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……羞恥プレイじゃねえか!

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 クソジジイとクソババアが喚いているのを護衛が抑えている間に、最低限の荷物をサリナがまとめてくれて、後から必要な物はマグヌスが送ってくれると言うことで、俺達は夜逃げのように馬車に乗り、帝国城へ行くのだった。



 「ごめんなさい、ごめんなさい――」

馬車が走り出すなりデボラは声を上げて泣き出した。

「私が弱かったから、カインを、」

「デボラ様……!」

サリナがデボラの背中を撫でている。

「そうだ。君は弱かった」フラヴィウスが厳しいことを言い出した。「どうしてここまで追い詰められるまで助けを求めなかったのだ。私達はそこまで信用がなかったのか!」

「うあ、うああっ、うわああああっ」泣きじゃくりながらデボラは首を左右に振る。

「知っている。君の皇族としての誇りがそれを許さなかったのだろう。それに今まで君は1人で充分にやっていけた。誰かに助けを求める必要性も無かった。

だが、これからは違う。――困って悩んだら言葉にして信用できる誰かに助けを求めること。実際、単独で悩んでいて悩みが解決するなんて運の良い事はほとんど無いのだ。約束してくれ」

「うう、ううっ……」

何度も頷くデボラ。



 これで、俺ことカインが劇的に歪むような事態は免れた訳だ。

俺は一安心したら、途端にトイレに行きたくなってきた。

そういや、今の俺は2歳児なんだよな……!?

ってことは膀胱も小さいよな、そりゃあ長時間は耐えられないか……。

待て、俺。

冷静に考えている場合じゃねえ。

ここで漏らすのは……マズい!!!!!



 「おといれ!おといれ!!!」

――馬車の中がパニックになった。



「フラヴィウス殿下、馬車をお止め下さい!!!」

「ここは貴族街だ、ここで用を足すと後がこじれる!」

「でも、このままでは!」

「あははははは!」いきなりデボラが笑い出した。大きな声で、笑い出した。「そうよ、そうだったのよ!この子はこんなにも小さいのだから、仕方なかったのよ!大人と同じように出来ないからと何を私は苛立っていたのかしら!」

「デボラ……?」

フラヴィウスが声をかけると、デボラは笑いに笑ってから涙を拭いて言った。俺を見つめて、言った。

「カイン、大丈夫よ。よく『お手洗いに行きたい』って言えたわね、偉いわ。でもごめんなさい、しばらくトイレには行けそうに無いわ」

「でも、でも、おかあさま、」

「大丈夫、もうお漏らししても怒ったりしないから」

微笑んでデボラは羽織っていたガウンを脱ぐと、俺の足下に置いた。



ぎゃああああああああああ!

違うんだデボラ!

カインの中身は半おっさんなんだよおおおお!



 ……そう弁明するより前に、尿意が深刻に重大に切実に勝り、俺はサリナがズボンを脱がせてくれた瞬間……。



…………………………。
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