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第3章 携帯越しに止まった時間
日向の思い
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『井上紗綾』
その名前をニュースで見た時に驚いた。
なぜなら彼女は居眠り運転をしていたトラックに引かれたと朝の報道番組で取り上げられていたからだ。
昨日、私の学校で待ち合わせをし会うはずだった彼女。
まさか事故で死んでいたなんて。
「・・・・・・。」
私はニュースをただ呆然と見つめて、自分の携帯の受信箱へと視線を移した。
「まぁ、死んだ人間にはメールなんて返せないか。」
私はただそれだけを呟いて、いつも通り学校に行く。
私は見た目がとても地味だ。
でもそれは決して性格まで地味だからなのでは無い。
面倒事を避けるためにしたくもない三つ編みをし、眼鏡をかけている。
小さい頃にいじめられていて気づいたこと、それは誰かに助けを求めた所で何もしてくれないということだ。
全員見て見ぬフリ。
親友だと思っていた紗綾までもが気づいていながら知らないフリをしていた。
引っ越してからも励ましの手紙や心配の手紙を送ってくるものだと思っていた。
でも引っ越した瞬間に友達でなかったかのように何も無かった。
何の手紙も、言葉も無かった。
私は見捨てられたのだ。
私だけが小学生時代も中学生時代もいじめられ続けた。
でもそれは私にとってはどうでもいい事なのだ。
確かに小さい頃は辛くて辛くてたまらなかったが、大きくなっていくにつれ何も思わぬようにすれば楽になれるということに気づいた。
頭だけは周りよりも優れている自信があったため、私はそれに気づいて何も感じないようにすることで自分を守ってきた。
そうやって私はいじめの日々をくぐり抜けた。
でも今は違う。
私はもういじめられるような弱者じゃない。
いじめられていた日々が悔しくて、高校生になってからは頭を使ってここまで来た。
私はもういじめられる側ではなく、いじめる側へとなったのだ。
あんなにいじめをよく思わなかった私が、まさかこっち側へ来ることになるとは思いもしなかった。
でも気持ちがいいのだ。
誰かを笑って、誰かを泣かせて、誰かを怒らせて。
私は今凄く生きている気がする。
ただ空気を吸って吐いていただけの毎日とは違う。
今は、そんな空気を吸って吐いてるだけの人生を送ってるやつの空気を奪う側だ。
私はとても居心地のいい場所を見つけた。
しかしこれを続けるためにも賢く生きなければならない。
誰にも気づかれないように、誰にも悟られないようにいい子のフリを表面だけ演じてきた。
だから地味な姿をして本当の私を隠している。
面倒事を避けるためには目立たないことが重要だ。
私は変わった。
それをどうしても紗綾に伝えたかった。
いや、一言だけ伝えたかった。
『お前がのうのうと生きている間に、私はこんなにも変わった。』と。
でも伝える前に死なれてしまった。
まぁどうでもいいのだが。
私にはもう関係の無いこと。
「おはよう!!!相変わらず篠原は制服の着こなしが完璧だ!さすが風紀委員長だな!!!」
面倒臭い体育教師だ。
こいつはいつも校門の前で生徒の制服を確認しては注意しを繰り返してる暇人だ。
「おはようございます。」
私は微笑み会釈をして校門をくぐり抜けた。
この門をくぐった瞬間から私の楽しい1日が始まる。
今日はどんな風にいじめてやろうかと胸を高鳴らせている時、
ピコン。
メールの着信だ。
「・・・・・・、なんで・・・?」
送られてきた宛先を確認すると、そこにはもうこの世に存在しているはずもない『井上紗綾』の文字だった。
その名前をニュースで見た時に驚いた。
なぜなら彼女は居眠り運転をしていたトラックに引かれたと朝の報道番組で取り上げられていたからだ。
昨日、私の学校で待ち合わせをし会うはずだった彼女。
まさか事故で死んでいたなんて。
「・・・・・・。」
私はニュースをただ呆然と見つめて、自分の携帯の受信箱へと視線を移した。
「まぁ、死んだ人間にはメールなんて返せないか。」
私はただそれだけを呟いて、いつも通り学校に行く。
私は見た目がとても地味だ。
でもそれは決して性格まで地味だからなのでは無い。
面倒事を避けるためにしたくもない三つ編みをし、眼鏡をかけている。
小さい頃にいじめられていて気づいたこと、それは誰かに助けを求めた所で何もしてくれないということだ。
全員見て見ぬフリ。
親友だと思っていた紗綾までもが気づいていながら知らないフリをしていた。
引っ越してからも励ましの手紙や心配の手紙を送ってくるものだと思っていた。
でも引っ越した瞬間に友達でなかったかのように何も無かった。
何の手紙も、言葉も無かった。
私は見捨てられたのだ。
私だけが小学生時代も中学生時代もいじめられ続けた。
でもそれは私にとってはどうでもいい事なのだ。
確かに小さい頃は辛くて辛くてたまらなかったが、大きくなっていくにつれ何も思わぬようにすれば楽になれるということに気づいた。
頭だけは周りよりも優れている自信があったため、私はそれに気づいて何も感じないようにすることで自分を守ってきた。
そうやって私はいじめの日々をくぐり抜けた。
でも今は違う。
私はもういじめられるような弱者じゃない。
いじめられていた日々が悔しくて、高校生になってからは頭を使ってここまで来た。
私はもういじめられる側ではなく、いじめる側へとなったのだ。
あんなにいじめをよく思わなかった私が、まさかこっち側へ来ることになるとは思いもしなかった。
でも気持ちがいいのだ。
誰かを笑って、誰かを泣かせて、誰かを怒らせて。
私は今凄く生きている気がする。
ただ空気を吸って吐いていただけの毎日とは違う。
今は、そんな空気を吸って吐いてるだけの人生を送ってるやつの空気を奪う側だ。
私はとても居心地のいい場所を見つけた。
しかしこれを続けるためにも賢く生きなければならない。
誰にも気づかれないように、誰にも悟られないようにいい子のフリを表面だけ演じてきた。
だから地味な姿をして本当の私を隠している。
面倒事を避けるためには目立たないことが重要だ。
私は変わった。
それをどうしても紗綾に伝えたかった。
いや、一言だけ伝えたかった。
『お前がのうのうと生きている間に、私はこんなにも変わった。』と。
でも伝える前に死なれてしまった。
まぁどうでもいいのだが。
私にはもう関係の無いこと。
「おはよう!!!相変わらず篠原は制服の着こなしが完璧だ!さすが風紀委員長だな!!!」
面倒臭い体育教師だ。
こいつはいつも校門の前で生徒の制服を確認しては注意しを繰り返してる暇人だ。
「おはようございます。」
私は微笑み会釈をして校門をくぐり抜けた。
この門をくぐった瞬間から私の楽しい1日が始まる。
今日はどんな風にいじめてやろうかと胸を高鳴らせている時、
ピコン。
メールの着信だ。
「・・・・・・、なんで・・・?」
送られてきた宛先を確認すると、そこにはもうこの世に存在しているはずもない『井上紗綾』の文字だった。
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