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第2章 愛しいあなたへのラブレター
ありったけの思いを乗せたラブレター
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「はぁ・・・、はぁ・・・、はぁ・・・。」
俺は走っている。
走って恵が入院していた病院へ向かっている。
なぜこうなったかと言うと、俺が大学から帰ってポストの中身をいつものように見ると、新聞や通販の紙の中に一つだけ手紙が入っていたからだ。
名前を見ると前山恵という文字。
そこには「病室へ来て。」と子どもが書いたような文字でそれだけ書いてあった。
誰かのイタズラかとも思ったが、もしかしたら恵が重要な何かを伝え忘れていたかもしれない、もしかしたらいるはずのない恵がいるかもしれないと考えるといつの間にか走り出していた。
色んな「もしかしたら」が頭を巡り、俺は病院へと走っていく。
病院に着いた俺は真っ先に受付へ行き、
「あの・・・!前山恵の・・・はぁはぁ・・・病室は・・・はぁ・・・、まだ残っていますか・・・?」
受付を担当している看護師は驚いたように、
「片付けは済んでいますが、まだ次の人は入って来ていませんよ。」
と答えた。
俺はその言葉を聞き終わるとすぐにまた走り出した。
エレベーターに乗り、そこで息を整える。
「恵・・・、もうすぐで着くぞ。」
エレベーターの扉が開き、俺は恵が入院していた病室の前へと歩いて行った。
その部屋に入院している患者は扉の前に名前のプレートが飾ってあるが、恵の名前はもうない。
これを見た俺は、分かってはいたが恵はやっぱり生きていないと絶望した。
俺は病室の中へと入り、恵が寝ていたベッドへと近づく。
窓が開いているのか、涼しい風が入ってくる。
ベッド以外はやはり片付けられている。
寂しい気持ち。
心に穴が空いている。
俺はベッドに座り涙を流した。
「なんだよ・・・、何もないじゃないか・・・。」
声は震え、ただただ涙が零れる。
その時涼しい風が吹き、ヒラリと何かが床に落ちるのが横目で見えた。
俺は落ちたものを確認するため床を見ると1枚の手紙。
そして、落ちる前の場所を見ると枕元に箱が置いてあった。
多分箱と手紙が枕元に一緒に置いてあって、風で軽い手紙が落ちたのだろう。
俺は手紙を手に取り中身を見た。
太一君の幸せが私の幸せ。
ずっと、大好き。
前山 恵
それだけが書いてある。
まるで子どもが書いたような下手くそな文字と文章。
俺は箱の中身も確認しようと、箱を開けた。
その中身は綺麗な指輪だった。
俺はさっきまで涙を流していたはずなのに、涙は枯れることなくまた流れてきた。
でもこの涙はさっきまでの絶望の涙じゃなく、嬉しい涙。
「なんだよ、急に子どもみたいな汚ったない字書きやがって・・・。」
俺は指輪と手紙を抱きしめた。
「俺も大好きだ。大好き以上に大好きだ・・・、愛してるよ・・・。」
俺は震えた声でそう呟いた。
俺は走っている。
走って恵が入院していた病院へ向かっている。
なぜこうなったかと言うと、俺が大学から帰ってポストの中身をいつものように見ると、新聞や通販の紙の中に一つだけ手紙が入っていたからだ。
名前を見ると前山恵という文字。
そこには「病室へ来て。」と子どもが書いたような文字でそれだけ書いてあった。
誰かのイタズラかとも思ったが、もしかしたら恵が重要な何かを伝え忘れていたかもしれない、もしかしたらいるはずのない恵がいるかもしれないと考えるといつの間にか走り出していた。
色んな「もしかしたら」が頭を巡り、俺は病院へと走っていく。
病院に着いた俺は真っ先に受付へ行き、
「あの・・・!前山恵の・・・はぁはぁ・・・病室は・・・はぁ・・・、まだ残っていますか・・・?」
受付を担当している看護師は驚いたように、
「片付けは済んでいますが、まだ次の人は入って来ていませんよ。」
と答えた。
俺はその言葉を聞き終わるとすぐにまた走り出した。
エレベーターに乗り、そこで息を整える。
「恵・・・、もうすぐで着くぞ。」
エレベーターの扉が開き、俺は恵が入院していた病室の前へと歩いて行った。
その部屋に入院している患者は扉の前に名前のプレートが飾ってあるが、恵の名前はもうない。
これを見た俺は、分かってはいたが恵はやっぱり生きていないと絶望した。
俺は病室の中へと入り、恵が寝ていたベッドへと近づく。
窓が開いているのか、涼しい風が入ってくる。
ベッド以外はやはり片付けられている。
寂しい気持ち。
心に穴が空いている。
俺はベッドに座り涙を流した。
「なんだよ・・・、何もないじゃないか・・・。」
声は震え、ただただ涙が零れる。
その時涼しい風が吹き、ヒラリと何かが床に落ちるのが横目で見えた。
俺は落ちたものを確認するため床を見ると1枚の手紙。
そして、落ちる前の場所を見ると枕元に箱が置いてあった。
多分箱と手紙が枕元に一緒に置いてあって、風で軽い手紙が落ちたのだろう。
俺は手紙を手に取り中身を見た。
太一君の幸せが私の幸せ。
ずっと、大好き。
前山 恵
それだけが書いてある。
まるで子どもが書いたような下手くそな文字と文章。
俺は箱の中身も確認しようと、箱を開けた。
その中身は綺麗な指輪だった。
俺はさっきまで涙を流していたはずなのに、涙は枯れることなくまた流れてきた。
でもこの涙はさっきまでの絶望の涙じゃなく、嬉しい涙。
「なんだよ、急に子どもみたいな汚ったない字書きやがって・・・。」
俺は指輪と手紙を抱きしめた。
「俺も大好きだ。大好き以上に大好きだ・・・、愛してるよ・・・。」
俺は震えた声でそう呟いた。
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