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第4章 友情と愛情

勇気の裏切り

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放課後、俺たちは部活や下校で誰も居ない教室に行った。
宮島さんの机から手紙が無くなっているか確認するためだ。
俺は宮島さんの机の前に行き、目を瞑る。
「なんか緊張してきた。」
俺が勇気に言うと勇気は肩に手を置いてくれた。
手からは頑張れという思いが伝わってくる。
俺は瞑っていた目を開け、宮島さんの机の中を見る。
なんか変態なことしてるみたいで少し気が引ける。
机の中を見ると何も入っていない。
「手紙・・・、受け取ってくれてる・・・?」
「本当に?」
勇気は俺に驚いた声で問いかけた。
俺も勇気の方を思いっきり向いて満面な笑みで言った。
「手紙がない!!ってことは受け取ってくれてるってことだろ?やったー!!」
俺は勇気と抱き合ってその場で跳ねながら回った。
「やったよ勇気!!」
「おめでとう光太!」
俺は嬉しさのあまり勇気と肩を組む。「おっしゃ!今日はコンビニに行って語り明かそうぜ!」
「コンビニで語り明かすってどういう思考してんだよ。」
「いいだろ!学生の天国はコンビニだ!」
2人で肩を組みながら教室を出る。
しかしこの時の俺はまだ、これから親友を無くすことをまだ知らなかった。



俺たちはコンビニに着くなり漫画コーナーへと行き、立ち読みをしながら話をする。
いや、なんなら立ち読みのフリをして話をしていた。
「いやぁ、上手くいくとは思ってなかったわ。」
「それ何回目だよ。」
俺は同じことを何回も言っていたらしい。
それでも勇気は呆れながらも笑って聞いてくれている。
持つべきものは勇気だ。
俺は自分が持っていた漫画に目を落とし、最近気になっていた漫画のページを見た。
「なぁ、この漫画買って一緒に読もうぜ。」
「それ光太が気になってるって言ってたヤツ?」
「そうそう。」
「分かった、じゃー僕買ってくるよ。後で割り勘な。」
「あいよ!」
俺は勇気に漫画を渡した。
勇気はポケットから小銭を出そうとしている。
やっぱり気の利く男だ。
何かあった時のためにお金は常に持っているようだ。
俺はたまたま昨日持ってただけで今はもうスッカラカンだ。
ごめん勇気、割り勘出来ないかもしれない。
生きてた頃は次の日お金返してたりしてたけど、今はもう無理だ。
勇気がポケットから小銭を出した時一緒に折りたたまれた紙が落ちた。
勇気は気づかずレジに行こうとしたから呼び止めた。
「おい勇気なんか落ちたぞ。」
「え?」
勇気は振り返ってすぐに顔の色を変えた。
「駄目だ!見るな!」
「何だよ、エロい系のやつ?」
俺は冗談半分に冷やかしながらその紙を開いた。
「・・・・・・。え、どういうこと?」
俺は困惑した。
なぜならその紙は俺が宮島さん宛に書いたラブレターだったからだ。
「・・・光太。」
「お前ちょっとこっち来い、話しようぜ。」
俺は勇気の持っている漫画を無理矢理奪い取り漫画コーナーの棚へと雑に戻した。
振り返らず歩いていると、後ろから勇気がとぼとぼ着いてくるのが分かった。




コンビニを出た俺たちは少し歩いたところにある土手に着き、俺は振り返って勇気に聞いた。
「これどういうことだ?」
「違うんだ・・・、光太。」
「お前俺のラブレター宮島さんの机から抜いたな!!」
「いや、そうだけど理由が合って・・・。」
「あ?なんだよ!!」
俺は初めて勇気にキレた。
勇気とは喧嘩をしたことがない。
死んでしまって初めて勇気に怒りをぶつけた。
それよりもいつ手紙を抜いていたかだ。
俺は思考をめぐらせ、いつ抜いたかを考えた。
・・・・・・・・・!
あの時だ、勇気がトイレに行った時だ。
俺は騙されたショックと怒りで勇気に大声をあげる。
「お前俺を騙したな!!!トイレ行くって言った時、お前トイレ行かずに手紙抜いただろ!どうやって抜いてきた!?あの時は授業中だっただろうがよ!」
「光太・・・、僕は確かにお前を騙してた。でも聞いて欲しい。」
「うるせぇ!どうやって抜いたか聞いてるんだよ!!言い訳は聞きたくねぇ!」
冷静に勇気の話を聞ける精神ではなかった。
裏切られたショックが大きすぎる。
確かに騙していたのは俺も同じだ。
だが俺は死んでいる。
こうするしか方法がないから仕方なく嘘をついていた。
でも勇気は俺に嘘をつく必要なんかなかったはずなのに、嘘をついてまで俺の恋を邪魔してきた。
勇気になんのメリットがあるのか。
まさか・・・!
「お前も宮島さん好きだったのか?」
「・・・え?」
それしか考えられない。
俺の恋を邪魔するメリット、そんなの勇気も宮島さんのことが好きで告白した俺と宮島さんの関係が進展する事を防げること。
だから邪魔した。
「お前俺と宮島さんの関係が良くなることを邪魔したかったんだろ!だから手紙を抜いた!」
「違うよ!そんな理由じゃない。」
「じゃーなんだよ!!!」
勇気は必死に首や手を横に降り邪魔した訳では無いと訴えてくる。
「宮島さんは表向きは皆から好かれる優しい人だけど、裏では男を捕まえては捨ててを繰り返してるんだ。」
・・・・・・・・・。
勇気の言っていることが理解出来なかった。
あの宮島さんがそんなことする訳ない。
「お前てきとうなこと言ってんなよ!俺が宮島さんを諦めるようにそんな嘘までついて何考えてんだ!」
「嘘じゃない!本当なんだよ、噂になってたし実際僕もその姿を見たことある。でも光太が宮島さんのこと好きって知ってたから光太の耳にその噂が入らないようにしてたんだよ。」
あくまで俺のためと言うか。
俺は気づけば勇気の胸ぐらを掴んでいた。
「お前・・・、言っていいことと悪いことあんだろ!」
「信じてくれよ!本当なんだ!」
「黙れ!!!」
勇気は勢い良く倒れた。
俺があいつの頬を思いっきり拳で殴ったからだ。
痛そうに倒れる勇気を置いて俺は走った。
殴ったことが怖くて逃げるとか、そんな子どもみたいな理由じゃない。
ただ、走りたかった。
理由は無いけど走ってこいつと離れたかった。
後ろでは勇気が俺の名前を何度も呼び続ける声が聞こえていた。
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