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俺の罪、俺の罰、俺の弟

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 『兄さん、いたんだね』
聖剣ネメシスセイバーを手にした黒髪のイアソンが、闇の中からゆっくりと歩いてきた。
『もしかしたらを考えて、兄さんの魂を召喚しようと散々に苦労したけれど……やっぱりそこにいたんだね』
『ディーンか』
『うん、久しぶりだね。ざっと1巡目の世界の終わりから、2巡目のこの世界のこの瞬間ぶりだ』
『御託は要らん。俺を殺すんだろう』
『まさか!兄さんを最初に殺したらつまらないよ。何のためにここまで僕が待ったと思っているんだい。僕がされた事を全て兄さんにしてやらないと、その意味が失せてしまうだろう?』
『魔幸薬を作らせたのも?』
『僕の入れ知恵だ』
『貴族派を腐敗させたのも?』
『あれは勝手に腐ったんだよ』
『魔人族は、少なくともエルフ族はディーンの味方だっただろう?』
『彼らには一等の情けをかけてやっているんだよ。僕による絶望を与える前に殺してやっているんだから』
『そうか』
『あれ、怒らないし反論もしないんだねえ、兄さん?』
『いや、少しは俺の弟らしくなったと思ってな?最後まで綺麗事しか言わずやらず見ずだった貴様が、ようやく!』
『……ああ、嫌いだ。僕はやっぱり兄さんが嫌いだ。大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ大嫌いだ!!!!!!!!!
兄さん。
兄さんの目の前で今度こそデボラを殺したら、やっと兄さんはヴァリアンナを失った僕と同じ絶望を味わってくれるよね』
『黙れ。母上は今度こそ俺が守ってみせる』
ディーンとイアソンが同時に嗤った。
『嫌だなあ。兄さんにしてはいやに詰めが甘いじゃないか。その体の主の所為かい?』
『貴様……何をした?』
『セイはね――とっても不思議な力を持っているんだ。「己を殺した相手の体に乗り移れる」んだよ。あの世界ならもっと自由に動けたのだろうけれど、生憎この世界だと魂に干渉できる闇属性の魔力をたっぷりと持っている貴族にしか乗り移れないみたいでね。
ところで……父親殺しは楽しかったかい?凄く凄く楽しかったよねぇ!』
『っ!!!ジン!返事をしろ、ジン!』
『そうだ、その――ジンと言う魂にはお礼を言っておかないとね。彼が「冷却」の色々な技術を開発して広めてくれたんだろう?おかげでこのイアソンの体は綺麗なままで保存しておけて、兄さん達を油断させられた。本当にありがとう!』
『ジン!返事をしろと言っているんだ!返事を、どうか――返事してくれ!』
『手遅れだよ、もう。セイは密かに寄生範囲を広げていたんだから。それに2度目だしね』
『貴様、ディーン!まさか……』
『ああ、ああ、そうだよ!
かつて僕が兄さんにされたように、一切合切が手遅れなんだよ!
これから兄さんは兄さんの体でデボラを殺すんだ!
兄さんの友達を殺すんだ!
兄さんの知人を殺すんだ!
兄さんの周りにいる全ての者と全ての存在をぶち壊して殺して最後はこの世界をも終わらせるんだよ!
あはははははははははははははっ!それでも僕の方が兄さんより遙かに慈悲深いよねぇ?だってただ殺すだけで終わらせてやるんだからさぁ!!!!
――ねえ、そうでしょう、兄さん、兄さぁあああん!!!』
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