向かうとしよう」

「頼んじゃぞ」

そういうと、天照大御神はその場から一瞬にして姿を消した

数時間後

日も段々と沈みはじめ、辺りが茜色に彩られる中2人は手を繋ぎながらのんびりと出雲大社に帰った。

「今日はどうだった狛犬」

「とても楽しかったです!色んな陶器や色んなお店、そして何より美味しい食べ物が沢山あって幸せな1日でした!」
満遍な笑みを見せる狛犬

「そうか!良かった良かった!俺も楽しかったぜ!また行けたら行こうな」

「はい!」

そうして、2人は月の光に照らされながら眠りについた。
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