18 / 128
何か可愛いな、この悪役令嬢っぽい皇女
しおりを挟む
「で、デボラっ!貴女っ、何のつもりなの!?」
あれ?今頃2人で仲良くやっていると思っていたら、何故かアンティスティア皇女がカンカンに怒ってやって来たぞ?
「何とは……?」
「とぼけないで頂戴!フラヴィウス皇太子殿下のことよ!い、いきなり私に求婚の申し込みをして下さったのよ!?あ、貴女は一体何を考えているの!」
「この子達を真っ当に育て上げたいのです」
「は、はあ!?だからって皇太子妃の地位を……」
「はい。そもそも身にそぐわぬ地位を得ても破滅するだけですから。そんなことよりもアンティスティア皇太子妃殿下、この度は誠におめでとうございます」
「ありが……じゃなくて!貴女まさか第二夫人の地位を狙っているじゃないでしょうね!?」
「狙っていない理由を3つ申し上げます。まず、その地位を私が狙ったところで誰からも支持されることはおろか、受け入れられることもないでしょう。落ち着いてお考え下さい、私は離婚歴もあり、この通り可愛い子供達もいるのです。次に、フラヴィウス皇太子殿下とアンティスティア皇太子妃殿下に対して私の思うところは、お二方が末永くお幸せであって欲しい、これだけにございます。最後に、アンティスティア皇太子妃殿下を敵にして、私の可愛い子供達に危害が及ぶこと。これが私の最も恐れることなのです」
「じゃ、じゃあ……」
「私はもう充分に幸せです。これ以上を望むのは傲慢でございます」
黙っちゃったアンティスティア様に、俺はさっきそこで摘んだクローバーを差し出した。
「アンティスティアさま、これあげる!あのね、コンモドゥスがね、よつばだからもっているとしあわせになれるよって!」
「……坊やも、私の幸せを……望んでいるの?」
「うん!」
アンティスティアが目を潤ませて受け取った時、フラヴィウス殿下が走ってきた。
「アンティスティア!ここにいたのか!」
「皇太子殿下……っ、わ、私……!」
「君を不安にさせて、本当に済まなかった」
ぶわあああああっ!と泣き出したアンティスティアをフラヴィウス殿下が抱きしめる。
チョロいヒロインこと『チョロイン』と呼ばれていただけあって、可愛い悪役令嬢っぽい皇女って感じだな。
「殿下……殿下っ!」
「フラヴィウスで良い、君に私の名を呼ぶことを許可しよう」
「フラヴィウス様っ!うわああああああああああっ……!」
多分、これでこっちも心配要らないな。
俺は一緒に摘んできた三つ葉のクローバーでディーンをあやしてやる。
「あいー!うきゃー!」
ディーンは今日もご機嫌だった。
デボラは穏やかな顔で、ポンポニアもコンモドゥスもニコニコしていた。
あれ?今頃2人で仲良くやっていると思っていたら、何故かアンティスティア皇女がカンカンに怒ってやって来たぞ?
「何とは……?」
「とぼけないで頂戴!フラヴィウス皇太子殿下のことよ!い、いきなり私に求婚の申し込みをして下さったのよ!?あ、貴女は一体何を考えているの!」
「この子達を真っ当に育て上げたいのです」
「は、はあ!?だからって皇太子妃の地位を……」
「はい。そもそも身にそぐわぬ地位を得ても破滅するだけですから。そんなことよりもアンティスティア皇太子妃殿下、この度は誠におめでとうございます」
「ありが……じゃなくて!貴女まさか第二夫人の地位を狙っているじゃないでしょうね!?」
「狙っていない理由を3つ申し上げます。まず、その地位を私が狙ったところで誰からも支持されることはおろか、受け入れられることもないでしょう。落ち着いてお考え下さい、私は離婚歴もあり、この通り可愛い子供達もいるのです。次に、フラヴィウス皇太子殿下とアンティスティア皇太子妃殿下に対して私の思うところは、お二方が末永くお幸せであって欲しい、これだけにございます。最後に、アンティスティア皇太子妃殿下を敵にして、私の可愛い子供達に危害が及ぶこと。これが私の最も恐れることなのです」
「じゃ、じゃあ……」
「私はもう充分に幸せです。これ以上を望むのは傲慢でございます」
黙っちゃったアンティスティア様に、俺はさっきそこで摘んだクローバーを差し出した。
「アンティスティアさま、これあげる!あのね、コンモドゥスがね、よつばだからもっているとしあわせになれるよって!」
「……坊やも、私の幸せを……望んでいるの?」
「うん!」
アンティスティアが目を潤ませて受け取った時、フラヴィウス殿下が走ってきた。
「アンティスティア!ここにいたのか!」
「皇太子殿下……っ、わ、私……!」
「君を不安にさせて、本当に済まなかった」
ぶわあああああっ!と泣き出したアンティスティアをフラヴィウス殿下が抱きしめる。
チョロいヒロインこと『チョロイン』と呼ばれていただけあって、可愛い悪役令嬢っぽい皇女って感じだな。
「殿下……殿下っ!」
「フラヴィウスで良い、君に私の名を呼ぶことを許可しよう」
「フラヴィウス様っ!うわああああああああああっ……!」
多分、これでこっちも心配要らないな。
俺は一緒に摘んできた三つ葉のクローバーでディーンをあやしてやる。
「あいー!うきゃー!」
ディーンは今日もご機嫌だった。
デボラは穏やかな顔で、ポンポニアもコンモドゥスもニコニコしていた。
0
お気に入りに追加
58
あなたにおすすめの小説
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
婚約破棄してたった今処刑した悪役令嬢が前世の幼馴染兼恋人だと気づいてしまった。
風和ふわ
恋愛
タイトル通り。連載の気分転換に執筆しました。
※なろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、pixivに投稿しています。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双
たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。
ゲームの知識を活かして成り上がります。
圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる