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第2章 愛しいあなたへのラブレター
彼への気持ちを届けて
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あれ、誰かが何か言ってる。
誰?
「ろ・・・、きろ・・・、起きろー!!」
「え!?何!?」
私はその声に驚いて飛び起き、誰によって発せられた声なのかを探した。
そしたら、そこにはドアを背中に担いでいる女の子。
「だ、誰!?ここは・・・、いつもの病院・・・?」
「あんたを迎えに来た。」
「え!?どういうこと?」
「だから、あんたはもう死んでるから、その魂をあの世に送るために、あんたを迎えに来たの。」
「え!?私死んでるの!?嘘でしょ!?」
目の前に立っている彼女は、私を指さした。
正確に言うと、私の後ろに何かあるみたいで、それをさしてるって言った方が分かりやすい。
そんな事より、私は指をさされた後ろ側を急いで振り返ったの。
そしたら、そこには肌が青白くなって眠っている私がいた。
「えーーーーーー!?!?!?」
「うるさいよ、そんなに驚く事ないって。」
「いや普通驚くでしょ!え・・・、じゃー本当に私死んじゃったの・・・?」
「だからそう言ってる。」
本当に信じられない。
昨日は確か看護師さんと、「明日は何するー?」って会話をしていたはず。
なのに、私死んじゃったの?
それともう一つ解決していない問題。
この子は一体誰?
「ねぇ、あなたは何者?」
「んー、分からない。でも死者の魂をあの世に送る仕事をしている。だから、あんたのこともあっちに送る。」
「じゃー何!?死神!?」
私が死神と言った瞬間、少し彼女の顔が歪み「違う、そんなんじゃない。」と答えた。
私は自分の死体を見て嫌な気分になった。
まさか自分の死体を見る日が来るなんてね。
そんな事を考えていたら、彼女が背中に担いでいるドアを床に置き、扉を開けた。
「はい、どうぞ。」
「はいどうぞじゃないよ!!え?何?未練とかそういうの何も解消されないであの世に送られるの!?」
「そんなんどうでもいいじゃん。」
「良くないよ!!」
この子何なの!?
他人事みたいな顔して扉開けてるけどさ、まぁ他人事なんだけど。
もう何が何だか分からない私は、ベッドの端に座り込んで、自分の死体を見た。
「本当に死んだんだ、私・・・。」
「そうだよ、だから早くこの階段を登って。」
扉を開けられたドアには、どこに向かうか分からない階段があった。
私は今からあれを登るのか、でも登るしかないんだよね。
色々と頭の中で考えていたら、一つのことが急に思い浮かんだ。
だから、目の前にいるこの女の子に、聞いてくれるか分からないお願いをする事にした。
「ねぇ、私24歳で病気で死んだ事になるんだよね。」
「そうだね。」
「もう絶対に自分の体には帰って来れない、そういう事だよね。」
「合ってるよ。」
「・・・・・・、じゃーお願いしたい事あるんだけど。」
「はい?」
お願いって言葉を出した瞬間、目の前にいる子は、嫌そうな顔をしたが続けることにした。
「あのさ、私彼氏いるんだけど、その人にこの前手紙書いたの。でも、手紙出す前に死んじゃった・・・。だからその手紙出してきて欲しいの!」
「えっ・・・。」
「彼の家のポストに出して欲しい!それで、厚かましいかもだけど、彼がどんな反応したか見てきて欲しいの!それを私に伝えてくれたら・・・、この階段登る!」
「・・・・・・。」
「お願い!約束は絶対に守るから!」
私は精一杯頭を下げた。
どうしても、彼に今の気持ちを伝えたかった。
今日死ぬなんて思ってなかったから、手紙出すの遅れたけど、どうしても彼に読んで欲しい。
そして、それについて彼がどう思ったかを知りたい。
「本当に約束できる?」
私は下げていた頭を思いっきり上げて、彼女の真っ直ぐな目を見た。
「はい、約束します。」
私もその目に答えるように、真っ直ぐに彼女を見た。
彼女は少し迷ったようだったが、頭をコクっと縦に振った。
「分かった、引き受ける。早く階段登って欲しいしね。」
「ありがとう!!!」
目の前の彼女は、扉を閉めて背中にドアを担ぎ直した。
「で?肝心な手紙はどこ?」
早く自分に与えられた面倒な仕事を終わらせたいのか、彼女は手紙を探した。
「その棚の引き出し、そこに入ってるわ。」
「あいよー。」
彼女は私が指した棚の方へ向かい、引き出しを開ける。
すると、動きが少しだけ止まって、私に質問をしてきた。
「この箱何?」
「あー、婚約指輪。本当は彼がここに来た時に渡そうと思ってたの。」
「ん?指輪って男が女にあげるんじゃないの?」
「その方が多いわね、でも女性が男性にあげることだってあるのよ。」
私からあげたっていいじゃない。
だって彼、私にプロポーズしてこないんだもん。
ってそんな事はどうでもいいの。
「じゃーこれも一緒に渡す?」
「いや、それはいい。渡しちゃったらきっとそれが、彼にとって鎖になると思うから。」
「分かった、じゃー行ってくる。」
彼女は引き出しに入っていた「前山 恵」と書かれた手紙を持って、四階の窓から空へと消えていった。
誰?
「ろ・・・、きろ・・・、起きろー!!」
「え!?何!?」
私はその声に驚いて飛び起き、誰によって発せられた声なのかを探した。
そしたら、そこにはドアを背中に担いでいる女の子。
「だ、誰!?ここは・・・、いつもの病院・・・?」
「あんたを迎えに来た。」
「え!?どういうこと?」
「だから、あんたはもう死んでるから、その魂をあの世に送るために、あんたを迎えに来たの。」
「え!?私死んでるの!?嘘でしょ!?」
目の前に立っている彼女は、私を指さした。
正確に言うと、私の後ろに何かあるみたいで、それをさしてるって言った方が分かりやすい。
そんな事より、私は指をさされた後ろ側を急いで振り返ったの。
そしたら、そこには肌が青白くなって眠っている私がいた。
「えーーーーーー!?!?!?」
「うるさいよ、そんなに驚く事ないって。」
「いや普通驚くでしょ!え・・・、じゃー本当に私死んじゃったの・・・?」
「だからそう言ってる。」
本当に信じられない。
昨日は確か看護師さんと、「明日は何するー?」って会話をしていたはず。
なのに、私死んじゃったの?
それともう一つ解決していない問題。
この子は一体誰?
「ねぇ、あなたは何者?」
「んー、分からない。でも死者の魂をあの世に送る仕事をしている。だから、あんたのこともあっちに送る。」
「じゃー何!?死神!?」
私が死神と言った瞬間、少し彼女の顔が歪み「違う、そんなんじゃない。」と答えた。
私は自分の死体を見て嫌な気分になった。
まさか自分の死体を見る日が来るなんてね。
そんな事を考えていたら、彼女が背中に担いでいるドアを床に置き、扉を開けた。
「はい、どうぞ。」
「はいどうぞじゃないよ!!え?何?未練とかそういうの何も解消されないであの世に送られるの!?」
「そんなんどうでもいいじゃん。」
「良くないよ!!」
この子何なの!?
他人事みたいな顔して扉開けてるけどさ、まぁ他人事なんだけど。
もう何が何だか分からない私は、ベッドの端に座り込んで、自分の死体を見た。
「本当に死んだんだ、私・・・。」
「そうだよ、だから早くこの階段を登って。」
扉を開けられたドアには、どこに向かうか分からない階段があった。
私は今からあれを登るのか、でも登るしかないんだよね。
色々と頭の中で考えていたら、一つのことが急に思い浮かんだ。
だから、目の前にいるこの女の子に、聞いてくれるか分からないお願いをする事にした。
「ねぇ、私24歳で病気で死んだ事になるんだよね。」
「そうだね。」
「もう絶対に自分の体には帰って来れない、そういう事だよね。」
「合ってるよ。」
「・・・・・・、じゃーお願いしたい事あるんだけど。」
「はい?」
お願いって言葉を出した瞬間、目の前にいる子は、嫌そうな顔をしたが続けることにした。
「あのさ、私彼氏いるんだけど、その人にこの前手紙書いたの。でも、手紙出す前に死んじゃった・・・。だからその手紙出してきて欲しいの!」
「えっ・・・。」
「彼の家のポストに出して欲しい!それで、厚かましいかもだけど、彼がどんな反応したか見てきて欲しいの!それを私に伝えてくれたら・・・、この階段登る!」
「・・・・・・。」
「お願い!約束は絶対に守るから!」
私は精一杯頭を下げた。
どうしても、彼に今の気持ちを伝えたかった。
今日死ぬなんて思ってなかったから、手紙出すの遅れたけど、どうしても彼に読んで欲しい。
そして、それについて彼がどう思ったかを知りたい。
「本当に約束できる?」
私は下げていた頭を思いっきり上げて、彼女の真っ直ぐな目を見た。
「はい、約束します。」
私もその目に答えるように、真っ直ぐに彼女を見た。
彼女は少し迷ったようだったが、頭をコクっと縦に振った。
「分かった、引き受ける。早く階段登って欲しいしね。」
「ありがとう!!!」
目の前の彼女は、扉を閉めて背中にドアを担ぎ直した。
「で?肝心な手紙はどこ?」
早く自分に与えられた面倒な仕事を終わらせたいのか、彼女は手紙を探した。
「その棚の引き出し、そこに入ってるわ。」
「あいよー。」
彼女は私が指した棚の方へ向かい、引き出しを開ける。
すると、動きが少しだけ止まって、私に質問をしてきた。
「この箱何?」
「あー、婚約指輪。本当は彼がここに来た時に渡そうと思ってたの。」
「ん?指輪って男が女にあげるんじゃないの?」
「その方が多いわね、でも女性が男性にあげることだってあるのよ。」
私からあげたっていいじゃない。
だって彼、私にプロポーズしてこないんだもん。
ってそんな事はどうでもいいの。
「じゃーこれも一緒に渡す?」
「いや、それはいい。渡しちゃったらきっとそれが、彼にとって鎖になると思うから。」
「分かった、じゃー行ってくる。」
彼女は引き出しに入っていた「前山 恵」と書かれた手紙を持って、四階の窓から空へと消えていった。
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