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第4章 自分が怖い
知らなかった事実
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鏡の中にいる私の話を聞いて、息を吸う事を忘れてしまっていた。
そんなに前から、私の中にこの怪物が居たなんて…。
「だから…、私の知らない内に皆の態度が変わってたんだ…。」
「そうだよ。」
「だからホテルのバーで話し掛けた恭子は知らないフリしたんだ。」
「かもねぇ…。」
彼女の他人事のような相槌に腹を立てる。
「勝手な事しないでよ!」
大声を上げて、近くにあった鞄を鏡に投げつける。
そんな私を軽蔑するように見るもう1人の私。
「勝手な事?それはこっちのセリフなんだけど。自分の逃げたい時だけ私と交代するなんて卑怯者じゃない?それで私は何もして無いとか言い訳して…、どっちが勝手なわけ?」
しばらく沈黙が続く。
「佳月、あんたは私なの。周りに背を向けても、私からは逃げられない。」
その言葉を最後に声が聞こえなくなった。
鏡を恐る恐る見ると、蹲る私がいる。
さっきまで薄ら笑いを浮かべていた私はどこにもいない。
夜になり、私はベッドに潜って頭の中を整理しようとする。
しかし自分が二重人格だった事実や、事件を起こした張本人だという事を受け入れられなかった。
友達が何人も死んでいるのだ、受け入れられるはずが無い。
私は鏡を見る事が怖くなり、前身鏡に大きなタオルを掛けた。
そんな事をしても、心の中にいる自分を追い出せる訳では無い。
分かっていても怖かった。
身体の震えが止まらず、布団を握りしめて、瞼を固く閉じる。
この日の夜は中々眠れず、気づけば朝になっていた。
そんなに前から、私の中にこの怪物が居たなんて…。
「だから…、私の知らない内に皆の態度が変わってたんだ…。」
「そうだよ。」
「だからホテルのバーで話し掛けた恭子は知らないフリしたんだ。」
「かもねぇ…。」
彼女の他人事のような相槌に腹を立てる。
「勝手な事しないでよ!」
大声を上げて、近くにあった鞄を鏡に投げつける。
そんな私を軽蔑するように見るもう1人の私。
「勝手な事?それはこっちのセリフなんだけど。自分の逃げたい時だけ私と交代するなんて卑怯者じゃない?それで私は何もして無いとか言い訳して…、どっちが勝手なわけ?」
しばらく沈黙が続く。
「佳月、あんたは私なの。周りに背を向けても、私からは逃げられない。」
その言葉を最後に声が聞こえなくなった。
鏡を恐る恐る見ると、蹲る私がいる。
さっきまで薄ら笑いを浮かべていた私はどこにもいない。
夜になり、私はベッドに潜って頭の中を整理しようとする。
しかし自分が二重人格だった事実や、事件を起こした張本人だという事を受け入れられなかった。
友達が何人も死んでいるのだ、受け入れられるはずが無い。
私は鏡を見る事が怖くなり、前身鏡に大きなタオルを掛けた。
そんな事をしても、心の中にいる自分を追い出せる訳では無い。
分かっていても怖かった。
身体の震えが止まらず、布団を握りしめて、瞼を固く閉じる。
この日の夜は中々眠れず、気づけば朝になっていた。
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