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第5章 冷徹な天使
天使と呼ばれる存在
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大切な親友を目の前で失った青年は、大きな声で泣いていた。
私はその様子をただただ見ることしか出来なかった。
そしてひと仕事を終え、綺麗に宙を舞う真っ白い少女へと目を向ける。
「あんた、私の仕事を邪魔しに来たわけ?」
私がその子を鼻で笑いながら言うと、その子も空から私を見下して話をする。
「キミがきっちり仕事出来ていないから、ボクが来たんでしょ?死んだこの青年が、この世の物に触れるように小細工してたのもボクは知ってるよ。」
「ふざけるな!私は自分の仕事を全うしていた。ここはお前達天使の仕事じゃない!!」
私は珍しく体が煮えたぎる程の熱を覚え、大声を上げた。
すると天使は宙を舞いながら私の目の前まで来て、冷たい視線を浴びせてきた。
「ボクは天使だ。もう1人の男の子を終わらせる義務があった。キミに色々と言われたくないね。」
表情のない顔で私を見つめる。
私達がしばらくの間睨み合っていると、先程まで大泣きしていた青年が天使へと掴みかかろう走ってきた。
しかし天使はそれを華麗によけ、転んだ青年に冷たい視線を送った。
「何でだよ…、何で勇気にあんな事するんだよ!!!!」
立ち上がろうとはしないものの、拳で地面や自分の頭を何度も叩きつけ、泣きながら叫んでいた。
天使はその青年に近づき、
「これがボクの仕事だから。」
と一言耳元で伝え、宙を舞いながら空へと消えていった。
「あいつは誰なんだよ。」
少しずつ落ち着きを取り戻し、ベンチに座った青年は私に問いかけてきた。
「あれは天使だよ。」
私も答える。
「天使…?あんな冷徹なやつが…?」
「そう、天使って優しくて暖かいイメージを持たれやすいけど、案外あんなもんだよ。」
「俺たち人間が思い描いていた天使は幻想に過ぎなかったって事かよ…。」
「そうかもしれない、あいつらは神に命じられた仕事を着実にこなしていく。天使にとって大切なのは死んだ人間じゃなくて、神からの期待なんだよ。」
私は青年に天使や神について話し、目の前で親友をなくした青年は肩を落としていた。
私はその姿をしばらく見た後、ドアを再び開いた。
「あんたもそろそろ登らないと。」
私は青年に伝えると、彼は立ち上がり階段を1段2段と登っていく。
そして3段目まで登ると私の方を振り返り言った。
「俺…、その天使とか言う奴は嫌いだけど、あんたは割と好きだよ。あんたはあいつらと違って…、温かい気がする。」
階段を登っていく丸い背中に私は呟いた。
「行ってらっしゃい。」
私はその様子をただただ見ることしか出来なかった。
そしてひと仕事を終え、綺麗に宙を舞う真っ白い少女へと目を向ける。
「あんた、私の仕事を邪魔しに来たわけ?」
私がその子を鼻で笑いながら言うと、その子も空から私を見下して話をする。
「キミがきっちり仕事出来ていないから、ボクが来たんでしょ?死んだこの青年が、この世の物に触れるように小細工してたのもボクは知ってるよ。」
「ふざけるな!私は自分の仕事を全うしていた。ここはお前達天使の仕事じゃない!!」
私は珍しく体が煮えたぎる程の熱を覚え、大声を上げた。
すると天使は宙を舞いながら私の目の前まで来て、冷たい視線を浴びせてきた。
「ボクは天使だ。もう1人の男の子を終わらせる義務があった。キミに色々と言われたくないね。」
表情のない顔で私を見つめる。
私達がしばらくの間睨み合っていると、先程まで大泣きしていた青年が天使へと掴みかかろう走ってきた。
しかし天使はそれを華麗によけ、転んだ青年に冷たい視線を送った。
「何でだよ…、何で勇気にあんな事するんだよ!!!!」
立ち上がろうとはしないものの、拳で地面や自分の頭を何度も叩きつけ、泣きながら叫んでいた。
天使はその青年に近づき、
「これがボクの仕事だから。」
と一言耳元で伝え、宙を舞いながら空へと消えていった。
「あいつは誰なんだよ。」
少しずつ落ち着きを取り戻し、ベンチに座った青年は私に問いかけてきた。
「あれは天使だよ。」
私も答える。
「天使…?あんな冷徹なやつが…?」
「そう、天使って優しくて暖かいイメージを持たれやすいけど、案外あんなもんだよ。」
「俺たち人間が思い描いていた天使は幻想に過ぎなかったって事かよ…。」
「そうかもしれない、あいつらは神に命じられた仕事を着実にこなしていく。天使にとって大切なのは死んだ人間じゃなくて、神からの期待なんだよ。」
私は青年に天使や神について話し、目の前で親友をなくした青年は肩を落としていた。
私はその姿をしばらく見た後、ドアを再び開いた。
「あんたもそろそろ登らないと。」
私は青年に伝えると、彼は立ち上がり階段を1段2段と登っていく。
そして3段目まで登ると私の方を振り返り言った。
「俺…、その天使とか言う奴は嫌いだけど、あんたは割と好きだよ。あんたはあいつらと違って…、温かい気がする。」
階段を登っていく丸い背中に私は呟いた。
「行ってらっしゃい。」
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